翌日、演劇の練習。
生徒会役員としての仕事、
生徒会長を倒そうとする部活に対しての罰則と、
ロックオンはIS学園を走り回っていた。
「……弓道部、弁明はあるか」
「生徒会長は何時如何なる挑戦も」
「受けるだろう、生徒会長。つまり、学園最強だ。
だが、お前達。部活動を止め、生徒会長に成り代わるか?
書類は、引き継ぎは、ましてや、ガラスを何枚砕いた」
「えっと……あの、ストラトス君。その子は」
「部長、監督責任を取らせますか?
俺は言ったはずだ、最後だと。
最後の大会を不意にするつもりかと。
ましてや、学校の備品を破壊した。
顧問にきちんと、起きたこと、起こしたこと、
被害を事細かに伝える事。来年の部費に関しては、
精査対象にもなり得ることをご理解ください」
「なっ、何よ!男のひっ……」
「ねぇ、それ本も」
ロックオンは静かに向けたレーザーガンを下ろす。
「なめるなよ、俺はアイルランドの国家代表だ。
正面から潰しに来い、くだらない事をするな。
弓道部部長、この件に関しては指導対象となります。
では」
そう、ロックオンは織斑十春として学園内で嫌われ者の役を
演じている。
「ロックオン、ケイカイ!ロックオン、ケイカイ!」
「止めなさい!」
「ひ………」
「正当防衛だ。………こんな奴が学園に居るなんてな」
ロックオンに矢を放った生徒、おそらくは2年生だろうか。
レーザーガンで放った矢と持っている弓を撃ち抜かれる。
「弁償はない、ハロに内臓されたカメラで証拠があるからだ。
弓道部、全体か。それとも、個人か!」
「弓道部ではない!コレは個人の行いだ!」
「ちょっと、待って!」
「紗千!私は馬鹿のせいで大会に出られないとか嫌よ!
努力も何もかもが無駄になるなんて!ストラトス君、
コレはそこの馬鹿がやったこと!私達弓道部は関係ないわ!」
「そんな…先輩!皆も」
矢を放った生徒が周りを見れば、皆視線を合わせない。
それどころか、共に更識楯無を襲ったメンバーも視線を逸らす。
「なんで……なんで!」
「悪いが、大使館を通して言わせてもらう。
コレは学生の遊びじゃない、明確な襲撃だ。
こう言うのは嫌だが、身辺整理はしておけ」
「そんな…待って!お願いします!お願い!!」
「…罪には罰を。努力には報いを。それが信条だ」
それは織斑十春が生徒会として活躍している頃からの信条。
許すことはないし、立場的にも許すことはできない。
直ぐ様、学園の教員室に向かい2年の学年主任に話す。
「それは」
「報告を終わります。
では、アイルランドへ報告しなければいけませんので」
「待って!」
己の選択が全てを変えるというが、規則、規律、統制は必要だ。
規則があれば、規律が生まれ、統制が出来る。
弓道部はそれが無かった。
そして、学園から誰が消えようが関係ない。
「ストラトス君、弓道部から嘆願書が出ています」
「…そうかい、俺には関係ないな」
生徒会室に居た虚から嘆願書を受け取ると、
そのままシュレッターに入れる。
「……容赦が」
「副会長、容赦はしないさ。
1回でも規則、規律を壊した者はそれを続ける。
許せば、よりつけ上がる」
「それは、どちらの経験で」
「織斑十春だ。ニール・ディランディじゃない。
今はそうだな、織斑十春という厳格な一面が出てきてる」
「……判りました。日本政府には?」
「大使館を通じて。
アイルランドの国家代表を狙ったんです。
犯罪者という判定になりかねない」
「………権力を傘にしていると思われますよ?」
「権力を傘にしてるさ。
そのために俺はアイルランドに渡ったんだ。
まぁ、こんな使い方は想定外だが」
「……空きが出来ますね」
「知らねぇな、俺には関係のない事だ」
ロックオンはそう言いながらコーヒーを淹れる。
シュガーとミルクをつけ、虚の前に出した。
「ありがとうございます」
「副会長にはお世話になっていますから。
それに、同士書記長はお飲みになられませんから」
「その言い方はよしてください。
本音はスターリンではありませんので」
苦笑いをしながらコーヒーを2人は飲む。
「あっ!はるく……ロックオン!丁度よい所に!」
「楯…会長、何のようだ」
(・∀・)ニヤニヤ
「虚ちゃん、その顔何かしら」
「いえいえ、名前で呼び合う仲なのだと思いまして」
「にゃ?!」
「なら、キス以上もするか?副会長に見せ付けてな」
「はっ?!」
猫のように逃げようとする楯無を笑いながら見てしまう。
こうした所が愛おしく、とても大切になっていく。
「なっ…ハル!何して」
「いっ……見られた?!うそ……」
「まじかよ……なんで居るんだ」
そこに立っていたのは織斑一夏。
何故か、楯無と一緒に居たようで、
少し意地悪をしてみようという気持ちになる。
「楯無」
「え?」
「今夜、覚悟しておけ」
「?!」
頰を赤らめ虚を盾にする様に呆れ顔になるが、
直ぐ様一夏に対し質問を行う。
「俺の女と何してたんだ?」
「俺の女?え?」
「教えて無かったか?俺の恋人って奴だ。
それで、何してたんだ?」
「え……更識先輩に鍛えてもらってただけだけど…」
「……楯無、俺を放っておいて一夏と逢引か?」
「違うわよ!一夏君が弱いから鍛えてたの!
