知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第十五射

聖グロリアーナにて真澄は淹れた紅茶を振る舞うと、ダージリンは真澄と話に花を咲かせていた。

 

「あの後、どうしていたのです?」

「ん?ああ、速攻学校に行かず。親父から離れるために離れた場所にある適当な学校を受けたの」

「なるほど、それが此処だったと……」

 

そう言い彼女は反対側に停泊する小さな学園艦を見る。

 

「まさか戦車道を復活するとは思わなかったわ」

 

真澄自身驚いた様子で大洗の学園艦を見ると、ダージリンは真澄に聞いた。

 

「聞きましたわ。真澄さん、わざわざ戦車道連盟の方から人が来たとか……」

「まっ、狙いは私の持っている『戦車道選手育成計画』でしょうね」

 

彼女はそう答えると、部屋に入ってきたアッサムがカップを受け取って、真澄の紅茶を嗜みながら聞いた。

 

「その『戦車道選手育成計画』とは?『戦車道車両強化計画』は知っていますが……」

 

そんなアッサムの問いにダージリンが答える。

 

「真澄さんが主体となって開発した、二年後に行われる世界大会用に向けた選手育成プランですわ。『オーディン作戦』なんてあだ名していたけれど……」

「なんともおかしなあだ名ですね」

「ええ、そのための秘匿名称ですもの」

「……なるほど」

 

オーディンと言えば大勢の人間が知っており、よく検索する言葉。それ故に誰も気にしないと言うある意味で心理的な作戦とも言えた。

 

「それを真澄さんが?連盟が欲しがるほどのものなのですか?」

「ええ、何せ。その計画さえあれば日本の戦車道は世界最強になれるとも言われておりますとも」

「……」

 

アッサムは目を見開いて驚く。それほどの爆弾なのかと思うと、ダージリンは続けた。

 

「ええ何せ……知波単学園が中学生大会で準優勝を飾ったのも。その計画あってのものだと言われていますもの」

「っ!!」

 

思わずアッサムは情報屋として負けた感覚と、同時に是非ともそれが欲しいと思ってしまった。するとそんな彼女をダージリンが制した。

 

「やめておきなさい。それが今の彼女の武器でもあるの」

「なぜです?」

「なぜ連盟が何度も何度も彼女に電話や訪問をしているのか……」

 

ダージリンの思惑にアッサムは気づかないはずが無く、それ故に歯痒さを覚えた。

 

二年前の中学生大会で知波単学園を脅威の準優勝まで持ち上げたほど強力な戦車道選手強化計画は、文字通り化け物のような戦車同チームを作ることが出来る…いわばパンドラの箱のようなもの。

 

現在除名されている彼女にとって連盟に対抗できるほぼ唯一の武器であり、それを彼女が持っている限り。連盟は腰を低くするしかない。

もしその情報が漏れれば連盟はそちらに逃げてくるわけで、そうすれば真澄のことは永遠に忘れ去られる。

 

ダージリンとしては元々好き勝手集団リンチをした後に冤罪で除名した真澄を憐れみ、そんな彼女にすぐに掌を返して、あまつさえ除名処分撤回と言う甘い言葉で誘惑しようとする今の戦車道連盟の態度に怒っているのだ。

 

「だからオーディン計画は彼女が持っていなければならないの。間違っても他人の手に渡ってはいけない」

「……過ぎた事をしてしまいました」

「いいのよ。私も戦車道が嫌いなわけじゃないし」

 

真澄はそう答えると、自分が一ヶ月考えて作った計画書を思い出す。

 

「あの計画は、優れた選手を選抜する代わりに使えない人員は容赦なく弾いてしまう。いわば諸刃の剣……」

「そうね、少なくともそれに則って選手を選抜したら。私たちのほとんどが弾かれてしまいますわね」

「ダージリン様は見たことがあるのですか?」

 

まるで知って居るかの様に話すダージリンにアッサムが聞くと、彼女は頷いた。

 

「ええ、一度だけ。将来の戦車道の話を真澄さんとした時にね」

 

そう答えると、部屋にいた全員が驚いた目をした。

するとダージリンはその選抜方法の残酷さに少し背筋が震えながら言った。

 

「まるでギロチンに欠けるかのように、容赦無く能力の満たない選手は切り捨てられるわ。

訓練を毎日欠かさず行い。尚且つ真面目に、完璧に行う知波単学園だったからこそ。あのシステムはうまくかみ合わさったのかもしれないわね」

 

そう言うとダージリンは真澄の淹れた最後の紅茶を飲み干す。

 

「おかげで弾かれた生徒からの恨みが募りましたよ」

「でもそのおかげで知波単学園は初めて、戦車道中学生大会で準優勝を飾った……」

「ええ、勝利する為に伝統を守らず。能力の満たない選手を容赦なく弾くスタイルでね」

「はぁ、どちらがいいのでしょうね……」

 

実に難しい選択であるとアッサムですら思わざるを得ない。

 

 

 

すると部屋にあった置き時計が鐘の音を鳴らした。

 

「あら、もうこんな時間ですの?」

「そろそろ、帰らないと行けませんね」

 

そう真澄が呟くと、ダージリンはオレンジペコに言う。

 

