鋼の意志でヒーローを目指す障子君を絶対に曇らせる妹   作:アキ山

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エイリアン・アイソレーションの脂肪集動画を見て爆笑したので、続きを書いてみました。

うん、あのゲーム死に過ぎると一周回って笑えて来るからね。

エイリアンはやはり偉大です。


第2話

 ボクが静岡のとある都市に入って一年が過ぎた頃の話。

 

 その日は休息日として繁殖活動はせずに軽く街を散策していた。

 

 資金は今まで溜めてきたパパ達の遺産。

 

 割とため込んでいる人もいたんで懐はかなり温かくなっていた。

 

 そうしてショッピングやグルメを楽しんだボクが、当時寝床にしていた廃ホテルへ帰ろうとした時だった。

 

「おいおい。お前みたいなおチビちゃんが、こんな場所に来ちゃあいけねえなぁ」  

 

 背後から掛けられた声に振り返ると、そこにはボクの身長の倍近くは大きい筋肉質な男が立っていた。

 

 乱雑に切られた金髪に片目には悪趣味なデザインの義眼を嵌めた奴は、こちらを見下ろしながら嗜虐的な笑みを浮かべている。

 

 明らかにヴィラン、しかも殺人を目的としたタチの悪いタイプだ。

 

「でねえと、『血狂い』マスキュラー様にミンチにされちまうぜぇ!」

 

 問答無用と言わんばかりに全身の筋肉をパンプアップさせて拳を振り上げるマスキュラーと名乗った男。

 

 けれどボクは冷静だった。

 

 何故ならこちらへ高速で近づく救援の気配を察知していたから。

 

 そして次の瞬間、音もなくマスキュラ―の背後に一つの陰が降り立った。

 

 そのゼノモーフは私の危機を察知して仮の巣から駆けつけた娘の一人だ。

 

 彼女は無防備に曝したマスキュラーの背中へ向けて、槍の穂先のように尖った尾を突き立てる。

 

「うん? なんだぁ、テメエ」

 

 しかし驚いたことに厚い合金の板も貫通する必殺の一撃は、マスキュラーの身体に風穴を開ける事は無かった。

 

 テレパシーでこちらへ送られてきた娘の視界には、尾の穂先を盛り上がった剥き出しの筋繊維が受け止めているのが映っている。

 

 そう、この筋肉モリモリマッチョマンの変態が奴の異能だったのだ。

 

「バケモノを飼ってるたぁ面白ぇ! それがテメエの個性かよ!!」

 

 そしてマスキュラーは筋繊維に絡め取られた娘の尾を掴むと、腕力任せに振り回し始めた。

 

「遊ぼうぜ、バケモノ! 俺を退屈させんなよぉ!!」

 

 太い腕を更に剥き出しの筋繊維で鎧ったマスキュラーは、そのまま彼女を壁へ投げつけた。

 

 廃ホテルの二階外壁に叩きつけられた娘は、甲高い悲鳴を上げて地面へ堕ちる。

 

 命に別状はないようだが、それでも痛かったろうに。

 

「ねえ、お兄さんはボクに用があるんでしょ。ミンチとか何とか言ってたのは口だけなのかな?」

 

 娘に追撃を掛けようとしていたマスキュラ―の気を引く為に、ボクは足元にあった空き缶を奴の後頭部にぶつけた。

 

 身体を張って守ろうとしてくれたあの子を殺させるわけにはいかなかったからだ。 

 

「言うじゃねえか、ガキ! いいぜ、アイツはメインディッシュだ! 前菜としてテメエからぶち殺してやるよ!!」

 

 振り返ったマスキュラ―は口角を大きく吊り上げて、こちらへ鉄槌のような拳を振り下ろしてくる。

 

 悪鬼の笑みというモノがあるのなら、あの時の奴の顔がまさにそうだろう。

 

 けれど一撃をボクは大きく後ろへ跳んで回避した。

 

 ゼノモーフの脚力に加えて尻尾を第三の足として活用すれば、私のような発育途中のチビでも数十メートルは跳べる。

 

「小せぇ割にすばしっこいじゃねえか! だが狩りってのは獲物の活きがよくないと面白くねえ!!」

 

 マスキュラ―は攻撃が避けられた事をむしろ喜びながら、全身に筋肉の鎧を纏って追いかけてきた。

 

