知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第一三三射

「……ノ……」

 

ノンナの車両に白旗が上がったのをカチューシャは見ていた。

 

『カチューシャ!何をしている!?』

『カチューシャ様!』

『さっさと行けじゃ!』

 

そこでまほや、一発でも多く砲撃を行って足止めを敢行するニーナ達から無線で言われる。

 

「っーー!!」

 

その様子に彼女は拳を強く握った上で涙目を浮かべる。

 

「撤退……するわよっ!」

 

彼女は歯軋りをさせながら車体をそのまま前進させると、雨の中を撤退していく。そして撤退を完了させた頃、KV-2にも白旗が上がった。

 

「覚えてなさい!」

 

彼女は自分以外が全滅したことを受けて激昂して報復を宣言した。

 

「……やられた」

 

照準器を覗き込み、小道で擱座した二輌の戦車を見てメグミは舌打ち混じりに呟いた。

 

『ちょっとメグミ、早く進んでよ。後ろがつっかえてるわよ!』

「ダメ。隘路を塞がれた」

 

アズミが後ろから無線で言うと、彼女は少し表情をムッとさせて反論する。

 

『じゃあ脇から抜けなさいよ!』

「滑るわよ。麓へ落ちたければどうぞ」

 

そこで彼女達は土砂降りになった雨の中で、綺麗に小道を塞ぐように撃破された二輌のプラウダの戦車を見る。

 

『ああもう!』

 

その光景を見てアズミは怒鳴った。

 

『……隊長を生かすために身を挺して命令を遵守したってワケ?高校生のくせに生意気なチームね』

「違うんじゃない?」

『は?』

 

地団駄を踏んでいたアズミにメグミは追撃の最中で見たクラーラやニーナ、ノンナの動きを見て察した様子で話す。

 

「動きに一貫性がなかった。たぶん各自が独断で行動したのよ」

『…やっぱり生意気じゃない』

 

一輌ずつ殿を務めているのを見て、彼女は察した様子でパーシングを停車させる。その状況を愛里寿は聞いて指示を出す。

 

「ルミ、大洗の五輌がそちらへ合流するばすだ。戦線の維持ができなければその場を放棄しろ」

『了解!』

 

彼女の命令を聞き、メグミは返事を行う。

 

『こちらは迂回して追撃しますか?』

「いや、残りの部隊は再編成をおこなう。故障車を確認しろ」

 

そして次々と命令を下し、追撃不可能となった小道を前にアズミが言う。

 

『すみません、隊長』

「いや、いい。あちらの隊長は部下を動かして戦果を上げるタイプだ。丸裸にできただけでよしとしよう」

 

愛里寿はそう言い、敵の指揮官の性格を交えた判断をする。

 

「プラウダは潰した」

 

愛里寿はそこで戦力の中核を担っていたプラウダ部隊が、残り一両になったことで、敵火力の大幅減に成功したと判断していた。

 

「みんな……シベリア送りになっちゃいましたね」

「まだよ」

 

遁走するカチューシャ車の車内で砲手が呟くと、後ろでカチューシャは言う。

 

「やられて()()()()シベリア送りなんだから。見てごらんなさい、力の違いを見せつけてやるんだから!」

 

反骨精神を奮い立たせ、彼女は力強くそう宣言をした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その上を雨の降る中を飛行する二機の銀河、煙を上げるKV-2を確認して白旗を確認する。

 

『大洗KV-2、行動不能』

 

そして集計が行われていく。

 

『大洗女子学園行動不能車、九七式中戦車チハ新砲塔一輌、パンター二輌、T-34/85一輌、IS-2一輌、KV-2一輌、行動不能』

 

そして集計確認が行われると、大洗側は七輌が損耗し、大学選抜側は二輌のみの損害と計測される。

その数的差に観客達はどよめいていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ひまわりチームの撤退成功により、戦局は新たな局面を迎える。

 

『こちら西、あさがおを突破した部隊は、ひまわりへと追撃を中止して中央集団と合流中』

「了解、引き続き偵察よろしく!」

 

高地を偵察していた西の旧砲塔チハは砲塔を後ろ向きにして上から草枝を被せて偽装を行った上で分散していた車両を集結させている様子を見ていた。

 

「後続、ついて来ている?」

「はい!全員揃っております!」

 

福田が敬礼をしながら真澄に答えて後ろを見ると、そこには横転から救助した玉田車他、細見車を確認する。

撃破された名倉達は無許可突撃をしたことで、試合後の熱々おでんの刑を名倉達は号泣しながら忍んでこれを受けることが確定していた。

 

「それにしてもあの頭上からの砲撃は……」

 

ポンチョを着ていたケイが思案すると、同じポンチョを被ったアリサが自信満々に答える。

 

「おそらく、アレです」

「アレ!?まさか?」

 

襲撃を受けて満身創痍であった彼女達は、雨が降る中を進軍していた。そこでアリサの様子に山郷が首を傾げた。

 

「なんで分かるの?」

「また盗聴?」

 

大野が冷めた目でアリサのトラウマを抉り、阪口が暴言を吐く。

 

「アリサさんって、彼氏の事も盗聴しそうだよね」

 

山郷が妙にワクワクして答える。

 

「束縛しすぎ?」

「それでタカシにフラれたんだー」

 

宇津木が微笑んでオープン回線で身も蓋もないことを言う。

 

『告白もしてないのに、フラれるわけないじゃない!っていうか何で知ってるのよ!』

 

それを聞いていたアリサが後ろを見て怒鳴り散らすと、涙を浮かべていた。

 

「アリサさん、元気出してくださいね!」

「一人も楽しいですよ」

「ふぁいとっ!」

「ガンバ!」

 

全くもって心のこもっていない様子で励ましを行っていた。

 

