東方Project二次創作短編集 作:dwwyakata@2024
※この話は時系列的に、前の話……「妖精の素顔」の前の内容となります。
ルーミアがあの話で見せていたもう一つの顔は、この作品でどういうものか具体的に明らかになります。
ふよふよと浮きながら、ルーミアは地底への穴へ降りていく。
幻想郷から地底へ行く方法は幾つかあるが、今回ルーミアは妖怪の山にある、直通路を利用する事にした。
目的は覚えているが。
それ以外は雑念だらけでぼんやりである。
ただ、地底に近付くにつれ。
闇の力が濃くなってきているのも分かって、ルーミアはきゃっきゃっと黄色い声を上げて、ふよふよ揺れながら飛んだ。
住処にいる時と、外で自分が別物である事は。
ルーミアも外にいる時であってもうっすら自覚している。
そして本来の力は、絶対に外では「仕事以外で」使わない事も、自分に課している。
これは強烈な自己暗示によるものだが。
逆に言うと、自分が意図してバカになっていることを。
バカになっている状況でも、理解はしている。
ほどなく深い深い穴を抜け。空洞にでる。
強力な妖怪や。
地上から追放された妖怪がひしめく、幻想郷のスラム。「地底」に出たのだ。
此処には人間を喰らったり殺したりする本能を抑えきれずに、封印措置を施された妖怪や。
昔は妖怪の山を支配していた鬼達。
古い時代には地獄と呼ばれていた場所などがあり。
文字通りのカオスが形成されている。
支配しているのはサトリの妖怪姉妹だが。それもおおざっぱな支配であって、完全に管理は出来ていない。
幻想郷に逃げ込んで消滅を免れたはいいが。
窮屈なルールに耐えきれなくなった妖怪が逃げ込む場所としての側面もあるし。
古い時代の地獄に住んでいた妖怪達が、新しい住処としている受け皿としての側面もある。
勿論地上に対しては絶対に不干渉。
これを守れない場合には、地底の管理を任されているサトリの妖怪姉妹からきつい仕置きがあるし。
場合によってはもっと恐ろしい存在が動く。
幻想郷の賢者だったらまだ良い方で。
その気になれば幻想郷を単独で蹂躙できるような、もっと高位の存在が直接出向く場合もある。
スラムだからと言って何をしても許されるわけではない。スラムにも法はあるのだ。
「血の臭い、混沌の臭い、心地よいのだー」
満面の笑みで、雑多な妖怪達の住宅街の上を飛ぶルーミア。
目的地点は分かっている。
本来の状態ではなく、頭も極端に悪くなっているとは言え、それでも最低限の記憶はきっちり頭の中にある。
目指すは、地底の端。
たまに、妖怪が此方を見ているのを感じるが。
殆どは仕掛けてくる様子も無かった。
これは地底に行くたび毎回。ルーミアから大した力を感じないことが原因だろう。
だが、それでも仕掛けてくる妖怪もいる。
例えばつるべ落としの妖怪であるキスメ。
桶に入った女の子のような姿をしている妖怪だが。
非常に強烈な殺人衝動をもつ妖怪で、勿論人も食う。そればかりか、無差別に首狩りまでする。好戦性も凄まじく、見かけた相手には格上でも突っかかっていく。
そんな危険妖怪なので、幻想郷が出来て間もない頃に地底に封印処置された。
地底でも非常に好戦的な行動を隠さず。
手当たり次第に相手に襲いかかるため、ある意味鬼などの強力な妖怪よりも、注意しなければならない相手である。
だが今日はキスメの気配はない。何処かに出かけているのかも知れない。
ふよふよと浮かびながら、徐々に高度を落としていき。
ほどなく着地。
汚れきった路地。
見るからに好戦的な妖怪の数々。
そんな中、瓢箪をぶら下げ。大きな角を頭の左右に生やした人間の子供のような姿の妖怪が、酔っ払いながら此方に歩いて来た。
元山の四天王。伊吹萃香だ。
