放課後俺と清隆は職員室に呼ばれたため職員室に向かった。
「失礼します」
職員室に入ったものの茶柱先生はいなかった。仕方ないので鏡で自分の顔をチェックしてる先生に話を聞くことにした。
「すみません、茶柱先生はいますか?」
「え?サエちゃん?えーっとね、さっきまでいたんだけど」
セミロングの軽くウェーブのかかった髪型で、茶柱先生と年齢は近そうだな。だだ、こっちの先生の方が茶柱先生よりは親しみやすそうではある。
「ちょっと席を外してるみたい。中に入って待っていたら?」
まぁわざわざ外に出るのも面倒だしそうしようか。
「そうですね、そうさせてもらいます。せっかくなんで少し話しませんか?先生が茶柱先生とどういう関係なのか気になるので」
「いいわよ♪さ、座って」
俺と清隆は近くの椅子に腰かける。
「私はBクラスの担任の星之宮知恵って言うの。佐枝とは高校の時からの親友でね。サエちゃん、チエちゃんって呼び合う仲なのよ~」
「なるほど、高校の同級生だったんですね」
「そういえば、君たち名前は?」
「谷風陽人です」
「綾小路清隆です」
「谷風君と、綾小路君だね。それにしても君が谷風君か~」
「知ってるんですか?俺のこと」
「もちろん知ってるよ~入学初日でSシステム見抜くんだもん。職員室でももちろん話題になるよ」
そういえば、会長も言ってたな。職員室で話題になってると。
「それはそうとさ、君たちモテるでしょ~どう、彼女できた?」
「俺はそれなりに」
「俺はまだです」
「ふ~ん。私が同じクラスなら放っておかないのに。私が立候補しようかな~つんつん」
俺は日々思う。大体アニメで主人公をからかって楽しむヒロインがいる。俺は常日頃からこんなシチュエーションにあったら逆にからかい返してみたい!そう思っていた。まさに今はその状況だ。先生がヒロインかは置いておくとして。
「逆に聞きますけど先生は恋人とか結婚なされてるんですか?」
「残念ながらまだなんだよね~」
「そうなんですか意外ですね」
俺はそう言いながら立ち上がり、星之宮先生の横に行く。そして声をイケボに変えてささやく。
「こんな美人、俺なら放っておかないのにな。いないなら俺がそのポジション立候補しようかな」
「な⁉も、もう大人をからかっちゃだめだよ」
「からかってないさ、俺は本気だよ。知恵」
そのセリフを言ったと同時に俺の頭に何かが振り下ろされた。
「痛い・・・・」
振り返ると茶柱先生がいた。この状況から見るに茶柱先生に叩かれたようだ。少しは加減して欲しいものである。まったく。
「谷風何をしている。大方星之宮が原因だと思うが」
「そうですよ、星之宮先生がからかってきたのでその仕返しに」
「そうか、まあいい。二人とも生徒指導室に来い」
それに従い俺と清隆は茶柱先生についていくがそれにおまけで星之宮先生が俺の腕に抱きつきながら来た。さっきの仕返しといったところか。
「お前はついてくるな」
「ええ~冷たいこと言わないでよ~。聞いて減るものじゃないし。サエちゃんが生徒指導室に呼び出すなんて珍しいし、こんなかっこいい2人と生徒指導室で何するのかなって気になっちゃうな。それに谷風君は私の旦那さん候補なんだから余計にね」
「生徒を旦那候補とか言うな」
「私が言ったんじゃないよ。谷風君から熱烈なプロポーズ受けたんだから~。それはそうとまさか、サエちゃん下剋上を狙ってるんじゃないのぉ?」
おっと、さっきまでのほのぼのした空気と異なり一気にぴりついた空気になった。
「バカを言うな。そんなこと無理に決まっている」
「ふふっ、確かに。サエちゃんには無理だよね~」
もう覚えてないがこの二人って仲けっこう悪いんだったか?そんなぴりついた空気を気にすることなく茶柱先生が進み始めたので俺らも進む。もちろん、星之宮先生もいる。
「どこまでついてくるつもりだ。これはDクラスの問題だ」
「え?一緒に生徒指導室だけど。私もアドバイスするし~」
このままついてくる流れになるのかと思っていたらよく知っている人物が星之宮先生に話しかけた。
「星之宮先生、少しお時間よろしいでしょうか?生徒会の件でお話があります」
帆波が星之宮先生にそう言って話しかけていた。ここでもしも帆波と話すと絶対に星之宮先生に帆波との関係について根掘り葉掘り聞かれるので話さないでおく。帆波の方も星之宮先生の性格を知ってか話しかけてくる雰囲気はない。
