知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第九射

そして電話をかけると、数コールの後に向こうが電話に出て声が聞こえた。

 

「あっ、もしもしダー様?」

 

真っ先にそう言うと少し間を置いた後に電話の向こう側から少々殺意の混ざった声が返ってきた。

 

『……その名前で二度と呼ぶなと。何ども申し上げたはずですが。黒田真澄さん?』

 

そう言い、その殺意の中に驚きも混ざった様子の聖グロリアーナの知り合いは真澄と電話をする。

 

「いやはや、すまないね。つい昔の癖で……」

『はぁ……まあ、今回は久しぶりのお電話という事で不問にいたしましょう。……それで、今日は一体何のご用件で?真澄さん』

「私の今いる学校。大洗女子学園なんだけど。そこが戦車道を復活させるようで、そこで練習試合を頼みたいんです」

『あら、大洗女子学園が。おめでとうございます』

 

ダージリンは少々驚きの様子を見せた。

 

「お願いできますか?」

 

そう聞くとダージリンは確認を取ったのだろう、少し間を開けて答えた。

 

『ええ、構いません。場所も日時もそちらにお任せします』

 

その問いに真澄は角谷の方を見ると彼女はメモ用紙に『にちようびのじゅうじ』と書いていた。

 

「日曜の十時でいかがでしょう?場所は大洗町で」

『分かりました。

 

 

 

……ところで、真澄さんは出られるのですか?』

 

 

 

ダージリンがそう聞くと、真澄は答える。

 

「いえ、私は所詮除名者リストの人間です。戦車に触れる人間じゃありませんよ」

『そうですか……』

 

その向こうで無念と後悔の混ざった声色でダージリンは真澄に言う。

 

『もしあなたが戦車道に戻ると言うのであれば、私達も持てる総力を駆使して協力いたしますわ。なにせあなたにはーー』

「……ええ、分かりました」

 

真澄はダージリンの心遣いに軽く感謝すると最後の彼女はこう言った。

 

『では、練習試合の日を楽しみにしていますわ』

「はい、こちらこそ。よろしくお願いします」

 

そう言うと電話が切れた。

 

「終わりました。会長」

「うん、お疲れ〜。真澄ちゃん」

「いえ、これもマネージャの仕事ですよ」

 

彼女はそう答えると、角谷は部屋にいた河嶋に目を遣る。

 

「じゃあ、河嶋」

「はい!日曜日に向けて訓練します!」

 

そう言い部屋を出て行こうとした河嶋に真澄はある資料を渡す。

 

「河嶋広報」

「何だ?」

 

そう言うと、真澄は河嶋に資料を手渡す。

 

「今日の訓練スケジュールです。すでに組んでおきました。今日の日程はこれで進めてください」

「なっ?!」

 

こちらには既に用意した訓練プログラムがあると言うのに。

咄嗟に河嶋は必要ないと言おうとしたところで角谷が先を制した。

 

「河嶋、今日からその予定で行こう」

「え?!しかし会長、我々が一夜かけて作ったプランは……」

「こう言うのは経験者の方が絶対いいよ」

「……分かりました。おい、その資料を見せろ!」

 

そう言い奪うように持っていた中身を見ると、自分のよりいい出来だったのだろう。どんどん顔が青ざめていった。

 

「短期間で効率よく行う訓練計画です」

「ほほーう、うちらのよりよっぽど良さそうだね」

 

そう言い、そこに書かれていた訓練スケジュールを見て角谷は真澄に言う。

 

「じゃあこれからもスケジュールを頼んだよ」

「分かりました」

「お礼は干し芋ね」

「結構です。代わりにソーダシガレットで」

「分かった〜」

 

絶対わかってない返事をし、河嶋は生徒会室を出る。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その後、ホームセンターにシャアハウスで壊れたドアの部品と機動隊の装甲車整備用のレンチを買いにきた真澄と榎本はそこで必要なものをカゴの中に入れていた。