見かけはルーミアと同じくらいの年に見えるが、山を昔支配していた事から分かるように、最強の妖怪である鬼。
しかも外の世界では、最強の鬼として伝承に知られる酒呑童子の今の姿である。
流石に萃香に喧嘩を売る気にはならないのか、さっと妖怪達が引く。
笑みを浮かべているルーミアに、萃香は酔眼を向けた。
「よーお、久しぶりだな……と言いたいが、「そっち」じゃ無いか」
「萃香、この間会ったばかりなのだー」
「そうだったそうだった。 また「もう一人」と飲みたいもんだが、そうもいかないんだよなあ、うへへ」
「何のことなのだ-?」
何でも無い、というと。
萃香は視線だけで、集まって来ている妖怪達を追い払い。ついて来るように促す。
千鳥足で、強烈な酒の臭いをまき散らしているが。
これでも日本妖怪の中でもトップメジャーの一人。
幻想郷に居を移した今でも実力は衰えておらず。その身体能力は凄まじい。名と姿こそ変わったし、所詮人間に退治された鬼とは言え、その力は幻想郷屈指だ。
ただ、今はもう流石に人食いはしていない。
ある意味、萃香も同じようなものなのかも知れない。バカになることを選んだルーミアと。
「もう少し先だ。 ういっく、飲むか?」
「今日はお仕事だから、また後にするのだ」
「そうかそうか。 真面目なこったな。 私はもう山の管理がアホらしくなったし、真面目に働いている奴を見ると尊敬するよ」
「そうなのか?」
そうなんだよと、瓢箪を口につけて、ぐっと酒を呷る萃香。
鬼は凄まじい酒豪揃いだが。
幼い子供のように見えても、萃香はその長。
当然酒量は凄まじい。
文字通りのうわばみである。
蛇の妖怪、という意味では無い。底なしに酒を飲む、という意味でだ。
ほどなく、目的地に着く。
其処には、文字通りの悪夢があった。何をすれば良いかは、はっきり分かる。
「すぐにやるのだー!」
「そっか。 じゃあ、周囲には誰も近づけないようにしておくから、さっさとやってくれな」
「萃香は遊んでいかないのか-?」
「私は、遠慮しておく。 ……そいつとは、古い知り合いなんでな」
酔眼の中に、一瞬だけ苛烈な光が宿ったが。ルーミアもそれは気にしない。
そして、目の前のものを見上げる。
山のような無惨な存在感を放つ残骸。
とはいっても、言葉通りの意味では無い。
肉塊が蠢き、塊となって意味のない言葉を発し続けている。赤黒いその肉塊は所々脈打ち、血や膿が噴き出し。
そしてそこら中に人間やら動物やらの顔が浮かんでいて。
内臓やら手足やらも、無差別に生えていた。
小首をかしげたルーミアだが。
やがて満面の笑みで、その残骸に触る。
凄まじい妖気を発している、妖怪の成れの果てに。
膨大な思考が流れ込んでくる。
妖怪は本質的には、肉の体を持っていてもれっきとした精神生命体だ。
死ぬときも、体が壊れたときではなく。
心が壊れたとき。
だからこそ、その存在が失伝してしまった場合。おかしな方向にねじ曲がると、こういうもはや何が何だか分からないものへと変わり果ててしまう。
無邪気な笑みのまま、ルーミアは語りかける。
一緒にバカになるのだ。
考えすぎて苦しくなったり、形を無くしてしまうくらいなら。
バカになって、何も考えずに漂っている方が良いのだ。
それとも、そんな姿のまま、暴走した思考に浮かんでいる方がいいのか。そんな姿では、生きているとは言えないのだ。
じっくり丁寧に語りかけていくと。やがて肉塊は、収縮と蠕動を始め。徐々に、ヒトの形を取っていった。
数時間ほど、掛かっただろうか。
その肉塊は、いつの間にか。ルーミアと同じくらいの背丈の。子供の姿をした何かになっていた。
「あれー? ここどこー?」
「幻想郷の地底なのだー」
「げんそうきょう? ちてい?」
