俺たちのメリュ子は最強なんだ!   作:アマシロ

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誤爆投稿しちゃったので明日あたり中身が変わるかもしれませんがゆるして……



 


3話:ローマ温泉 レフは二度死ぬ

 

 

 

 

 

 

 

 かぽーん。

 

 

 

 

 

 そんな擬音が似合うそこは、ローマであった。

 首都ローマまで追い込まれた皇帝ネロを襲う軍勢を、割とあっさり倒した自分たち、というかメリュジーヌは礼として歓待するというネロの誘いを受けて。

 そして温泉に入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ。温泉ってどんなものかと思ったけれど――――悪くないね。うん、むしろすごく良い」

 

 

 

 

 

 

 竜の妖精であり、湖の妖精でもある――――メリュジーヌはアルビオン(白い土地の意味)の竜の左腕だけはあるのか、透き通るような白い髪を躊躇なく湯舟に浮かべて、美しい肢体を隠す様子もなく大きく伸びをした。

 

 湯気で視界がはっきりしないとはいえ、さすがに至近距離だとどんな芸術品にも劣らない――――最も美しい妖精の素肌が惜しげもなく晒されていた。

 

 

 

 

「あのさ、メリュ子さんや」

「? どうしたの、マスター?」

 

 

 

「なんで混浴!?」

「え。恋人って一緒にお風呂に入ったりするものでしょう? 良いよね、ハダカの付き合い!」

 

 

 

 

 するり、と近づいてきたかと思うとそのまま腕に抱き着かれ。

 妙に柔らかいしすべすべだし温かいし――――。

 

 

 

 ……馬鹿な。これに耐えるのが人類最後のマスターなのか――――。

 本家藤丸立香ってやっぱおかしいよ…。

 

 

 

 

「メリュ子さん、当たってるんですが……」

「当ててるんだけど。……むしろ褒めて? オーロラみたいに立派ではないかもしれないけれど――――あんまり褒めるところが無くても、マスターの声で聞きたいな」

 

 

 

「それはもうちょっと後の、バレンタインのイベントとかの奴では!?」

「えー。だって今なら他にライバルもいないし……ダメ?」

 

 

 

 

 ぐ、ぐぬぬ………不安そうにするのはちょっとズルんじゃないか!?

 メリュジーヌの良いところなんて山ほどある……あるが! 好きなサーヴァントは誰ですか、と言われればメリュジーヌだが! 

 

 こちとらこんな絶世の美妖精に好かれた経験なんて無いのである。

 

 

 

 

「お、おいおいね…?」

「やだ。今言って」

 

 

 

 

「ぐ――――」

 

 

 

 

 ええい、ままよ――――。

 

 

 

 

「メリュジーヌ」

「うん?」

 

 

 

 

 真っ直ぐメリュジーヌの目を見ながら考える。

 彼女の一番好きなところはどこか――――。

 

 

 

 

「俺は、メリュジーヌの一途なところが好きだよ。オーロラの普段の生き方が君にとってどんなに苦しいものだったとしても、彼女への愛に殉じた。自分の想いを貫き通すために頑張れるところを尊敬してる」

 

「……」

 

 

 

 

「妖精騎士として凛々しくて頼りになるところも好きだし、カッコイイと思う。でも普段は朝が弱くて、寂しいのもダメで、けっこう面倒くさがりなのも可愛いと思う。甘やかしたくなる」

「ちょっ、ちょっと待ってマスター!?」

 

 

 

 

「うん」

 

 

 

 

 言われ、ようやくメリュジーヌが頬を真っ赤にしていることに気づいた。

 ……温泉だからかと思っていたが、普通に照れていたらしい。

 

 

 

 

「もう………。こんなに好きになることなんてないと思っていたのに、上回ってくるなんて……――――でも」

 

 

 

 

 

 正面から抱き着いてきたメリュジーヌは、早鐘を打つ心臓に気づいたのかほんのりと笑みを浮かべて。

 

 

 

 

 

「私は妖精國で愛が報われなくたって構わないなんて強がっていたけれど――――本当は、愛されるってどんな気持ちなのか知りたかった――――…マスターが、教えてくれる?」

 

「メリュジーヌ―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そっと目を閉じるメリュジーヌに、顔を寄せて――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――とぉぉおおぅ!」

 

 

 

 

 

 

 ざっぱああああん!

