「ご機嫌如何ですかね、雷帝?」
銃を突きつけ、周りを囲んでいる風紀委員の間から見える、椅子に座っている存在
その存在を見て、思わず歯軋りする
…生徒会に入った時から不気味な存在だった
表向きは飄々としていながら、何を考えているのか分からなかった
過去にトリニティに誘拐され、拷問を受けた結果、片目と片腕をなくしたことは知っていた
だから部下に命じて24時間監視を行って行動を逐一把握すると同時に、籠絡しようとした
他の者より目をかけ、常に傍に置いて重宝した
その甲斐もあってか、常に私の後ろについて回る存在となり
生徒会には他に脅威な者は居なかった為、自分の立場を脅かすことはないだろうと考えていた
それが、今はどうだろうか
朝起きれば自分が失脚したというニュースが流れ
そんな馬鹿なと学園に来れば風紀委員に銃を突きつけられ
囲まれながら連行された場所…嘗て、自分がゲヘナのトップだった椅子には、あの女が座っていた
「貴女は生徒会長という権力を楯に色々とやりすぎたんですよ、まぁそのおかげで僕が影であちこち動けて、今こうなっているわけですが…幼馴染2人が優秀なお陰で助かりました」
そう言って椅子から立ち上がり、こちらへ近付いてくる女
銃を取り上げられ、手を後ろに縛られ床に座らされている現状ではただ睨みつけることしか出来ない
「さて、ニュースで見たと思いますが、先程貴女の生徒会長の任を罷免、及びゲヘナを退学、自治区より永久追放が生徒会役員の賛成多数で可決されました」
そう言いながらしゃがみ込む女
「…ですが、僕としてもお世話になっているので…退学を卒業として処理し、卒業後はゲヘナ自治区より永久追放という形にしました、僕が皆さんにお願いした結果なので感謝してくださいね」
そう言ってニッコリと笑う女
その顔や余裕に怒りを覚える
「おお、怖い怖い…ま、今更貴女を擁護する人間なんてこのゲヘナ自治区内にはいませんよ、貴女の取り巻き以外に貴女を支持する人間がいないことには驚かされました…貴女、嫌われすぎたんですよ、まぁあんな独裁政治して取り巻きの皆さんと一緒に好き勝手やってれば必然でしょうがね」
雷帝の髪を残っている片手で弄りながら、そういう女
手が自由であれば、今すぐ振り払っていただろう
「さてと、まぁ要件はもう一つあって…今まで開発したもの、何処に隠しました?」
何故そんなことを聞くのか、と雷帝は疑問に思う
「何故っていう顔をしてますね…簡単な話です、僕の目標に必要なんですよ、貴女が開発したものは、一つはアビドスにあることは知ってるんですが他の物の居場所が分からないんですよね、ですから最後に教えていただけますか?」
話す義理は無い、と雷帝は言う
目をかけてやったのに、裏切った女に教えるものかと
「そうですか…まぁ、そうだろうとは思ってたので別に驚きもしませんが」
そう言うと立ち上がる女
そして後ろにいる生徒へと顔を向ける
「卒業祝いに顔と爪のお手入れをしてあげて、そうしたら感謝で話す気にもなるだろうしね」
女がそう言うと両脇を掴まれ、強制的に立たされる雷帝
そのまま引き摺られるように連行される
雷帝は叫ぶ、この裏切り者が、悪魔が、と
「最後にお褒めいただいて感謝感激です、どうもありがとうございました、では、お元気で」
扉が閉まる時、そう言って女が恭しく一礼するのが見えた
雷帝が引き摺られていくのを見届けた後、椅子の背もたれに全体重をかけるフェル
さて、自治区内の残党をどうしようかと考えていると生徒会室の扉が開いて、誰かが入ってくる
「フェル先輩!遊ぼー!」
「おっとと…」
そう言って胸元に飛び込んでくるイブキを蹌踉めきながらも受け止めるフェル
雷帝が引き摺られて連れていかれているところを見られてはいないかと周りにい風紀委員に視線を向けるが、その視線の意味を理解してい居る風紀委員が首を振るのを確認して安堵する
何せイブキにとって、雷帝はトラウマのようなものなのだから
