幼馴染は競輪選手 ~失ってから始まる恋とチャレンジ~ 作:寿垣遥生
ちなみに、僕の推しはその平塚ナナちゃんでして推しになる決め手が5話でしたね…最初はクールな見た目とエリート気質なプロフィールから敵ポジションになるかと思ったらむしろ親切で優しい心を持った可愛い子でした。それがもう6話で決め手になりましたね…まだ観てない方はぜひご覧ください!
そんな彼女をメインヒロインに据え置いたのがこの作品です。どうぞお楽しみに!
~7年前・フランス~
「ただいま。」
「おかえりなさい、ナナ…あなた宛に手紙が届いているわよ?」
「うん、ありがとう。」
ナナという少女が学校から家に帰ると母親が封筒を彼女に手渡す。そこには切手が貼られており、送り主の住所には『静岡県伊東市』と日本語で書かれていて、送り主の名前もカタカナで『アラン・オオイシ・ガスリー』と記されてあった。ナナはソファーに腰かけてからその手紙の中身を開く。
『ナナへ
親愛なるナナ、お元気ですか?僕は寂しいです…とまあこんな堅苦しく書くのもらしくないからここからはまあいつも通りに。
まず最初に、いきなりナナの前からいなくなってごめんなさい…実は僕、修了式が終わった翌日に内緒で母さんの故郷である静岡県の伊東市に引越したんだ。母さんの母さん、つまり僕のおばあちゃんの介護をするために…それを引っ越す1ヶ月前に知った時はもうナナに会えないとショックだったし、ナナにそれを教えたら君も悲しんでしまう。そう思って何も言えなかったし、周りのみんなに協力して内緒にしてもらうことにしたんだ。どうしても君に『さようなら』と言いたくなくてね…本当にごめん。
でも、ナナと過ごした10年は本当に楽しかったよ。フランス人なのにフランス語が苦手な僕に家族以外でただ一人日本語で優しく接して、サイクリングにも付き合ってくれた…君が僕と同じ日本人とのハーフで良かった。そんな思い出の一分一秒は忘れることができません。本当にありがとう!
もしも、君がこれからも自転車に乗り続けるのなら将来はお互いに自転車競技の選手になってオリンピックの舞台で会えたらなと思ってるよ。僕は今後母さんの国籍である日本を選んで『大石愛嵐(おおいしあらん)』として日本代表になるつもりだから、ナナもフランス代表か日本代表かはまだ分からないけどできるなら日本代表として一緒に戦いたいな。それじゃあ、またその時のオリンピック会場で。
Alain Oishi Gasly』
(どうして黙っていなくなったの?こういうことは言ってくれてたら私も力になったのに…ありえない!)
手紙を読み終えたナナは手紙をくしゃっと握り潰してから涙を流して泣いた。そう、手紙の送り主であるアランは彼女とは幼馴染にして親友なのだ…そんな彼がいなくなりナナはショックのあまりに寝込んでしまった。仲良しの親友がいなくなるショックというのは計り知れない…その心の傷は7年経った今も消えていなかった。
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side主人公
僕の名前は大石愛嵐、趣味は競輪と自転車を漕ぐこと。フランス人と日本人のハーフで元々の名前は『アラン・オオイシ・ガスリー』であるが、日本国籍を選んだことで大石愛嵐が本名になった。まあ、僕はフランス語があまり得意じゃなかったし、顔も90%日本人だからむしろこの名前の方がしっくり来るんだよね。そんな僕は13歳になる年に母さんの実家の都合で母さんの実家がある静岡県の伊東市に引越した後にすぐ日本国籍を選び今に至る…僕は自慢じゃないけど、かつて高校時代は自転車競技にてケイリンの全国チャンピオンになるほどの選手で日本の競輪選手にもなれるポテンシャルは十分にあった…しかし、大会での大怪我により引退を余儀なくされてしまい競輪選手の道も断念。それからは自身の経験から競輪を独自に研究し、最初はSNSへの予想披露だけに留めてきたものを20歳になった今年から大学が休みの日は地元の伊東温泉競輪場を中心に日帰りで行ける範囲内の競輪場で金さえあれば一人だったりみんなと車券を買って楽しんでいる。そんな今日は同じ大学のある繋がりの競輪友達の3人をこの伊東温泉競輪場に集めてある選手の応援活動を行っていた…