 娘との攻防を見るに、ボクの力では奴の防御を抜くのは難しいだろう。

 

 けれど、あの子の攻撃は無駄なんかじゃない。

 

 物理で攻めるのは効果が薄い、それが分かっただけでも十分だった。

 

「『真魚』ッ!!」

 

 ボクが大きな声で呼ぶと、それに応じて足元の影から一匹のゼノモーフが顔を出す。

 

 大きく開いた口から彼女が発したのはジェット水流を思わせる黄色の液体。

 

 鉄砲魚、それこそが真魚が父親から受け継いだ個性だ。

 

「ふん、ウォーターカッターのつもりかよ! そんな個性はとっくにブチ破っ───」

 

 勝ち誇りながら皮膚の上から筋繊維を巻きつけて増強した腕で防ごうとするマスキュラー。

 

 しかし、奴はこちらを見下したセリフを吐き切る事はできなかった。

 

「ぐがぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 何故なら真魚の水流は奴が盾のように分厚く広げた自慢の筋繊維を容易く貫通し、肉を溶かす異臭を放ちながらその右足の膝を貫いたからだ。

 

「こ…これは酸!? このクソガキがぁ!!」  

 

 我が娘の放ったモノが何であるかに気付いたマスキュラーが焦りと憎悪を吐き出すがもう遅い。

 

 真魚が首を横に振って射角を変えれば、奴の足は膝の部分から無慈悲に溶断された。

 

「ぐおおおおおおおっ!?」

 

 前のめりに倒れそうになったマスキュラーは反射的に両手で体を支えるが、それは致命的な隙だった。 

 

「真魚は付け根から右手を溶かし切って。瞳は左手をお願い」

 

 ボクの指示に陰から飛び出した瞳は、腕の横に生えた二本の触手を強酸を纏ったインナーマウスへ変化させる。

 

 インナーマウスは僕達の奥の手で、宇宙の何処かにいる狩猟民族の特殊金属でできたヘルメット諸共頭蓋をブチ抜く程の威力がある。

 

 勢いを付けて頭上から放たれたそれは、マスキュラーが纏わせた筋繊維を容易く貫いて肩に大穴を開ける。

 

「ぎゃあああああああっ!?」

 

 同時に真魚の強酸放射で右腕を根元から断たれた奴は、その巨体を支えられずに地面へ沈む。  

 

「真魚、奴の左手を完全に落としなさい。瞳はあの子と協力して左足も千切っちゃえ」 

 

「あがっ!? ぐがあああああああああっ!?」

 

 四肢の内三つを使用不能にされたマスキュラーに抵抗する術はなく、奴は程なくしてダルマとなった。

 

「うんうん、ちゃんと傷口を溶かして千切ってるから出血は少ないね。これなら最後まで生きられそう」 

 

 男の顔の前に立って満足そうに頷くと、マスキュラーは憎しみを込めた目でボクを見上げてくる。

 

「て…テメエ! なんで殺さねえ!! 俺をどうするつもりだ!?」

 

 血を吐くような問いかけにボクは口角を吊り上げる。

 

 いきなり人を殺そうとしておいて簡単に楽になれると思うなんて甘い、甘すぎる。

 

「決まってるじゃん。───お前はパパになるんだよ」

 

 

 

 

 ここは静岡の治安の悪い裏通り、その地下に伸びた古びた下水道の一画。

 

 以前までは打ちっぱなしのコンクリートで出来ていた無機質な空間だったそこは、今では全体にどこか生物の体内を思わせる幾何学的な文様が一面に施されている。

 

 そこはもはや人の築き上げた建造物じゃない。

 

 姉達がせっせとエイリアン…いや、ゼノモーフの巣穴に作り替えたからだ。

 

 現状、巣は下水道の下階層3フロアまで拡張している。

 

 当初は現役の下水道の片隅を拝借していたのだが、姉妹達の数が50を超えた辺りでスペースが足りなくなってしまった。

 

 ならばと縄張りを拡張する事になったのだが、ただ下水道を浸食しては人間に気付かれる可能性が高い。

 

 そこで俺達は老朽化やヒーローとヴィランの戦いで破損して使われなくなった旧下水道に手を伸ばした。

 

 姉妹総出の突貫作業で築いた巣穴の最奥にある女王の間。

 