「……後は私が案内する。 しっかり知識がついて様子が落ち着いたら、幻想郷に行かせるよ。 こんな気の良さそうな奴が地底にいるのも何だしな」
萃香が来ていた。いつの間にか、酔いも冷めたようだった。
傍らには、鬼が何人かいる。
つまり、この何者かは、鬼か、或いはそれに近い存在だったのだろう。
ルーミアは、いつの間にか凄く疲れている事に気付いたけれど。いずれにしても、萃香はこの子の古い知り合いだと言っていた。
薄らぼんやりと分かる。
鬼の目にも涙。
萃香は結構本気で悲しんでいる。
嘘を萃香がつけないことも、ルーミアは知っていた。
だから、好きなように。
後は任せる事にする。バカになっていても、それくらいの配慮は出来る。
地底を去る。
今までとは打って変わって、無邪気な笑顔になった新しい妖怪が。
何も考えていない様子で、またねーと、ルーミアに手を振り続けていた。
疲れ果てているので、帰り道に友達としてよく遊んでいる妖怪に会っても。遊びは断って、そのまま帰った。
本当に疲れるとおなかも空かなくなる。
くいしんぼうな妖怪だと思われているルーミアだけれども。
実際には見た目相応の食欲で。
あまり大量の食事は必要としない。
それに隠れ家に必要な分の食事はいつも蓄えてある。
だからそれを食べて凌げば良い。
勿論蓄えてある食事は、人肉などでは無い。
疲れたときには甘いものが一番。子供舌なのではなくて、単純に疲れを取るための甘いものだ。
洞窟に戻ってくると。
ラムネの包み紙をほどいて、口に入れる。
しばらく黙々としていると。
紫が姿を見せた。
「お疲れ様。 あの子も解放されたようで何よりだわ」
「こんな救いしか私には出来ないから、そうしただけだ」
「それで良いのよ」
「……」
バカになる、か。
妖怪の中には、伝承すら消滅し、自分の正体が分からなくなってしまう者がいる。
幻想郷でもカバーしきれなくなった場合。
ああいう暴走状態に陥ってしまう。
思考の暴走は妖怪としては致命的なのだ。精神生命体である以上、肉体よりもむしろ精神が本体なのだから。
思考、何より精神が暴走すれば、肉体は当然のようにその影響を受ける。
人型を維持できなくなるとそれは完全な危険信号。
最終的にはさっきバカに生まれ変わった妖怪のように。肉塊になって、もはや何者ですらない存在へと化してしまう。
危険では無いが、そうなってしまうともう事実上終わりだ。記憶どころか、完全に存在がクラッシュしたも同然。ルーミアの手を介さないと元に戻ることもまず出来ない。
恐らく、古くもこういった事例はあった筈だ。
むしろ、妖怪への畏怖が徹底的に薄れた明治の頃。
幻想郷に博麗大結界が張られた頃には、逃げ込み損ねた妖怪が。
消滅したり、或いはあのような哀れな姿になって。
そのまま、専門の退治屋や神々に焼き払われていったのではあるまいか。
そんな哀れな状態になった妖怪を救うには。
幻想郷にたくさんいる、何だかよく分からない妖怪になってしまう事。
それしかない。
ルーミアの場合は、精神を単純化して、バカになる事を選んだ。そうしないと、そもそも形を保てなかったからだ。選んだと言うべきなのだろうか。偶然だったのだろうか。それさえも分からない。
古くに、ルーミアは。あの肉体暴走状態から、自力で立ち直った事がある。
その影響からか。闇の深い所と、そうではない所で、まるで人格が別物となってしまった。
ただし馬鹿になっている時でも。何となくそれについては覚えているし。
自分が助かった方法を、相手に伝えることは出来る。
だからこそに、幻想郷の賢者がわざわざ足を運びに来る程なのだ。
強い妖怪だろうが弱い妖怪だろうが関係無い。
これは妖怪にとっての癌のようなもので。
