東方Project二次創作短編集 作:dwwyakata@2024
此処からはあくまで予知の内容です。
射命丸がおぜうに口外無用を条件の一つに出したのは、射命丸の目論んでいる楽しい悪巧みが、かなり洒落にならない代物だからですね。
妖怪の山。
幻想郷に存在する巨大な山で、一説には神話で富士山に蹴り崩される前の八ヶ岳の姿、とも言われている。
神話では、富士山は自分より背が高い八ヶ岳に腹を立て。
八ヶ岳を蹴り崩したというものがあるのだが。
これは八ヶ岳で古くに起きた噴火が神話になっていると言う噂がある。
ともあれ、である。
妖怪の山は、幻想郷でも最大の地形の一つであり。
昔は妖怪の中でも最強を謳われる鬼が支配していた。
しかしながら、鬼は安定し平和な幻想郷に飽きてしまったのか、支配体制を放棄して地底に去ってしまい。
ごくたまに変わり者の鬼が、地上に遊びに来るくらいになった。
鬼が去ってからと言うもの。
妖怪の山は二つの大勢力が、それぞれ支配するようになった。
一つは天狗。
一つは河童である。
どちらも数が多い上にメジャーな妖怪である。
ただし、二つには決定的な違いがあった。
組織構築に向いているかいないか、である。
河童は信じがたいほどに協調性に欠ける種族で。
徹底的に組織構築には向いていない妖怪だった。
かくして、数だけはいる河童は、自分達の縄張りを確保するのに精一杯。
それに対して、天狗は数の暴力で山の覇権を手にするに至った。
他の妖怪はこういう。
天狗は仲間意識が強い。
もしも手を出すと、全部がまとめて報復に来る。
実際には違う。
組織の方針として、そうなっている、というだけだ。
この方針が、天狗の傲慢を招いた。
一体にでも手出しをしたら、数十の天狗が群れを成して襲ってくる。
そうなれば、如何に怖いもの知らずの山の妖怪達でも尻込みする。
戦いは避ける。
かくして天狗は文字通り好き勝手に山で縄張りを拡げるようになり。
多くの妖怪が縄張りを追われた。
そんな中。
外の世界から、幻想郷に越してきた大勢力がある。
大胆にも、妖怪の山のど真ん中に引っ越してきたその勢力は。
いにしえの武神二柱を要する守矢神社である。
なんと神社と湖ごと幻想郷に引っ越してきた守矢は。天狗一強だった妖怪の山にて、またたくまに大量のシンパを獲得。
何しろ守護しているのがいにしえの神話にも残る伝説的な武勇を持つ二柱ということもあり。
少なくとも、天狗が簡単に手出しをできる相手では無い、と言う事だけは確かだった。
そして守矢は積極的に妖怪の山のイニシアチブを握るべく行動を開始。
現状では天狗はかなり押されており。
逆に、守矢に頼み込んで天狗から縄張りを取り返して貰ったり。
安全を確保した妖怪達は。
皆守矢の信者となり。
現在では、完全に天狗と、反天狗で、妖怪の山は真っ二つに勢力が割れている、という状態だった。
守矢は天狗にも話を付けに来る。
妖怪の山全体に利益がある話。
守矢と人里をつなぐロープウェーなども、その時に話をされた。
人里にとって妖怪の山は危険すぎるため。
そもそも人間が近づかないため。
妖怪の山の恐怖は、実感しづらい、というのが実情だったのだが。
ロープウェーが出来る事により。
妖怪はその恐ろしい姿を見せつける事が。
守矢はその妖怪から、神社に来た人間を守る姿を見せる事が出来るようになり。
妖怪は存在するために必要な畏怖を人間に示し。
守矢は信仰を得る。
技術が大好きな河童達は、ロープウェーを作ったり、その周囲で商売をしたりで何から何まで嬉しい。
とみないわゆるWin-Winな話であったにも関わらず。
最後までこの計画に反対したのが天狗だった。
守矢は天狗に決定的な反感を抱いている。
そう判断した射命丸が。
これを利用できると判断したのは。
ロープウェー計画を、天狗が「しぶしぶ認めた」タイミングである。
山の伝統が、妖怪の領域がと、明らかに自分より力が上の相手にだだをこね続け。