 

「あれ?真澄さんと武代さん?」

「……やあ」

「みほちゃん」

 

そこでみほや他の四人を見た。

すると真澄はそのうちの一人の生徒に目がいった。

 

「あれ?冷泉じゃん」

「……ああ、黒田か」

「え?麻子知り合い?」

 

冷泉の反応を見て驚いた様子の武部。

 

「ああ、いい昼寝場所を教えてくれる親友だ」

「それって友人ですか?」

「ああ」

 

五十鈴の疑問にそう答えると、真澄が聞いた。

 

「何であなた達、ここにいるの?」

「あっ、クッション買いに来たんです。武部さんがなんかお尻痛くなっちゃったらしくて……」

「そう、あんな揺れるのに座ってたら痛くなっちゃうよ〜」

 

彼女はそう言うと、思わず真澄達は聞き返す。

 

「え?戦車にクッション敷くの?」

「……みぽりんと同じこと言ってる。ダメなの?」

「い、いや……我が強くていいんじゃない?」

「そうね……」

 

少なくとも靴で乗っていたが故にそんなクッションを積む必要なんてなかったわけで。てか邪魔だし。

 

「と言うより冷泉。あなた戦車道するの?」

「ああ、西住さんや黒田には借りがあるからな」

「借り?」

「最高の昼寝場所の提供だ。あとお菓子」

「……」

 

それだけでわざわざ苦手な戦車道を選ぶのかと思うと、彼女は続けていう。

 

「私は、受けた恩は必ず返すよう育てられてきた」

 

そう語る麻子に舌を巻いていると、武部は聞いてくる。

あの訓練試合以降、戦車道の動きを見て少しは信頼されたのか。武部と連絡先を交換するくらいには仲ができていた。

まあみほが陽気に珍しく怖気ずく事なく話していたからこそかもしれないが。

 

「それで、二人はどうするの?」

「ん?うちらはこのまま帰るさ」

「必要な物は買ったしね」

 

そう言いカゴの中身を見せると、武部が二人に話しかけてくる。

 

「その荷物なら付き合ってよ。このあと予定とか無さそうだし」

「うーん……」

「まあ良いけど」

 

どうせ買うと言ったってクッション買うだけだし。

 

「あっ、これ可愛くない?」

「これも可愛いです」

 

武部と五十鈴がそう話しながらホームセンターのカゴの中から安売りのクッションを眺める。まぁ、ハート型だったりいかにも女子物だった。

 

「あとさー、土足禁止にしない?」

「「え!?」」

「だって汚れちゃうじゃない」

「土禁はやりすぎだ」

「そうよ。戦車の中で足挟んで指切ったらどうすんのよ」

「装填手だって手袋しなくちゃいけないのに?」

 

武部の暴論に思わず反論してしまうと、武部は榎本の指摘に諦めて次策を言う。

 

「そっか……じゃあ色とか塗り替えちゃダメ?

「ダメです! 戦車はあの迷彩色がいいんですから!」

「まあまあ……武部さん。何色にするの?」

 

真澄が聞くと武部は少し煌めきながら想像をしていた。

 

「え?そりゃ女の子なんだからピンクで……」

「却下」

「ええー」

「それじゃ居場所バレバレじゃないの。真っ先に蜂の巣になるわよ」

 

明らかに想像できる未来に思わず突っ込んでしまう。

 

「でしたら芳香剤とか置きません?」

「ああ、それいいね華。それと鏡とか欲しいよね、携帯の充電とか出来ないのかな?」

 

現代電車でもないような設備に思わず真澄達は苦笑してしまう。戦車は家とちゃうんやぞ。

 

「おーい冷泉。寝るなー」

「うぅー、ベットの誘惑には勝てない……」

 

売り物のベットで寝そうになる冷泉を叩き起こしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌日、自分たちは信じられないような光景を目にする。

 

「何、これ……?」

「え、私色盲になった?」

「だとしたらうちらも同じ色盲だと思う」

「じゃあ、この光景は何?」

 

