麻子の夫(設定)の颯目線で書いてあります
すみませんm(__)m
僕たちが出会ったのは大学生になったばかりの時だった。
戦車道で推薦枠を取っている珍しい大学で、当然いろんな戦車が取り揃えてあった。
戦車自体が好きだったこともあり、その大学に進学して、戦車道に使われる戦車の整備をすることにした。そこで担当になった戦車に乗ることになったのが、みほさんたちだった。なんでも、高校のころから同じ人でチームを組んでいたそうで、かき集められた整備班と大きな壁ができそうで怖かったのが第一印象。
一つ上にお姉さんがいるというみほさんはそのお姉さんと何やら難しい話をよくしていて、ほかの3人は会話が必要な時以外はどこか避けられているような気がしていた。
しばらくして、整備班の班長を務めていたやつとみほさんが妙に仲良くなりだしてからはその状況が一変した。
みんな、僕たちとも会話をするようになり始めのころ少しばかりあった壁もなくなったような気がした。
大学を卒業するころになると、ある問題が起こってしまった。
ある日。班長以外の班員は突然班長の部屋へ呼びつけられた。
「話って?」
班員の一人がそう口を開くと、落ち着かない様子の班長は視線を泳がせながら、ゆっくりと事情を説明し始めた。
「最近さ、その、みほさんの体調が悪いなって感じてたんだ。それで、理由を聞いたらわからないって言うから、もしかしてって思って……。……できてたんだ」
言いずらそうにそう言った班長の言葉に僕以外の班員は歓喜と驚きを交じり合わせたような声を上げる。
「何が?」
「だから、……できちゃったんだよ」
「え?」
理解できない僕に、ほかの一人が肩に手を回す。
「やっちまってんだよ。んでも、大丈夫なのか? 学校にばれたら」
「絶対まずい。どうしよう」
「だから、何が出来たの?」
僕の問いに誰一人応えないまま会話は続く。
「今なんか月?」
「わかんない。昨日聞かされたから……」
「仲がいいと思ってたけど、ついに赤ちゃんが」
「え?! あ、赤ちゃん?!」
そうやって、みほさんと班長ができていたことを告げられた。
卒業を目前としている時に発覚したため、学校にばれないよう何とかしのぐ程度で助かったらしい。
卒業式の後、華さんも妊娠していたことがわかり、生まれてくる子供は同じ学年で楽しくやってくれたらいいねなんて言うことを話したりもした。
そうして、数年たったある日。事故が起きた。
西住の家から整備の出きる人を入れたいということで僕らに白羽の矢が立った。大学で同じ班だったメンバー全員をまとめて雇おうということだった。
それから数年が経過した。
みうちゃんたち二人は読み書きが上手にできるほどに成長して、パパの仕事が見たいと僕らの仕事場に見学に来ていた。いつも二人でいるみうちゃんたちはお気に入りの絵本を片手に見学していた。
そのお気に入りの絵本は班長がみうちゃんにねだられ買い与えたもので、内容は確か、捕らわれの姫様を騎士が助け、自分の体を犠牲にしながらも守るというものだったはずだ。
手が器用なみうちゃんは気に言っている本や人に手作りのしおりを渡す。当然、その本にも挟んであった。
その日修理していたのは、故障が多くなり始めていたもので気が抜けない状況だった。
二人は間近で見たかったようだけど、さすがに危険だということでそれなりの距離を取らせておいたつもりだった。
「これ2か月前に交換したばっかだって言うのに」そんな愚痴が漏れてしまうほど、修理しなければいけない箇所が多かった。
ひとしきり作業を済ませ、ほっと一息ついた時、みうちゃんたちのほうを見る。
みうちゃんは疲れたのかうとうとし始めていて、真理華ちゃんはみうちゃんの絵本を食い入るように読んでいた。
たいした作業も終わったこともあり、みうちゃんたちを家の中に入れようということで、僕が声をかけに近寄った。
その時、後ろで大きな爆発音が聞こえ、振り向きざまに爆風に襲われた。
僕の体はその風になすすべなく運ばれる。地面に叩きつけられた後、二度三度回転する。
どうしてという思いが心を支配していく中、視界の隅に真理華ちゃんが身を挺してみうちゃんをかばっている姿が見受けられた。背中には何かがかすめたのか少しだけ服に血がにじんでいた。
助けようにも僕の体は浮かない上に、意識がどんどん遠のいていくだけだった。
次に目が覚めた時には事故から一週間過ぎていた。
体は重い。上半身を起こすことすらままならない。
みんなはどうなっているだろう。助かったのかな? 大丈夫。きっと生きている。
起きた時はそんな思いでいたが、現実はそんなに優しいものではなかった。
運悪く一人だけ戦車から降りていた僕と離れたところにいたみうちゃんたちだけが助かり、乗っていたほかのみんなは……。
真理華ちゃんは生きていることが不思議なくらいの大けがを負っていて、背中に受けた傷は一生消えることはないということだった。みうちゃんは真理華ちゃんのおかげで無傷だったらしいが、真理華ちゃんが覆いかぶさって何も見えない状態でいたらしく何が燃えているのかすら理解できていないだろうということだった。
なのに、僕は浅い傷しか受けておらず、誰も救ってはいない。
どうして僕だけが……。
真理華ちゃんよりも早く退院した僕は、お葬式等に出席できた。気持ちのはいらない僕に対して、夫を失ったみほさんや華さんはしっかりとしていたが、忙しそうに動き回っていた。
そんな様子を見て、さらにふさぎ込んでいた僕を現実に引っ張り出してくれたのが、麻子さんだった。
葬式が一通り終わった時、真っ先に僕は引っ叩かれた。そして、何も言わずに家に連れて行かれ、不器用ながらご飯を作ってくれた。僕を責めることも、蔑むこともせずに、ただそばにいてくれた。
数年たった今でもみうちゃんはこのことを理解していないだろう。もしかすると、覚えていないのかもしれない。みほさんの計らいなのか、お葬式には来ていなかった。その理由を聞いても、これといった理由を教えてくれず、もし知ってしまったら、真理華ちゃんの負ってしまった傷に責任を感じてしまうだろうという話しかされなかった。
その真理華ちゃんは、傷のせいで、何かと治療を続けているらしいが、どのくらい治っているなどの話は聞いていない。
これは、麻子さんにも言われたことだが、もしみうちゃんたちに何かあった時、親として守ってあげられるのは僕だけ。
それに麻子さんとの間に出来た子だって僕が守らなければいけない。
あと僕だけが、事故のことを払拭していない。忘れようと思っても忘れきれない。立ち直ろうとしても、何かが足を引っ張ってくる。そんな状態が続く。
その間にもみうちゃんたちは成長して、世界大会に出るらしい。
僕も追いつかなければ。そんな焦りもあるけど、頑張って見守っていこう。そして、早く立ち直ろう。
そんなことを思いながら僕は、みうちゃんたちの決勝戦を見守っていた。
よくよく考えてみると
頑張って話を作ったのは1話目しかないなあなんてことを思いつつ上げました
次の話で2つ目の区切り(個人的には3度目だと思う)を付けようかなと思っています
それでは
(@^^)/~~~