爆上戦隊ブンブンジャー Out of Misson~冒険者の卵~ 作:ゑりおっと
■知らない人向けの解説
・ボウケンジャーについて
ボウケンジャーもとい変身アイテムであるアクセルラーはサージェス財団のプレシャス回収員の基本装備であるためサージェスが置かれている場所には必然的に置かれている。ボウケンジャー現役の2006年時点でアメリカはボウケンバトラー、アフリカにボウケンファイターなるチームが日本のボウケンジャーを含め4部隊ある。
…と、断言したいが超全集未確認のため児童誌限定設定なのか公式なのか分からん。筆者はリアタイ世代且つ同時に当時てれびくんを購読して貰っていたので、確実に見ている筈だが流石に15年以上前の未就学児の頃に読んで現物のない漫画の内容を全部は覚えておらんのじゃ。
サージェスミュージアム
ここは関東某所にある博物館、サージェスミュージアム。つい先日、所属教授でもある牧野森男氏によるアトランティス大陸にまつわる特別展が開催され、平日にも関わらず盛況であった。
開館から20数年、教科書に載っているような展示品は無いがオカルトや神話に触れたことの在る者であれば垂涎ものの遺物が揃っているこの博物館には裏の顔がある。
「ハイ、ハイ。ではそのように伝えておきますネ!」
金髪碧眼の少女…と見紛うほど若々しい受付の女性は、人混みの中を縫うようにすり抜けスタッフ専用のドアをくぐる。
階段を降り、長い廊下を抜けた先に楕円にコンパスの針が刺さったクレスト…ボウケンジャーの証であるマークが印刷された両引き戸、自動ドアの先に黄色とカーキーを基調とした部屋が現れる。
「
キャップと呼ばれた若い男が、机の立体地図から視線を移し、受付の女性から報告を聴く。
「ありがとうミカ、もしかしたら出発するかもしれない。スーツから冒険装備に着替えるのを勧める」
「久々の戦闘デスね!さくら先輩の分まで腕を振るうデス!」
「しかしブンブンジャー、か…後はアイツの気持ち次第ってところだな」
目を向けた先は、本が積まれた机。その椅子にかかった空色の迷彩柄ジャケットと、机の上にぽつんと置かれたアクセルラー。それを少し立ち止まって眺めた後に、自分のアクセルラーで他の隊員たちに待機命令を下した。
明石市 市街地区
東経135度の街、兵庫県明石市。突如として鳴り響いた轟音に、黒い人型の嵐が舞い込んできた。
あまりにも唐突な襲来。道行く人々は、黒の異形にスマホを向ける。次の瞬間
「▓▓▓▓▓■■▓▓▓■▓▓▓▓!!!」
人間の発音では表記できない、まさに獣の雄叫び。窓ガラスがビリビリと震える声量の次に浴びせられたのは、爆発だった。
異形…ハーキュリーズグルマーの吠え声は、開戦の合図でもあった。そうして並ならぬ音に驚き逃げようと走る建物内の群衆を見て、それに向かって右腕の砲塔から弾を発射した。
崩れるガラス、上がる悲鳴。そうして生み出されたオレンジ色の靄、ギャーソリンが苦魔獣の機能に従って回収される。
「派手にやるなぁ」
「怪我人無しの超精密射撃をやってるの凄いわね」
「カー」
野を駆け山を越え、蔦で結ばれ俵担ぎでここまで僅か2,3分で連れてこられたサンシータは、心ここにあらずといった様子で、ギャーソリン集めに勤しんでいる苦魔獣を眺めていた。
「特訓だし、」
「ネジレッター」
「「「ネジャー!!」」」
「ゴー。」「いい感じに脅してこーい。」
「えっ…」「あの…どうしました?」
普段は雄叫びをあげ、民衆の悲鳴をあの手この手で絞ろうとする彼らが珍しく人語を話す程に、彼らの無気力さには拍子抜けしたようだ。
「あ?…ああ、気にしないでくれ」
「わたしたち、つかれちゃったの」
「カー…」
「は、はぁ」
お約束とは何なのか。
「いい感じにアイツの補佐をしてくれ、じゃ」
「がんばってねー」
「カー」
ヤイヤイヤルカーに至ってはカラスと変わらない鳴き声しか上げないラジコンカーと化していた。正直彼らは限界だった。
(((死ーン…)))
ネジレッタが戸惑いながらも駆け出したのを見届けたサンシータ達は、淡々と暴風で倒れたベンチと椅子一組を立て直しそれに突っ伏す。
彼らは燃え尽きたのだ、真っ白に。
「着いた、が…一足遅かった……!」
「ひどい…!」
ブンブンオフロードで山を越え、街に着いた6人が目にした光景は瓦礫の山だった。
「大丈夫ですか!」
「返事を!」
瓦礫に紛れて倒れている人々に錠と渚は駆け寄る。
「うぅ…」
「痛いよぉ…」
「…ぱぱ?」
瓦礫に当たり頭から血を流す人、目立った外傷は無くても腹を庇いながら蹲る人、倒れている父親を呆然と見つめている子ども。
全部、私が変なことを思いつかなかったら…
怪我人達を担ぎながら、渚は自分の言動の結果を噛み締めていた。
「こりゃヒデェ…お前ら、一先ず瓦礫撤去に当たるぞ!」
「「ウッス!姉貴!」」
「助かります、怪我人はあちらの方にまとめておきましょう!」
錠さんは、筋骨隆々な紺色の作業つなぎを着た男女達と共に瓦礫撤去と人命救助に取り掛かる。
「そこの家具屋、全部買うからすぐにマットレスを用意してくれ!」
「は、はい?!」
みんなが動いている、こんなネガティブなことは考えているときじゃない…!しかし、今どこかで聞いたような声があったような…?
