【無慈悲な】侵攻蟲苗床化計画【異世界攻略】   作:オルフェイス

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スルバーン天空都市
スルバーン天空都市編


 

 

【六十日目】

 

 

 虫の補完には数日ほど掛かる。それまでは下手なことはせずスルバーンを監視するに留めておこう。

 

 しかし……なぜスルバーンはボルトを滅ぼした?

 

 敵対国だったのか。いや、それなら放っておけば良かったはずだ。

 

 俺という敵がボルトを滅ぼそうとしている以上、下手に介入する必要性などないはず。

 

 それとも、直接手を下したかったのか? 一体なぜ?

 

 ……少し考えてみたが、結局わからないままだった。情報が少なすぎる。

 

 そして、わからないことは考えても仕方ない。他のことに頭を回すほうが良いだろう。

 

 まずするべきなのは、スルバーンという巨大な島に備わっている機能を調べること。監視するだけでも、多少の情報は得られるだろう。

 

 次に、虫の補完及び増殖が完了したら攻めてみて詳細な機能を探る。

 

 こちらに攻撃を仕掛けてこないということは、スルバーンは積極的に戦うつもりはないということのはず。それならいつ攻めるのかはこちらで決められる。

 

 スルバーンに備わっているボルトを滅ぼした砲撃。まさかあれだけしか機能がないということはないだろう。

 

 今確認できるだけでも空を飛ぶ、真下に砲撃を放つ、そしていきなりボルトの真上に現れたことから姿を隠す、あるいは転移する機能もあるはず。

 

 砲撃の射程は不明だが、威力は実感した。レベルⅤでもない限りは即死だ。

 

 少しずつ暴いていく。

 

 そして、いずれは滅ぼす。

 

 

 

【六十一日目】

 

 

 

 スルバーン、特に動きなし。

 

 空に浮かんで移動しているだけだ。

 

 速度はそれほどでもない。少なくとも音より速いなんてことはないし、速度に変化も見られない。

 

 上空から見てみても、何かしらの準備をしている様子は見られなかった。

 

 大きさは……これどのくらいだ? 少なくとも滅ぼしてきた国々の領土よりはるかに小さい。多分、攻め滅ぼすだけなら難しくはないと思う。

 

 ……最も、それはあくまで地上にあったならの話だったのだが。

 

 スルバーンは常に空に浮かんでいる。であれば、空を飛べなくては攻められない。地上に落とすにしても侵入するには空を飛べなくてはいけないので……

 

 結局、空に行かないといけないことには変わりない。

 

 地上から落とすという手もなくはないが……まともに落ちてくれるほど優しくはないだろうな。

 

 島を落とすとなれば、とんでもない労力を必要とするだろう。そうするくらいなら浸入して空に浮かばせている機能を停止もしくは破壊したほうが早い。

 

 とはいえ、容易く侵入させてくれるとは思えない。必ず侵入対策の何かがあるはずだ。それが迎撃なのか防止なのかはわからないが。

 

 ……ボルトと同じような魔物特効は、もうやめてほしいものだ。スルバーンに特効があろうものなら、ボルトよりも難題となるのは間違いない。

 

 とにかく数だ。これで最後なのだから、出し惜しみはしない。

 

 こちらの戦力が無くなるよりも先に、スルバーンを滅ぼす。

 

 

 

【六十二日目】

 

 

 

 すっかり忘れていたが、ボルト攻略の報酬があった。

 

 条件が未遂だったものがあったらしいため、ポイントは手に入らなかったが……そこは仕方なかったと諦めるしかない。

 

 手に入れたのは、確か聖魔の角笛。

 

 聖魔、という名前からボルトと同じ力を得られるのだろうかと期待したが、思った通りだった。

 

 角笛の効果は二つ。どちらも虫全体に付与できるバフだった。

 

 一つは『魔』特効を全体に付与するバフ。

 

 もう一つは、虫の戦闘力を一段階強化するものだった。

 

 『魔』特効が何の役に立つのかは不明だが、もう一つの虫の戦闘力を強化する効果は実に良い。

 

 これで角笛も含めればレベルⅠでレベルⅣに相当する戦闘力を持つことになるな。

 

 とはいえ強化は永続しない。精々三十分程度しか保たないことが判明した。いざという時に使うべきだろうな。

 

 ……思ったのだが、俺が常に被るようにしている竜の冠も虫に持たせた方が良いのではないだろうか。強力な戦力が誕生するぞ。

 いや、でも奪われたら最悪だな。回収するための虫も必要になる。それを踏まえても強力だが……

 

 位相の鐘もそうだ。俺が使ったところで大した効果は見込めない。虫に持たせて……常に鳴らすようにしたら強いのではないだろうか。これにはクールタイム的なものもないみたいだしな。

 

 今まで死蔵していたアイテムたち。これの新しい使い方を、考えたほうが良いかもしれないな。

 

 

 

【六十三日目】

 

 

 

 虫の補完が完了した。

 

 今日からスルバーンの機能調査を行う。

 

 ……そのつもりだったんだけどな。

 

 最初、完全ステルスで姿が見えなくなる虫を生み出し、そのままスルバーンに向かわせたのだが……近付く途中で結界が発生、侵入することが出来なかった。

 

 結界はスルバーンから約百メートルの場所で発生、その後は近付かず様子を見ていると約180秒で結界は消失した。

 

 完全ステルスでも結界が発生したとなると、バレずに潜入は不可能に近いことになる。

 