そんな状態でありながら、硬直化した組織を改革しようともせず。
更に自分達の力を示すために、異変解決のために最大戦力である射命丸をこき使う。
そんな状況で。
天狗に未来がある筈もないし。
そもそも1000年間しっかり天狗のために働き続け。
実力も、天狗の長である天魔に並んだ射命丸が、未だに下っ端という事にはいい加減頭にも来ていた。
だからこそに。
射命丸は動いた。
守矢に降り立つと。
早速此処の風祝、いわゆる巫女の仕事をしている東風谷早苗が此方に来る。
彼女は巫女だが、半人半神という存在でもあり。
空は飛ぶは奇蹟は行使するわで。
少なくとも一般的な人間の領域からは相当に逸脱している。
長い髪の毛を蛇と蛙の髪飾りでまとめている彼女は。基本的に普段から千早を着ていて、その姿がよく目立つ。
髪の毛は能力の影響からか翠色で。
それ故に、博麗の巫女が紅白巫女などと呼ばれるのに対して、緑巫女などと呼ばれる事もあるようだ。
実力はまだまだ博麗神社の巫女の方が上のようだが。
彼女は幻想郷に来るまでは、戦闘経験など皆無に等しく。
そういう意味では、ここに来てから飛躍的に力を伸ばしているとも言え。
更に山での強烈な権力闘争も目にしている事から。
加速度的にあらゆる意味での経験を増やしている、とも言える。
博麗の巫女は幻想郷の最大戦力であるし。
流石に射命丸も彼奴を相手に本気で戦うのは避けたい。
一方で、守矢の巫女はまだまだ余裕を持って相手できる程度の存在だが。
それもいつまで続くか。
ともあれ、神社に天狗が来るというのは、相応の事態、ということである。
元々神社と天狗があまり関係的にも上手く行っていないのは。
山の妖怪なら、誰でも知っているし。
何より守矢唯一の人間とも言える(正確には人間の領域を逸脱しているが)早苗なら、すぐに異常に気づくだろう。
「おはようございます、射命丸さん」
「あやや、ご丁寧に。 おはようございます、東風谷さん」
「取材ですか?」
「いえいえ、今日は少しばかり用事があってまいりました。 二柱のどちらか、或いは両方とお話しできれば有り難いのですが」
ふむ、と考え込む早苗。
この間合いなら、首を刈り取る事も可能だが。
もしそんな事をしたら、それこそ此処の神二柱に即殺されるだろう。
此処の神は、太陽神の使いである八咫烏の分霊体を自由に操作したり。
幻想郷の賢者である八雲紫の能力を寄せ付けなかったりと。
いにしえから名前を轟かせる武神に相応しい実力の持ち主だ。
現在幻想郷で平和的に遊ぶためのルールであるスペルカードルールでなければ、とても勝ち目などない。博麗の巫女でさえ、ガチンコでやりあったら勝てるか怪しい。
「諏訪子様は朝からいらっしゃいます。 神奈子様は朝から麓に出かけていて、昼少し前にお帰りになられる様子です。 少し間を置けば、お二人と話す事が出来ますよ」
「分かりました。 それでは少し待ちましょう」
「よろしいのですか?」
「ええ、相応に大事な用事ですので」
早苗は育ちの良さが彼方此方から分かる。
礼儀正しいし、何よりまず相手を信じる姿勢を見せる。
戦闘の時などにぼけた様子を見せる事があるようなのだが。
これは普段は躾によって抑圧されていた部分が、戦闘という一種の興奮状態に置かれたことで、顔を出すのかも知れない。
何度か交戦した事があるが。
最近はますます力を増しており。多数の術も操るようになって来ている。いわゆる巫女としての力も相当に増している。
紅白巫女をライバルと見なして、自己研鑽に余念が無いのだろう。
早苗を見ていても実感するが。
やれ伝統だの、やれ威厳だのにこだわり。
組織を硬直化させたままふんぞり返っている天狗は。
このままでは未来がない。
守矢はどんどん力を付けている。
今や天狗以外の山の妖怪は、殆ど全て守矢の支配下にあると言っても良いほどだ。
それなのに、天狗の上層部は。