「あ、青子さん…?」
「ん…?渚じゃねェか!3ヶ月もどこほっつき歩いてたんだよ!?」
褐色に焼けた肌にサージェス印のメットを被っている快闊な女性は、話しかけてきた相手に目を見開き、駆け寄った。
「………」
「有無も言わずにサージェス飛び出して音信不通。私用のスマホにも出ねぇ。色々言いたいことはあるが…息災で何よりだ、渚。みんなも、先輩達も、心配だったんだからな」
「はい…迷惑かけて、ごめん、なさい…」
言葉の詰まる彼女を、青子は何も言わず強く抱きしめる。
「…これだけ暴れれば多分あいつらもそのうち来る。アタシのアクセルラーは非番だから本部に置きっぱ。今は、手ぇ貸せ」
「勿論です!……でも、ええっと………」
考える。相手はかのギリシャの大英雄の特性を持っていた。もし
ある程度ダウングレードされている。それも初見の…
「っ!これなら…!」
「何か分かったのか!」
難しそうな顔から一転、答えにたどり着いた様子に青子が声を掛ける
「はい、運び屋の皆さんを呼び戻しましょう。これなら、行けます!」
♢
???
『これなら、行けます!』
ブンブンジャーと、依頼者を上から覗く者達が3人。ビルの窓の、ハーキュリーズグルマーによって壊されていない場所で、3人はカメラとスピーカー越しに仲間を見守る。
「さて、ナギちゃんと青子さんも動いたし、このまま続行で」
「…やっぱり駄目デスヨ、こんな覗き見みたいな…」
「ハザードレベル100超えのプレシャス反応があったもののまさか、な。」
『先輩?駅の方に仮称「苦魔獣ハーキュリー」来ていますが、どうします』
「んー…偵察状態を解除して、そろそろ僕らも、動けるように準備。」
3人で見られるタブレットのような端末を仕舞い、黒髪の、3人の中で年長の男がスコープの目視に切り替える。
~CM1
市街地 駅前
「……一定量のギャーソリンは回収した。後はこのままキャノンボーグ様に…と。来たか」
人口密度の高い鉄道駅のビルを粗方破壊しつくしたハーキュリーズグルマーだったが、背後から迫る7つ、こちらを
「待っていたぞ、ブンブンジャー」
「おうおう、アタシらは頭数に入っていないってか」
渚の同僚、青子が苦魔獣を睨みつける
「わ、私は文字通り今は何も出来ませんが…彼らの依頼人なのでっ!それに、保管庫から逃げ出した収蔵品はきっちり戻ってもらいませんと!」
「…相わかった、そこな二人も私に立ち向かうとなるならば、容赦はせん」
「…皆さん、手筈通りに!」
「十二回の英雄殺し…その再現…!」
ごう、と突風が吹き付ける。悲鳴を裡に溜め込んだ怪異の重圧は嘗てのハシラグルマーの時とは比にもならない。闘気で風を起こすのは、プレシャスの力か。7人は事前にプレシャスの情報と英雄ヘラクレスの伝承から、ハーキュリーズグルマーの倒し方の目処が付いた。が、それでも力量に差のある相手を十二回も倒さなければならないことが、以下に困難かは言うまでもないだろう。
それに、と思考を巡らせているブンブンジャー一行をよそに、ハーキュリーズグルマーは続ける。
「覗き見を決め込むのであれば、貴様らから先に片す」
ぎろり、と視線を7人の後方に向ける苦魔獣。片足で抉り、蹴り上げたコンクリートを石剣のアンダースイングで殴り飛ばす。
ビルの中腹に突き刺さらんと飛翔する石の塊は、真っ二つに切られ、続く光二閃によって粉々に砕けた。
目の前で繰り広げられた攻防に唖然としている戦隊5人と依頼人、そして何故か「やれやれ」と言わんばかりの呆れと喜びを交えた顔をした青子。
「あの、青子さん、あれ」
「まあ来るよなぁ、というかアタシも作業中に連絡きてたし」
「ばっ…何で黙っていたんです!」
「そらぁ……サプライズってやつ?」
ウインクをし、渚の懐に視線を向ける。すると狙ったタイミングでプルル、と渚のスマホに非通知の電話がかかる。
「…はい、もしもし」
『やっほ~ナギちゃん。元気してる?』
「見えているのに白々しいですよ……蒼汰さん」
