【無慈悲な】侵攻蟲苗床化計画【異世界攻略】   作:オルフェイス

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カルヴァリ帝国・クロノス和國編 2

 

 

【二十二日目】

 

 

 

 クロノスとカルヴァリが争っているのは、単に昔から続いているかららしい。

 

 大昔、なんやかんやあって小競り合いが始まり、そこから火が燃え広がり戦争が勃発。以降、止め時のわからない戦いが続いているそうな。

 

 何処かの噂好きの冒険者たちが話しているのをこっそり聞いた限り、そういうことらしい。

 

 あぁ、なんか隣国が滅んだっていうのに何の干渉もないな、とは思っていたが……常に争っているから軍隊を動かせないのか。

 

 ボルト魔聖国の方はわからないが……多分、こっちに偵察しに来てる可能性は高い。というかそうでなければおかしい。スルバーンも、まぁ探ってはいるだろうな。

 

 けど今はまだ、虫が大量発生して止めることが出来ずに滅びた、という認識をされているはず。意図的に行われているわけではないと思うはずだ。相手が未だにそう思っている間に、やれるだけのことをやろう。

 

 ちなみにだが、情報収集に使っている虫は隠れるのが上手い虫の他に、最近人間に擬態可能であると判明した嫉妬の虫に任せている。言葉は喋れないので首元に酷い傷がある人間に擬態させている。これなら喋れないことにも疑問を持たない。

 

 今できるのは……ポイント集めのための迷宮周回、苗床による繁殖、情報収集、地下から巣を広げる、くらいか。

 

 いつもと変わらない、ということだ。やれることを少しずつやろう。

 

 

 

【二十三日目】

 

 

 

 漁夫の利を取る。それは決定事項だ。

 

 ではどちらを先に滅ぼすのか。

 

 クロノスか、カルヴァリか。それについては簡単だ。より消耗した方を先に滅ぼす。

 

 一度に両国を相手取る手もあるが、そんなことをすれば漁夫の利を取れない。

 

 国を相手にするのだ、事は慎重に進めるべきだろう。

 

 とりあえず今日は地下に落下させられないかと掘り進めていたのだが、残念なことに地下は何らかの方法で固められていたせいか両国共に掘り進めるスピードが遅い。

 

 常に戦争中となれば、相手が地下を掘り進めてくることもあるのだろう。それ対策、ということか。

 

 ふむ、それなら……

 

 戦争中となれば、やっぱり兵糧攻めか。食料がなければ戦争もクソもないからな。

 

 というわけで、地下を掘り進めさせつつ村を探すことにした。

 

 それと並行して偽装工作……と言えるのかはわからないが、とにかくそれを目的とした疑似迷宮を作成させる。

 

 その疑似迷宮に虫を滞留させ、溢れ返るほどに大量にいる虫を見れば、そこから氾濫した虫たちのせいでシャバドゥスが滅びたのだと勝手に勘違いしてくれる……と思いたい。

 

 あとは……そうだな。

 

 少し、虫を遠くに斥候させてみるか。

 

 

 

【二十四日目】

 

 

 

 迷宮というのは地下にあるものだ。

 

 よってより深くまで掘り進めさせれば疑似迷宮は完成する。形は蟻の巣と同じでいい。他の迷宮も千差万別だったからな。人工的なものとは気付かないはずだ。

 

 脅威でこそあれど、急を要することはない、という認識になるはずだ。少なくともクロノスとカルヴァリを滅ぼす時間くらいは稼げるだろう。

 

 その件の両国は……調べていく内に分かったのだが、常に戦争中という環境のせいなのか兵一人ひとりの質が高い。虫で言えば一般兵レベルでレベルIIとなるほどだ。

 

 それも俺自身が既にレベルアップした状態の虫と、である。

 

 つまりレベルIII相当が普通であるらしい。それがクロノス、カルヴァリの両国に当て嵌まっている。

 

