ようこそ相棒と青春を送る教室に   作:Mr.不器用

24 / 25
 今までは小説ベースに話を書いていましたがアニメベースで書いていこうと思います。理由、小説ベースだとマジで長くなるから。


夏休み、クルージング!

 須藤の暴力騒動の事件が終わったのも束の間でほどなくして期末テストがやってきた。期末テストは中間テストみたいなことは起こらなく全員が乗り切ることができた。その要因の一つとしてテスト直前に告げられたことにある。その内容は期末テストを乗り越えたら豪華客船によるクルーズ船旅行。この旅行の存在は生徒のやる気を底上げるするものとなったのだ。

 

 そして今、その旅行を楽しんでいる真っ最中だ。普通に利用しようものなら1日で数十万飛びそうな船で精神年齢としては既に30を超えているはずなのにこれにははしゃがずにはいられなかった。

 

 それにしてもこの学校は国立の学校。つまりこの旅行の費用も国民の税金から来ていると考えると実に恐ろしいものだ。

 

 普通の豪華客船旅行なら楽しいのだが早速そうもいかないようだ。船の中を探検している時にメッセージで清隆から茶柱先生に呼び出された、と送られてきた。そして何が起こるかわからないからスマホを通話状態にしておくから近くで見ていてくれと頼まれた。

 

 言われた通り丁度2人の死角になるところで座りながらスマホを耳に当てていた。

 

『ある男が接触してきた。綾小路清隆を退学にさせろと』

 

『意味不明ですね。理由もなく生徒を退学にだって』

 

『むろんこの学校の生徒である限りはルールに守られている。だが問題行動を起こせば話は別だ』

 

『俺はイカロスと違って太陽に喧嘩を売ったりはしませんよ』

 

『お前の意思は関係ない。私がそうだと判断すればそうなる』

 

『もしかして俺を脅しているんですか?』

 

『これは取引だ。お前がAクラスを目指すというなら全面的にフォローする。いい話だと思わないか?』

 

「と、言われているが陽人はどう思う」

 

 まさか呼ばれるとは思っていなかったのでさすがに驚いたが行かないわけにもいかないので、立ち上がり二人のところに向かう。

 

「まさか教師が生徒に退学をちらつかせて協力させようとは随分と面白いことをしますね」

 

「谷風」

 

「清隆に通話をつなげてもらってたのでこれまでの話は聞いていましたししっかり録音してあります。ただ別にこれをばらまいたりしないのでご安心を」

 

「それをばらまいたところでどうにもならん。この話はあくまで退学になりそうな生徒を担任である私が庇うという話だ。教師としてはいたって至極当然のことだ」

 

「どの口が言ってるんだか。まぁいいですよ。ひとついいことを教えてあげます。あなたの解釈は間違っていますよ。茶柱先生」

 

「なんだと?」

 

 自分の予想した展開とはかけ離れているからか茶柱先生がこちらを見る目は明らかに睨んでいるものだった。

 

「実際あなたがどこまで知っているかはわからないが強制的に退学させようとすることはまずないんですよ。これはゲームそんな一方的なことは行われない」

 

「・・・・」

 

 茶柱先生は清隆を脅し自分の駒として扱うつもりだったのだろう。だが、相手が悪すぎた。清隆を駒にしようとするならばその話は清隆から俺に筒抜けなので俺も同時に相手しているようなものだ。

 

 拡大して解釈するなら清隆を脅すということは俺も脅すということ。

 

「さて、先生あなたは先ほどこの録音を流したところではどうにもならないと言っていましたが本当にそうでしょうか?あなたがどう思おうと普通に聞いたら教師が生徒を脅しているようにしか聞こえないんですよね。これを理事長に渡したらどうなるんでしょうか。減給、謹慎処分、もしくは解雇処分。まぁいろいろ考えられますがどれになっても生徒を脅した教師というレッテルを張られあなたの野望からは遠のきますよね」

 

「・・・・谷風、どこまで知っている」

 

「結構知ってますよ。あなたの同期から色々聞かせてもらったので」

 

