知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第十九射

翌日。

秋山と真澄はコンビニ定期船に乗り込んでその場所に向かう。

 

「秋山。腹は空かしてきた?」

「はい…昨日黒田殿に言われて……」

 

そう言い、秋山は虫の音が鳴る腹を見た。よし、これで準備万端だ。

 

「うわぁ~ここがサンダース大付属の学園艦ですか!!」

「さすが、日本一のお金持ち学校……」

 

そう言い真新しいニミッツ級空母に似た巨大な学園艦を見る。

元々大洗女子学園は翔鶴型をベースに赤城型の艦橋を載せたハイブリットタイプの学園艦だ。そして知波単学園は三段空母時代の赤城型の船体を模しており、そしてこのサンダース大付属の学園艦はキエフ級を模したプラウダと並んで比較的新しい形の学園艦だった。

 

建造時期がちょうどバブル期だった為に儲かっていたから作られたのだろう。学園艦は日本の食料自給率を支える生産プラントとしての役割も兼ね備えており、学園艦の生産科では食料を出荷したりしていた。

 

「んで、結局着替えたのね」

「はい!せっかく購入しましたので!」

 

そう言い彼女はサンダースの制服を纏っており、真澄は大洗の指定ジャージ姿だった。何でジャージかって?だってマネージャーってジャージ着ているじゃん。そんなもんじゃないの?

 

「うーん、黒田殿にジャージ服は似合いませんね」

「他の子からも言われるけどさ、逆に何が似合うの?」

「どちらかと言うと、黒田殿は士官服の方が圧倒的に似合う気がします。家にあるので今度着てみますか?」

「私、身長高いけど?」

「大丈夫です!そのサイズなら良いのがあります!」

「……」

 

なんでそこまで準備がいいんだよと突っ込みたくなってしまうが、秋山だからと一言で片付いてしまうのがなんとも……。

 

 

 

 

 

そしてコンビニ船に乗り込んでそのままサンダースの学園艦に足を踏み入れた彼女は言われた場所に向かう。

 

「黒田殿は慣れているのですね?」

「ええ、昔来たことあるから……」

 

真澄は懐かしげに答えると、秋山はそこで思い切って聞いてみることにした。

 

「あの、黒田殿!」

「?」

 

聞かれた真澄は振り返ると、そこで秋山は聞いた。

 

「黒田殿は、二年前の全国中学生大会で知波単学園を初の準優勝へと導きました」

「……」

 

やはり、戦車マニアだからか。私の名前を調べていたようだ。

 

「それなのに何故、今は戦車道を除名されることになったのですか?」

 

秋山のそんな問いに真澄は少し間を置いて答えるべきかを考えた。これを話せば、彼女は戦車道を嫌う可能性があるからだ。しかし、戦車道連盟やOG会などの戦車道における面倒な話も。深く関わることになるだろうから、いずれは知っておく必要がある。

 

 

 

そして少し考えた後に真澄は口を開いた。

 

「…まあ、簡単に言うと……」

 

しかしその瞬間、反対側に現れた一人の生徒が驚きを隠せない声で呟いた。

 

「本当に生きてた……」

「?」

 

秋山が思わず首を傾げてしまうと、そこに立つウェーブの掛かった金髪のサンダースの制服を着た少女は目を大きく見開いて真澄を見ていた。

 

「本当に…無事だったのね……」

「やあ、お久しぶりね」

 

するとその瞬間、その生徒は真澄に涙をこぼしながら抱きついた。

 

「マスミーッ!!」

「ケ、ケイさん……」

 

そう言い、昨日電話した嘗ての友人は真澄を見て泣きながら抱き付いていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「よかった〜、マスミが生きてた〜!!」

 

サンダースの食堂でケイは泣きながら両手にS(LLサイズ)のポップコーンやらフライドポテトやコーラを出してくる。

 

「じゃんっじゃん食べて!」

「はいはい」

「……」

 

卓上に乗り切るかどうかわからないくらい大量に出てきた料理群。それを見て秋山は腹を空かしてこいと言ってきた真澄の言葉の意味を理解した。

周囲の生徒は何事かと言った目でジャージ姿の真澄やその横で唖然となる少女を観ていた。

 

「すごい量ですね……」

「マスミ、この子は?」

「ん?うちの学校の友人」

 

真澄がそう答えると、ケイは驚いた表情で真澄に聞いた。

 

「マスミの?タケヨ達以外にもいたの」

「失礼な奴め」

「アイタッ!」

 

軽くデコピンをしてしまうと、ケイはそこを軽く手で覆った。

 

「やっぱりあなた力強すぎるわね。でも懐かしいわ〜、この感覚」

 

そう言い赤くなったデコのままケイは横に座り込む。するとそこで真澄は口にハンバーガーを入れながら聞いた。

 

「ああ、そうそう。この後戦車倉庫、観に行っても良い?」

「ええ、オッケーよ」

「ありがとう」

「え?良いんですか?」

 