「オレンジペコ。真澄さんが帰られるわ」

「はい」

 

そう言うと、彼女は机に置いていた真澄への土産を渡す。

 

「どうぞ、『グロリアーナせんべい』です」

「ありがとう」

 

そう言い、お土産を受け取った真澄はそのまま紅茶の園を後にする。

 

「真澄さん」

「はい?」

 

部屋を出る際、ダージリンは真澄を見て言う。

 

「また美味しい紅茶を淹れにきてくださいね」

「……ええ、わかりました」

 

そう言うと、彼女は聖グロリアーナ女学院の学園艦を後にして行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

聖グロでのお茶会を終えた真澄は港に降りると、そのまま大洗の街に向かう。少しみほのことが気になったからだ。

 

「やあ、どうだった?」

「……」

 

フルシカトするみほ。うん、わかってた。

 

「見ました?」

「?」

「いえ、なんでもありません」

 

秋山の問いに首を傾げると、彼女はホッとした様子で言った。すると麻子が何処かに行こうとする。

 

「何処行くの?」

「おばあに顔を見せないと殺される」

 

度々噂に出てくる冷泉のお婆さんか。ってか親御さんはどうしたのだろうか?彼女の家に両親がいた形式はなかったし。

大袈裟な誇張だなと思いながらも冷泉を見送ると、武部が聞いてきた。

 

「じゃあ、私達だけで行こうか。ますみんは?」

「ますみん?」

「真澄だからますみん!」

「……」

 

とんでもねえあだ名だと思うが、まあ熊子とかのっぽさんとか言われるよりかはマシだなと思いながら真澄は武部の呼び方を受け入れていた。

 

「私はこの後暇よ。特に時間もないし」

「丁度良いじゃん!買い物しようよ!」

 

まあ、榎本達も今は別件で居ないしな。暇だし着いて行こう。あとみほにボコを買ってあげて許してもらおう。

 

「まずどこに行きましょうか?」

「アウトレットに行こ~♪」

 

そんな訳でみほ達と共にアウトレットを回ることにしていた。

 

 

 

 

 

「かわいいお店いっぱいあるね」

「後で戦車ショップ行きましょうね!」

「その前に何か食べに行きません?」

 

アウトレットで武部達は楽しんでいると一台の人力車が止まる。そして、その人力車を牽引している男性がこっちを見て来た。 

 

「あっ!目が合っちゃった!」

 

その男性は微笑みながらこっちに向かって歩いてくる。

 

「ちょ……ヤダ//!」

 

まるで男に飢えている様な目で武部が過敏に反応する。

 

「新三郎!」

「知り合い!?」

 

するとの男性を見て五十鈴が驚いた様子を見せたので武部以外の全員が驚いた

 

「お嬢、元気そうで」

「何!?聞いてないわよ!!」

「うちに奉公に来ている新三郎」

「お嬢がいつもお世話になっています」

 

興奮する武部に五十鈴がその人物が誰なのかを紹介した。多分、使用人的な人なのだろう。あれ?そう言えば五十鈴って……

 

「華さん」

「お母様」

 

すると人力車から和傘を刺して降りてきた一人の女性を見て思わず真澄の顔が強張った。そう、五十鈴華の母親である。

 

「よかったわ。元気そう、こちらの皆さんは?」

「同じクラスの武部さんと西住さん」

「「こんにちは」」

 

みほ達は挨拶をすると、彼女。五十鈴百合は真澄を見た。

 

「お久しぶりね、黒田さん」

「お久しぶりです……先生」

「「先生?!」」

 

みほ達は驚いた目で真澄を見ると、彼女はまるで黒歴史のように話す。

 

「私がお花の修行した時にね……」

「彼女のお父様から淑女として育てるよう言われましたので……」

「私の苦手な人です……」

 

どれだけの事をやらされたのか、彼女の目はやや涙目であった。

と言うより淑女として育てるの失敗してませんか?と普段の学校生活から秋山達は首を傾げてしまった。

 

するとそこで秋山がそんな百合に話す。

 

「私はクラスは違いますが、戦車道の授業で………」

「………戦車道?」

 

あっ、やりやがったなと真澄は思うとすぐさま秋山の背中に指を立ててモールスを送った。『母、戦車道嫌い』と、しかしすでに時遅し。

 

「華さん………どういうこと?」

「お母様………」

 

するとその瞬間、百合は華の手を握ってそこについた匂いを嗅いだ。

 

「鉄と油の臭い!あなた、もしや戦車道を!?」

「………はい」

 

彼女は気まずそうに答えると、百合は目を大きく見開いて動揺した様子で言葉を紡ぐ。

 

「花を活ける繊細な手で戦車に触れるなんて…はうっ……」

「お母様!」

「奥様!」

 

そしてそのまま余りのショックからか百合は倒れてしまった。

言わんこっちゃないと真澄は軽く秋山を睨んでしまう。

 

「新三郎さん。先生をゆっくりと起こしてください」

 

しかし過ぎてしまった物はしょうがない。

 

「今から先生のご自宅にお送りできますか?」

「は、はい!」

 

そう言うと新三郎は百合を人力車に乗せるとそのまま家まで急行する事となった。

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