最悪の意味でのロジックエラーを起こしてしまうと、どんな妖怪でもなってしまう一種の病なのだ。
そして病を治すことには右に出る者がいない事で知られる永遠亭の月人さえも、これだけは対処不能。だからルーミアが出るしか無い。
「経験者」で、「唯一の生還者」だから、である。
「バカになる事が救いってのは、今も本当にそうなのか疑問に感じる。 だが、そうするしか救う道が無い。 何とかならないのか幻想郷の賢者」
「そもそも貴方が例外中の例外なのよ。 ああなってしまった妖怪は、本来はどうにもならない」
「……」
「外ではまともに話も出来ないけれど。 敢えて外では、難しい事を考えないようにして、自分のストレスを押さえ込むように貴方は進化……いや変化したのでしょう。 これからも、きっと同じような状態になる妖怪は出る筈だから、その時はよろしくね」
賢者は隙間に消える。
ルーミアは甘いチョコの菓子を口に入れる。外の世界で売られている高級品だ。紫はルーミアの仕事を考えて、こういうものを特別に仕入れてくれる。
チョコは実のところ大嫌いなのだけれど。
栄養価は高いし、何より甘く思考に優しいので。口にせざるを得ない。
後は、横になって眠るだけだ。
外で眠る事もあるが。
仕事をした後は、こうやって本来の自分で眠り。自分でバカにした妖怪の事を悼むようにしている。
彼処までの極端な変化は。
精神生命体である妖怪に対して、ある意味の死に等しい。
そしてルーミアが特例中の特例であり。
対処策を持っている事は、幻想郷でもごく一部の妖怪と人間しか知らない。
あの妖怪に対して毒舌をまき散らす稗田阿求ですら、これは幻想郷の賢者に知らされていないのだ。
それだけのトップシークレットだと言う事である。
そしてルーミアは外に出たときも。
フラフラ遊んで廻りながら。
「壊れそうになっている」妖怪がいないか、自主的に見張って回っている。
普段連んでいる仲間の中には。
昔、ルーミアがバカにした者も混じっている。
この姿になってから。
昔とは比較にならないほど力が衰えた。
だから、疲れに抗えない。
目がとても重くなってきたので、そのまま眠る事にする。
眠っているとき、無邪気な笑顔で眠れているだろうか。
多分外ではそうだろう。
だけれど、この中ではどうなのだろうか。
自分が眠っているとき、どんな様子かは、流石に分からない。
だけれども、きっとうなされているのでは無いだろうか。
昔は今に比べて力も強かったし。
何より「壊れた」時の悲しい記憶もしっかり残っている。
ルーミアはバカにならなければ、やっていけない。またきっと壊れてしまうだろう。
目が覚める。
案の定、目元には涙の跡があった。
乱暴に拭うと。
外に出る。
しばらくは、無心になって遊ぶだけだ。
いつも遊ぶ頭の悪い妖怪達が、ルーミアを見つけると手を振って来た。
手を振り返して、ルーミアは何の邪気も無い笑顔を浮かべる。
「みんな、お揃いなのだー」
「チルノちゃんがかき氷作るんだって」
「今の時期になのか?」
「今の時期だからいいんだよ」
大妖精と呼ばれる上位妖精に対し、胸を張って自慢げにするチルノ。
かき氷は大好きだ。
「ルーミアは今起きて来たところ?」
「そうだよ。 何だか凄く疲れて、ぐっすりだったのだー」
「あははー、あたいと違って悩みが無くてよさそう」
「チルノちゃん、昨日もぐっすりだったじゃない」
何だか一瞬ぞくりとする言葉が放たれた気がするが。
とにかく気にしないでおく。
良識的に見える大妖精が、時々チルノに異常な執着を見せるのは、ルーミアも知っていたし。
バカなりにその心の危険要素を避ける方法も分かっていた。
「それより、かき氷作るなら、すぐに作るのだー」
「おう、あたいに任せろ。 これをこうして……」