「愛嵐先輩、いよいよレースっすね…平塚ナナ、出ますよ!」
後輩の栗田雅彦(くりたまさひこ)がお目当てのレースの発走前に声をかける。そう、僕達が応援する選手は女子選手の中で史上初の早期卒業を果たし1月からデビューした大物新人の平塚(ひらつか)ナナで僕達は彼女の非公認応援団として伊東温泉競輪場にやって来た訳だ。
「そうだね…僕ももう車券は買って準備OKだよ。このレースは予想屋のおじさんにも意見を聞いたけどナナの頭は固いらしいからね。頭固定で1万行ったよ!」
「なるほど、それでどんな買い目だ?」
「とりあえず、僕はナナの頭固定の三連単で向日町選手の2着固定で3着は2、3、4、5と流して資金配分の1万円かな…とりあえず、オッズが買った時よりも大きく下がってなかったら何が来てもガミらないようにはしてあるよ。」
すると、高校時代からの友人である鈴木陸(すずきりく)が僕の買い目についてを訊ねる。今回の決勝は今のリンカイ!リーグの三強の一角である向日町京子(むこうまちみやこ)選手との対決…向日町選手は全盛期の脚力からはやや落ちたものの位置取りの上手さとレース展開の読みなら久留米美虹(くるめつつじ)選手や立川麗夢(たちかわれむ)選手以上のものがある。そんな彼女に鳴り物入りで大暴れ中のナナが迎え撃つ…そこでこの二人の1着2着は固いと見て3着を相手4人まで絞った。女王クラスの大物と連続完全優勝中の大物新人の対決…表面上ではナナからすれば大きな試練になりそうだが、ユース時代にフランス代表で頂点を極めて養成所時代から日本のナショナルチームで鍛えられているエリートならきっと勝てるはずだ。
「それにしても、愛嵐と平塚ってフランスにいた時からの幼馴染なんだよな…こんな美少女レーサーと幼馴染ってお前は人生の勝ち組じゃねえか!」
そんな話をしていると、この応援団の団長でもある新田康孝(にったやすたか)先輩が僕とナナの関係を羨ましがる。そう、僕とナナはフランスにいた時からの幼馴染で親友として遊んだりして楽しい時間を過ごしてきたんだよね…別れに関しては黙っていなくなる形だったけど、どうしても『さようなら』を言えずに7年が経ってしまった。日帰りで行ける範囲内の競輪場に斡旋された時に現地で応援して優勝インタビューの後に手を振って声援も送っているのだが、彼女はそんな僕が視界に入ると笑顔が消えて目を背けるんだよ…やっぱりあの時のことを怒っているのだろうか?
「そんなこともないですよ…連絡先は知らないし、別れて以来会ってませんから。声援を送っても知らんぷりされちゃいますし…」
「まあ、どうせお前のことが好きで照れ隠しなんだろうよ…いつかは相手にしてくれるって!」
「そうですか?とりあえず、今後も先輩達とナナの応援をしていたいですね。」
「やっさん、そろそろレース始まるんでやりましょうや!」
「OK、マサ…ブブゼラ用意しろ!」
「はい!」
「それじゃあ、我らが愛する平塚ナナへ…三三七拍子、そーれ!」
そんなこんなで団長の新田先輩の合図で僕達は雅彦のブブゼラの音に合わせて三三七拍子をする。その間に競輪場にいるお客さんからは『またこいつらやってるよ…』なんて言われているけど、これが僕達の応援スタイルだ。安直ではあるが、ねじ曲げるようなことはしない。これが僕達のナナへの愛情だ!