 だがまぁ、それはあくまで兵の話。守られる側である民のレベルはそこまで高くはないだろう。

 兵がそこまで強いということは、それだけ全体の質が高いということであり……同時に、それだけ上限も高い、と見るべきだ。

 最悪、レベルⅤでも歯が立たないような怪物が控えている可能性がある。

 

 最も、最初から真正面から戦おうなどと考えてはいないのだが。

 

 質で劣るなら数で、数で劣るなら質で、両方で劣るというのであれば頭を使う。相手の劣る部分を狙うのは戦いの基本だろう。

 

 だから、この二つの国を滅ぼすのには頭を使う。

 

 シャバドゥスは……あれはもう例外でいいだろ。頭を使う以前の問題だ。あっさりとし過ぎて滅ぼした、という感慨がない。

 

 いくつか村を見つけて兵糧攻めのための準備もしてある。しかし両国の方を見ていて隙を伺っている最中なので一気に殲滅、ということは出来ない。

 

 以前に消耗した方から滅ぼす、とは言ったが、今の両国は拮抗状態であり外から刺激を与えないと事態は何一つとして変わらないだろう。

 外からの刺激、つまりは俺達の行動でどちらかが先に滅び、消耗した方も滅びる。というか滅ぼす。

 

 それと人に擬態させた虫を一匹、先にボルト魔聖国に向かわせた。そこから情報を得させるつもりだ。

 

 俺が滅ぼさなくてはならない国は、まだ残ってるからな。

 

 

 

【二十五日目】

 

 

 

 クロノスやカルヴァリにも迷宮はある。

 

 しかし、シャバドゥスよりもレベルが高いように見える。というか常に人がいるせいで両国の迷宮に入ることが出来ない。

 もし入ろうとするのであれば……他の物事に集中させるのが、一番リスクが少ないだろうか。少なくとも入って皆殺しは危険だ。

 

 嫉妬の虫を使えば探れるかもしれないが、今は避けたい。

 少なくとも使うのであれば難関となるはずであるボルトにしたい。

 スルバーンは……あれは空に浮かんでるから侵入そのものが困難だ。だから侵入して内側から、というのは……まあ、今後嫉妬の虫がバレることがなければ試してみるのも悪くはない。

 

 とにかくクロノスとカルヴァリの迷宮は後回しだ。滅ぼしたあとにでも周回するとしよう。

 

 それと、これは個人的な感想になるのだが。

 

 クロノスとカルヴァリ、どちらが滅ぼし難いか。俺としてはクロノスのほうが手強いと感じた。

 

 カルヴァリは実力主義であり、だからこそ結束というものが薄いように見える。

 しかしクロノスは結束も硬く、士気も落ち難いように見えた。それも『上』が慕われているから、なのだろうか。

 

 攻略が難しいのはクロノスだ。それは間違いない。

 だが……そうだな。

 その結束の硬さも、上手く使えればいけるか。

 

 

 

【二十六日目】

 

 

 

 個人的に楽な方であるカルヴァリから突いてみることにした。

 

 クロノスの方も畑の食物を枯らすような毒を村の周りに蒔き、後の戦闘に備える。

 カルヴァリも食べ物を駄目にするような毒を蒔き、更にそこから虫も投入する。

 

 手当たり次第、根こそぎ刈り取るように。

 

 とはいえあくまでシャバドゥスから溢れた野生の虫だと思われたいのでやられる前提のレベルⅠのみ。しかし数は多めにして、種類も統一する。

 

 1日2日でどうにかなるとは思わないが、これを継続して行っていけば……隙と見たクロノスが攻め込むだろう。

 

 クロノスとカルヴァリの仲はかなり悪いと聞くし、すぐに攻め込んでくれると思いたいが……さて、どうなるのやら。

 

 こちらはこちらで迷宮周回でポイントを貯めて、苗床から虫を増やす。

 

 相手からは減らし、こちらからは増やす。

 

 数は力だからな。

 

 

 

【二十七日目】

 

 

 

 嬉しい誤算だ。クロノスがもう攻め込んできた。

 

