入学してから二日目。いきなり寝坊するとかいうこともなくしっかりと登校時間までに登校する。
「清隆、おはよう。堀北さんもおはよう」
「ああ、おはよう。陽人」
「おはよう」
堀北からはあいさつは返ってこないと思っていたので驚きだ。そんなことを言ったらコンパスで刺されかねないので黙って荷物を降ろしてから座る。
始業までまだ時間があるので清隆と話して時間をつぶそうかと思い後ろを向くと珍しく清隆が大きなあくびをしていた。
「なんか眠そうだな。どうした?」
「昨日お前がお勧めしてくれて見たアニメを自分の部屋に帰ってから少し見ようかと思って見始めたのはいいんだが辞め時が分からなくて結局全部見てしまった」
「よくあることだ。それより気に入ってもらえたならよかった。これからもおすすめのやつをアニメにとどまらずに教えてやるよ」
「ああ、楽しみにしてる」
「あなたたち、今日から初日の授業だっていうのにもっとしっかりしたらどうなの?」
「今日はガイダンスがメインだろうし大丈夫でしょ。堀北さんにもおすすめの作品教えようか?」
「遠慮するわ」
「無駄だぞ陽人。堀北は付き合いが悪いからな。もう少し人付き合いをしたらどうだ?」
「余計なお世話よ。私は1人でいるのが好きなんだもの」
挨拶を返してくれたからもしかしたらと思ったが、全然そんなことはなくツンツン全開だった。デレ成分がもう少しあってもいい気がするが、それは今後に期待しよう。俺自身も堀北がデレてくれるように頑張ろう。
そしていよいよ授業がスタートする。やはり最初の授業なのでガイダンスがメインとなった。それでも寝てるやつがいるのでこれはもうさすがとしか言えなかった。
担当の先生は昭和の鬼教師みたいな人はいなく全員が気さくで親しみやすい先生だった。
そして昼休み
「陽人、学食に行かないか?」
「いいよ。学食の方が安いか弁当作る方が安く済むのか気になるし。堀北さんもどう?」
「朝も言ったけど、私は1人でいることが好きなの。それより谷風君お金を気にするなんて昨日配られた10万円はほとんど使用してしまったの?」
「まさか、10万円が来月そのままもらえる保証はないから」
多分このくらいなら言ってもいいだろう。これ以上話すとマジで退学になりかねないからな。
「どういうことかしら」
「昨日の茶柱先生の言葉を思い出してみるといいよ。さ、清隆行くか」
さっそく学食に着いたのでメニューを見てみたが、種類がとにかくすごい。その日の気分がなんであれよっぽどマニアックなものでなかったら、基本的には自分の食べたいものを食べることができる。
今日のところは無料の山菜定食だな。もし何かあってptがなくなった時頼れるのはこいつだけだ。果たしてどのくらいのおいしさなのか試してみる必要がある。
「陽人、お前は何にするんだ?」
「無料の山菜定食。無料のものがどれほどのおいしさか気になってな」
「なら、俺もそれにするか」
「別に合わせる必要はないぞ。清隆の食べたいもの食べろよ」
「おそらくお前の言った通り、ポイントは変動する。来月どのくらいのptがもらえるのかわからない以上節約するに越したことはない」
清隆と仲良く山菜定食を注文し、端の方の空いている席に座り山菜定食を食べる。
「まぁ美味しくはないな」
「そうか?ホワイトルームの飯よりは美味しいだろ」
「確かにな」
ホワイトルームのご飯は栄養バランス重視だったためおいしさなんてものはない。それに比べたら清隆の言う通り山菜定食の方が100倍マシだ。
「ま、明日からは普通のやつ頼むか」
「知ってはいるが食べたことがないのが多いな。何がお勧めか教えてもらってもいいか?」
確かに清隆はようやく最近ホワイトルームを抜けだしてきたんだ。揚げ物とかは知識では知っていても食べたことはないはずだ。あそこにいたときに揚げ物なんて一回も出たことがなかったからな。