 そこに設置されたベッドを思わせる縦長の器には、ママが生まれたままの姿で気持ちよさそうに寝息を立てている。

 

 そんな彼女の周りには、俺『障子燈華』を始めとして数体のゼノモーフが警護に立っている。

 

 彼女達は全てママが腹を痛めて産んだ子であり、同時に女王の忠実な僕にして母を護る兵隊達だ。

 

 ここにいる者達は群の中でも選りすぐりの強個性や高能力を備えた者、言うなればロイヤルガードってところか。

 

 ママは優しいから子供達に差をつけることにいい顔はしなかった。

 

 けど組織って奴は、大きくなればなるほど自然に能力に応じた役割が決まってくるものだ。

 

 ママを曇らせるのは本意じゃないが、そこは我慢してほしい。

 

 そんなロイヤルガード達は俺の他にも長姉の『瞳』を始め、一族最強のパワーファイターである『強美』。

 

 汎用性とトリッキーさでは他の追随を許さない『影子』など、現役ヒーローにも負けない粒ぞろいだ。

 

 彼女達の実力はママのおっぱいを盗み食いしたり、仕事サボってママと添い寝した時に身をもって思い知った。

 

 というか、俺まだ1歳なんやから甘えさせてくれたってええやん!!

 

 え、なんか邪心に溢れてる気がする?

 

 ……すんまそん。

 

「キシャァァァ」

 

 茶番はともかくとして、俺は憂いの気持ちと共にママを見下ろす。

 

 我等の偉大なる母はとても、とても小さい。

 

 身長は130cmを少し越した程度、体重は40キロも無いだろう。

 

 そんな小さな体で100近い子供を産んできたのだ、彼女の身体には相当な負担が蓄積している事は想像に難くない。

 

 繁殖が女王の仕事だとはいえ性交と妊娠、そして産卵は言うまでもなく重労働だ。

 

 そもそもゼノモーフの女王はそういった仕事に耐え得るために、通常の個体よりも数倍デカく育つようにできている。

 

 けれどママはあくまでゼノモーフの個性を持つ人間。

 

 しかも年若い為に普通の女性よりもさらにミニマムサイズである。

  

 というか、瞳姉を産んだ時から成長したのは胸と尻だけで、身体のサイズはほぼ変わっていないって聞いた時はマジでビックリした。

 

 もしかしたら、ママは卵に栄養全部取られて成長してないんじゃなかろうか。

 

 俺が胸に抱えている心配は他の姉妹も同様らしく、強美姉は『シィィィ』とうなり声を上げながら他の奴より二回りはデカい体を黒い筋繊維で覆ったり戻したりと落ち着かない。

 

 瞳姉だってママを見ながらブンブンと尻尾を振っていて、左右の腕の横に生えた触手の先端がインナーマウスや尾の穂先など体の様々な器官に忙しなく変形する始末だ。

 

 ママには個体数が100を超えたら一旦繁殖活動は休止する事を納得させたけど、休憩を挟んだ途端に今までの疲れが一気に噴出するなんて可能性もある。

 

 一度医者に診てもらった方がいいのかもしれないが、ゼノモーフの特性に目を付けられて実験動物なんて事になったら目も当てられない。

 

 やはり今は栄養のある物を食って休ませるしかないか……。

 

 とはいえ、繁殖を中断するとパパの死体を漁った金……もとい遺産が手に入る事も無くなるので収入が途絶えてしまう。

 

 最悪食料は何処かの倉庫に盗みに入れば事足りるが、万が一足が付いたら人類と敵対まっしぐらになりかねないしなぁ。

 

 ヴィランを捕えて賞金稼ぎという手もあるが、これも引き渡しの際にはどうしたってママの手を借りないといかんし……まったくもってままならん。

 

「シィィィィィッ!【いつの世も異端者は生きにくいもんだ。そう思わないか】」

 

 グルグルと思考を続けていた俺は、一応の結論が出た事で女王の間の一画へ目を向ける。

 

 そこには首以外をゼノモーフが出す分泌液が固まった樹脂で壁に塗り込められた男女の姿があった。

 

 綺麗に整えられていただろう銀発のオールバックは乱れ、トレードマークの髭の半分は酸で爛れた顔面ごと溶け落ちている。

 

