彼女は青を忘れない   作:ミスブルー

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現人神と海の姫

海祇島に一人で過ごす時間が好きなんです。

人と接する事が元々苦手な私は今日も秘密の場所で本を読んでいます。

いろんな兵学本を読んで来ましたが最近は容彩祭で仕入れた本が面白く時々読みふけてしまいす。

想像で描かれる世界は楽しいものです。

私もこういう主人公のように人前でも楽に話せたらと。

もっとしっかりしないといけないようです。

しかし今日も疲れました。

エネルギー不足…です。

 

 

海の音が聞こえます。

潮風が私の頭を撫でます。

 

「っ!」

 

私は思わず頭を上げます。

寝過ごしました。

よほど疲れていたのでしょう。急いで戻らねば…。

私は草木をかきわけ外へ。草木をかきわけ?外へ?

何かが可笑しいような。

そう思った時、私の知ってる景色はありませんでした。

 

「海?」

 

海岸に出ていました。砂浜を踏むとキュキュッと綺麗な音が鳴ります。

 

しかし…

 

「困りました…」

 

照りつく日差しがあまりに暑い。

いったん日陰に戻ります。

水元素を使い身体を冷やしていると家族でしょうか…人が通ります。

 

「あ、あの…!」

 

私が声を掛けると家族がこちらを向きました。

その夫婦の子供が私を見ていいます。

 

「お姉ちゃんかわいい魔法使いみたい!」

 

「え?…ありがとうございます?。実は…ここがどこだかわからなくて」

 

「ここは琴浜だよ魔法使いのお嬢さん。お仕事頑張ってね。熱中症に気をつけて」

 

母親であろう人は私に水分の入った飲み物をくれました。

私に手を振って家族は行ってしまいました。

 

「まったく知らない場所です」

 

そして魔法使いとは?

知らないことばかり目の前で起きています。

あの家族もそうです。身なりも稲妻とは全然違います。

帰るためにまずは地図を手に入れる必要がありそうです。

もらった水分は甘くて冷えていて美味しかったです。

 

私は立ち上がり歩き出します。

人に聞いたり海の家を見つけて分かった事を話しますと私はテイワットとは全然違う世界にいることが分かりました。

にわかには信じられませんけど。

事実は小説よりも奇なりと言いますが事実です。

 

私は途方に暮れて夕焼けの砂浜に座り込み波を見つめています。

みんなは大丈夫でしょうか。

こうしている間にも時間は過ぎています。

私がいない間ゴローや島の皆さんはしっかりやれているでしょうか。

ファデュイの襲撃や盗賊の襲撃などは来てないでしょうか。そんな不安が頭を覆います。

いえ、自分がもしも戻らなかった時の為の虎の巻も用意したではありませんか。

常に最悪を考えて先手を打っています。

きっと大丈夫でしょう。

私が今の目標は可能な限り帰れる目処を掴むことです。

しかしこれは膨大なエネルギーを使ってしまいそうです。

思えば秘密の場所で目覚めた時、本や物は無くなってましたね。

今日は頑張って知らない人と話ましたがいつにもまして疲れてしまいました。

カニが私の前を歩いています。

そういえばあれから何も食べていませんね。

水分くらいでしょうか。

別にカニを食べたいわけではありませんが…。

カニが私を見つめ私は首を傾げるとカニは海へと歩いて行きました。

私はカニを見送ります。

璃月でもフォンテーヌでもないこの場所は日本という国だそうです。

八重堂で流行りの何々が転生したら何々の国にいた…みたいなそんな展開がまさか自分に降りかかることになろうとは…。

そもそも事故や殺人にすら出会っていませんし夕暮れの実を食べ過ぎたとかでもありません。

名前の長いタイトルの世界に迷い込んだとかでもありません。

モラはあるんですがそもそもこの場所で使えるんでしょうか…。疑問です。

この世界にはこの世界の通貨があるはずです。

私を波を見つめます。

 

「今日を過ごす場所を確保しましょう。…夜営をする用意をしないといけませんね」

 

一人でに呟き私は立ち上がります。

……??。

遠くから声が聞こえます。

右?左?どっちから…。

あ、後ろ?