『休暇届も出さずに出てっちゃったのは…まあしょうが無いよ、若いしそういうこともある。でもこうなったときには頼ってほしかったなぁ』
「それは…その、ごめんなさ」
『ハイハイそこまでデース!ナギサ、今そっち行きマス!とうっ!』
ぶつりと通信が途絶え、ビルから3つ、別の建物の屋上から2つの計5つの影が飛び降りる。
7人と1体の間に挟まったのは、カーキー色に色とりどりの迷彩柄…一人は銀色にオレンジと黒の差し色が入った派手なものだったが…を着た若者三人と、貫禄のある戦士二人。
「ミカに橙矢くん…映士さんにキャップ!」
「助太刀参上、デス!」
「世話の焼けるお転婆だこと…元気してたか?」
「………黙ってなんかするの、お前の悪い癖だ。」
ブロンドヘアーに快活な片言な日本語を話すミカエラ・ティニーに、切っ先が未だに赤熱したサガスナイパーを片手に持つ高丘映士、黒髪に髪色を変えた最上蒼汰と、呆れたように目を細める原
この場に集まることの出来た、渚の仲間である、サージェスの秘密部隊が集結していた。
「積もる話は色々あるけど…こいつが要るんじゃないか?」
虹大が渚に向かって何かを投げ渡す。
「これは…え?だって、私研修中に…!」
「不合格だと思ったか?残念、そもそもあそこに集められた時点でほぼ内定みたいなもんだったんだよ、あのテスト」
「えー!!」
手汗が付かないようにと彼が配慮したのだろう厚手のビニールに包まれていたのは、彼らと同じカーキーに、渚のパーソナルカラーである水色の迷彩柄が入ったジャケットと、携帯型の端末アクセルラー。背に書かれた「
「元は映士が見つけてきたんだよね?」
「まあ、高丘流以外にも破魔の家系があるのは風の噂で聞いていたが、まさかあん時のちびっ子と爺さんがそうだったとはなぁ…」
「ウチっ…私の採用理由ってそうだったんですか!?」
「あーキャップ、アタシのアクセルラーって…」
「ああ、非番とはいえ勝手にサロンに置いていかないでくれよ
「悪かったって…」
「……なんだろう、話についていけない」
目の前で繰り広げられる談合に、未来が愚痴をこぼす
「でも…渚さん、顔が明るいです」
「思わぬ再会、これも不思議な巡り合わせだねぇ」
「あぁ、一先ず依頼人の心を、居場所に届けられたってことで」
どこか伏し目がちだった依頼人の明るい顔を見られ、つられて微笑む桃黒橙だったが
「だが、まだ依頼は完了してない。あいつを倒さない事にはな」
射士郎が腕のチェンジャーを外し、臨戦体制に入る。他の四人も、話を止め苦魔獣に向き合う。
「お、張り切ってるねぇシャーシロくん?」
「!?」
いつの間にか横に居た蒼汰に意表を突かれた射士郎。肩に置かれた手を避けようとするも、離れない
「おっと…同業ってところかな?大分筋が良い」
「……お噂はかねがね聞かせていただいてます」
「情報は抹消した筈なんだけどねぇ、噂までは止められなかったか」
パッと手を離し、横に並ぶ。そうして続く五人のいや、七人の冒険者達。
「渚ちゃんはこっちネー」
ミカエラに手を引かれ、大也の隣に立たされる渚。リクルートスーツでも、登山服でもない、サージェスのジャケットに袖を通した彼女は、追われて逃げてきた人生の中で一番凛々しく見えた。
「ブンブンジャーの皆さん、依頼の追加、お願いできますか?」
「ああ、言ってみな。」
「あいつを一緒に、倒してください!」
「「「「「オーライ!」」」」」
「アイツは手数が多ければそれだけ攻略も容易くなる。こちらからも協力頼んだぞ!」
「……それは良いんですけど、何もして来ないですねアイツ。」
錠が指差すのは、石剣を地面に突き立て静観をする苦魔獣。
「貴様らが戦仕立てをするまでは待つ。ギャーソリンも集まらぬ今、私はただ目の前の戦に専念するのみ」
「変なヤツ…元の持ち主の影響も或るのかねぇアレ」
映士がポリポリと頭を掻く中、左翼では片手に収まるメーターが映るデバイスを掲げ、右翼では腕のホルスターから携帯端末を抜く動作と、一人だけは腕の端末を掲げる動作が連なる。
「行くぞ、みんな!」
「レディ!」
「ブンブンチェンジ!」