ロックオンは」
「俺はなんだ?」
「ストラトス君、あまりお嬢様を虐めないでください」
「すみません、副会長。それで、今度は楯無に聞く。
俺が丁度よいってどういう事だ?」
「えっ…えぇ!そう!訓練!訓練の相手よ!
バレット・サークルの…」
「……やっても良いが、ラファールは借りれるのか?」
「え…なんで」
「デュナメスは強すぎる。
第一、俺と渡り合えたのはラウラだ」
「……知ってるわよ。2対1で常に善戦してるし……
シミュレーターとはいえ、暮桜倒してたわね?」
「え?ハル、それってどういう」
「なんで知ってる」
周りを見渡すと虚も顔を背けた。
そう考えると、教員にも知られている可能性があるだろう。
「どうやって入れたか知らないけど、
当時のデータには勝利しているのだもの。
私としても驚きよ」
「……当たり前だ。俺は負けねぇ。
二度と、お前を置いていかない。そう決めたんだ。
世界最強のデータ程度、潰せないと意味がない」
「……ハル」
一夏は元弟の姿に驚く。
今では自分より身長も高く、大人と言っても過言ではない。
そして、自分の知らない所に立っている。
「まぁ、訓練なら付き合う。デュナメス使っても良いが、
文句はよせよ」
「なら、」
「今日は駄目だ。
昨日、問題を起こした生徒が今日退学になってな。
その手の報告書を俺が書かなくちゃいけない」
「え…退学?」
「アイルランド代表に対し、悪意を持って攻撃した。
楯無、お前は優しすぎるんだよ」
「……弓道部の件ね。でも」
「生徒会長は何時いかなる時も挑戦を受けなければならない。
そうだ、だがな。不意打ちとは記載されていない。ましてや、
学校の備品を破壊して良いとも言われていない。
だが、学校の備品に関してはより壊している生徒一派が居る。
なぁ、織斑一夏」
「むっ…でも、壊れても」
「巻き込まれているのは理解しているさ。
でもな、お前のシワ寄せが俺に来るんだよ。バカ兄貴。
少しは女を理解しろ!くそ……!兎に角だ。
今の俺は忙しい、明日だ。明日からなら手伝える」
「……ありがとう、あっ、そうだ。今夜、千冬姉の」
「……嫌だ、聞きたくない。俺の仕事を増やすな」
それはニール・ディランディではなく織斑十春の警告。
冷や汗が止まらない、関わり合いになりたくない。
「部屋の掃除するから手伝ってくれないか?」
スマホには家族以外には到底見せられない汚部屋の姿。
それだけではない、袋詰めされているだけマシなビール缶。
脱ぎ捨てられた服、シワシワのシャツ。
「……今夜、部屋の帰りが遅くなる。
兄さん、全部片すぞ。夕食は抜きだ」
「おう、でも食べないと」
「〘抜き〙だ。そうでもしないと、あの人には駄目だ」
それは家族に見える顔。
元の自分も、今の自分も、その顔だけは同じと信じたい。