「まだこの学食がどのくらいおいしいのかわからない以上何とも言えないな」
「そうか」
「今日なんか食べに行こうぜ。もちろん俺のおごり」
「い、いいのか?」
「あれだ、出所祝いってやつだ」
「その言い方はやめてくれ。俺が捕まってたみたいになるだろ」
「実質捕まってたものだし、あってね?」
「言われてみればそうだな」
山菜定食を食べ終えて食器を返却口に帰してから教室に戻る。
「ねぇ、綾小路君に谷風君ちょっといいかな?」
The 陽キャオーラを出してきながら話しかけてきたのは櫛田だ。櫛田は1年の中盤からDクラスをかき乱していき綾小路と堀北の敵となる。ぶっちゃけ俺と清隆が組む以上こいつを退学にすることなんてたやすいが、櫛田は明るさとルックスがあるので正直手放すのは惜しく感じる。だから何とかいい関係を気づきたいところではある。
「俺はいいぞ。陽人は?」
「俺もかまわない」
「ありがとう。実はね・・・・・少し聞きたいことがあって、2人って堀北さんと仲が良かったりするの?」
俺は清隆と顔を合わせてお互いに「お前どう?」というような顔をする。
「まぁ、仲良くはないだろ。現に昼ご飯誘ったのに断られたし」
「俺もそんな感じだな。席が隣だから話しかければ一応は返してくれる」
「そうなんだね。私ね学校中の人と友達になりたいんだ。堀北さんにも連絡先聞いたんだけど・・・・断られちゃって誰とも仲良くする気はないって。でも私堀北さんとも友達になりたいの。協力、してくれないかな?」
櫛田はそう言うと俺たちの手を取り、さらに上目遣いで言ってくる。
「だめ・・・・かな?」
あざと!こんなの並みの男子ならコロッと行くぞ。現に清隆は感情があるから若干揺らいでるし。清隆に夢を見させるのも可哀想なので背中をつねりながら俺が答える。でもここで断ると印象が悪くなるので協力はしておく。
「分かった。協力するにしても放課後か。部活動説明会の後でどうだ?」
「うん!それで大丈夫だよ」
「まぁ、俺は用事があっていけないから清隆に任せる」
清隆が驚愕の表情を浮かべてこっちを見てくる。俺は読唇術で清隆と会話する。
(昨日言っただろ、金を稼ぐって。今日その手続きに行かないといけない。夜、ご飯おごってやるから許してくれ)
(はぁ、わかった。やれるだけやってみる)
「わかった。俺一人だがいいか?」
「大丈夫だよ。綾小路君」
そこから打ち合わせをしているうちに昼休みは終わり午後の授業を迎えた。
そして午後の授業も終わり部活動説明会がこれから体育館で行われる。
「清隆、お前部活動説明会にはいくのか?」
「特に部活動には入るつもりはないが一応行こうと思う。陽人はどうなんだ?」
「俺は行くよ。俺もいろいろ気になってるし。堀北さんは行くの?」
「私も一応行くことにするわ。ついてきなさい」
「一人が好きって言ってた割には案外さみしんぼだったり?イタ!」
思わず出てしまった言葉の返答はコンパスの針だった。
「暴力には断固反対です」
「あなたが変なことを言うからよ」
「そこまで変なことは・・・・はいすみません私が間違ってました」
またもやコンパスの針をちらつかせてきたのでおとなしく謝ることしかできなかった。いくらホワイトルームで鍛えたとはいえ痛いのはシンプルに嫌だ。
「分かってるのならいいわ」
俺と清隆は堀北の後ろに付き従う感じで体育館に向かった。その道中読唇術で「お前の勇気には恐れ入る。堀北をからかうなんてな」等の会話をしていた。読唇術なので堀北には聞こえてないはずなのだが、振り返って「何か失礼なこと考えてなかった?」と言われた時は2人で全力で否定した。
そして部活動説明会が始まる。
運動部から文化部やはりどの部活も気合が入っていて見ていてとても面白かった。