私が後ろを振り返ると

 

 

「みつけましたぞーーーー!」

 

顔の見えない白笠を被った8人程の集団が私に向かって全力疾走して来てました。

 

「!!」

 

私は思わず逃げます。そして砂浜を走ります。

 

「お、お待ちくだされーー!」

 

「むりですーー!」

 

どうみたって怪しい集団ですから。

 

「せめてお話を~!!」

 

「こまりますーー!!」

 

夕焼けの浜辺でそんな追いかけっこを謎の白笠集団と叫び声をあげる人がそこにはいました。

 

というか私でした。

 

ーーーーー

 

「……結局連れて来られてしまいました」

 

目の前にはご馳走が並べられていました。

魚や野菜、果物がありました。

 

「海ですもの…そうですよね」

 

魚料理は苦手です。

私の目の前、ここが海の中であることを考えながら玉子焼きを取り食べながら思い出します。

 

~~~~

 

 

「すみませんでした、ですがその姿!その顔!その格好!どうか我々と来てくださいお願いします!!」

 

「「「「「お願いします!!」」」」」

 

「ぁあ…まずは理由を聞かせてください」

 

私は頭を抑え土下座をして砂が舞い上がるのも気にしない白傘集団に言いました。

 

「実は………」

 

曰く、昔々在るところここの人間達は海の覇権を賭けて神様の姿を真似た格好をし勝負をしていたそうです。

それはまるで祭りのようだったとか。

しかし時代の変化、時の流れで勝負をしなくなりました。

けれど神様や妖達はこの人間の作った祭りが大好きでした。

嘆き悲しんだ妖怪達はいつしか妖怪達が行うお祭りとなり白傘集団と赤傘集団のそれぞれの主が50年毎に、この海を賭けて勝負をしていたようでした。

 

「海を賭けるですか。昔は覇権をかけていたんですよね?」

 

「その通りでございます。ですが時の流れとは不思議なもので、今は覇権ではなく様々な内容で賭けが行われています」

 

「50年前はどちらが勝ったのでしょうか」

 

「前回も我々白傘達でございます」

 

「…前回も?100年前も…」

 

「我々白傘達です」

 

「あなた方の主はそれほど力のある人なのですね」

 

「はい、そうなのです。負けたところなど見たことなく。心優しくまるでこの海のように穏やかなお方」

 

「しかし怒るとまるで荒波のようでそれは海の龍の如く」

 

「けれど笑顔は輝く水面の羽衣のようで」

 

「戦略に優れ戦の動かし方を知る津波のようなお方で」

 

「ある時は一人で過ごすこともあり、それはまるで海を漂う人魚のようで」

 

「あの………もしかして私と似ていたり…?」

 

「…!そ、その通りです」

 

「もしかして魚料理とかも嫌いです?」

 

結構どうでも良さそうな質問をしても…

 

「苦手です。好き嫌いはよくありませぬと話します」

 

「…………」

 

頭痛がしそうです。

 

「しかし……」

 

「???」

 

白傘達は言います。

あと3日後にそのお祭りは始まること。

そして白傘達の主は姿を見せないということです。

始めはその主が浜辺にいたと思い追いかけたら逃げられたと思ってしまったと。

人違いであるが私と似ていること。

しかし別に私が何かすることもないような気もしますが…

 

「不戦勝では仕方ないような気もしますが…?」

 

「赤傘集団は我々とは違い気性も荒くその主はもっと恐ろしいと有名なのです」

 

「我々が負けたらこの海がどうなるか…」

 

「ぉぉ恐ろしい…」

 

私は考えます。

この時点で赤傘集団の主は既に姿を見せており白傘集団にはその主がまだ姿を見せていないということです。

 

だからあの時、私を追いかけたと。

 

 

「そういえばまだあなた方の主の御名前を聞いていませんでしたね。聞いた限り女性であるようですが」

 

「その通りです。我らが主、波魂姫命様。

人の名で海宮海琴"かいみやみこと"そう名乗っております」

 

「赤傘集団の主にもそういう名前が?」

 