 念を押してレベルⅤまで上げてステルスの性能を底上げしても結界が発生した。何らかの方法で察知しているのだろうが、俺にはその原理がわからない。そのためすり抜けようにも手当たり次第になってしまう。

 

 隠れながらの侵入は駄目だな。諦めよう。

 

 一応、俺の考えつくステルス方法でスルバーンへの侵入を試みたが……やっぱり駄目だった。尽く察知される。

 

 無機物は通すのかと思い投げ込んでみたが、これでも展開された。本当にどういう基準で結界は展開されているのだろうか。

 恐らくマニュアルではなくオート……それもフルオートのはずだが。

 

 何度も何度も試して結界が展開されたことを考えると、結界を構築するのに殆ど制限はないのだろう。

 

 スルバーンの機能を調べたかったんだが……仕方ない。まずは結界の突破から考えよう。

 

 

 

【六十四日目】

 

 

 

 虫、通さない。これはわかっていた。

 

 霧、毒性無毒性両方試したが通さず。まあそうだろうな。

 

 無機物、死骸、有機物など。色々と試したが何も通さない。

 

 そんなことはないはずなんだが……空気を通せなきゃどうやって呼吸をするというのだろうか。

 

 空気、という点から発想を得て空気弾を放てる虫を使ってみたがこれも駄目。なんとなくそんな気はしてた。

 

 これでわかったのはスルバーンの結界は通すもの通さないものの区別が物理的なものとは違うということ。

 

 一言で表すなら、害意悪意殺意など、つまり視認が不可能なもの。意識がある限り間接的だろうと通さないと。そういう認識をするしかないな。

 

 だったら、本格的に結界の破壊に取り組む。

 

 まずジバクアリでの爆破。流石に一発では罅も入らない。これはわかっていたことだ。今回は爆破をやめて、ジバクアリの増殖を急ごう。

 

 次に毒液。これはスルバーンよりも上空で放った。案の定、結界は展開された。毒も通さないが、しかしこれでいい。

 

 結界の維持。さて、どのくらい持つのだろうか。まさか永久機関なんてことはないだろうし、その間も破壊を試すつもりだ。

 

 どのようなものであれ限界という壁はある。その限界にまで近付ける作業を行えばいい。そうすればいずれ壁に当たり……決壊する。

 

 他にも手は探すつもりだが、ひとまずこれを試していくとしよう。

 

 

 

【六十五日目】

 

 

 

 スルバーンも、何もしてこないというわけではなかったらしい。

 

 虫が近付けば反撃するようになった。

 

 島から生えてきた、戦艦で見かけるような砲弾を放つ……多分主砲とか言うアレなのだが、まあ威力はともかく命中率はそこまででもない。肝心の威力もレベルⅢなら耐えられる程度。

 

 とはいえ、当たれば撃墜されるくらいには威力があるので避けるに越したことはない。

 

 その射程は島から約三百メートルほど。数は相当あって、数えてみた限りでは……少なくとも三百は超えていたな。対空迎撃用なのだろう。

 

 だが……反撃してきたということは、俺のしてきたことは相手にとって嫌なことだということ。継続していけば綻びが生まれることだろう。

 

 ならばやる。これまで通りに。

 

 継続して行うことの難易度が上がりはしたが、出来ないわけではない。

 

 新たに発生した対空砲は、結界ほどの察知機能を持たない。なのでこの前作った虫のステルスならば素通りできる。

 

 そして、結界に常に張り付かせるのだ。

 

 スルバーンの結界にはボルトのような特効がない。なので四六時中張り付いていたとしても問題ないのである。飛んで張り付くだけならステルスも機能する。

 

 それと……昨日推測した結界は見えないものを察知しているのではないか、という説だが、これはどうやら大当たりらしい。

 

 結界……に到達する前に撃ち落とされたが、少なくとも怠惰の虫は、対空砲の察知を潜り抜けた。

 

 それは恐らく、何をしようという意思を持たないため。念の為怠惰の虫を近付けての生命力と魔力の吸収が発生しないかと持ってきたのだが、撃ち落とされたあとも生きているのに追撃がなかった。

 

 怠惰の虫の吸収は生物限定。しかも自力で動かないので罠にしか使えず、怠惰の虫は皆一様に巨大になる傾向にある。動かすのも一苦労だったので使ってこなかったのだが……

 

 怠惰の虫の大きさは、平均して約五十メートルは超す。一番大きいのだと百メートルはいってたな。

 

 もし結界を素通りできるのなら……結構良い質量攻撃になるんじゃないだろうか。

 

 クロノスのときはジバクアリの方がコストは安かったし、ボルトだと結界を素通りなんて出来なかっただろう。

 

 だがスルバーンになら通用する。

 

 今は怠惰の虫の数がそこまで揃っていない。

 

 まずは数を揃えよう。そうだな……百体くらいでいいか。

 

 本当は今日やるつもりだったジバクアリの投下も中止だ。怠惰の虫の投下と合わせて行う。こういうのは、一度に大量の手を叩きつけてやるほうがいいからな。

 

 

 

【六十六日目】

 

 

 

 面倒なことになった。

 

 スルバーンが、さらに高度を上げた。ざっと一万メートルほど。

 

 せっかく結界の破壊に成功したというのに……というかあんなに高度を上げてスルバーンの住民は生存できるのか?

 

 わからないが……どちらにしろ作戦の練り直しが必要だな。

 

 

 

 

 

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