「!なるほどな。まさかすでに教師まで手を回していたとは」

 

「さて、そろそろ交渉に入りましょうか」

 

「交渉ではなく脅しだな。お前の要求に私は逆らうことができないのだから」

 

「いえ、これは交渉ですよ。そうですね今回の件で合計1500万ポイント、要するに俺と清隆で750万ポイントずつください。清隆、この額でいいか?」

 

「なんで750万なのか気になるがそれだけ貰えればかまわない」

 

「ポイントをもらう代わりに今回の特別試験でDクラスを1位にしましょう。悪くない話でしょ?」

 

「いくらなんでも高すぎる。教師にも動かせるポイントに限度はあるものだ。何の会議もなしに1500万のポイントを動かしたらそれこそ問題となる」

 

「正直反論する資格はないと思いますがまぁいいですよ。分割払いでもいいです。1500万の支払期限は今年中に」

 

「・・・・」

 

 今までは学校を相手にポイントを要求していたが教師個人となると難しいのだろうか。もう一つ付け加えるか。

 

「では、もう一つ次の試験でCクラスに上がると言ったらどうしますか」

 

「何だと」

 

 現状一番ポイント差が大きいのはDクラスとCクラスの間。この差を埋めることができるとしたら茶柱先生にとっては逃したくないはずだ。

 

「悪くない提案でしょ。これであなたは野望に一歩近づく。ただこの条件をつけるならもう少し報酬は豪華にしてもらいますよ」

 

「・・・・何を望む」

 

「そうですね。ポイントを1500万から2000万に。それに加えて俺の言うことを問答無用で聞いてください。これでいいですよ」

 

「わかった。その条件でいい。谷風、もしお前が失敗した場合はどうする」

 

「そうですね。1位になれてCクラスになれなかった場合は1000万で。1位にもなれなかったら録音は消してこの話は無かったことにしますよ。これでどうです?」

 

 Cクラスとのポイントの差は約400。こんなことになるならこの前Cクラスのクラスポイントを削っておくべきだった。約400ポイント次回の試験のルールで確かリーダーを当てれば50ポイント貰えるから×3で150。最初に配られる300ポイントを考慮しても最低でも100ポイントは自力で貯めないといけない。

 

 なかなか厳しい戦いになるだろうがポイントのためにやらなくてはならない。

 

「わかった。それでいい」

 

「では交渉成立ということで」

♢♢♢♢

 

 昨日のことなど忘れ、俺らはプールサイドに座っている。せっかくの旅行だ。楽しまなければ。

 

「あーあー櫛田ちゃん可愛いな。谷風が居なかったら告白したのに」

 

「いい加減諦めろ」

 

「この2週間何回かはお前が櫛田ちゃんといちゃついてるの見せられるんだよなー」

 

 この世の終わりみたいな表情を浮かべながら池がそう言ってくる。

 

「谷風!堀北の下の名前は何だ!」

 

 須藤が俺の肩をがっしり捕まえて聞いてくる。

 

「い、いきなりだな。す、鈴音だけど。でもなんでそんなこと」

 

 なんともすごい気迫だ。

 

「お前と櫛田が下の名前で呼んでるの見ていいなって。よし、俺も鈴音って呼ぶぞ!」

 

「まぁ頑張れ」

 

 呼んだ瞬間蹴られると予想する。こんな感じでくだらない会話をしていたら既に時間は12時を回っていた。

 

 昼食をとるためにレストランに移動するがなんとも場違いなことだ。

 

 レストランに入るなり例の3人組は戸惑っていたがそんなことをしているうちに席に案内されてしまった。

 

 席に通されてなお3人はそわそわしている。場違い感がすごいのだがこれが普通なのだと俺は思う。ほんの数ヶ月前までは普通の中学生だったのだ。それなのになんでここの連中はテーブルマナー知っているのか非常に気になる。まだ高校生だって言うのに。実家が金持ちとかなのだろうか。

 

「メニューよくわからないから適当に頼もうぜ。すんませーん、すんませーん」

 