「えぇもちろん。海靈尊様です」

 

「人の名では波宮竜胆様と名乗っておられるそうです。

おそろしや…」

 

「勝負に負けたらこの海はどうなるのでしょうか」

 

私は白傘達に問いかけます。

 

「海を枯らすも我々の居場所を独占するも自由にされ恐らく今より悲惨な環境になってしまいましょう…」

 

「あなた方はこの地が好きですか?」

 

「??。えぇもちろんですとも姫様」

 

「………」

 

違いますけど?…と否定したくなりましたが彼らを見ると放ってはおけないと考えます。

海を枯らすも自由ということは赤傘集団の主もまたそれだけ強い力を持っているということになります。

 

そして勝負に負けて困るのはここに住む者達だけではないはず。

 

最初に出会ったあの家族を私は思い出します。

あの綺麗な海を楽しみにやって来る家族もきっと他にもいるのです。

 

海が失くなったり荒れたりともなれば悲しむかもしれません。

 

私は頷きました。

 

「わかりました。私が力になりましょう」

 

「ほんとですか!?」

 

「ありがとうございますありがとうございます!」

 

「我々も全力でお力添えを致します!!」

 

白傘達は大喜びでした。

 

「では早速ですが私がここにいる為にあなた方に仕事とやるべき事、他にも聞きたいことを話し命じます。いいですね?」

 

「!!なんなりと!」

 

私は彼らにこの3日間の間に本物の波魂姫を可能な限り探していくこと。

そしてこの場所や地域にも仲間がいるのか。

彼らに命じると白傘達は喜んで引き受け私の言葉に応えてくれました。

 

ーーーーーー

 

私は食事を食べながら外を見ます。

ここは思ったより広い場所なようです。

水中なのに中は地上と同じような環境です。

農業を営み、塩を作り傘達はそうやって収入を得たり自給自足をしているようです。

外は海の中で深い青に染まっています。

ここは異能者しか入れない世界だそうです。

 

ーーーーーー

 

 

食事を終えると私は寝室へ案内されました。

 

「ここ、私が本当に使ってもいいのでしょうか?」

 

「もちろんでございます波魂姫様。ここは姫である波魂姫様のお部屋なのですから当然です」

 

「…。ありがとうございます」

 

白傘の一人は頭を下げ部屋から出ていき私はようやく一人になりました。

 

お部屋はかなり広々としておりお風呂、お手洗い、ベッドと居間、茶室と言ったほぼ家みたいな空間でした。

 

「やっと一人です。何をしましょうか…」

 

目に入ったのは本棚でした。

波魂姫の趣味でしょうか…。

勝手に読むのは悩みましたが手に取ります。

いない主が悪いと思うことにしましょう。

 

「読めるでしょうか…」

 

テイワットの文字とはだいぶ違いますが…。

そう考えましたが読めました。

 

「これがご都合主義展開というものですね…」

 

自分に苦笑する日が来ようとは。

読めるのなら問題はありません。

白傘達と仕事の話をした時に書類などを見せられて読めないとなったら申し訳ないと思ったからです。

せっかくなので本棚にある本を読んで見ようと思いました。

 

「この世界の兵学はおもしろいですね…帰ったら実践してみてもいいかもしれません」

 

気付いたら読みまくっていました。

 

明日も…いえ時間的にはもう今日ですがそろそろ寝るとしましょう。

 

そう思い私は寝ます。

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

私が浅く眠っている時でした。

 

扉が開きました。

…こんな時間に誰でしょうか。

 

白傘達は勝手に入ってくることはないはず。

 

「帰っていたのか」

 

男の人の声が届きました。

私は思わず身体を起き上げようとするとベッドの上に再び押し倒されてしまいます。

 

「ちょっ…!」

 

夜這い?!

 

頭の中で私はぎゃー!と悲鳴を上げます。

 

「いきなり何をするんですか…!」

 