「ほら、お前にも客だ。さっさと行け」
星之宮先生が去ったことで俺らはようやく生徒指導室に案内された。
「で、俺らを呼んだ理由ってなんですか?」
「うむ、それなんだが・・・・話をする前にちょっとこっちに来てくれ」
茶柱先生は時計を確認しながら生徒指導室の隣のドアを開ける。そこは給湯室になっていてコンロやヤカンが備わっている。
「お湯でも沸かせばいいですか?ほうじ茶ですかね」
清隆がそう言うが絶対に違うだろ。
「お前ら、余計なことはしなくていい。黙ってここにいろ。いいか、物音立てずに静かにしているんだ。破ったら退学だ」
そう言われて給湯室のドアが閉まった。
(さすがに横暴じゃないか。物音を建てたら退学なんて)
(清隆、ここは従っておこう。あの人マジで退学にしそうだから)
(ああ、分かってる)
やることもないので清隆と読唇術しりとりをしていた。清隆のやつ、判別がつきにくい言葉ばかり言いやがって、おかげでかなり苦戦している。そんなことをやっているうちに生徒指導室に誰か入ってきたみたいだ。
「まぁ入ってきてくれそれで話とは何だ堀北」
「率直にお聞きします。なぜ私がDクラスに配属になったのでしょうか?」
「本当に率直だな」
「先生は先日、クラスは優秀な順でAクラスに選ばれるとおっしゃいました。そしてDクラスは落ちこぼれが集まる最後の砦だと」
「私が言ったことは事実だ。どうやらお前は自分が相当優秀な人間だと思っているのだろう」
「私は入試でもほとんど解けたと自負していますし面接でも大きなミスはなかったはずです。少なくともDクラスに配属されるとは思えないです」
この世の中、勉強だけでどうにかなることはない。何度も言っているがこの現代求められるのは社交性だ。それが致命的にかけてればいかに勉強、スポーツができたとしても無意味だ。その典型例が堀北だろう。
「お前ら、入って来い。入ってこなければ退学にする」
おいおい、こんなに退学をちらつかせるなんていくらなんでもひどすぎるだろ。
俺らが隣にいたことを知ると当然戸惑っている。
「聞いていたの?」
「ああ、壁が薄いのか聞こえてた」
実際、しりとりに夢中で最初の方しか聞いていなかったが。
「・・・・先生なぜこのようなことを」
これが茶柱先生によって仕組まれたことだと知ると堀北は怒りをあらわにする。
「必要なことだと判断したからだ。さて、お前らを呼んだ理由だが、まずは綾小路からだ」
どうやらまずは清隆かららしい。
「綾小路、お前は本当に面白い生徒だな」
「茶柱、なんて奇特な苗字を持った先生ほど面白い男じゃないですよ俺は」
「全国の茶柱さんに土下座してみるか?」
確かに茶柱なんて苗字はあまり聞いたことないな。全国に何人くらいいるんだろ。それはそうとここで冗談を言うとはさすがだな。
「入試の結果、すべての科目が50点それに加え前回の小テストも50点。これが何を意味するか分かるか?」
堀北はこの結果に驚きテスト用紙を見ている。
「偶然って怖いっすね」
清隆よ、それは無理があるぞ。茶柱先生からの説明で正答率3%のやつを正解して76%のやつを間違える。これには言い逃れできないと思ったが偶然で押し切った。
「綾小路君はどうしてこんなわけのわからないことをしたの?」
「いや、だから偶然だって。隠れた天才とかそんな設定はない」
「堀北、もしかしたらお前よりも頭脳明晰かもしれないぞ。さて、次は谷風お前だ」
「残念ながら、俺はテストの点数を50点にそろえるやつほど面白くないと思いますが」
「案外そうでもないぞ。お前の入試結果ももちろんあるぞ」
そう言って茶柱先生が俺の入試結果もテーブルに置いた瞬間堀北がすぐに目を通す。
「国語32点、数学63点、英語27点、社会41点、理科76点とくにおかしな点は見られないと思いますが、文系科目が苦手で理系科目も平均的そんな生徒いくらでもいます」
俺の点数を口に出さないでくれよ。恥ずかしいな。
「ふふ、堀北お前は忘れているようだな。今回の小テストその1位を」
そう言われると堀北は何かに気が付いたように顔を上げた。
「今回の小テストの1位は100点で谷風君だった」
「一応言っておくカンニングはなかった」
「谷風君これはどういうこと」
「偶然だろ」
