ガルパン 娘ver   作:---

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文章安定してません








「はぁぁぁぁっ。つっかれたあああ」

 私と同じ班の砲手佐天伊都子(さてんいつこ)は試合終了の知らせが入ったすぐ後に背もたれに体重を預けた。

 伊都子は入学した時から私に突っかかってきて、正直迷惑だと感じていたころがあった。でも、今はそれにも慣れてしまっているし、気にしてもしょうがない。

 私たち4人はお母さんも使っていたIV号戦車D型を主に使っている。ただ、操縦手の五十鈴真理華(いすずまりか)はあまり顔を出さないから4人目とは言いづらいんだけど。普段なら代理の子が代わりにやってくれるけど、今回は誠也が操縦手を務めてくれた。

 私もふぅと息を吐いて、力を抜いた。

「やっぱり勝てない……」

「でも、健闘した方でしょ。あたしたちにしては」

「あっちにはブランクがある。それで、勝てないだなんて」

「みうはいっつもそう。少しは自分に甘くなったら?」

「でも、でもね。少しだけ、少しだけだけど楽しかった」

 少し照れながら私がそういったら、佐天さんや、ほかのみんなもくすくす笑い出した。

「初めてだよ。あんたが戦車の中で笑ったの」

「そ、そうかな」

「うん。初めてだよ。みうは泣くか落ち込むか、怒鳴るかしかしてない」

 通信手の保泉(ほずみ)みすかさんがそう言ってヘッドホンを外す。

 みすかさんはあまり感情を前に出すような人じゃない。どんな状況になっても同じ調子で通信をしてくれる。それに助けてもらった場面も少なくない。まあでも、結局無駄になっちゃたんだけど。

 みんなで一緒に帰るところを見たこともないし、練習が終わると一番に帰ってしまっている。不思議なことが多い子。

「私、怒鳴ったことないよ。それに、泣いたことだって」

「みんな知ってるよ? 一人ここで泣いていることも。自分に怒って怒鳴ることも」

「見てたの?!」

「見えた。すごく泣いてるところ」

 私は思わず顔を隠す。

「お、照れた照れた」

 伊都子はそう言っておなかを抱えて笑い出す。

「広場に集合だって。今通信入った」

 みすかさんが再びヘッドホンを付けて、通信に応答した。

「みほさんだけど、代わる?」

 みすかさんが気を利かせてそう言ってくれるけど、私は首を横に振った。

 今話したら何を言ってしまうかわからないし、それに、あまり顔を合わせたくない。

「そう」

 みすかさんはそのまま通信に対応する。

 

 みんなで集合した後、武部先生が「打ち上げいこー!」と言いだして、集まってくれたOBの皆さんと、私たち生徒全員で打ち上げに向かった。向かったとは言っても先生の懐でこの人数分払えるわけもなく、伯母さんの家で行うことになった。

 さすが西住家だと思わされるほど広い家で、屋敷と言ったほうが似合っている。

「それじゃあ、かんぱーい!」

 なぜか先生が乾杯の音頭をとって、みんな飲み食いし始める。

 目の前に置かれた豪華な品々。いったいいくら使ったんだろう。

 そんなことを気にしつつ、料理に手を付ける。

「ん……。おいしい」

「素直においしい! って言えないの?」

 隣に座っている伊都子が口いっぱいにお肉を頬張りながら話しかけてくる。

「これ、誰が作ったのかなって」

「まほさんとか、シェフの人じゃないの?」

「伯母さんは料理あんまりしないし、シェフの人なんて見たことないよ」

「まさか、先生?」

「何よー。その嫌そうな顔は」

 伊都子がええーと嫌そうな顔でそう言ったのを近くを通りかかった先生が聞き逃さなかった。

「せんせー出来たの? 料理」

「できますよー? まあ、これを作ったのは私だけじゃないけど」

「せんせー、思ったより乙女してるんですね」

「佐天さん? それ、どういうこと?」

「いやー、ただの肉食系だとばかり」

「好きかって言ってくれて……」

 いろいろ言われたい返しとばかりに先生は伊都子の髪をぐしゃぐしゃにする。

「ごめんって! せんせーやめてよ!」

 そう言いながら抵抗する伊都子も楽しんでいるようだった。

 私は今までこういう場にあまりいなかったからなんだか自分には場違いな場所のような気がしていた。居心地が悪いというわけではないけれど、心が締め付けられていくようで、苦しかった。

 私は体を伸ばそうと外に出た。居心地が悪かったこともあるけれど。

「あれ、どうしたの? こんなところで」

 声をかけられ、その方を見ると誠也が本を片手にこちらに向かってきていた。

「そちらこそ、どうしたの?」

「男一人だから、ちょっとね」

「ああ」

「それにOBの皆さんがお酒飲んでちょっと困ってたし」

「変なこと考えたの?」

 私が冗談でそう言うと、誠也は顔を赤らめて、激しく首を横に振った。

「そ、そんなことないよ! みほさんと同期の人たちをそんな目では見られないよ」

「魅力がないってこと?」

「そうじゃなくて。尊敬してるから」

「そっか」

 それからしばらく、私も誠也も口を開かずにいた。気まずいというわけじゃなくて、話す話題が見つからないだけ。

「一つ。聞いてもいいかな?」

「なに?」

 誠也は先ほどの声よりトーンを落として、真剣な目をして私を見てそう言った。

「君はどうして、あそこまで味方をかばうの?」

「え?」

「囮を使った作戦を立てずに、仲間を逃がしてばかり。そうかと思えば、わざと撃破されるように誘導する。それも、クルーに危険が及ばないように敵の真正面に誘導する」

「どうしてそう思うの? それって君の思い過ごしなんじゃない?」

「戦況を完ぺきに把握できるのは君だけじゃないってことだよ。仲間を怪我させてしまったと言ったね。でも、それは君の指示をこなせなかった班が悪い、そんなことくらいわかり切っているはずだ。君が恐れているのは、仲間が目の前で傷つくこと。それだけじゃないの?」