 もう一人の女は顔には大した傷は無いものの、樹脂の下にある体はボロボロだ。

 

 左腕と右足は欠損し、脇腹には姉妹の尾による刺突で大穴が一つ空いているのだから。

 

 俺はこのカップルに覚えがあった。

 

「シャァァァッ! 【なぁ、ジェントル・クリミナル。そしてラブラバよ】」

 

 奴等は義賊を自称するヴィランで、動画配信によって知名度を上げようとしているいわゆる迷惑系という奴だ。

 

 ママの携帯から奴等の動画を確認したところ、俺達が関わっているヴィラン失踪と裏路地で噂になった怪物の目撃情報を確かめるつもりだったらしい。

 

 直近に挙げた動画のラストで、その事を宣言していやがった。

 

「う…ぁ……」

 

 内心呆れながら放った俺の問いかけに、ジェントルもラブラバもまともに答える事が出来ない。

 

 前世から引き継いだ知性が有能と判断したママから母乳を通してもらったテレパス系の個性因子。

 

 そのお陰で鳴き声を媒体にして相手へ思念を送る事が出来るようになったのに、まったく張り合いがない事だ。

 

 この迷惑極まりないカップルが巣穴に侵入してきたのは今から1時間ほど前だった。

 

 警備に当たっていた姉妹から侵入者を知らせる鳴き声が聞こえた時は驚いたが、すぐに処理されるものとタカをくくっていた。

 

 しかしジェントルの個性『弾性』は予想以上に厄介なモノで、奴等は30分近く巣の中で粘ったのだ。

 

 さらには自力で第二階層まで踏破したというのだから、これには本気で驚いた。

 

 もっとも、ジェントル達がそこまで行けたのは、姉や妹達が個性を有用と殺さぬように手心を加えたからだ。

 

 入ってすぐに退路は断たれていたのだから、そのまま数でゴリ押しすればそこまで時間は掛からなかっただろう。

 

 結果、進退窮まった奴等は姉妹達の猛攻を凌ぎきれず、半死半生の状態でここに運び込まれて『まな板の鯉』と相成ったわけだ。

 

「……ん、どうしたの?」

 

 そんなやり取りをしていると、ママが目を覚ましてしまった。

 

 寝起きでぼんやりとした目で周囲を見回したママは、壁に拘束されたジェントル達で視線を止める。

 

「……あれは?」

 

「シィィィィッ!」

 

 ママの問いかけに瞳姉が応える。

 

 俺達の間には血縁によるテレパシーのような物が通っている。

 

 それを使えばさっきの唸り声だけで一連の説明も可能だ。

 

「そっか、侵入者ね。しかもヴィランなら遠慮する必要はないか」

 

 そう言うと『強美』姉がジェントルを壁から降ろした。

 

 そして他のロイヤルガードに抵抗できないよう拘束させると奴のズボンを下着ごと下げる。

 

「な…なにを! ジェントルに何をする気なの!?」

 

 その光景に朦朧としていた意識が戻ったのだろう、ラブラバが甲高い声を上げる。

 

 そんな女にママは優しく微笑んだ。

 

「彼にはパパになってもらうんだよ。あと、あなたには彼の子供が成長する為の餌になってもらうから」

 

 非情すぎる宣告にラブラバが絶望する中、ママは力なくうめくばかりのジェントルに軽く吐息を吹きかける。

 

 そこに含まれたオスを強制的に発情させるフェロモンによって、ジェントルの身体は己の意志とは無関係に臨戦状態となった。

 

 前世で聞いた話だと男は死にかけると子孫を残す為の本能で普通以上に起つらしい。

 

 もしかしたら今のジェントルはそんな状態なのかもな。

 

「やめて! ジェントル!! やめてぇぇぇぇぇっ!!」

 

 喉が張り裂けん程にラブラバは叫ぶが、死に体に加えて女王のフェロモンに魅了されたジェントルは反応一つしない。

 

 そしてママは半狂乱で嘆き叫ぶラブラバへこう言葉を投げた。

 

「諦めなさい。ここでは、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」

 

 いっそ慈愛すら湛えたその眼は、まさにバケモノと呼ぶにふさわしいモノだった。

 

 

 

 

 迷惑極まりない珍客の来訪から1週間が経った。

 

 例のジェントルとやらと作った子『弾美』もスクスクと育っている。

 