 

 

 大きな水しぶきとともに、トランジスタグラマーな金髪美女が温泉に飛びこんできた。

 ムードもクソもない展開に、メリュジーヌが硬直している間に全裸仁王立ちで腕組みをしたネロ・クラウディウスが宣言した。

 

 

 

 

「ヴィナスの如き妖精騎士よ―――――余と共に入浴する至上の光栄に浴すがよい!」

「………マスター、あれ、滅ぼしていい?」

 

 

 

 

 強大な魔力と、“境界の竜”としての特性からメリュジーヌの周囲の空間が歪んで見える。が、ネロは風呂の中で抱き合っているこちらを見ると、流石に気まずそうに目を逸らした。

 

 

 

 

 

「なんと!? ………むむむ、この上なく余の好みな美少女であったが……既に決めた相手がいるのであればやむを得ぬか………」

 

「………」

 

 

 

 

「うむ! 余は自らの非を認めることのできる皇帝ゆえ、許せ! その代わりと言っては何だが――――お主たちに余の監修する至上のハネムーンを与えようぞ!」

 

 

 

 

 バーン、と豊満な胸を大胆に披露しつつ宣言する皇帝ネロに、メリュジーヌは少し悩んだ後に頬を膨らませつつこちらの胸元に顔を寄せて来た。

 

 

 

 

「……せっかくのチャンスだったのになー。でもマスター―――楽しみにしてるからね?」

「お、おいおいね……?」

 

 

 

「今晩、楽しみにしてるから」

「…………いやあの、メリュ子さん?」

 

 

 

 

 

 

「初夜か!? 初夜なのか――――!? ならローマでも一等の宿……いや、ローマを救った英雄のために宮殿に部屋を用意し、宴にて祝おうぞ!」

 

 

 

 

「いやあの……メリュジーヌ。ここまだ第二特異点なんだけど……」

「三は海だし嫌。四は霧で風情が無いでしょ、五と六は砂っぽいし、七なんて待ちきれないから」

 

 

 

 

「余は万能の皇帝ゆえ、安心して任せるがよい、異国の魔術師よ! 余の好みの美少女はすご~~く惜しいが、花嫁は幸せでなくてはな!」

 

 

 

 

 

 

 はっはっは! ふふふ。

 動と静、ネロとメリュジーヌは対照的な笑い方であるものの、どちらも凄まじい熱量を秘めていて。

 とても逃げられそうもなかったり。

 

 

 

 

「それはそれとして――――流しっこをしようではないか!」

「うーん。まあマスターの後ならいいけど」

 

 

 

「――――巻き込まれてる!?」

 

 

 

 

 

「うむ! では異国の魔術師よ、お主の花嫁を好きに流すがよいぞ!」

「いや――――」

「え、『いつも頑張ってるメリュ子の背中を流してあげるね』って? ありがとう、マスター! 優しいんだね!」

 

 

 

 

 言ってないが!?

 

 

 

 

「さあ、さあ!」

「マスター、私、竜だから身体が冷えやすいの。流して、その後温めてくれる?」

 

 

 

 

 逃げ場は、ないんですか…?

 

 

 

 

「知らぬのか、ローマ皇帝からは何人も逃れられぬ!」

「じゃあ先にマスターから洗って――――」

 

 

 

 

 

 やってやらああああ!

 こうなったらメリュジーヌが降参するまで褒めて褒めて褒めちぎってやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

―――――どこでケチがついたのか。

 

 

 

 

 レフ・ライノールは遠見の魔術で連合軍を吹き飛ばす蒼い鎧のサーヴァントを見ながら歯を噛みしめた。

 本来であればとっくに時間神殿に戻っているハズが「子どもの使いでさえできないのか」とこんな時代で後始末をするハメになっている。

 

 

 

 

 

「そもそも、なんだというんだ――――アレは!」

 

 

 

 英霊というのは万能の存在などではない。

 バビロニアの英雄王のような規格外でもなければ、高いスペックを維持するにはそれだけの魔力が必要だったり、何かしら不得意なものがあるハズなのだ。

 

 あるいは魔女モルガンのように万能であるが人類の味方になどならない、それこそ反英霊も多い。

 

 

 

 あんな意味不明なサーヴァントを召喚されたばかりに全ての予定が狂った。

 生き残ったのは、レイシフト適性くらいしかない急造の、魔術師未満のマスターでしかないというのに!

 

 

 

 妖精騎士? ランスロット?

 よく分からない上に、明らかに円卓の騎士の範疇に収まりそうもないあの怪物は、カリギュラを一蹴して皇帝ネロを救出するとそのまま勢いでカエサルの智謀も、レオニダスの宝具さえも正面から突破してみせた。

 

 

 

 それこそ、伝説の竜が十把一絡げに英雄たちを蹴散らすように。

 そんなことは、“あの”憎き魔術王でさえできなかっただろうに―――。

 

 

 

 

 

「――――いや、認めよう。確かに奴らは規格外のサーヴァントを召喚した。望外の幸運だろう! だが――――所詮はサーヴァント」

 

 

 

 

 

 聖杯と、この古代ローマそのものを生贄としてローマを滅ぼしたフンヌの大王を召喚する―――。

 

 破壊の大英雄――――アッティラを!

