カカシ   作:ベースボール戦士藤介

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ある日、俺は死んだ。

夏のとても良く晴れた日だった、俺は車に跳ねられて頭を強くうって死んだ、覚えているのはそれだけだ。

それ以来ずっと俺の死んだ交差点にいる、理由は解らない、この場所から離れようとするも交差点の中心から半径20メートルあたりに見えない壁のような物がある。

出たくても出られたい別に出る気はないが、退屈だとは感じる、しかしなにか行動を起こすことも出来ない。今日も明日も明後日もただ通行人を見ているだけ。

「おう、地縛霊今日も人間観察、いや警備員ごっこかな?」

「ふむ今日も異常なしだ。」

「しかし地縛霊は大変だな、ずっとそこにいなくてはならないんだから」

「そう言うお前は楽しいのか?いつもぶらぶらして。」

「ああ、楽しいさ他人の生活を覗き見るのはこの上ないアミューズメントだね。」

「そうかい、お前性格曲がってるな。」

「曲がってる?私は真っ直ぐだと思うね、自分の欲望に正直だからね、肉体があった頃の方がよほど曲がっていた。」

「じゃあ生きてる頃はとんだ悪女だったわけか。」

そう言うと彼女は笑った。

彼女の名前は零というらしい、でも死んだ人間に名前が有るのは可笑しい気がして俺はその名前を呼んだことはない。

「ところで地縛霊、お前自分の名前を思い出せたか?」

「いや、今日も明日も明後日も何にも思い出せそうにない。」

そう言うと彼女零はにやっと笑った。

「私が名付けてやろうか?」

「お前が僕の名を?」

「そうだ、いやかい?」

「なんというかうまく表現しづらいんだが、オバケに名前があるのは変だし、親以外が自分の名前をつけるのは気持ちが悪い」

「そんなことは、ないぞ名前が有るってことはある意味自分の存在をそこに肯定させてくれる、自分から見た自分、他人から見た自分、また違う人から見た自分、全てを一つの自分に繋げてくれる。」

「まあ言わんとしてることはわかる。」

「ましてや、君は地縛霊なんだ、私見たいにどこをぶらぶらして好きなことができるわけじゃない、ずっとそこにいるんだ、名前があればもしかしたら有名になれるかもしれないぞ。」

「それは面白いかもな」

「それでは君の名前は、そうだなカカシなんてどうかな。どこにもいけない、ただ見ているだけの存在。」

「皮肉かよ。」

「由来なんて何でも良い、大事なのはその名をもっての生き方だ、やがてその行動がその名前になるかもしれない。」

「いみふめいだな」

よくわからないが、なんとなく彼女の言いたいことはわかった。

「じゃあよろしくなカカシ。」

「よろしくな零。」

おれは初めて彼女の名前を呼んだ。

彼女はノハラナデシコのように小さく笑った。

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