 前言撤回。たとえテーブルマナーをマスターしてなくてもここまでにはならない。やってることが完全にファミレスでのノリだ。結論としてはこいつらがおかしいだけだ。たとえ分からなくても分からないなりにはできるはずだ。

 

 一連の行動を見たほかの生徒は食事の手を止め顔をしかめながらこちらを見ている。

 

「お前らDクラスだな」

 

 一人の男子生徒が言葉を発した。

 

「だったらなんだ」

 

 それに反論したのは須藤だった。

 

「いいか、ここはお前らが来る店じゃない。クズはクズらしくハンバーガーでも食ってろ」

 

 そう言われた須藤が怒りをあらわにし席を立ちあがりその生徒の胸ぐらをつかみに行こうとする。

 

 この前の暴力事件で懲りたはずなのにもうこれか。嫌気がさす。人間そう簡単に変わらないということなのだろうか。

 

「やめろ須藤、この前の件を忘れたのか」

 

「でもよ、こいつが!」

 

「黙れ、再びクラスメイトに迷惑をかけるつもりか」

 

「チッ、わかったよ」

 

「クズの中にもまともなやつがいたとは驚いたな」

 

 先ほどこちらを挑発してきた生徒だがこいつもなかなか頭が悪いらしい。せっかく収めたというのに再び挑発してくるとは。

 

「弥彦、くだらない挑発は止めたまえ。バカンス中とはいえ生活態度で減点されることも考えられる。Aクラスと生徒として自覚を持ちたまえ」

 

「は、はい」

 

「すまなかった。クラスメイトが迷惑をかけた」

 

 先ほどクラスメイトを叱責した生徒が立ち上がり謝罪してくる。

 

「こちらの方こそ申し訳ない。こちらのマナーがなっていないばかりにせっかくの食事を邪魔してしまい。そちらの生徒は言い方こそ問題はあったがそう言われても文句は言えない。ここはお互いに非があったということで水に流さないか?」

 

「こちらとしてもそれは助かる。せっかくのバカンスだというのに初めからいざこざは起こしたくないからな。葛城だ。敵同士ではあるが仲良くしてくれるとありがたい」

 

「谷風だ。こちらこそよろしく頼む」

 

「須藤、違う店に行くぞ。迷惑をかけた以上ここにはいられない」

 

「チッ」

 

 須藤を連れて店を出た。また面倒ごとを起こされたらたまったもんじゃないからな。

 

♢♢♢♢

 

 昼食をとった後、俺はみんなと別れ再びプールサイドに向かった。

 

「よう、高円寺」

 

「マイフレンドじゃないか。私に何か用かね?」

 

「せっかくプールがあるんだ。いつぞやのリベンジでも受けて立とうかなと」

 

「ふ、さすがはマイフレンド。しばらくしたらこちらからその申し出をしようかと思っていたところだ」

 

「早速始めるか」

 

「待ちたまえ、私は既にコンディションを整えてあるがマイフレンドはベストコンディションとは言えないのではないのかね?不完全な君を倒したところでそんなものに意味はない」

 

「安心しろ高円寺。事実前回は本気を出して臨んだとはいえあの時はあくまでその日の本気。力にして俺は80%の力までしか出せなかった」

 

「ほう」

 

「今日の俺は90%の力を出すことができる」

 

「なるほど、その余裕私を挑発しているということか。いいだろう。始めようじゃないか」

 

 そこら辺にいた生徒を2人ほど捕まえて一人にスタートの合図、もう一人にタイマーの計測を頼んだ。

 

「位置について、用意、スタート!」

 

 なぜ俺が今日90%の力まで発揮できるのかそんなのは簡単なことで休みだから。学校自体は楽しいが授業があるとなると多少は気が重くなるためデバフがかかる。ちなみに100%の力を発揮するには休みかつ応援があれば発揮できる。この船には帆波しかいないがこの場で応援してくれたら120%の力を発揮できると思う。3人いれば200%発揮できる気がする。まぁ気がするだけなんだが。