 どうやらあちらにも畑に毒を蒔いたのが原因らしい。どちらもあちらが原因だと考えて攻め込んでいるようで、互いに言い返したりしているがどちらも信用していない、と。

 

 なるほど、想定よりもクロノスとカルヴァリの仲は険悪らしい。

 

 とはいえ畑の毒対策はされた。何やら多数人で畑を掘り返して液体を掛けていたので、毒を消すポーションか何かなのだろう。

 とりあえずもう一度毒を蒔いた。こういうのは続けていくのが大事だからな。見張りもいたが、時間を掛けて掘った地下からやればしばらくバレることもないだろう。

 

 もちろんカルヴァリにも同じことをした。あちらも同じように対処していたが、こちらも同じように毒を蒔く。

 

 毒を消すには、おそらく魔法か何かでは難しいもしくは不可能なのだろう。あるいは現実的ではない、か。どちらにしろ出来ないということでいいはずだ。

 

 ここ最近は戦線の縮小を始めていたようだが、これを切っ掛けに戦線は再び拡大することだろう。兵士はより多く投入され、犠牲者も出てくる。

 

 そして疲弊したところを、こちらが滅ぼす。

 

 それまでは精々潰し合ってくれ。ついでに俺の欲しい情報が出てきてくれると助かる。

 

 今はクロノスとカルヴァリがぶつかり合いそうなので、こちらは観察するに留めよう。

 

 

 

【二十八日目】

 

 

 

 世の中、そう上手くいかないものだ。

 

 ボルトの方からシャバドゥスへ冒険者が調査に来ることが派遣していた虫から伝わってきた。

 レベルとしては、だいたいⅣからⅤ、といったところだろうか。もちろん予測でしか無いのでそれよりレベルが高い可能性はある。

 

 こちらも本格的にクロノスとカルヴァリがぶつかり合ってる真っ最中なので集中したいのだが、さてどう対処したものか。

 

 ……見せるのは痛いが、レベルⅤの大群、それも憤怒の虫で構成した群れを充てるか。戦いに集中させて少しでも持ち帰る情報を少なくするべきだ。

 ここで全滅させるのは宜しくない。そうすれば間を開けずにより強く、さらに多くの冒険者を寄越してくる可能性がある。

 

 冒険者はそれでいいとして、だ。

 

 クロノスとカルヴァリの戦争は、今のところクロノスが優勢だ。統率が取れてるし士気も高い。

 しかしカルヴァリに守りに入られるとクロノスは攻め辛いようだ。カルヴァリには大きな山脈があり、それが天然の要塞として機能している。さらには魔物も多く棲み込んでいるため攻めるに攻められない、という感じ。

 

 かといってカルヴァリは正面からの戦いでは劣る。クロノス相手に勝利するには根本的な部分を崩さなければならないだろう。

 

 まず崩すのはカルヴァリだ。そこは変わらない。天然の要塞は厄介だから、裏から回り込む。さすがに山脈に囲まれているわけではないようだからな。

 

 村、街、そして首都。砦もあることは確認済みだ。

 

 土が硬いのはクロノスのみ。カルヴァリはそこら辺の防護は疎かにしている。戦争が行われるのも主にクロノスの土地で、カルヴァリで戦うことなど殆どないからのようだ。

 

 となれば、取る手も変わってくる。

 

 最悪、苗床はクロノスから補給すればいい。

 

 相手の被害を気にせずにやっていこう。そろそろカルヴァリの気力も衰えてきた頃だろうから。

 

 ただ、今日の雲行きだと明日には雨が降りそうだな。

 

 雨での戦闘は初めてだ。1日ずらすのも………いや。

 

 そうだな、これでいこう。

 

 

 

【二十九日目】

 

 

 

 思いつきだったが上手く行った。

 

 山脈を崩し、カルヴァリを壊滅させることに成功した。

 

 が、問題も出てきた。

 

 カルヴァリがクロノスと合併したせいで、滅亡した判定になっていない。しかもクロノスの戦力が補充されてしまった。

 

 しばらく報酬はお預けだな。

 

 

 

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