毎日出来もしないことを、ああでもないこうでもないとほざき続けている。
天魔は頭を痛めているようだが。
頭を痛めているだけで、何もできていない。故に、今回の行動を決めたのだ。
早苗に案内されて、客間に通される。
茶菓子を出してくる間も。
早苗は嫌そうな顔は一つもしていなかった。
相手が悪名高いパパラッチであるにも関わらず、である。
この子は外で、多分とても大事に育てられたのだろう。
或いは田舎出身かも知れない。
田舎の名家のお嬢様となれば。
さぞや周囲は気を遣ったことだろう。
射命丸も、幻想郷に引きこもるまでは、人間の社会を見てきたわけで。その仕組みは知っているつもりだ。
気軽に話しかけてくる早苗の様子を見ていると。
この子が血まみれの運命を今後辿るだろう事は容易に想像できるし。
どんどん荒んで行くのも簡単に推察出来る。
それは、とても。
舌なめずりしたくなるほど、面白い。
もっとも、落ちていく過程を直接見なくても別に構わない。
どうせその内。
見られるのだから。
程なく、この神社の神の一柱。
洩矢諏訪子が姿を見せる。
本物の神ではあるが、やはり幻想郷のルールに従って人の姿をしている。彼女は平均的な女子程度の背丈しかないが。兎に角目立つのは、その何とも言えない帽子である。
カエルのように目玉がついていて。
この目玉が動いているのを見た、という証言が幾つかある。
普段は色々な服を着て、アグレッシブに出かけて回るのだが。
この田舎の純朴な子供みたいな容姿で。
実は古代の祟り神の総元締めである。
ミジャグジと呼ばれる強力な祟り神を支配しているのが、他ならぬこの洩矢諏訪子であり。
その圧倒的な実力は現在でも健在だ。
なお本来は蛇の神なのだが。
諏訪に侵攻してきた天津神に破れた際に、敗者だからカエルの姿を取る、という事にしたらしく。
現在はカエルを思わせる意匠を衣服や格好に盛り込んでいる。
「諏訪子様、大事な用事があるとの事ですし、席を外しましょうか?」
「いいや、そのままでいいよ。 というか大体用事は読めているしね」
「ほう……」
空気が変わった事に気付いたか。
早苗が目を細める。
一瞬にして客間の空気が張り詰めた。
早苗も戦闘モードに入るが。
最初から諏訪子は戦闘モードだった。
いずれにしても。
射命丸が何か仕掛ける隙は無かっただろう。
例え幻想郷最速だったとしても、だ。
「神奈子はしばらくしたら戻ってくる。 それまで軽く世間話でもしようか」
「ふふ、余裕ですね」
「古代の秩序がそもそも無い時代から、戦国乱世、乱立する文明、その全てを見てきているんだよ。 この程度の修羅場なんて、児戯にも等しいね」
鼻で笑う諏訪子。
幻想郷では、妖怪も神も女の子の姿を取ることが多いが。
それは一種の流行りであって。
姿と実態は一致しない。
この諏訪子にしても、早苗の遠い先祖だという話である。
とはいっても、神々は必ずしも腹を痛めて子供を産むわけではない。禊ぎで神が産み出されたり、無機物との間に神が生まれたりもする。
或いはそうやって出来た神々の子孫が早苗なのかも知れない。
程なくして。
守矢の神のもう一柱。
八坂神奈子が姿を見せた。
やはり人型ではあるが、諏訪子に対して非常に長身で、見かけはとても大人っぽい。
彼女は背中に柱を背負っている。
また蛇を思わせる意匠があるが。
これは勝利者だから、という理由であるらしい。つまり彼女は、れっきとした天津神。文字通り、この国における支配者階級に相当する武神である。
いにしえの神話において激突した神二柱だが。
現在では、それぞれの利害が完璧に一致しているためにとても仲が良く。早苗がそれで困る事は全く無い様子だ。
いずれにしても、神奈子も。
状況は理解しているようだった。
「では、話を始めようか。 早苗、私の分の茶を」
「分かりました」
「茶を飲みながらするような話ですか?」
「もうこの周囲は私の結界で覆っている。 あの紫でものぞき見は不可能だから問題ないよ。 交渉決裂の場合は、あんたを酒の肴にでもするさね」