 

「結果は、谷風20.01、高円寺21.00」

 

「まさかコンディションを整えた私が負けるとは。完敗だよ。流石はマイフレンドだ」

 

 負けたことを悔しがるばかりか高らかに笑っている。

 

「ただ、私としても負けてばかりは性に合わない。この2週間のうちのどこかでリベンジをさせてもらうとするよ」

 

「いつでも受けてたつさ」

 

♢♢♢♢

 

「どうした堀北、いきなり俺たちを呼び出して」

 

「この旅行がただのバカンスで終わると思う?」

 

「終わればいいが何かあるな」

 

「というかあるぞ。年間予定表にバッチリ書いてあった」

 

「はぁ、そうだった。あなたは年間予定表を持っていたわね。その内容を聞いても?」

 

「1週間無人島でサバイバル。詳しい内容までは分からない」

 

「なるほど、この学校ならではね」

 

「こんなところにいたか」

 

 そんなセリフを吐きながらやってきたのは龍園君ことドラゴンボーイとアルベルト君の愉快なコンビだ。

 

 龍園はこちらに来るなり鈴音の横に腰掛けた。

 

「特別棟にカメラ仕掛けるとか面白いことやってくれるじゃねぇか」

 

「あなたは」

 

 鈴音が視線を動かさずに答える。

 

「お前みたいな女は嫌いじゃないぜ。鈴音」

 

「どこで知ったのかは知らないけど気安く人の名前を呼ばないでくれるかしら。名前を呼ぶのを許可したのは1人だけだから」

 

「その表情なかなか色っぽいな」

 

「誰だか知らないけどあなたといるのは不快だわ」

 

「今度は俺が相手をしてやるよ。楽しみにしてな」

 

 いや、漫画やアニメだと強キャラが出てきたって燃える場面なんだろうが、現実だとどうも俺様キャラを見ると面白くて仕方ない。ここまで自信があるのはいいことなんだろうが清隆や他のホワイトルーム生を見てきた身からするとただの道化にしか見えない。

 

「龍園!」

 

「なんだ伊吹か」

 

「あんたに話したいことがある」

 

 他クラスがどうなろうとどうでもいいが目の前で喧嘩をするな。いい迷惑だ。

 

 何もしないで見ていたら伊吹がアルベルトに投げ飛ばされた。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「あんたには関係ない」

 

 手を差し伸べたが叩かれてしまった。せっかく心配したのにこのざまだ。ここで俺様系主人公ならこう言うな。

 

「ふ、面白い女だぜ」

 

「お前にそのセリフは似合わないな」

 

「自分でもそう思う」

 

 俺様キャラはやっぱり見た目が大事だな。

♢♢♢♢

 

 その日の夜電話がかかってきた。相手は有栖。

 

「どうした?寂しくなったか」

 

『それが90%くらいの理由ですよ』

 

「残りの10%は?」

 

『言いそびれていましたが、今回おそらく試験があると予想してます。そこで陽人君にはAクラスを完膚なきまでに潰してほしいんです。今後陽人君の助けとなるには私がAクラスのリーダーとなれば何かと役に立つはず。そのためには葛城君が邪魔なのでここで失脚させてほしいんです』

 

「せっかく葛城とは仲良くなれると思ったんだけどなー」

 

『私よりも葛城君を取りますか?』

 

「まさか、別に退学になるわけじゃないんだ。可能な限りやってみるさ」

 

『お願いします。あ、でもやりすぎないでくださいね』

 

「分かってるさ」

 

『それにしても帆波さんがうらやましいです。2週間も陽人君を独り占めにできるなんて』

 

「そうはいっても周りが生徒だらけだから何にもできないけどね」

 

『それでも羨ましいです。私も参加するべきでした』

 

「やめてくれ、有栖に万が一何かあったら」

 

『すみません。今のは意地悪でした。帰ってくるのを楽しみにしてますね』

 

「ああ、じゃあ有栖おやすみ」

 

『はい、おやすみなさい』

 

