妖精騎士とデク   作:緑谷が強いのが大好き

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これから頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします


1話

「私は妖精騎士ガウェインなり、貴様の識るガウェイン卿とは些か姿が異なるが…なに特段気にする事でもなかろう。」

 

この世界は、人口の8割が何らかの特異体質を持って産まれる。

これを人は「個性」と呼んだ。僕にとっても関係ない話ではなかった。

 

僕もいつかは個性が出るのだと思っていた……、現実はそう上手くいかないことを齢4歳で実感した。

結果で言えば僕は何も無かった。父親の火を吹く能力も母親の物を引き寄せる能力も受け継ぐことはなかった。

母は、泣いて謝ってきた。曰く、個性を持って産んであげられなくてごめんなさい…と。

 

この世界には「ヒーロー」というお仕事が出来た。個性を悪用する者を取り締まる、それがヒーローである。良くも悪くも個性が出たことにより只の人、つまり無個性の犯罪者は極端に少なくなった。

ヒーローとは、夢を与え、人を救う、まさに昔コミックでしかなかった存在である。ヒーローは総じて個性を持っていた……、僕もヒーローになりたかったのだ個性を持っていればヒーローになれると、多くの人を助けれるカッコイイヒーローに……現実は非情だ。

 

ヒーローにはなれない。

 

そう言われた気がしたがどこかで諦めたくないと思っていたのだろう。その気持ちをズルズル引き摺りとうとう中学3年生の進路を決めるところまで来てしまった。

 

「俺をこんな没個性共と一緒にするなよ!!」

 

「そりゃないぜカツキー。」

 

クラスの皆は、行きたい場所がヒーロー科なのもあり個性を使って応えていた。カツキを言われた子は僕の幼なじみの「爆豪勝己」個性も派手でとてもヒーロー向きである。

それに比べ僕こと「緑谷出久」は無個性…、天と地の差である。

 

「そういや、爆豪は雄英志望だったな。」

 

「俺は必ずやオールマイトをも超えるヒーローになる!」

 

「緑谷をそういえば雄英だったな!頑張れよ!」

 

この教師には感謝してるが、生徒のプライバシーをそう簡単に公開していいのかと疑問に思う。先生は学校で唯一僕の雄英行きを応援してくれた。

 

「没個性どころか、無個性のデクが雄英だとォ!」

 

「……かっちゃんには関係ないじゃないか…。」

 

「雄英受けるなよナード君」

 

「来世は個性宿ると思って、ワンチャンダイブ!!」

 

自殺を促すような言動をしてるが一応はヒーロー科を志望してる幼なじみを睨む。僕はヒーローへの未練がズルズルとして行く内に「将来の為のヒーローノート」を作っていた。それは現プロヒーローを観察して気付いたこと、思った事を書き殴ったノートだ。それをかっちゃんは、爆破して窓から捨てた…。幼なじみ爆豪勝己の個性は爆破である。

「…こんなこと、しなくてもいいじゃないか…。」

 

1人残された教室で呟く、それは爆破の事なのかノートの事なのかは分からない。その後、捨てられたノートを回収し破れてないかどうかを確かめて家路につく。

 

「Mサイズの隠れミノ…。」

 

どろどろとした物体が僕を呑み込もうとしている。僕は必死にもがくがヘドロなのでビクともしない。

 

「(キツイ!!死んじゃう!…死ぬのかなぁ、何も出来ずに死んじゃうのかなぁ。)」

 

「あと少しで楽になるからねぇ。それまで我慢だよォ。」

 

「(もし、僕に個性があればこんなやつなんて捕まえれるのかなぁ…。ヒーローたすけてよ。)」

 

もう意識も保っていられない、ないものねだり、タラレバ…、人は極限状態になれば本性を表す。

ヒーローは助けてくれない、助けれない、普通は。

 

「もう大丈夫だ少年!!」

 

日本には彼がいる、彼のおかげで敵犯罪は6%に抑えられている。彼の名は、オールマイト。

 

「何故って?…ワタシが来た!!」

 

人は彼を、平和の象徴と呼ぶ。

 

僕は気を失っていたみたいで、起こされた時には目の前に憧れた人が居てまた気を失いかけたが、先程いた敵が見当たらいことに疑問をもっていると。

 

「すまないね少年、遅れてしまった。だが君が頑張ったおかげで敵を捕まえることが出来たよ、ありがとう。」

 

「いっいえ!!僕は何も!オールマイト、サインお願いしますってもうかいてある!!」

 

「HAHAHAHA!なに、君が気を失っている間に描いておいたのさ!では、ワタシはこれでまた液晶の向こうで!」

 

そういうと、足早に去ろうとしていたオールマイトに文字通りしがみついていた。聞きたいことがあった、確かめたいことがあった、一言だけ、その一言を貰えたら決心が着くと思って。