 燈華の調べによると彼等の本名は『飛田弾柔郎』と『相場愛美』というらしい。

 

 『弾美』と付けたのも彼女達が見せた深い愛情への報酬だ。

 

 愛する男の子供に自分の名前の一文字を加えられたのだ、餌になった女も成仏したに違いない。

 

 さて、今年も間もなく雄英高校の受験が始まる。

 

 ここに住んでじきに三年になるけれど、この時期は何時も街は騒がしくなる。

 

 そういえば、お兄ちゃんも受験するなら今年になるんじゃなかったか。

 

 その事に気が付いた私は蓄えから少しお金を出してプレゼントを買った。

 

 選んだものは少し高級なシャープペン。

 

 小学校中退の我が身としては、受験と言えば筆記用具くらいしか思いつかなかったのだ。

 

 プレゼントは用意できたものの、悲しいかな、見事な愚妹と化したボクにはお兄ちゃんに見せる顔が無い。

 

 仮に恥というモノを全力投球でブン投げたとしても、受験に来るお兄ちゃんの居場所が分からないというオチまで付いている。

 

 どうしたものかと考えながら健康増進の為の早朝散歩を行っていると、砂浜でゴミ掃除をしている少年がいた。

 

 癖の強い緑の髪とそばかすが特徴の子で、彼が必死に粗大ごみなどを片付けている様子をやせ細った金髪の男性がジッと見ている。

 

 一見すれば問題を起こした生徒が罰を受けていて、それを教師が監督している様に見える。

 

 しかし彼等のイキイキとした顔を見るに、そうではないのだろう。

 

「うん? どうかしたのかな、そこの少女」

 

 ぼけーっと見ていると、監督している男性が声をかけてきた。

 

 ふむ、関わる気はなかったんだけどなぁ。

 

 しかし、声を掛けられて無視するのも礼儀に欠けるか。

 

「えっと……あのお兄さんってなんでゴミ掃除してるのかな?」

 

 そう問うと男性は口元を緩めてこう言った。

 

「彼は…緑谷少年はヒーローになろうとしてるんだ。あれはその為の身体作りなんだよ」

 

「ヒーロー……」

 

 あのボランティアが? と首を傾げそうになったけど、ゴミの中には冷蔵庫など重いモノもあるようなので筋力鍛錬には適しているのかもしれない。

 

「ということは、あのお兄さんは雄英をうけるの?」

 

「そのつもりだよ」

 

 なんと、思わぬところでプレゼントを渡すチャンスが来てしまった。

 

 少し考えた私は男性に買ったばかりのシャープペンシルを差し出した。

 

「これは?」

 

「お兄ちゃんが雄英を受けるかもしれないから、よかったら渡してほしいってあのお兄さんにお願いしてください」

 

「君が直接渡せない理由があるのかな?」

 

「ボクは忌み子だから……」

 

 そう答えると男性は酷く悲しそうな顔をした。

 

「わかった、必ず緑谷少年に伝えておこう。それでお兄さんの名前はなんというのかな?」

 

「障子目蔵。複製腕っていう手の横に三本触手が生えた異形型の個性だから、すぐに分かると思う」

 

「君の名前も聞かせてくれるかな?」

 

「障子皐月」

 

「これは責任を持って預かろう。安心してくれ」

 

「お願いします」 

 

 ボクは男性に深く頭を下げると、その場を後にした。

 

 出来る事はすべてやった。

 

 あとはいるかどうかも分からない神に祈ることくらいか。

 

 そうして巣穴に戻った私を出迎えたのは燈華だった。

 

「キシャァァァァッ!【ママ! 雄英に行きたい!!】」

 

「…………なんて?」 

    




障子皐月・子供を産む度に人間性の残滓が消えていく。

しかしこれでもゼノモーフから見れば十分有情。

まさか子供から繁殖禁止を言い渡されるとは思わなかった。

子供を産まないと暇なので、なにか趣味でもと考えている。

障子燈華・はっちゃけたTS娘。

彼女のトチ狂った提案の理由は次回。

ママの為にエイリアン・アイソレーションに出てきた絶対無敵なエイリアン先輩を目指して日々鍛錬中。

ネズミが校長やってるんだから、ゼノモーフが女子高生してもいいよね!!
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