「お邪魔します」
久しぶり、と言っても半月ぶりくらいだが元の部屋に戻ってきた。
「あれ?谷風君ってあんまり家具とかおかないタイプなの?」
「いや、普通に置くぞ」
「でもこの部屋家具ないよね」
ここで隠したところでいずれバレるだろうからな。正直に言っておこう。
「まぁ今はここに住んでないからな。ポイントで別の部屋借りて彼女と同棲してるんだよ。だから申し訳ないがここには客人をもてなす準備はできていない」
「それはいいけど、谷風君って誰と付き合ってるの気になるなー」
声は明るいし顔は笑ってるがなんとも目が怖い。にしてもなんて答えよう。
「まぁすぐには答えられないよね。だって複数の人と付き合ってるんだもん」
「・・・・」
「沈黙は答えってことでいいかな」
「なんでそれ知ってるんだよ」
「谷風君がいろんな女の子と帰ってるってうわさ話を聞いたの」
「そんなの普通に友達と帰ってるだけかもしれないだろ」
「それだけならそうなんだけど、一緒にマンションの中まで行ってるって話も聞いたんだよね。それを聞いてからもしかしたらと思ったけどまさか本当だったなんて。これで谷風君の弱みも握ったし、裏切ったらわかるよね」
「はぁ全く信頼ないな。裏切るわけないだろ」
「冗談だよ。それよりもさ、これからは陽人君って呼んでもいい?私のことも桔梗でいいから」
「別にいいけど何でまた」
「別に深い意味はないよ。ただ、あの馬鹿どもの牽制のため。彼氏がいるってことにしたら多少はマシになるでしょ」
「馬鹿どもって池たちのことか?」
「それいがいにいないでしょ。あいつら私の胸ばかり見て来てほんとキモイ。このまま退学になればいいのに」
あ、これ早速始まったな。
「でもお前はあいつらを見捨てないんだろ」
「当たり前じゃん。みんなが見捨てるあの馬鹿どもを面倒見る私っていいでしょ?」
「そうだな。助ける理由はどうであれ助けるんだ。やっぱ優しいな桔梗は」
「・・・・うっさい」
さて、しばらく桔梗の愚痴に付き合うとしますか
♢♢♢♢
あー長かった。今11時だぞ。かれこれ5時間も愚痴に付き合わされていた。どんだけ溜まってたんだよ。正直侮っていた。長くて1時間くらいかなと。それにしても聞かされるこっちの身にもなってみろってものだ。だんだんリアクションとるのも大変になる。最後の方なんてあーとかうんくらいしか言えなかった。頼むから毎日とかはやめてくれ。
今日はこっちに泊まろうと思ったが桔梗さんが愚痴をすべて吐き出した後、俺のベッドで寝てしまったので今から帰るしかない。
玄関のドアを開けると丁度隣の部屋のドアも開いた。
「ん?珍しいな陽人がこっちの部屋にいるなんて」
「あ、ああいろいろあったんだよ」
「なんか随分と疲れてるようだが大丈夫か?」
「気にするな。手札を一枚手に入れた代償だと思ってくれていい」
「手札?誰のことだ?」
「櫛田だ。あいつはいろいろ役立つだろ」
「それはでかいな。あいつのコミュニケーション能力は役立つ場面が多そうだ」
「それでお前はどうした?こんな時間に」
「ちょっと寝付けそうになかったからな」
「悩みがあるのなら聞くぞ」
「せっかくだし聞いてもらえるか?」
「いいぞ、なんか飲みながら話すか」
「自販機行くか」
♢♢♢♢
「陽人は何がいい?」
「ん?自分で出すぞ」
「話を聞いてもらうんだ。俺に奢らせてくれ」
「そうか。じゃあココアで」
「分かった」
マンションの外にあるベンチに腰掛けココアを飲みながら清隆の話を聞く。
「さっき須藤がいるグループチャットで今日のことについて話しててな。ま、案の定堀北の悪口大会みたいなもんだった」
「なんだ、それが悩みか?堀北のこと好きすぎだろ」
「なわけないだろ。その一連のやり取りを見てたら俺はまだどこかこの問題を他人事のように思ってるんだと感じたんだ。思い出したくもないあいつの言葉も思い出して」
状況から思うに清隆パパの『力を持っていながら使わないのは愚か者のすることだ』的な感じの言葉だろ。俺も言われたことあるがまじで何言ってるんだろうなって思ってた。ホワイトルームに閉じ込められてるんだからそもそも使うことができない。
「結局、俺は愚か者なんだろうか」
「俺はそうとも思わない。能ある鷹は爪を隠すっていうだろ。力をずっと隠し続けるのは愚者だが、力を使うところを見定めるのは賢者だと俺は思う。これから俺らは自由のために戦う。俺がピエロを演じ、ピエロに気を取られてる隙にお前が仕留める。なかなかにいい案だろ。そのためにもお前の力はここぞという場面まで隠してろ。そしてそれは決して愚者なんかじゃない」
「そうか・・・・そうだな。ありがとう陽人、おかげで吹っ切れた。というかその案だが大抵はそのピエロで止まるんじゃないか?ピエロがあまりにも強すぎて」
「確かにそうかもな」
ベンチに座りながらココアを飲み終わるまで雑談をしていた。グループチャットの内容だったりとまあいろいろ。
「夜も遅いし帰るか」
「そうだな」
空き缶をごみ箱に捨てて、清隆と共にエレベーターの方に向かう途中に堀北が外に出ていくのが見えた。