 電話を切り一人夜空を見上げる。

 

「今回はどうしたものかね」

 

「あ、陽人君」

 

 そう言って現れたのは佐倉だ。もともと呼び出されていたのだが少し早く来すぎたのだ。

 

「あ、あのね・・・・えっとね・・・・」

 

 佐倉はいつも以上にテンパっている。

 

「まずは落ち着いて。ゆっくりでいいから」

 

「は、はい」

 

 何度か深呼吸してようやく少し落ち着いたようだ。

 

「あ、あの!陽人君。私とデート、してくれませんか」

 

「へ?」

 

 何を言われるのかと思ったら予想外のことを言われた。

 

 デート、それは男女2人で出かけることを意味する。ここまで言われれば分かる。そもそも気のない人がデートに誘うはずもない。相手のことを知るために誘う人もいるだろうが佐倉の性格を考慮するにそれはない。つまりは佐倉は俺のことが好きなのだろう。

 

 ハーレム、男ならだれもが夢見るものを俺は今目指しているわけなのだが、一つ問題がある。仮に佐倉と付き合うにしても彼女たちになんて言えばいいのか。今ですら3人いるという常識では考えられないことなのだがさらに一人増やしたいなんて言い出しにくい。もう開き直って言うか?いや、言えない。

 

 正直、佐倉と付き合えるのなら付き合いたい!そのためにはここでデートの話を受けて行かないといけない。おそらく最後に告白されるのだろう。そこでなんというか。変に期待を持たせて落すくらいなら今言うしかない。

 

「佐倉、こんなこと言うのは気が引けるが俺をデートに誘うってことは俺のことが好き、なんだよな」

 

「え?」

 

 あまりに予想外の発言に佐倉が戸惑いを見せる。赤面しうつむいている。

 

「は、はい」

 

「佐倉、正直に言う。自分でも思うが俺は最低な男だ。俺は彼女がいる」

 

「そう・・・・ですか」

 

「3人も」

 

「え?」

 

「俺は3人も彼女がいる。告白されても振る勇気がなかった俺の結果だ。今も本当は断らないといけないのに断れない自分がいる。佐倉と付き合いたいと思っている自分が」

 

「わ、私は陽人君と付き合えるなら・・・・彼女が何人いても関係ありません!それほどまでに好きなんです!」

 

「佐倉・・・・」

 

「だから私を彼女にしてくれませんか」

 

 ここまで言われたんだ。3人を説得するのはあとの俺に任せよう。

 

「佐倉、これからよろしくな」

 

「あの、・・・・私のことも下の名前で呼んでくれませんか?」

 

「わかった。よろしくな、愛里」

 

「はい!」

 

 こうして4人目の彼女ができたのだった。

 

♢♢♢♢

『生徒の皆様おはようございます。まもなく島が見えてまいりますしばらくの間意義のある景色が見えるでしょう』

 

「だそうだ。清隆、行くぞ」

 

「そうだな」

 

 大きな島だな。

 

「今から島にあたり諸注意事項が説明されるそれまで待機するように」

 

 しばらく待機した後、学生証が没収され腕時計が支給された。

 

 そして真嶋先生の説明の元、バカンスは終わりをつげサバイバル生活が始まる。

 

 島に降り状況の整理をしたところ。本当に最低限の物資だけ支給された。

 

 そして支給された試験専用の300ポイント、それを使えば様々なものを購入することができる。そしてサバイバル終了後に残っていたポイントがそのままクラスポイントに変換される。

 

「ねえ平田君ある程度はポイントを使ってもいいんじゃない?」

 

「いや、やれるとこまで我慢してやるべきだ」

 

 軽井沢の意見に幸村が反論する。そして今議論になっているのはトイレについてだ。男子は簡易トイレでいいと主張する一方、女子の方はトイレを購入しようと主張している。

 

「意見いいか」

 

 こんな議論は無意味だ。

 

「もちろんだ。谷風君」

 

「トイレの問題に関しては購入すべきだ」

 