そこには修理された戦車がいた。いたことはいたのだが、塗装が大きく変更されていた。

わずか一日で全車両直っていることにも驚きだが、それよりも真っピンクのM3中戦車や金ピカの38t軽戦車、『バレー部募集!!』と書かれた八九式。そして極め付けは新選組や海援隊、そして六文銭や風林火山の旗が刺さっていたⅢ突だった。

 

「これはひどい」

 

思わず真澄が最後に呟いてしまう。ちなみにⅣ号と短十二糎は塗装変更をしておらず、ジャーマングレーと草色だった。

 

「確かル○ン三世にこんな戦車あったよね?」

「ああ、PART3だね」

「悪趣味がすぎるよ」

「一年生、せめてデザートピンクにしよう?」

 

思わずそう呟いてしまうと、その横で戦車道のメンバーがそれぞれ好きな色に塗った戦車を見てご満悦な表情。

 

「…かっこいいぜよ」

「支配者の風格だな」

「ふむ」

「私はアフリカ軍団仕様が良かったのだが……」

「これですぐ自分の戦車がわかるようになった!」

「やっぱピンクだよね~」

「かわいい~」

 

『バカじゃないのか?!』と思わず叫びたくなってしまう所業。

 

「うん。いいね~河嶋。例の件すぐに先方に伝えてくれない?」

「はっ。連絡してまいります」

 

河嶋はおそらく試合相手の聖グロに連絡に行ったのだろう。場所はすでにこちらから連絡しているが、公式な通達ということだろう。

しかし好き勝手に塗った戦車を見てAチームの武部は頬を膨らまして文句を言う。

 

「む〜!私たちも色塗り変えればよかったじゃん!」

「蜂の巣になりたければ。どうぞ」

「出撃十秒で撃破ね。これは」

 

真澄と榎本が速攻で武部に言っていた。

 

「あぁ!M3が!八九式が!Ⅲ突が!38tが!何か別のものに!あんまりです!」

 

秋山は頭を抱えて嘆く。そりゃ戦車好きが見たら助走つけて殴っても良いレベルの所業だぞ、これは。

 

「ふふっ……」

「どうしたのみぽりん?」

「とても楽しそうだなって。戦車で楽しいと思ったの初めて!」

 

その横で色とりどりとなった戦車を見て思わずみほは笑ってしまっていた。まあこんな自由な戦車道、黒森峰じゃあありえないからな。

 

「そういえば榎本達の短十二糎自走砲は?」

「あそこ」

 

そう言い、大隈が指を刺すと。そこには草色の短十二糎自走砲が止まっていた。砲塔後部のハッチを開けて、大久保や伊藤が砲弾の積み込み作業をしていた。

 

「全然変わってないじゃん」

「元々の状態がいい戦車だからね。でも、少し手を加えさせてもらったよ」

「どこらへんですか?」

 

五十鈴が聞くと、榎本が答える。

 

「砲塔側面を見てみな」

 

するとみほがその絵柄に気づいた。

 

「あっ、砲塔側面」

「あと車体ですね」

 

そう言い、砲塔の側面にはピンク色の黒縁桜に四本の竹刀が菱形を作っていた。そして車体側面に『5』と数字が塗られていた。

 

「私のデザインでね。正面には小さく桜を形取った白抜きがされてる」

 

するとそこでみほが聞いた。

 

「武代さん。あの漢字は使わないの?」

 

その問いに榎本は首を小さく横に振った。

 

「あの漢字が使えるのは、真澄が乗る戦車だけ」

「……そっか」

 

みほはそこで納得すると、何も知らない秋山達は首を傾げていた。

 

「とりあえず、今日も訓練頑張りますか」

「そ、そうだね」

「擬態能力マイナス値だけど……」

 

とんでも塗装を見ながらみほ達はとりあえず今日の訓練に向かうのだった。

 

 

 

 

 

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