「ボウケンジャー、スタートアップ!」
5つのタイヤが、6つのフロントライトが神戸の街を滅茶苦茶にした下手人の方を向く。
「敢えて聞こう!貴殿らは何者だ!」
「ブーン、レッド!」
「ブーン、ブルー!」
「ブーン、ピンク!」
「ブーン、ブラック!」
「ブーン、オレンジ…!」
「気分ブンブン、ブン回せ!」
「爆上戦隊、ブンブンジャー!」
「じゃあこっちも…!」「遠慮なく!」
「高き冒険者、ボウケンブルー!」
「眩き冒険者、ボウケンシルバー!」
「広き冒険者、ボウケンピンク!」
「天駆けき冒険者、ボウケンクリムゾン!」
「鋭き冒険者…ボウケン、オレンジ!」
「猛き冒険者、ボウケンネイビー!」
「巧き冒険者、ボウケンシアン!」
「果てなき冒険スピリッツ!」
「轟轟戦隊、ボウケンジャー!」
「「さぁて…」」
「バク上げて行くぜ!」
「アタック!」
昭和戦隊を見ていると、敵側が「何者だ!」と聞かれそれに応える形で名乗っている時代劇スタイルを取っているんですね。平成になってくるとこの敵側のアクションを省いちゃうから「なんでわざわざ敵の前で名乗るん…?」という疑問が浮かぶとかなんとか
□オリキャラ/オリ展開紹介
◯ミカエラ・ティニー
サージェスアメリカ支部から派遣された日本大好きメリケン娘。産休&育児で活動の頻度が減ってしまうさくらの後継として二代目ボウケンピンクを務める。日本人とのクォーターであり、10代後半にしか見えない童顔。同じ受付をしていた渚とも良好な関係。なお、子ども達がある程度成長したところでさくらは職場復帰。常駐防衛とプレシャス回収の実働任務をサイクルで回している。
◯有馬虹大
ボウケンジャー第二隊隊長。時系列にしてゴーカイジャー以降、時期的にはニンニンジャー~ジュウオウジャーの活動期間中に明石と出会いサージェスの学芸員となったボウケンレッドのファンボーイで、7番目の戦士。サージェス解散の危機に陥った10 years after的なイベントにて、組織決壊を未然に防いだ功績から当時最先端のボウケンスーツを受領。スカイフォースとSGSの共同開発によって産み出された、単身飛行が可能なボウケンクリムゾンに変身し、明石に任せられた第二隊を率いる、ちょっと前作主人公味を醸す青年。
◯原橙矢
第二隊最年少のボウケンオレンジ。クエスターの破壊活動の余波で両親を殺されており、一時期サイレンビルダーもといボウケンジャーをひどく憎んでいた時期があり、同じ組織・ネガティブと遭遇していながら渚とはまるで正反対の人生体験をしている。渚との出会いによって「よくよく考えたらクエスターの方よな」と考えるようになった。ジャケットを肩掛けし、ダボッとしたズボンにソフトリーゼントというオラついたファッションをしているが、口数は少なくかなり頭が良い。
◯伊東青子
通称第二隊の姐さん、ボウケンネイビー。工事現場監督の姉御肌。発掘現場の足場建設等でサージェスと関わりを持ち、蒼太のナンパをきっかけにチーム入り。第二隊はその役割から普段ボウケンジャーとは別の役職を割り当てられている。彼女の場合はサージェス財団の建設現場。
▽ボウケンジャー第二隊
プレシャス捜索範囲を宇宙にまで広げた上、月日を経て6人が揃うタイミングが激減した様子を見たミスターボイス(レオナさんにじゅうXさい)がまたリュウオーンみたいに保管庫を襲撃する存在の危惧を建前に「ゴーゴービークルは10機もあるんだし、もう5人追加で」と発案された新たなレンジャー隊。メンバーの選定は6人と牧野博士によって行われた。
それぞれの内訳としては
・虹大(クリムゾン)←明石
・渚(シアン)←映士
・橙矢(オレンジ)←菜月&真墨
・ミカ(ピンク2)←さくら
・グリーン←牧野
・青子(ネイビー)←蒼汰
実際、ネガティブが根絶されたわけでもなく増えたり減ったりを続け、同じ戦隊ですらプレシャス(判定を受けたルパンコレクション)を狙ってくる快盗がいたためこの試みは現状良い方向に向かっている。
名前が出ていない人は最終回の後書きにて。