「やだチルノちゃん、そんなに凍らせて、全部食べるの?」
「食べきれない分は溶かせばいいんだ」
チルノは常識外の力を持つ氷の妖精だから、巨大な氷柱を作り出す事も出来る。
今チルノが簡単に作り出して見せたのも、そんな巨大な氷の塊だった。
前に比べて、チルノはとても力が強くなっている。
それもここ最近、特に力が増しているようだ。
これはチルノが「妖精」でいられ続ける日々も、近いうちに終わるかも知れない。
そして妖怪になった妖精は。
今までと勝手が違うため、壊れてしまう事がままある。
チルノが不幸なことにならない事を祈るしか無い。
ぼんやりと、そんな事がルーミアの頭の中を流れるけれども。
それも漠然と。
断片的に、だ。
外にいる時は、難しい事は、あまり考えられないのである。この体の構造的な問題で、である。
「かき氷の早食い競争しよう!」
「私は遠慮しとく。 ルーミアちゃんは?」
「私はかき氷大好きなのだー」
「それなら勝負だ!」
わいわいと、作りすぎたかき氷を片っ端から食べ始める。
無邪気な宴が続く。
だが、どんな無邪気な良い奴だって。いつまでもそうとは限らない。
子供は大人になり。
大人は老人になる。
妖怪でさえ不変の存在ではない。神々ですらいずれは滅びる。
この世に変わらないものなんてない。
ルーミアは目をふさぐことを選んだ。
もうこれ以上進まないことを願った。
それは思考を放棄することだった。
この何も考えない世界に逃げ込むことで、何とか己の存在をつなぎ止めることに成功した。
数少ない成功例なのだ。
チルノはやはり氷精。
どれだけかき氷を食べても平気だ。
きゃっきゃっと喜びながら、ルーミアは負けを認める。別に負けても悔しくない。チルノは強さにこだわるけれど、それは飢えた獣のような渇望では無くて、無邪気で相手に悪意を抱かせない。
別の遊びを大妖精が提案する。
楽しく享楽的な日々。
だけれども、こんな平穏な日がいつまでも続くはずは無い。
上位妖精である大妖精だって、いずれは妖精では無い、もっと高位の存在になるだろうし。その時は神になるか妖怪になるかは分からないが。いずれにしても今のままではいられない。
チルノは更にその時が近い。既にチルノの力は目に余るほど強すぎるのだ。チルノ自身が気付いていないだけで、もう致命的な変化は始まっているかも知れない。
そしてチルノのように本当に何も考えていない妖精は、妖怪になってから、悲惨な運命を辿ることが多い。
そうならないといいのだけれど。
心の何処かで。外のルーミア自身も自覚できないほど微弱に。そんな思考が流れ続けていた。
まるで、実例を知っているように。
ああ、違う。
実例を知っているから、何処かで哀しみを覚えているのだろう。
今日は、後は思い切り遊ぶことにする。
多分大妖精も気付いている。
チルノが近々不幸なことになるかも知れないことに。
此奴はそこそこ頭が回るから、自分に何か起きたときには、覚悟は出来ているだろう。或いは、チルノが何かあった時に備えて、色々準備を既にしているかも知れない。
ルーミアには見守る事しか出来ない。
外では、バカのままなのだから。
そして、無力であることも選んだのだ。その選択を、今更ねじ曲げるわけにもいかなかった。
夜までがっつり遊んで、それぞれ帰る事にする。
ふとルーミアは、涙が頬を伝っていることに気付いた。
うっすらとしか、その理由は分からなかった。
もしも強い事が。力がある事が。知恵がある事が。負担になったのなら。
それらを捨ててしまうことがあったのなら。
そういう物語です。
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