そして生徒会の発表になった瞬間、隣にいる堀北が硬直した。一応、大丈夫かと聞いたところ震えた声で「大丈夫よ」と言われたので心配だがこれに関しては俺にはどうしようもないのでそっとしておくことにした。
そして生徒会の説明が始まった。今までの部活動の発表とは一味違い何か飲まれるものがあった。これがカリスマといったところか。そんなことを考えているうちに説明は終わり生徒会長は段を下りて行った。
生徒会の発表が最後だったのでこれで部活動紹介は終わりとなる。まずは堀北を起こすとこから始めるか。
「堀北さん、堀北さん」
駄目だ返事がない。これは思ったより重症だな。ここまでなるなんて一体なにしたんだよ生徒会長。
「堀北鈴音!」
「ッ・・・・・!た、谷風君どうしたのかしら」
「それはこっちのセリフだ。大丈夫か?」
「え、ええ大丈夫よ」
「今日はもう帰って休め」
「そうね。そうするわ」
堀北はそのまま体育館を去っていった。
「清隆今日は無理そうだな」
「そうだな。櫛田にはどうする?」
「俺の方から連絡しとく」
「助かる」
「じゃ、俺は行ってくるわ」
「夜ご飯楽しみにしてるぞ」
清隆とも別れて俺は職員室に向かう。
「1年Dの谷風陽人です。茶柱先生に用があってきました」
「こっちだ。谷風」
「それで、先生話はまとまりましたか?」
「一応まとまった。さすがに2000万は無理だ」
別に当初から2000万pptもらえるとは思ってなかったから問題はない。交渉において大事なのはいかにして最初に高い金額を提示するかだ。そうすることで相手は金銭感覚が狂い最初より安いからこのくらいならいいかという事態に陥る。
「それでいくらまでなら出るんですか?」
「数時間でSシステムに気が付いたことそれを知った時の行動力を上も評価していてな。1000万pptなら交渉に応じる」
1000万半分だがまぁ上出来だな。
「金額が半分になったんです。追加で一つやってもらいたいことがあります」
「いいだろう。上も何か追加要求されると考えてな、可能な範囲なら叶えてやれとのことだ」
「部屋を最大限にまで拡張してください」
「いいだろう。かつて同じように部屋を最大限にまで拡張したもの好きがいてなそいつが使っていたところを使え。管理は行き届いているから今すぐにでも使える状態だ。ただ、申請がいるため実際にお前が入居できるのは早くて3日後だ」
「わかりました」
「話は以上だ」
「では失礼します」
俺はルンルン気分で家に帰りそのまま清隆を呼んで焼き肉を食べに行った。今回は昨日の反省を生かして一度有栖の家に寄ってご飯を作ってから行った。その時にお友達ができたと言っていたのでひとまずおめでとうと言っておいた。
「おお、これが焼肉か」
「食べ放題だからな。好きなだけ食え」
「遠慮なくいかせてもらう」
なんとも初めて焼き肉を食べる幼稚園児みたいな表情を浮かべながら食べているので何とも面白かった。せっかくなので堀北に写真を撮って送ってやったら「焼肉でこんな喜ぶ人初めて見たわ」との返信が返ってきた。
「おいしいかい、清隆君」
「俺は今猛烈に感動しているぞ。こんなにおいしいものがこの世にあったなんて」
「それは何よりだ」
「そういえば陽人金は稼げたのか?」
「ばっちりよ」
俺はそう言って自分の端末を見せる。
「約1100万か。かなり稼いだな」
「本当は2000万要求するつもりだったけどこれで妥協しておいた」
「お前に交渉を持ち掛けられたやつが不憫で仕方ないな」
「お、牛タン焼けてるな。いるか?」
「いただく」
食べ放題の90分コースで終わるころには清隆は苦しくて動くのに苦労していた。なので肩を貸しながら寮まで帰った。
ヒロインについて
-
増やしていくし、同棲もする
-
増やすが、同棲はしない
-
一部は同棲する
-
そもそも増やさない