そのまま頭を撫でれば、えへへ〜と笑うイブキ
「元気だねぇイブキ…それで、何をして遊ぼうか?」
「えっとね、イブキ、お絵描きして遊びたい!」
「そうかそうか…ちょっと待っててね」
そう言って端末を起動してと操作するフェル
一通り操作し終わると、懐にしまってイブキの方へ顔を向ける
「じゃ、遊ぼうか」
「はーい!」
そう言ってフェルの手を取るイブキ
その後、生徒会室からはイブキの楽しそうな声が聞こえ、ゲヘナ学園の一角では苦痛に耐えきれずに上げた悲鳴が聞こえていた
「…どうした、フェル」
あれからもう二年以上たつのかと、フェルが回想に浸っていると、自分の名を呼ぶ声がする
声の方向に視線を向ければ、自分を抱きしめているマコトの姿
お互いなにも身に纏っていない状態だからか、マコトの肌の温かさを感じる
「いやぁ、二年前のクーデターを思い出しててね、あれからもう二年以上たつのかと」
「…あの時か」
フェルの計画に加担していたマコトも、その時のことを思い出す
計画を打ち明けられた時は驚愕したと同時に、無理だと反対もした
しかし、自分がこの幼馴染に対してはとことん弱いことを自覚しているマコトは、最終的には賛成し計画に加担した
「ほんと助かったよ、マコトの情報収集能力がなかったら雷帝自身とその取り巻きの不祥事をすべて明らかにすることは難しかっただろうしね」
「キキキ、このマコト様の能力は伊達ではないのだ」
フェル自身もある程度証拠などは集めていたのだが、やはりマコトが集めた証拠には敵わなかった
流石は
「それにイブキの居場所も掴んで保護してくれたしね、本当にありがとう」
「…あの件に関しては私も助けたかったらな、気にしなくていいぞ」
マコトが保護した時のイブキは、それは酷かったものだ
今でこそすごく可愛らしく振舞っているが、保護した直後など何か物音が鳴るたびに怯えており、話しかけようとすると暴力を振るわれると勘違いして錯乱していたのだから
フェルが何度も話しかけ、そして周りにも少しずつ懐くようになったのは、保護してから一か月後の事だ
その間雷帝とその取り巻きに気づかれぬよう振舞うのは少し苦労したなぁ、と思い出す
あの時のことを思い出して感慨にふけっていると、マコトがこちらをじっと見つめていることに気づく
「…」
「マコト?」
フェルがそう名を呼んだ瞬間、マコトが起き上がったと思うと、フェルの腕をベットに縫い付けてそのまま覆いかぶさってきた
マコトの長い髪が顔にかかって、少しくすぐったいと感じるフェル
そんなフェルに覆いかぶさったマコトの目には、嫉妬の色が浮かんでいた
「フェル、今からお前をまた抱く」
「…あ、ひょっとして他の子の話したから嫉妬した?」
マコトの宣言に首をこてんとかしげながらそう聞くフェル
そんなフェルに対し、その減らず口を叩く唇を塞ぐことで答えるマコト
激しく続いたそれは、両者の息が絶え絶えになるまで続いた
「はぁ…はぁ…安心しなよ、私が愛してるのはマコトだよ」
「…他の奴にもそう言っているのだろう」
「あは、バレた?…んっ」
再びフェルの唇を塞ぐマコト
(他の女の名前を出すな)
(今、お前の目の前にいるのは私で、お前を抱いているのも私だ)
(私のことだけ考えろ)
そう想いを込めて、フェルの唇を塞ぐマコト
そんなマコトを見て、私の幼馴染は可愛いなぁ、やっぱり好きだなぁと考えながら、マコトに身を委ねるフェル
こうして、喘ぎ声と水音、そしてベットが軋む音が部屋に響き渡る夜は更けていく
余談だが、翌日のフェルは腰をしきりに擦っており、マコトはいつも以上に肌がつやつやした状態で、仕事にも力が入っていたとか
フェルはイブキのことは可愛がってる
けど最終手段として、利用することも頭の中には入れている
彼女の目的はあくまでトリニティ殲滅
そのためなら手段は選ばない
たとえそれが、外道と罵られる手段だったとしても
感想宜しく