『第10レース、選手入場します。』
選手入場のアナウンスが入り、バック側の敢闘門からリンカイ!リーグ決勝に出る7人が自転車に乗って1番のナナを先頭に入場してきた…最後には7番の向日町選手が続く。いよいよ決勝が始まるんだな…
『伊東温泉競輪のF1シリーズ、ジャパンカップ×HPCJCはいよいよ最終日の残るカードは三つの決勝戦…まずは第一弾リンカイ!リーグの決勝戦。1692m5周回の戦い…それでは対戦の7名を紹介しましょう!1番、神奈川の平塚ナナ。2番、徳島の米本星羅。3番、石川の小嶋敬子。4番、佐賀の井上明里。5番、秋田の山田久加。6番、長野の菊池岳美。最後7番は京都の向日町京子。以上の7名です。先頭誘導員は春日壺之助選手が務めます。』
場内は選手の紹介が終わり、ファンファーレが鳴り響く。スタンドからはナナに対する声援が多い…やはり今が旬の大物新人は(女子の中では)ベテランで元女王の向日町選手がいてもすっかり中心になっていて、ここまでの存在になったナナが幼馴染であることに誇りしかない。
『先頭誘導員の春日選手がバックからスタートしました。誘導員がスタート地点を通過した時点でスタートとなります。』
先頭誘導員の壺おじさんこと春日選手がバックからスタートして選手達は上体を起こして係員からの合図を待つ…この緊張感はリンカイ!リーグやPIST6や競技のケイリンで採用されているインターナショナル先頭固定競走ならではだろう。
「構えて!」
係員の合図で7人はハンドルを握り前傾姿勢になる。そして、誘導員の春日選手が4コーナーを回って直線に入ってきた…まもなくスタートの時を迎える。
「よーい…」パーン
誘導員が通過したタイミングで号砲が打ち鳴らされ、発走機を7人の選手達が飛び出した。スタートでは牽制がなく前に踏み込んだのは小嶋選手…そこに井上選手が続く形となり、向日町選手は徹底先行型の菊池選手の後ろからになり、ナナは最内の1番車でも後ろから2番目の位置でレースの序盤を進めていく。
『人気対抗の向日町は菊池の後ろの4番手。昨日の予選二走目では自力まくりもありました!ここはゴールデンルーキーの平塚ナナにプロの洗礼を叩き込めるか?そして、米本を挟んでその後ろに平塚ナナがいました。一度はプロの洗礼を浴びたものの立ち直って11連勝、ここを勝って12に伸ばせるか?既に現代女子競輪の中心は彼女と言っても過言ではありません。』
ナナにカメラが向いたであろうところで実況はナナの紹介を挟む。現代女子競輪の中心と言われると、彼女は時代を変えるだけの活躍をこの半年でしたんだなと実感させられるものだ…レースは残り2周の赤板(あかばん)となり、いよいよレースも動く頃だ。
(今日もナナはどっしりと後ろに構えたか…さあ、今日もいつものまくりを見せてもらうよ!)
そして、バックから3コーナーへと向かうところで誘導員の春日選手が退避してカーン、カーンとジャン(鐘)が鳴る。ここで動きを見せたのが徹底先行の菊池選手、そこに向日町選手が番手追走…これを見て他の選手もペースが上がり残り1周となるが、ナナは依然として6番手と後方だ。
「おい、平塚後ろやぞ!届くんかぁ?」
「バカ野郎、早く仕掛けろ!」
「ここは33の伊東温泉だぞ、何考えてんだトンマ野郎!! 」
これには場内のお客さんは完全に怒っている。しかし、この人達は何も分かっていない…ここで怒ることしかできないのは競輪選手をギャンブルの駒としか見てなくてリンカイ!リーグもろくに見てない連中。ここからが平塚ナナの醍醐味だと言うのに…そう思ってると1センターからナナは外に持ち出してからまくりを仕掛けた。
『1センターから仕掛けた平塚、凄いスピード…今日もまくりが決まるか!?後ろの山田は追いつけない、向日町も発進するが間に合わず!バックの半分で全員捕まえた!!』
すると、ナナはもうバックストレートの半分で全員をもう捕まえてしまう。向日町選手も番手まくりのような感じで併せて踏めば勝てるだろうと思っていたが、そうする前に抜かれてしまい駆け引きも何もなかった。
「向日町選手、2着で踏ん張れ!ナナ、もっと引き離すんだ!!」
僕はナナを応援しつつ向日町選手のことも応援する。僕はナナが1着、向日町選手が2着で買っているからこれで粘り切ってほしい…
『平塚ナナ、独走だ!凄い、これが新時代のスピードクイーン、平塚ナナ圧勝〜!!』
そして、ナナは向日町選手に距離にして10mぐらい離して圧倒的な強さでまた優勝した。向日町選手が2着で3着にナナを追走する作戦から流れ込んできた山田選手が入り車券も見事的中。しかも買った中で一番オッズが高い!