「戦車が恋人でいいじゃないですか!」

 

宇津木がそう言った時、あんこうチームの車内で武部が思いきりくしゃみをしてしまったとか。

 

『うるさいわね!あなたたちに慰められたくないわ!』

「それより!あの車輌は認可されたの?」

 

ウサギさんチームの雰囲気に引き摺り込まれそうになったアリサはケイの言葉で帰ってくると、真面目に返答をする。

 

「うちが導入しようとして問い合わせた時は、協議中だったんですが……」

「あれだとすれば、有効射程は意外と短い。発射方向は大体掴んだし、気軽に自走できる車輌ではないから…居場所の推定ができるぞ」

 

ナオミはそこでクリップボードに挟んだ地図を取り出すと、コンパスでいくつかの円を描いた。

 

「…何入れるつもりだったのよアンタ達」

 

一連の会話を聞いていた真澄が半眼になって聞くと、ケイはそこでその正体を教えてくれた。

 

 

 

 

 

一方、高地反対にいるたんぽぽチームは、ルミ中隊に足止めをされて動けない状態が続いていた。

 

「ひまわり、脱出したけどあと五輌だって」

「戦闘を中止してひまわりと合流しますか?」

 

砲弾を発射しながら五十鈴が質問する。

 

「でも、先に頭上からの砲撃を何とかしないと……」

 

そこで彼女は巨大な土煙の上がったあの爆発の正体の対処法を、秋山は考察を重ねていた。

 

「発射の時と着弾の音から推察すると、砲弾はおそらく一トン以上の艦砲クラス」

 

その直後、偵察を行なっていたCV33の近くに着弾する砲撃。

 

「今度はこっちか!」

「どっから降ってくるんすかね?」

「飛来方向は右前方みたいですけど」

 

ペパロニは平常運転で砲撃の正体に首を傾げると、カルパッチョは砲撃音の方角に首を傾げる。

 

「でもロケット推進音はなかったからシュトゥルムティーガーじゃない。とすると…」

 

砲弾を抱きながら彼女は考え込む。

 

「っ!」

 

ハッとなって彼女は顔を上げた。みほも了解したように頷くと、無線に手を伸ばす。

 

「会長、礒部さん、アンチョビさん、ミカさん、お願いしたいことがございます」

 

 

 

 

 

そして編成を終えて彼女達は進発する。

 

「どんぐり小隊〜~〜〜〜〜全速前進ッ!!」

 

CV33の車内で鞭を振ってアンチョビは指示を出す。

 

「だからドゥーチェ、狭いんだから暴れないでください!」

「ツインテールが邪魔です」

「うるさい!」

 

怒って反論した直後に左右に八九式とBT-42が追い付く。

 

「お待たせ〜チョビ」

 

そしてCV33の後ろをヘッツァーが追いついて角谷がそう言った。

 

「チョビって呼ぶなーーー!」

 

そこで激昂した彼女は、急増のどんぐり小隊は先ほどの激戦地であった大学選抜の本陣に一直線に突撃をしていく。

それを再編成中のアズミが視認した。

 

「四輌、前進して来ます。おそらく隊長狙いかと、こちらの指揮系統を混乱させるつもりか、やぶれかぶれなのか…」

 

パーシングは停車して照準をどんぐり小隊に向ける。

 

「各車発砲!」

 

一斉に砲撃を行う。

 

「隊長に近寄らすな!」

 

どんぐり小隊の周囲に多数の爆炎が巻き上がる。これにより、爆炎と土煙で小隊を覆い隠してしまうほどであった。

 

「消えた!?」

 

しかし次に視界が晴れると、そこには擱座した車輌は愚かどこにも姿が見えなかった。

 

「陽動だ。させておけ」

 

アズミは今の四輌の行き先が気になったが、愛里寿が制していた。

たとえあそこに向かっても、護衛がいるので問題ないだろうと判断していた。

 

 

 

砲弾の煙に紛れたどんぐり小隊は、そのまま丘を横切る窪みに逃げ込み、その中を通って右前方に進路を取った。

崖沿いの道を不安げにアンチョビは左右を見る。大きく左に曲がり、視界がひらけたところで、左側に巨大な物体を見た。

 

「何だあれは!?」

 

彼女の驚きでペパロニが顔を覗かせると、CV33を急停車させる。

 

「カールっすよ!」

「カール・ヴォルフ?」

「違います」

「ドイツのイタリア地域警察最高級指導者なんて、普通知りません」

 

アンチョビの的外れの答えにカルパッチョが顔を出して突っ込んだ。

 

「じゃあ、カールって何だ?」

「カール自走臼砲っす!あれは600mm砲っすよ」

「ろっびゃくぅ!?」

 

ペパロニの知識の披露と同時に、戦艦よりも大口径な砲にアンチョビは驚愕する。

その間、視界ではカールが装填作業を自動で行っていた。

 

「カルロ・ベローチェが8mm機銃だから…ええと…何倍だ!?」

「わり算も出来ないんスか!?七.五倍っす!!」

「七五倍です!」

 

ペパロニが自信満々に桁ずらしの計算間違いをすると、カルパッチョが突っ込んで、その間にカールは仰角をつけて砲撃をした。

 

「大体の位置は正解だったけど…あんな化け物使っていいのか?」

「あれがOKなら、うちのセモヴェンテM41MだってOKですよねぇ」

 

そこでオープントップ車両故に放置されていた車両をペパロニは思い出していた。

 

「使えないから放置してたのにな」

 

ぶつぶつ文句を漏らしていると、砲弾がたんぽぽチームに着弾して無線で大騒ぎになっているのを聞いた。

 

「急ぐぞ!」

「了解!」

オリ主とみほの戦いを先に見たいか否か。

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