 

 

 

 

 

 

 聖杯が輝く。

 この地を―――この特異点(せかい)を――――破壊する大王を、此処に!

 

 

 

 光が見えた。

 三色の極光――――その中で、レフの意識は一度途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

――――それは、突然だった。

 

 

 

 

 まさにそこに向かって進軍途中だったローマ連合国の首都から立ち上る三色の極光――――メリュジーヌが強すぎてレフが焦ったのか、アルテラが召喚されたのだと察するに余りある状況。

 

 

 

 

 

 

 近づいてくる聖杯の反応。

 白い髪に褐色の肌―――メリュジーヌと似た髪色に、冷静な立ち姿。

 

 アルテラは、聖杯の魔力を得た暴走状態で軍神の剣を構えた。

 

 

 

 

 

「――――私は、破壊である」

「始める―――吹き飛ばされないように、下がっていて」

 

 

 

 

 

 瞬間、超低空飛行で接近したメリュジーヌの振るったアロンダイト――――境界の竜、アルビオンの外皮であるそれが、鞭のようにしなる軍神の剣と打ち合って弾けた。

 

 

 

 

 

「――――フッ! そこだっ!」

「―――ッ! 破壊する―――!」

 

 

 

 

 

 地上のあらゆる存在を破壊するとさえ言われる軍神の剣。

 きわめて不安定なため、数秒で霧散してしまうメリュジーヌのアロンダイト。

 

 ぶつかれば軍神の剣が勝つが――――それゆえに、砕けたアロンダイトが放つ純粋なエネルギーが軍神の剣を弾く。

 

 

 

 サーヴァントとしても高ランクの敏捷を誇るアルテラが軍神の剣を巧みに操ってなんとか距離を離そうと後退しながら攻撃する。が、それは戦闘機を鞭で撃ち落とそうとするが如き無謀で。

 

 

 

 

 

「――――ぐっ」

「ハイアングル――――トランスファー!」

 

 

 

 

 

 

 

 メリュジーヌの一撃、辛うじて軍神の剣の柄で防いだアルテラだったが、弾けたエネルギーまでは相殺しきれず。空中に浮いたその間――――致命的な隙を、メリュジーヌが見逃すはずもなく。

 

 

 

 

「切り裂け――――アロンダイト!」

「命は壊さない―――――その文明を粉砕する! 軍神の剣(フォトン・レイ)!」

 

 

 

 

 

 本来であれば地上で発動するべき宝具。反動を抑えきれずにアルテラ自身も吹き飛び。

 だが、それが辛うじてアルテラの命を救った。

 

 解放され、荒れ狂う、文明を破壊する軍神の光。

 対軍宝具であるそれは、至近距離で放たれればメリュジーヌでも回避は困難。ほぼ自爆のような形ではあり、威力は期待できないものの当たりはする――――はずだった。

 

 

 

 

 アロンダイトを散弾の如くばら撒き、ついでに鞘を回転させることで盾の代わりにしたメリュジーヌは曲芸飛行の如く斜め上方にカッ飛び。

 僅かに掠りこそしたものの、およそ“文明”とは無縁かつ、幻想種でありどちらかというと『この世』より『向こう側』の存在であるメリュジーヌに対する特効にはなり得ない。

 

 

 

 

 回転(バレルロール)して爆炎を吹き飛ばしたメリュジーヌは、そのまま鋭角に切り返すと未だ空中にいるアルテラの背後につけて。

 

 

 

 

 

「令呪を以って命じる――――メリュジーヌのカッコイイところ見てみたい!」

「! ――――任せて、マスター! 真名、偽装展開――――清廉たる湖面、月光を返す―――――! 今は知らず(イノセンス)無垢なる湖光(アロンダイト)!」

 

 

「くっ――――軍神の剣(フォトン・レイ)!」

 

 

 

 

 

 

 聖杯によって魔力が供給されているからこその連続での二発目。

 わざと反動で回転することで背後に向けて放たれた軍神の剣は、本来であればA-ランクの対軍宝具。

 

 Aランクの対人宝具である今は知らず(イノセンス)無垢なる湖光(アロンダイト)よりも攻撃範囲には優れているが、不安定な姿勢で放たれたこともあり激突して僅かに拮抗し――――そのまま令呪に後押しされるように、蒼い輝きが破壊の大王を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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