「よっしゃ〜!!」
「やったな、愛嵐!」
「愛嵐先輩、流石です!」
「山田って人気落としてただろ…これ当てるの凄すぎるぞ?」
「でも、資金配分は一番低めの1000円なんですよね…とりあえず決定を待ちますよ。おめでとう、ナナ!」
僕はみんなから車券を当てたことを褒められ、そしてナナに手を振ってから声援を送る。ナナは日本一…いや、世界一の競輪選手になるのに相応しいと心の底から改めて思わされた。
『とんでもない走りでした…リンカイ!リーグの三強の一角である向日町を簡単にまくってそのまま突き放すというとんでもない新人です!この伊東温泉で歴史的な瞬間を私達は見てしまったのかもしれません。場内はもう拍手とおめでとうという声で溢れています。』
この走りを見た実況のアナウンサーも最大級の表現でナナの走りを称賛する。場内の観客も僕達も含めて車券の当たり外れ関係なくみんなスタンディングオベーション…実況のアナウンサーの言う通りに歴史的な瞬間を目撃したらもう僕達は何も文句は言えない。三強の一角を圧倒的なスピードでねじ伏せたのだから…この歓声と拍手は耳に入っているのかナナはスタンドに手を振りつつ敢闘門へと戻るのであった。
(レース終了後…)
「それでは今節のリンカイ!リーグ優勝選手の入場です!」
リンカイ!リーグの決勝と11レースの選手紹介が終わった後の発売中、先ほど優勝したばかりのナナがユニフォーム姿(ヘルメットとサングラスは外している)のまま自転車に乗って司会者の合図で敢闘門を出てからバンクに現れ、ゴール地点の前で降りてから係員に自転車を預け、司会者の横へと向かう。
「それでは、今節のジャパンカップ×HPCJCのリンカイ!リーグを優勝した神奈川の平塚ナナ選手です。優勝おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
そして、この流れのままで優勝者インタビューが始まった。司会者からの祝福にナナは優勝の余韻に浸ってる感じを出さずに少し微笑みながらお礼を言う。並の新人ならテンション上がってしまうところだけど、こういう勝って当たり前という感じの余裕があるところはもう流石はエリートって感じだ。
「まず最初に、自身の連勝を12に伸ばしました…これに関してどう思われてますか?」
「私は特に連勝記録に関しては意識していませんけど、とにかく負けないようなレースの組み立てをすることは常に意識をしています。今回も勝てるレースをして勝ちました。」
「今回の決勝を振り返ると平塚選手は残り1周の時点で6番手、そこから流石のスピードでまくりました。今節は3日連続のまくりでしたけど、これは作戦でしょうか?」
「とりあえず、今節のメンバー構成を見て逃げ合いになると勝てるレースができないと思って今日はまくりで行こうと1日ごとには決めていました。それが結局は3日連続になってしまっただけです。」
「今回の決勝戦は三強の一角である向日町選手との対決でした。一度は負けたという中で緊張はされましたか?」
「向日町さんは私の憧れである久留米さんと立川さんのライバルでリンカイ!リーグの時代を作られたレジェンドなのでいつもの気合を100%として今回は120%の気合で臨みました。そんな彼女に勝てたことは自分の自信に繋がるものになったと思っています。」
「それでは最後に、ファンの皆様へ一言お願いします!」
「これからも競技と競輪のどっちも精一杯頑張りますので、応援の方をよろしくお願いします。ありがとうございました。」
「以上、優勝者インタビューでした。平塚ナナ選手が退場します…盛大な拍手でお送りください!」