諏訪子が茶を啜りながらさらりというが。
これは恐らく冗談ではなく本気だろう。
人間を殺すことは幻想郷でも大罪だが。
人間に害を為そうとした妖怪を殺す事はそうではない。
ましてや、古代より名を馳せる武神二柱に囲まれている状況だ。
射命丸も。
もしもの場合は、本気でなければ、逃げるのはとても難しいだろう。
神奈子の茶を早苗が持ってくると。
針のむしろの上で。
話が始まった。
最初に切り出したのは、諏訪子だった。
「それでは、話を聞こうか。 まずどう裏切るつもりだ?」
「ふふ、分かっていますね」
「裏切る?」
「ええ。 このご時世に、硬直化している天狗の組織には甚だ愛想が尽きていましてね……。 この間も四季異変の解決に私を繰り出して、私が異変の解決に大きな功績を挙げたにもかかわらず、「お褒めの言葉」一つでおしまい。 このような組織にはついていけない、そういうことです」
純真な早苗の前で。
残忍な謀略の話が進められていく。
だが早苗も命のやりとりを既に経験している身だ。
多少青ざめながらも。
話を必死に聞こうとしている。
神奈子が茶を啜りながら言う。
「具体的な内容を聞こうかい」
「此方で不満を持つ若手の天狗を相当数掌握しています。 彼らを動かし、警備を空にします」
「ほう……」
「その間に天狗の本拠をお二人でご自由に。 天魔を殺してくれても構いませんよ。 後始末は私がやります」
青ざめている早苗と裏腹に。
諏訪子と神奈子は静かなものだ。
むしろしらけているようにさえ見える。
諏訪子が茶を飲み干し。
早苗が持ってきたポットから湯を足しながら言う。
「足りないね」
「その程度の事は、別に協力者がいなくてもできる、ですか?」
「その通り」
「ふふ、そうでしょうね。 しかしながら、奇襲を仕掛ける事によって、更に楽に突破が可能になる。 それも間違いないのでは?」
淡々と交渉を続ける。
早苗は口を挟む余裕が無いらしく。
茶菓子を配膳したり。
茶を出したりで。
精一杯の様子だ。
何とも可愛らしい。
引き裂いてやりたくなるほどに。
「最低条件としては、現体制の天狗を壊滅させた後、新体制の長にあんたが座るとして、その後絶対服従が欠かせないねえ」
「あやや、絶対服従ですか?」
「そうともさ。 そもそもね、誰にも利がある計画をさんざっぱら邪魔してくれている時点で、貴方たちには存在意義がないんだよ。 ましてや腹黒いあんたが天魔の代わりになったところで、我々に得があるとも思えない。 あんたを此処で始末し、ついでに天狗を住処ごと焼き払う。 現時点ではその方が利がある、と思えていてね」
「ふふ、手厳しい」
勿論笑みを崩さない。
そうやって圧迫してくるだろう事は予想できていたからだ。
其処で、条件を出す。
「こうしましょう。 貴方方に絶対服従は受け入れられませんが、山の新たな主を貴方方二柱として、天狗の新体制では認め、基本的に政策には従います。 その過程で、天狗が秘蔵している技術を提供しましょう」
「面白いカードを切ったな」
「天狗の技術は、河童から接収したものも含めると、外の世界のテクノロジーにも劣りませんよ。 里の信仰を得るためには、欠かせないと思いますが?」
「……」
早苗を諏訪子が促す。
そして、早苗によって、隣室で待つようにと、射命丸は追い出された。
これでいい。
正座して待つ。
あの二柱は、色々なテクノロジーを欲しがっている。
以前八咫烏の分霊を操作したのも、核融合の力を欲したからだ。
それ以外にもダムを造ろうとしたり。
ロープウェーの建造に至ったり。
色々な作業を、苦労しながら続けている。
いずれもが。
人間の信仰心を得るため。
天狗は正面から二柱とやりあったら負ける。二柱が従えている妖怪達の事を度外視しても負ける。それほどの戦闘力差があるのだ。
これは確定だが。
