「ここが今日からあなたの仕事場よ」
パピルスが咲夜に案内されたのは紅魔館の厨房だった。
「よろしく!」
「はい、よろしく。」
元気なパピルスの返事に咲夜も挨拶を返す。
「で、パピルス。あなた料理は?」
「できるぞっ!」
「え?」
即答したパピルスに思わず聞き返す咲夜。
「できる!」
「そ…そう…」
とても料理が出来なさそうなパピルスが料理をできるというのは咲夜にとって驚きだった。
(不安しかないけれど…)
「じゃあ、あなたの一番の得意料理を作って頂戴。」
「わかった!楽しみにしておけ!」
「ええ」
(あとは不安なのはサンズの方だけど…)
前話での出来事があり…
「ふう」
「おかえり!」
「ただいま」
美鈴をシバいて帰ってきた咲夜が一息つくと、パピルスが元気よく迎えてくれた。
「料理はできた?」
「できたぞ!食べてみるがいいっ!」
そうパピルスの指の指す先には思いのほかしっかりした見た目のスパゲティが置いてあった。
(見た目は悪くない…匂いも…うん。普通ね。)
「いただきます。」モグ
(こ…これはっ!?)
咲夜がスパゲティを口に含んだ瞬間、咲夜に衝撃が走った。
(ま…不味い!見た目はまともなハズなのに味がとんでもなく酷い!)
咲夜が何とか口に含んだ分のスパゲティを呑み込むと、パピルスに向き直る。
「とってもおいしかったわよ…ええ、とっても。その証拠に…ホラ」
咲夜がパピルスに向き直ると、その手に乗っているさらには先ほどまであったはずのスパゲティがきれいさっぱり無くなっていた。
「ほんとかっ!俺様はうれしいぞ!兄ちゃんでもこんなに美味しそうに食べてくれなかったのに!」
(でしょうね…私も時を止めなければどうなっていたことやら…)
咲夜は実際にはスパゲティを完食したわけではなく、時止めを使用し、紅魔館にある花畑の下に埋めてきたのだ。
「うん、パピルス。あなたはやっぱり掃除をしましょうか」
「なんで?」
「私はあなたに料理以上に掃除の才能を感じたのよ。まあ一度やってみたらどう?」
咲夜が笑顔でパピルスに詰め寄り、そうまくしたてるとパピルスは、
「わかった!お掃除頑張る!」
と快く了承してくれた。
(危なかった…今後もし料理をしたいって言ってもうやむやにしましょう。死人が出かねないわ…)
「ではパチュリー様。後の事はお任せいたしますのでそれでは」
咲夜はパピルスを大図書館に連れて来るや否や逃げるようにしてその場から消えてしまった。
「何だったのかしら…」
パチュリーは何処か様子のおかしかった様子の従者を不思議に思っていた。
「まあ、いいわ」
「おい、俺さまは何をするんだ!」
パピルスが急かすようにそう聞くと、パチュリーは少し悩んだ末に結論を出した。
「こあ~!ちょっと来てー!」
「は~い!」
パチュリーがそう呼ぶと、遠くから女性の声が聞こえた。
そしてしばらくすると、奥の方から悪魔のような羽の生えた女性が小走りで現れた。
「新しく入った子だから。後は任せるわよ」
「わかりました~じゃ、こっちです」
「わかった!」
女性とパチュリーのやり取りの後、パピルスは女性に促されるまま彼女についていく。
「まず自己紹介ですね。私の名前は小悪魔です。皆さんからは”こあ”って呼ばれてますね」
「俺様はパピルスだ!よろしくな、こあ!」
「はい、よろしくお願いします。パピルスさん」
「で、お仕事は何をするの?」
「あ、それなんですけど、最初はわたしの指示どうりにやっててくれたらいいですよ。ここでは主に本の整理やパチュリー様のお世話をするんですけど、たぶん最初からは出来ないと思うので慣れるまではわたしと一緒にやりましょう!」
「わかった!」
「あ、ちなみに私の事は先輩って呼んでくれても良いんですよ?」
スルーされるだろうと軽い気持ちで言った冗談だろうが、小悪魔はまだパピルスの純粋さを知らない。
「じゃあセンパイでっ!」
「え?」
「え?」
「あ、いや…何でもないです…」
「そう?」
幻想郷において普段から割と酷い扱いをされている小悪魔にとって、その優しさは何か心にクるものがあったらしい。
(いい子…)ジーン
「あ!なんかこの辺だけお花が枯れてるじゃないですか!なんでだろう…?下にモグラの穴でも…ん?これは…スパゲッティ?」
普段から紅魔館の花を世話している美鈴が、土に埋まる何かを見つけたのはまた別のお話。
別に受験するって訳じゃないんですけどサボってたらこんなに空いちゃいました。
後、今読み返すと出来がひどい話が多かったので部分部分修正加えてく予定です。