「いつまでも帰ってこないと傘共が言っていたが帰ってきたと噂を聞いた。会いに来るのは当然だ」

 

「だからって…きゃ!」

 

自分の着ている衣服を脱がされた悲鳴でした。

これは普通に不味いです。

そもそもこの男は誰なのか見当がつきません。

なんて考える余裕もありません。

いつの間にか衣類はなく裸にされてしまいました。

人を呼ぼうにもこの男、そうはさせてくれなさそうです。

男の人もまた裸なのもありますがこの展開は非常に不味い。

とは言っても私にはどうすることも出来ませんでした。

暗がりで顔はよく見えませんが整った顔立ちをしているのはわかります。

頬に微かな紫の光を灯らす鱗が見えました。

 

"会いに来るのは当然"

 

その言葉が私の頭を過ります。

 

「あなたは…。ッ!?、まって…!…やだっ…!?」

 

 

これ以上…言うまでもありませんが私はこの男に自分の身を捧げることになってしまいました。

 

朝になり男は日が差す前に部屋を出ていきました。

私の額にキスまでしていって…。

ちょっと恥ずかしく何故か少し嬉しく…なんて思った自分に呆れました。

現人神の巫女として純潔は守ってきましたが純潔失くしてしまいました。

あの男は気付いていたでしょうか。

そもそも気付いてないかもしれませんね…。

水の元素と魔力の水で囲まれたようなこの場所で、"そういうの"は恐らくわからないような気がしました。

でも腰が痛いです…。

 

脱がされた服は丁寧に畳まれていました。

間違いなくあの男が畳んだのでしょう。

大事にされているようなのは確かなようです。

衣服を着て私は化粧箱を見つけます。

蓋を開けると宝石が付いたネックレスが入っていました。

 

「青紫の石?珊瑚…?ですかね?…綺麗な色をしてますね…うーん。一応付けておきましょうか」

 

「さて……。遅いと彼らが来るでしょうか。待ちましょうか」

 

しばらくすると部屋がノックされました。

 

「どうぞ?」

 

「姫様おはようござぶぶぶぶぶぶ…!!!!?」

 

白傘が言葉を止めました。

 

そうですよね?今私が白傘に水のプールで顔を覆ったのですから。

何かを言っているので私は水を割ります。

 

「ぶはっ!!はぁ…はあ…姫様…怒りを鎮めて…くだされ…どうなさ…いましたか」

 

「……」

 

私は彼らに自分の本名を明かしているのに関わらずここまでやっても私を姫様として見ている。

よほど波魂姫という人物は私に似ているのでしょう。

こうして私が怒った姿も恐らく。

 

「昨夜、私のお部屋に男が入ってきました。顔に紫の鱗のある人物です」

 

「?!??!なんと…!?」

 

「あの男とどういう関係なのか説明…できますよね?」

 

にっこりと笑う私に「ひぇ…」と声が白傘から漏れました。

 

 

ひとまずは朝食をということで食事を取りながら聞きました。

 

聞いた私の第一声は

「なんでそれを最初に言わなかったのですか!」でした。

 

怒られた白傘達は全力の土下座をしてくれました。

海靈尊様と波魂姫命は夫婦だということでした。

子供はいないということでしたが私の中にはしっかり彼の力が入ってしまってます。

神様にされたことならセーフ…なんてそんな簡単なわけないでしょう。

ちょっとまた腹が立ってきました。

しかし両者共に仲が悪くなっていたということです。

意見の食い違い、価値観といったものがありそれを話し合う二人を時々白傘達は見ているということでした。

当然ながらそれは赤傘達もでしょう。

しかし昨夜のことを思い出すと本当に仲が悪いわけではないような気もしました。

 

かといって夫婦だからといって夜這いをするのはどうかと…。

 

波魂姫に少し同情できそうです。

 

私は今日は地上に行って調査をすると伝え白傘達には引き続き波魂姫捜索を頼みました。

地上にいる現地の協力者が必要だと感じたのです。

 

では行きましょう。

時間は有限です。




続きます
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