「平塚〜、お前はホンマに世界一や!」
「久留米や立川にも勝てよ〜!!」
「ナナちゃん、可愛いよ〜!それで強くて最高〜♪」
インタビューが終わり、ナナが自転車に乗って退場すると場内からは大きな拍手と黄色い歓声が一般開催とは思えないぐらい響き渡る。僕達も拍手で彼女を見送った…僕も声をかけたかったけど、ナナの機嫌を損ねる訳にはいかず今回は拍手のみで済ませることに。僕の幼馴染はもう完全に遠い世界へ行ってしまったのだ…同じ日本にいるのに不思議な感覚である。失ったものは本当に大きかったのだが、この後これ以上に大きなものを失うことになることになるなど全く想像できなかった。
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全てのレースが終わり、僕達は伊東温泉競輪場前の駐車場に集合して反省会をする。あれからのレースも僕は車券を買い、11レースも12レースも当たり大幅なプラスを得た。これだけでも十分満足であるが、こうして友達と話す時間も幸せだ。
「以上で応援団反省会を終了する。今日はこれから地元の旅館でお泊まりするぞ〜!」
「お泊まり!?ヤス先輩、いつから旅館を用意してたんですか?」
「まあ、俺が予約した訳ねえけど陸と愛嵐の高校時代の同級生のご家族が経営している旅館があってだな…それを愛嵐に取ってもらったんだよ。なあ?」
「はい。泉ちゃんにどうしてもと頼んで泊まれるようになりまして…ここは地元の中でも人気の旅館なので予約が取れないんですよ。それでやっとですからね?」
「泉ちゃんってもしかして新人で平塚ナナの同期の伊東泉(いとういずみ)のことっすか?高校が彼女と同級生で平塚と幼馴染なんてずるいですよ。それで、愛嵐先輩はどっちを選ぶんすか?」
「雅彦…泉ちゃんとはそんなんじゃないって!それと、ナナとも最近会ってないからさ。」
「いや、案外怪しいぞ?泉は連絡先を知ってるし、いつも話す時は楽しそうだったじゃん?泉は平塚と別系統で元気系で可愛い子だからな…もしや、泉に会いたくて予約したんじゃねえだろ?まだ選手としてデビューしてないし、選手になる前に会って告白しようってか?」
「陸まで…そんな勇気は流石にないし、これから競輪選手になる泉ちゃんに迷惑はかけられないかな?いくら仲良かったにしても一般人が競輪選手と付き合うなんてそんなの夢物語だよ…(それに、僕が好きだと意識している異性はナナだけだし。)」
雅彦と陸は僕が泉ちゃんの名前を出すと唐突にからかってくる。まあ、正直な話をするとナナに会えない中で少し泉ちゃんに傾きかけた時期もあったよ…どうしてもナナのことを忘れられないことと泉ちゃんが競輪選手になるための練習に打ち込むようになると邪魔するのも悪いなと思えてきて競輪選手を目指すようになった時から少し距離を置くようになって今に至る。それでも連絡は養成所に入る前と養成所を卒業して選手になろうとしている今でも定期的に取っているけどね…
「とりあえず、俺らは車で行くけど愛嵐は自転車だよな…とにかく気をつけろよ!」
「分かりました。旅館で全員集合しましょうね!」
そして、新田先輩達は車に乗ってから旅館へと向かい僕は駐輪場に止めてある自転車に乗って(もちろんヘルメットは被っている)彼らの後を追うのであった。
(出発から5分後…)
それから僕は信号のある交差点をまっすぐ直進しようとペダルを踏み込む。今は僕が通る横断歩道は青信号…とにかく旅館になるべく早く着こうと急いだ。そんな時…
(あのトラック、どうして赤信号というのにこっち突っ込もうとする!?とにかくこっちが渡り切ればあっちが怒られるだけだ…とにかくもっと踏むぞ!)