「だが谷風ポイントはなるべく節約すべきだ」

 

「私も彼の意見に賛成よ。トイレの問題はかなりデリケートな問題。仮に簡易トイレに耐えられない女子が2人いたとするわ。その生徒が我慢した結果体調不良を起こせば2人のリタイアとなりポイントは減る。それがまだ2人ならいいけれど、さらに増えていけばトイレを買うポイントよりも大きな損失になる。ここまで言ってなお反論する?」

 

「確かに、リタイアされる方が損失は大きい」

 

 堀北の意見に幸村が納得し、他の人も堀北の意見を聞いた結果トイレを購入したほうがいいとの結論に至った。

 

 そして意見が固まり森の中を歩き始めた。

 

「鈴音、風邪ひいてるだろ?」

 

「!なんのことかしら」

 

「今すぐリタイアしろ」

 

「ここで私がリタイアすればポイントが引かれる」

 

「俺が何とかその損失分を埋める。だからリタイアしてくれ。この試験が終わり次第船の中でもう一つある」

 

「それは本当なの」

 

「ああ、その時にお前が寝込んでたなんて言ったら話にならない。だからここは」

 

「わかったわ。でも行けるところまではやらせてほしいの。お願い」

 

「せめて今日1日だけにしてくれ。それ以上は駄目だ」

 

「・・・・わかった。その代わり今回の試験任せたわよ」

 

 堀北にとっては苦渋の決断だったのだろう。悔しさがよく伝わってくる。だがここで俺も折れるわけにはいかない。無人島で1週間風邪の状態で過ごすなんて自殺行為だ。いくら近くで船が待機しているとはいえ何が起きるか分からない以上早く戻らせるのが賢明だ。

 

「ああ、任された。次の試験は鈴音に任せる。だからしっかりと体調を整えておけよ」

 

「ええ」

 

 ある程度開けた場所に出たらベースキャンプを探すことになった。平田の誘いに数人が挙手する。もちろん俺も手を上げた。人数にして10人3,3,4のチームに分かれることになり俺のメンバーは俺、清隆、愛里、高円寺だ。

 

 そしてグループに分かれたものの高円寺はすぐに木を次々に点々として行った。

 

「大自然の中に悠然とたたずむ私は美しい。そう思わないか?マイフレンド」

 

「ああ、そうだな」

 

 何とか離されまいと俺も高円寺についていった。ただ、どうも木を渡るのは慣れていなくてこのままだといつか離されそうだ。それまでに頼まなければ。

 

「高円寺、頼みがある」

 

「なんだい」

 

「お前のことだ。しばらくしたらリタイアして船に戻るんだろ?」

 

「流石、マイフレンド私の考えていることが分かっているじゃないか」

 

「そこをとやかく言うつもりはないがその前にここの島の地図それを作ってくれないか?スポットがどこにあるかを記したものを。報酬は50万ポイントでどうだ?」

 

「私の動かし方をよく理解している。だが、君は私に勝った人間であり友だ。その依頼は無償で受けよう。ただし、試験が終わり次第また私と勝負したまえ。それまでの間私はさらに美しくなっている」

 

「了解した」

 

「それでは私は行くとしよう」

 

 そう言って高円寺はさらにスピードを上げて立ち去った。

 

「さて、無事に高円寺を見失ったな」

 

「ど、どうしましょう」

 

「俺らは俺らで探索しよう」

 

♢♢♢♢

 

 あの後、池たちが見つけた川の近くにあるスポットを拠点にすることに決まった。

 

「まずは誰がリーダーになるか決めようか」

 

「リーダーは俺がやる。異論はあるか?」

 

 相談もなしに発言したことで周りがざわつき始める。この試験でCクラスを目指すのならまずは俺がリーダーにならなくてはいけないこれは必須だ。

 

「え?谷風君がかい?僕は谷風君に任せてもいいと思うけどみんなはそれでいいかな?」

 

「私も賛成だよ!陽人君頼りになるし」

 

 桔梗がそう言ったことで櫛田ちゃんが言うならと言うことで全員が賛成の意見を示してくれた。

 