二つ返事でオッケーを出したケイに同じくフライドチキンを食べる秋山が驚いていた。

 

「もっちろん!うちはいつでもオープンよ!観られて困るものもないし」

 

ケイは陽気に笑う。まあ、フェアプレイが大好きな彼女だが。フレンドリーで人が良すぎるのは玉に瑕な気もするが……。

 

「帰る時は教えて。私はこの後書類の整理とかがあるから。ああ、あと。剣道部の方にも寄って行って来れる?貴方が来たらみんな喜ぶわ」

「分かった」

 

真澄がそう答えると、ケイはそのまま席を立つ。

食堂に残った真澄と秋山はとりあえず残った料理をもったいないからと口に全部入れると、腹がはち切れんばかりに膨れていた。

 

「こ、このために私を呼んだのですね……」

「ええ、彼女が昔知波単に来たときにその食事に卒倒しちゃってね。それ以降合うたびにこれよ」

「どんな食事だったんですか……」

 

秋山がそう聞くと、真澄はその質素さを一言で表す。

 

「朝に銀シャリ山盛りに味噌汁、漬物が出ただけで大騒ぎになるくらいには……」

「……」

 

想像以上の話に思わず秋山ですら絶句していた。そりゃ元々精神統一のためだもの。

最も、私が隊長になった瞬間に銀シャリ提供を徹底させたが……。あれは大好評で士気も上がっていたなあ……。

 

「さて、そろそろ行きますか」

「はい!行きましょう!」

 

そううう二人は片付け終えるとそのまま食堂を後にして行った。

 

 

 

 

 

食堂を後にし、校舎を歩く秋山と真澄。方や制服、方やジャージ姿に生徒達は陽気に話しかける。

 

「ハーイ!」

「「ハーイ!」」

 

郷に入っては郷に従え、ここでは真澄たちも陽気に応えていた。

 

「ところで何で黒田殿はジャージ姿なのです?」

「え?マネージャーってこう言うの着てるイメージない?」

「うーん、まぁ……」

 

そう言い、二人はいよいよ目的地の戦車格納庫に到着するとそこで秋山は興奮した様子でその姿をカメラに納める。

 

「すごいです!シャーマンがずらりと!!あっ!!M4A6まであります!!」

 

そう言い、壮観な格納庫にいるシャーマン軍団を見て歓喜繚乱の秋山はその一両一両をしっかりと見ていた。

 

「秋山、あの子にM4A4まであるわよ」

「おお!それまであるんですか!!」

 

そう言い、大喜びで秋山は戦車の車両を撮りに行っていた。他にも、この車庫にはM6重戦車の姿もあり。まさに物量大国アメリカを意識したような光景だった。

 

「けっ、これだから苦手だわ。物量作戦は……」

 

何故かはわからないが、嫌に変なものを見させられている気がする。

実際、練習試合の時は大量のM3スチュアートを惜しみなく投入しやがって……。あれには流石に驚いたものだった。

 

「はぁ〜……最高ですぅ〜」

 

薬をヤッタかのような満悦の表情で秋山は今にも昇天しそうだった。

 

「おーい、秋山。ここは墓場じゃないわよ」

「はっ!私とした事が!すみません、ついイってしまいました」

「これっ!」

 

真澄が秋山に突っ込むと、次に聞いた。

 

「それで?貴方はこれからどうする?」

「はい。どうやら午後からミーティングがあるそうなので、私はそこに潜入します。それまでは整備班の方に行っておきます」

「じゃあ私は適当にぶらついているよ」

「わかりました。では午後にミーティングルームで」

 

そこで真澄と秋山は別れると、そのまま真澄はサンダースの校舎を歩く。

 

「……」

 

つい二年前までは練習試合などで各校に試合を申し込んでは実戦訓練を行っていたと思い出す。

 

「もう二年が立つのか……」

 

とても懐かしい。思えばあっと言う間な二年だったとも言える。

知波単学園と実家を飛び出して、大洗女子学園に入学して。不良狩りして、勉学して、不良狩りして、不良狩りして……ほぼ不良狩りしかしてないじゃん。

 

「あいつ元気にしてっかな……」

 

榎本達と違い、一人学園に残った真面目な生徒。元々は五人の家臣の一人であった人物。優しくて真面目故にあえて学園に残る事となった、その生徒。

 

「今頃ウラヌスでも乗り回しているかね……」

 

そう溢すと彼女はサンダースの校舎を歩いていた。

今となっては、自分は何とも笑われてしまう地位まで落ちぶれてしまったが……。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「クシュッ!」

 

同時刻、旧砲塔の九七式中戦車の上で一人の生徒がくしゃみをしてしまう

 

「大丈夫でありますか?西殿」

「あ、ああ……誰か噂でもしたのかな?」

 

そう言い、キューポラから顔を覗かせる西絹代は訓練中の戦車隊を見ていた。

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