しかし、変なトラックが1台赤信号という中でもスピードを落とさずにこっちへと向かってくる…僕はさらに力強く踏み込んでトラックから逃げ切ろうとしたのだが、そのトラックは恐らく100km以上は出ていて減速を知らずにあっという間に横まで来ていた。
(えっ、嘘…?)
そして、僕はそのトラックに轢かれて自転車と共に吹き飛ばされた。それでもあっちはスピードを緩めることはなく僕をもう1回ぶつかりそこで意識は途絶えるし記憶もそこから先はない…運転手の顔も見えたような見えてないようなという感じである。ナナと再会することなく死んでしまうんだろうな、僕。できることならもう1回会ってから死にたかったよ…
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「う、うーん…」
目が覚めると僕は下が硬い自分のベッドではないベッドで寝ていた。場所に関しては見知らぬ天井が広がっていてこれは向かっていた旅館のものではない…僕はどこへと連れて行かれたのだろうか?
(とにかく、あの旅館に行かないと…みんなが待ってるから!いいっ…!?)
僕は身体を起こして旅館へと向かおうとしたが、左足に痛みが走りその場で疼くまろうとしたがまるで風に吹かれた紙のように力無く倒れてしまう。何かと思い僕は足を確認すると、そこには残酷な現実があった。
(左足に包帯で右足がない…!?)
そう、僕の左足は骨折したのか包帯がぐるぐる巻きになっていて右足に関しては膝より下がなくなっていた…これにはショックのあまりに色んな意味で立ち直れない。どうして神様はここまで僕を苦しめるのか?辛すぎる悪夢がそこにはあった。
大石愛嵐(おおいしあらん)
CV:松岡禎丞
身長:183cm
体重:70kg
誕生日:4月4日
年齢:20歳
この物語の主人公。日本とフランスのハーフで日本国籍選択前の本名は『アラン・オオイシ・ガスリー』、フランス出身ながらも家庭内ではほぼ日本語で会話してる関係からフランス語はやや拙い(ヒアリングはほぼ問題ない)…競輪界を賑わせている大物新人である平塚ナナとは幼馴染の親友ながらもお別れを言えず日本の伊東市へと引っ越した。高校時代はケイリンの全国チャンピオンになり夢である競輪選手への道を切り開くも大怪我で夢を絶たれてしまう。そこからは自身の経験を活かした競輪予想を展開し、20歳になったことを皮切りに車券も買うようになって現在はナナの応援団の団員としても活動中。そんな彼だが、ナナの応援を終えて旅館へと向かおうとした道中で事故に巻き込まれて右足を失う…そこから彼は新たな道を切り開いていくことに。
鈴木陸(すずきりく)
CV:梶裕貴
身長:174cm
体重:63kg
誕生日:10月26日
年齢:満20歳(19歳)
愛嵐の高校時代からの友人で父親が元競輪選手の競輪ファン。競輪の知識に関しては豊富で車券はまだ現時点では買えないものの彼の競輪哲学から生み出される予想は愛嵐も一目置いている。
栗田雅彦(くりたまさひこ)
CV:花江夏樹
身長:170cm
体重:55kg
誕生日:6月26日
年齢:満19歳(18歳)
平塚ナナ応援団メンバーの中で最年少。リンカイ!リーグオタクというか単なる女好きでやや生意気なところもあるが、どこか憎めない。
新田康孝(にったやすたか)
CV:森久保祥太郎
身長:177cm
体重:67kg
誕生日:2月25日
年齢:21歳
応援団メンバーの中で最年長の大学4年生で団長を務める。競輪歴は18年という筋金入りの競輪ファンでみんなからかなり頼りになる兄貴的存在。『やっさん』や『ヤス先輩』等と呼ばれている。
とりあえず、こんな感じで始まりました。主人公の愛嵐はこれからどうなっていくのか…そして、どんな恋が繰り広げるのか。競輪ファンもそうでない方も楽しめるように描いていくのでこちらの方もよろしくお願いいたします!
感想、高評価、お気に入り登録の3点セットをお待ちしております。それでは…(次回からは午前0時~2時に投稿します。)