既に、宙を駆けていたオールマイトは無理に剥がすとかえって危ないと判断し近くのビルに着地する。

 

そこで目にしたのは、現No.1ヒーローの弱体化。象徴のゆらぎ。ヒーロー活動の限界。それでもなお立ち向かう心。

緑谷出久は無個性である、だから聴きたかった、無個性でもヒーローになれるかと…。

 

「少年…。今ワタシはこんな状態だ、個性があってもこんなに命懸けなのだ。だから簡単になれるとは言えない。気持ちの問題では無いのだ。」

 

それは、分かっていた。分かっていたはず…なのだ。オールマイトでさえ大怪我をするのだ、無個性の人間じゃ難しいなんて分かりきったことだ。

その後、オールマイトと別れ今度こそ家路についていた。近くで大きな音があったので近づいてみた。未練だ。

 

「(はは…未練しかないじゃないか。まだ諦められなくてヒーローを見ようとしている。)」

 

そこに居たのは先程自分が見た敵であった。

 

「(どっどうして!さっきオールマイトが…そういえばペットボトルがなかった……ぼくのせいだ。)」

 

先程の移動の時に落としていたのだ。落ちて解放された敵が暴れている、自分の軽率な行動が二次被害を生んだと思い至ったが…遅い。

 

無個性の僕のせいで…足を引っ張ることしか出来ないのかなぁ…。

 

「……敵が人質取ってんだとよ。それも強い個性持ちの子だってさ、あれじゃあ近寄れないぁ。」

 

話し声がこちらにも聴こえてきた。子供が耐えているがそれを敵が利用しているらしい。

もう少し耐えれば相性のいい個性が来てくれるはず…。もうちょっとだけ耐えていれば。

ふと、人質の子の顔が見えた。駆け出していた。

周りからは制止の声が聞こえるが無視した。なにか打開案がある訳でもなし、ただ駆けていた。

 

見えたのが、誰でもない幼なじみである爆豪勝己であった。

 

「(なんでなんでなんで!?分からない分からない…けど。)」

「デク!」

 

「自殺志願者か?お前。」

 

「(こっ…こういう時は敵の動きを止める!)」

 

持っていたリュックを投げ付け、中に入っていた物が敵の目に当たる。短い間だがその間にかっちゃんを助けようとかき分ける。

 

「クソデク!お前なんで!」

 

なんで…と聞かれたら分からない。分からないけど…ひとつだけ確かなのが。

 

「君が…助けを求める顔してた、から。」

 

そう、助けを求めていた。ただこれだけで駆け出したのだ。もしかしたら罪滅ぼしだったのかもしれない、自分のせいでこんなことになったから。だが

 

 

「お前も殺してやる!!」

「っ!」

 

 

敵の手が迫る。少しは役に立てただろうか、母親には悪い事をしたなと、幼なじみも巻き込んでごめんと、まるで止まったような世界で1人思う。

 

「君に諭しておいてこの体たらく!プロはいつだって命懸け!」

 

 

オールマイトだった。一瞬の内に爆豪勝己と緑谷出久の元に居た。口からは血が出て体からは煙が出ている。

 

そこからは圧巻であった。

ヘドロから爆豪を引き摺り出し拳ひとつ。

そのひと振りでヘドロ敵を倒し天候を変えた。まさにNo.1

まさに平和の象徴

 

 

緑谷出久はその後プロヒーローから怒られていた、爆豪勝己は反対に褒められていた。その説教は夕方まで続いたので帰るのが遅くなっていた、いつ出来たのか分からない痣が手にあったが気にしていなかった。

 

 

家の近くで萎んだオールマイトに会い聞かされた、君に心を動かされたと、無個性で小心者のキミに…と。

 

 

「そして提案だ少年…ワタシの個性を知ってるかい?パワー系やブーストと誤魔化しているが違う。代々受け継がれてきた力なのだよ。」

 

あまりにも突拍子のない話であった。個性を譲渡する個性、受け継がれてきた個性。名を

 

「ワンフォーオール」

 

 

人から人へ、たくさんの人を守れますように、悪を倒せるようにと願いを込められ継がれてきた思いの結晶。

 

 

「君はあの場の誰よりもヒーローだった。活動限界を言い訳にした私よりもね。」

 

 

泣いていた。あの時から否定されてきた夢を、思いを、今。

 

 

「君は、ヒーローになれる。」

 

 

齢4歳で現実に打ちのめされた少年は、この日自分の運命を変えた。偶然ではなく勝ち取ったのだと。

 

 

「そしてここからが本題だ少年、この力を受け継ぐ気はないかい?出来れば君に受け継いで貰いたいのだが…。」

 

 

決まっている。

 

「よろしく…お願いします。」

 

「即答か…。良いじゃないか!」

 

 

痣が濃くなった気がした

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