俺は清隆同様偶然で押し切ることにした。おい、清隆。そんな偶然はないなんて顔をするな。
「谷風、残念ながらお前の行動は偶然ではない証拠があるぞこれを見ろ」
そう言って茶柱先生は置いてあったパソコンを起動させる。
「これは国語の入試前の教室の防犯カメラだ。谷風の行動をよく見ろ」
そう言って茶柱先生は映像を進めていく。そして堀北が何かに気が付いたようだ。
「止めてください。これはサイコロ?」
「よくわかったな。その通りだ。拡大してみよう」
そしてそれを見て何かに気が付いた堀北がテストの用紙と見比べる。
「まさか、サイコロで出た目と同じ点数を取っている」
「その通りだ堀北。谷風は入試と小テスト、サイコロで出た目と同じ点数を取っている」
「あなたもなんでこんなことをしたの?」
もうここまで来ると偶然では無理そうだ。正直に話そう。
「単純に満点を取るだけじゃつまらなくなったからな。少し遊び心を」
高校入試は中学を卒業してから行われた。つまり、中学時代トップを取り続けるという制約はなくなった。それで入試も満点で終わらせるのはなんかつまんないなっということでサイコロを使って遊んだわけだ。
「入試でこんなことをするなんてどうかしてるわよ」
「どうだ堀北。綾小路はともかくとして少なくとも谷風はお前よりも優秀と分かったはずだが」
「先生質問です。学校側は谷風君のこの行為を知っていたんですよね。なら何故谷風君がDクラスなのですか?少なくともBもしくはCクラスかと思うのですが」
「これは驚いたな。堀北、お前が他の生徒を気にかけるとはな」
「違います。クラス分けがどのような要因でされたのか少しでも知るためです」
「まあそういうことにしておこう。確かに谷風はBクラスに配属予定だった。しかし色々な事情が重なりDになった。ここからは個人情報だ。一教師として生徒の個人情報を漏らすわけには行かんからな」
よく言うよ。入試の成績公開しておいて。これも立派な個人情報だろ。
「私はもう行く。職員会議が始まる時間だ。全員出ろ」
茶柱先生に背中を押される形で強制的に外に出させられる。本当に強引だな。
「俺たち結局なんで呼ばれたのか分からなかったな」
堀北に聞こえないくらいの音量で清隆が言ってきた。
「まったくだ。入試の答案見て俺がサイコロでゲームしてたが暴露されただけだ。まぁゲームの結果が知れてよかったけど。それにしても清隆お前も50点で揃えるとはな。目立ちたくないなら平均取れ。50だと逆に目立つ」
「確かにな。今回のことでよく分かった」
「ま、いい時間だし帰るか」
「そうだな。さっき会ったピンク髪の美人との関係も気になるしな」
「え、バレてた」
「あの子を見てるお前の視線とあの子がお前を見てた視線は初対面のものじゃなかったからな。まさか、俺というものがありながら彼女を作ったのか」
「お前は、厄介な彼女かなんかか!」
「最後のは冗談だ」
うぅぅ、清隆が冗談言うなんて本当に成長したな。
「待って」
帰ろうと思ったところで堀北から待ったがかかる。
「谷風君のは意図的にやったと分かったけど綾小路くんのは本当に偶然なの?」
「偶然だって言ってるだろ。意図的にやった根拠はないんだろ?」
「それはそうだけど。この際はっきり聞くわ。あなたたちはAクラスを目指すつもりはあるの?」
「目指すつもりはない。俺らにとってAかDかなんてのは些細なことでしかない」
「そうだな。陽人の言う通りだ。俺らには他にやる重要なことがある」
「綾小路君は分かってたことだけど谷風君まで目指してないなんて。進学や就職に有利になることを蹴ってまであなたちを突き動かすのは何?」
「自由だな」
「自由?そんな抽象的なこと?それに自由なら今でもある程度は保証されてるでしょ」
「詳しくは言えないし、それ以上詮索もするな」
「余計な詮索をしない代わりに手伝ってくれない?」
「そんなの滅茶苦茶だろ」
「俺らにメリットが全くない」
「そうかしら?あなたたちは余計な詮索をされない、私は駒を手に入れられてwinwinな関係になると思ったのだけど」
「はぁ、なら一つだけ堀北さんにアドバイスあげるよ。まずは自分をもう一回見つめ直してみな。今の堀北さんが社会に出てもただのお荷物としかならない」
「なんですって」