「あの子たちは私の出した無茶な指示のせいで怪我をした。だから私は……」

「君はその指示を仲間だと思って出したの?」

「あ、当たり前でしょ、そんなの」

「本当に?」

 嫌な笑みを浮かべてそう言う誠也は、まるで昔の私を、あの子たちを怪我させる前までの私を呼び起こそうとしているようで、彼の言葉すべてが不快だった。

「もし、私が仲間のことを道具だと思っていても無茶はさせないよ。私だったら、ね」

「そう」

 私はこれ以上彼の顔を見ることはできないまま、彼に背を向けてその場を離れた。

 

「あんた、いい性格してんだな」

 みうの去って行った方向から一人の女の子が現れる。

「見ない顔だね。大洗の生徒らしいけど、誰?」

 大洗女子の制服を着たその子は僕の問いに答えるふりすら見せずに、近づいてくる。

「でも、あたしの嫌いなタイプだ」

 僕の胸ぐらをぐっとつかみ、彼女は不敵に笑う。

「あんたは2つ罪を犯した。一つは、姫を傷つけた。もう一つは、あたしの席に座ったことだ。覚悟しとけよ?」

「そうか、君が五十鈴さんの娘さんか」

「母さんの知り合いなのか。あんたから姫と同じにおいがするが、誰だ?」

「西住、誠也」

「姫の兄貴ってことか。そんな兄貴が妹を傷物にしようとはね、笑えない冗談を」

「彼女は一度殻を抜け出した。でも、すぐに次の殻をかぶってしまった」

「だから、自分がとってやると?」

「僕はその手伝いをしようとしているだけさ。君にとってもいい話なんじゃないかな」

「やさしい王子様は腹黒ってか」

 そう言って彼女は僕から手を離す。

「次、傷入れたら容赦しねえぞ」

「騎士をやりたいのならもっと近くで守ってあげないと。いくらでも傷がついてしまうよ?」

 彼女は僕のほうを見ようともせずに、もと来た道へ帰っていく。

 さて、次はどうしようか。

 

 私(みう)は誠也と別れ、行く当てもないため会場に戻っていた。おなかもすいていないし、料理に手を付ける気が起こらない。ただ、ぼうっとみんなの会話を聞いているだけだった。

「真理華! 帰ってきてたんだ!」

 真理華が会場に入ってきて、一番に声をかけたのは伊都子だった。

「おう! ただいま」

「どうしてここに?」

 伊都子に続くようにみすかさんも声をかける。

「ここに集まるって母さんから連絡があってな。だから来た」

「つーか! 真理華が勝手にいなくなるからこっちは大変なんだよ! まったく、毎回毎回どうして」

 伊都子は身振りを大きくしながら真理華に文句を浴びせる。

「じゃあ言えばいいんだな」

「そういうことじゃない!」

 真理華が帰ってくると毎度のようにこんな感じの会話をしている。伊都子は文句を言っている割には嫌がる様子はほとんどしないし、言うほどいやというわけではないと思う。

「姫はどうしてる?」

「なんかぼーっとしてる。あたしにはわからないけど、まだ辛そう」

「そっか。まだだめ、か」

 真理華はどうしてか私のことを姫と呼んでいる。

同じ中学だったこともあって、昔の私も今の私も知っている。それは関係ないかもだけど。

「なあ、姫!」

「何?」

 突然私を呼んだ真理華はにやりと笑う。

「車長と操縦手変わろうぜ!」

「……え?」

 頭の中が真っ白になっていった。

 

 みうたちが打ち上げでいろいろしているころ。黒森峰女学園では左目に眼帯を付けた少女が静かに笑っていた。

「やっとですね。やっと、あなたと顔を合わせることができます」

 少女の手には日程表が握られ、その日程には「大洗女子と練習試合」とでかでかと書かれてある日にちがあった。

「大洗女子の先生も頑なに拒んでいたのに。急に手のひらを返して、ふふっ。まあいいでしょう。わたくしにとっては好都合です」

 撫でるようにして眼帯を触る。

「西住みう先輩。あなたにもらったこの傷に誓ってあなたを地の底へと送って差し上げます。ご期待ください。あなたに勝ちがもたらされることは、もうないのですから」

 顔を少しばかり赤らめ、少女はうれしそうに笑い出した。

 




緊急で作ったため1話よりかなり短くなってしまい、申し訳ないです
1話で出していなかった、華の娘をようやく出せてとりあえずホッとしていますが、「じゃじゃ馬」の認知がたぶん間違っていると思います

次回なのですが
戦闘シーンが入ってしまう可能性が高く、事故になる可能性も比例して高くなるので、戦闘をすっ飛ばして書くかどうか悩み中
更新は遅くなるかと

ちなみにですが
娘verにした理由は、みほたちをうまく動かしてあげられないからです。

重くするだけして、そのまま終了した形になったので、話としては結構最悪な出来です。

こんなものにお付き合いいただきありがとうございました<m(__)m>
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