 まぁ何はともあれリーダーになれたからよしとするか。

 

 そしてさっそくスポットの占有を始めた。それでひとまずは落ち着いたかと思ったがまさかの緊急事態だ。

 

「おい!池何してる!」

 

「何って川の水飲んでるだけだぞ。こんなに水源が綺麗なんだからさ」

 

「バカが!いくら水が綺麗でもその中には寄生虫や細菌が入っている可能性はある。飲むなら一回煮沸してからだ。わかったか」

 

「わ、わりぃ。子供の時から家族でキャンプしてたからあんまり抵抗なくてよ」

 

「変に慣れてると危機感が薄くなるからな。次からは気をつけろ。一応体調が悪くなったらすぐに報告しろ」

 

 池の行動をきっかけにクラス全員に一応川の水の危険さを話した。無人島である以上、普通の川よりも安全ではあるのだろうが完全に危険性がなくなるわけではない。それにここで感染症なんて起こされたら面倒だ。少量ならばいいかもしれないが1週間この水を飲み続けるのは危険すぎる。

 

 そして平田とひとまず必要なものを相談しいろいろな人に意見を聞きながら購入するものを決めていった。

 

♢♢♢♢

 

 生活できる最低限の装備を整えたらすっかりと日が暮れてしまった。学校が管理しているだけあって食料には困らなく夜ご飯の調達は比較的簡単に行えた。

 

 その間で起こった出来事としてまず高円寺、堀北がリタイア。Cクラスの伊吹がDクラスにやってきた。こんなところだ。

 

 夜ご飯を食べ終えたのち俺と清隆は砂浜に訪れていた。

 

「よかったのか?」

 

「なにがだ?」

 

「堀北だ。高円寺が仮病で船に戻り、その後堀北も船に戻った。誰も堀北が仮病だとは思わないだろうが元々堀北は印象が良くない。今回の件でさらにヘイトを買うんじゃないか?」

 

「ま、そうだろうな。あいつは実際に風邪をひいてたからどの道どこかではリタイアしていた。だからヘイトを買うのは避けられない。ただ別の日ならヘイトは下がったかもしれないがな」

 

「いいのか?堀北は変わろうとしている。ここでクラスメイトのヘイトを買えば変わらないんじゃないか?」

 

「清隆言葉ってすごいよな」

 

「急にどうした?」

 

「ヘイトが集まっている人間でもたった一言でその評価は覆る。俺が今回の試験終わった後に今回の作戦は鈴音が考えた。何かしなければと言う思いで俺にその作戦を託した。そう言うだけで一躍ヒーローになれる。まぁこの手のことは自称事なかれ主義の清隆の方が詳しいんじゃないか?」

 

「それより陽人今回はどう動く」

 

「露骨に話変えてきやがったよ。そうだなーその前に清隆、お前今回の試験でCクラスになれると思うか?」

 

「不可能ではないが難しいといったところだな。少なくともこちらのリーダーは当てられず俺らは逆に他のクラスのリーダーを全て当てる必要がある」

 

「同意見だ。リーダーを当てられないための案は既にある」

 

「そうだな。最終日あたりでいいか?」

 

「それが妥当だな。今の段階でも高円寺、堀北が既にリタイア、それに加えて俺も。この損失分を埋めるには相当頑張らないとな。これを使って」

 

「それは地図か?」

 

「ああ、高円寺が船に戻る前に渡してくれた。明日からはこれを使って島中を駆け回るつもりだ」

 

「あの高円寺が人の頼みを聞くとは驚きだ」

 

「こういう時のために高円寺と関わったからな」

 

「なるほどな。あいつ性格はともかくとして能力値は高いからな」

 

「そう言うことだ。それはそうと今回から本格的に始まると言っても過言じゃない。頼りにしてるぜ相棒」

 

「ああ、俺も頼りにしてるぞ相棒」

 

 星空が輝く中拳をぶつけ合った。そして無人島生活1日目は幕を閉じた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。