「こんな時間にどうしたんだろ」
「気になるな。隠れるか」
「なんでだよ。まぁいいけど」
近くの自販機に二人で身をひそめる。
てっきり飲み物でも買いに来たのかと思ったが自販機には目もくれずそのままどこかに行ってしまった。
「どうする追うか?」
「何かしらはあるだろうな。ただ俺は眠いからもう帰るわ。任せた」
「俺に丸投げする気か」
「頼んだ。相棒」
「はぁ、分かった。行ってくる」
「がんばれよー」
俺は清隆が再び外に出ていくのを見届けてからエレベーターに乗る。
「すまんな、清隆。俺が行くと少し面倒になる気がするからな」
これは堀北兄と妹のイベントだったと記憶している。堀北兄に気に入られている?だろう俺が行けば堀北妹に何かしら影響を与えると思ったからだ。
家に着いてからすぐに自分の部屋に戻って寝ようかと思ったがリビングの電気がまだついていた。
「あ、お帰り」
「ただいま、帆波。まだ起きてたのか?」
「うん。なんか今日寝付けなかったから温かいものでも飲もうかなって思って。陽人君も飲む?」
「せっかくだし貰おうかな」
「うん。入れるからちょっと待っててね」
帆波がお茶を入れてる間に手を洗ってからテーブルに腰掛ける。
「お待たせ」
「ありがと」
出されたお茶を飲んで再び温まる。
「帆波が入れたお茶は美味しいな」
「そうかな?お茶なんて誰が入れても同じじゃない?」
「そうでもないぞ。お茶とかって入れる人の特徴が出ると思うんだ。優しい帆波が入れたからか優しい味がする」
「にゃはは、なんか照れちゃうな」
「こうして帆波と二人っきりで話すのはなんか久しぶりだな」
「そうだね。いつもは茜先輩や有栖ちゃんも一緒だもんね」
「そうだな。今更だけど帆波はこの関係についてどう思ってるんだ?」
「うーん。最初は勢い任せのところあったけど後悔はしてないよ。今こうして陽人君と一緒にいられるんだから」
「そうか。ならいいんだ」
「でも、陽人君を独占できないのは悲しいかな。だから今日は一緒に寝ない?」
「いいけど襲うなよ」
「うにゃ!?襲わないよ!明日も学校だし」
「なるほど、明日が休みなら襲っていたと」
「にゃにゃ!?そんなことは・・・・ないかな」
「その間はなんだよ。ただの冗談だったのに」
「もう変なこと言ってないで寝ようよ!」
「もう日付変わったし寝るか。どっちの部屋で寝る?」
「陽人君の部屋で寝たいかな」
「わかった」
♢♢♢♢
勉強会から一日経過したわけだがこれからどうるんだろうか。
「おは、清隆」
「おはよう、陽人」
「それで昨日はあの後どうなった?」
「あの後か、兄弟喧嘩を阻止して堀北を説得した」
「なるほどな。その説得の効果が一日で出るといいな」
「本当だよ。これでなんも変わってなかったらいよいよ終わりだ」
「もう来ていたのね。やる気があって何よりだわ」
「なんで早く来ただけでやる気があるとされるんだよ」
「もう一度須藤君たちを説得して勉強会に参加してもらう必要がある」
「それはそうだが、堀北さん昨日のことであいつらのヘイト大分買ってるがそこのところはどうするつもりで?」
「そうね。おそらく私はもちろん、谷風君でも綾小路君でも無理でしょうね。だから櫛田さんに協力してもらうしかないわ。櫛田さんの件協力してもらえる?」
「俺はいいが清隆はどうする?」
「綾小路君は私と契約しているから返事は当然はい、だけよ」
「そんな契約した覚えはないが」
否定する清隆に対抗して堀北は契約書を出してきた。このときのためにわざわざ作ったのか。それを見た清隆がその契約書を破ってる中堀北は桔梗のもとに向かった。
桔梗を連れだすことには成功したようで4人でカフェに向かう。そういえば桔梗は昨日俺の部屋で寝てけど何時ぐらいに帰ったんだろ。
なぜか行く道中、桔梗が腕を組んできた。
え?なにこいつもしかして俺のこと好きなのか?
男子高校生ならこの状況ならそう思っても不思議ではないはずだ。でも、相手は桔梗だ。仮に今度の愚痴大会で「お前、俺のこと好きなのか?」なんて聞いたら「俺の」悪口大会に代わるだろ。勘違いしててキモとか、これだから童貞はとか。まぁ童貞ではないが。ともかく何時間も桔梗のサンドバッグにされたら流石の俺でもへこむ。
桔梗のことだ。彼氏がいるみたいな噂を流すつもりなんだろう。
さて、カフェに着いて席を確保したところで話し合いがついに始まる。
なんか変なとこで終わりましたがこれ以上書くとかなり長くなりそうなんで
ヒロインについて
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増やしていくし、同棲もする
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増やすが、同棲はしない
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一部は同棲する
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