その代わり、天狗も真正面から戦闘になって負ければ、黙ってはいない。守矢の狙いは読んでいるだろうし、秘蔵しているテクノロジーも、完膚無きまでに破壊するだろう。
それを防ぐためには天狗を一瞬で壊滅させる必要がある。
射命丸が裏切り警備をガラガラにするのは、二柱にとっても大きな意味があるはずだ。
なお、耳にしても人間とは出来が違うのだが。
射命丸の耳でも。
二柱の相談は聞こえなかった。
余程特殊な結界を張っているのだろう。
小一時間ほどしただろうか。
部屋に呼び戻された。
昼食の準備がされていた。
早苗が作ったものらしい。
そこそこに贅沢な、山と川の幸を使った料理だ。
守矢は引っ越してくるときに、外の最新技術も持ち込んでいる。
IHという調理器具などは、河童がよだれを垂れ流して、欲しいとせがんだほどだ。
それによる料理だろう。
諏訪子が、小魚を丸ごとかみ砕きながら言う。骨を出す様子は無い。
「では、昼飯を食べながら、さっきの話の続きをしようか」
「承りましょう」
「守矢神社は、お前の提案に乗ることにする」
「……」
目を細める。
さて、まずは第一段階。
次は、第二段階だ。
神奈子が続ける。
「決行は三日後だよ。 なお言っておくが、もしもお前が裏切った場合でも、真正面から天狗を潰すくらいは訳がないことは分かっているね? その場合テクノロジーは手に入らなくはなるが、まあ天狗を排除できるなら我々にとっては充分な利だ」
「立場は分かっていますよ。 それでは、新しい時代の、新しい守矢と天狗の関係を祝して」
「酒は入れないよ。 それにその子は下戸だしね」
「あやや、そうでしたか……」
知ってはいるが。
まあこんなタイミングで酒を入れるほど甘くもないか。
ほどなく、細かい打ち合わせを済ませた後。
射命丸は天狗の本部に戻る。
途中、山の警備を担当する白狼天狗、犬走椛に出くわす。射命丸が気にくわないらしく、実力もわきまえずにいつも突っかかって来る若造だ。射命丸同様に行者風の格好だが、盾と剣を持っていて、見るからに戦闘を意識した姿である。……実力はともかくとして。
「何か怪しい事はしていないでしょうね。 どうも貴方の動きがきな臭いと、同僚の間で噂になっています」
「きなくさい? 何のことやら」
「とぼけるのも……」
「何やってるのよ、あんた達」
呆れた声。
側に降り立ったのは、鴉天狗の一人。
姫海棠はたてである。
ツインテールに髪を結っている、最近の外の人間を意識したファッションに身を包んでいる鴉天狗で。
若い鴉天狗の中ではかなりの実力者だ。
ただし、あくまで弱体化した天狗の中では、にすぎないが。
なお天狗共通の趣味である新聞で、射命丸に一方的にライバル心を抱いているようだが。
射命丸にとって新聞なんて内心では精神の安全弁に過ぎないので。
可愛い子犬がじゃれついてきている、くらいにしか思っていない。
ただ、「立場」「地位」が同じだからといって。
こんな若造にいつまでもため口をきかれるのは。射命丸にとっては内心非常に不愉快であったが。
見かけが可愛くても。
キャンキャン絡まれたら苛立ちもする。
「貴方からも言ってやってください。 射命丸のきな臭い行動が、最近話題になっていて……」
「此奴がうさんくさいのなんて前からよ。 火を熾して煙をたてて、それを新聞にするような奴なんだから。 ほら、解散解散」
不満そうな椛。面倒くさそうなはたて。
どっちも不愉快極まりない。
両方とも、三日後には。
消す。
暗い笑みが浮かぶ。
その時が今から楽しみでならなかった。
本作の守矢勢は原作以上に野心的な勢力です。というかそもそも幻想郷の妖怪、特に天狗程度で手に負える神格ではないでしょうね元々からして。
これはあくまで予知の結果ではありますが、これくらいのことはしてもおかしくない勢力として本作で守矢は動いているのです。
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