「今の俺の言葉が理解できたならひとまず1年間は協力してもいい。もちろんその時は清隆もセットでつけよう」
「俺はハッピーセットかなんかか。まぁ陽人がいいなら俺もいいが」
「じゃあ俺らは行くよ。今日は帰ってゆっくり考えてみることだね」
♢♢♢♢
少し時は遡り4月の中旬
この学校は知っての通り敷地がかなり広い。ほんと一つの町と言っても違和感ないくらいには。そこで俺は木になっている施設がある。図書館だ。外観は見たことあるがかなり大きかった印象だ。はたまたなぜ図書館に行くのか。生前俺の趣味は読書だった。ジャンルは主にミステリーとライトノベルを中心的に見ていた。ホワイトルームにはそんな娯楽本が置いてあるはずもなくあるとしても論文だったりしたものばかりだ。中学時代も読んでいたがあくまでも学校の図書室にあるもので知っての通り学校の図書室の規模などたかが知れている。だからこの学校にある図書館には大分期待している。
そんなわけで早速入館したわけだがやっぱりかなり大きい。県立図書館と言っても見劣りしないレベルだ。
ひとまず、管内マップでミステリーの場所を探しそこに向かう。
おお、ミステリーだけでもこんなにあるとは。テンションが上がるな。
俺のミステリーのおすすめはやはり東野圭吾だな。とくにガリレオシリーズは特に面白い。それ以外にもいろいろ見たりしているが、俺が一番好きなやつと聞かれたらガリレオシリーズと答えるだろう。ただ、今回はまだ見たことない作品を見たくて来たので何がいいかなと探していると不意に声をかけられる。
「もしかしてミステリーお好きなんですか?」
「ん?ああ、ミステリーは本のジャンルでもかなり好きだよ」
話しかけられて後ろを振り向くと見覚えのある人物がそこにはいた。
「そうなんですね。何をお読みになられるんですか?」
「主に見るのは東野圭吾かな。新作が出たら見るし、他には適当に見て気に入ったシリーズを見てる感じかな。君もミステリー好きなの?」
「はい、私もミステリーが好きなんですよ!」
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺は1年Dの谷風陽人」
「私は1年C組の椎名ひよりです。よろしくお願いします。谷風君」
うん。知ってます。原作だと序盤には登場せず中盤から登場する人物だ。
「こちらこそ。椎名さんはよく図書館に来るの?」
「ええ、ほぼ毎日来ていますよ」
「そうなんだ。なら、ちょっとお願いがあるんだけどいいかな?」
「私にできる範囲でしたら構いませんよ」
「椎名さん、ミステリーが好きって言ってたけど何かおすすめとかあったりする?最近同じ作家の小説しか読んでなかったから他の作者の本も見て見たいなって思ってさ」
「なるほど、そうですね王道ではありますがアガサ・クリスティのABC殺人事件なんてどうです?」
「確かに、有名だけど見たことないな。ちょうどいい機会だし読んでみるよ」
「本当ですか!読んでみたら感想を聞かせてください」
「もちろん」
「もし、良ければ谷風君のおすすめも教えていただけませんか?」
「うーん。俺のおすすめかー東野圭吾のガリレオシリーズかな。読んだことある?」
「いえ、まだないですね」
「そうなんだ。せっかくだからお互いにお勧めの本持ってきて感想を言い合おうよ」
「いいアイディアですね!是非そうしましょう!」
お互いに本を探し始めたはいいが、椎名さんは普段から利用しているためすぐに見つけてきたが俺は今日初めて来たのでどこに何があるのかわからず探すのにかなり時間がかかってしまった。
もう、すでに日も落ちているのでこの日は本を借りるだけになった。そして一緒に寮まで帰ることになった。道中は本の話題やクラスの様子などをお互いに話し合っていた。
「あの、谷風君!」
「ん?どうした?」
「あの、もしよければ私と友達になってくれませんか」
「もちろん喜んで。同じ読書友達ができてうれしいよ」
「私もです。良ければ連絡先も交換しませんか?」
「もちろんいいよ」
お互いに連絡先を交換してこの日は解散となった。寮に帰るとき丁度、有栖と帰る時間がかぶってしまってさっきまでいた女の人は誰かと問い詰められたのはまた別の話。
ヒロインについて
-
増やしていくし、同棲もする
-
増やすが、同棲はしない
-
一部は同棲する
-
そもそも増やさない