知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第二四射

「前進前進!ガンッガン行くよ~~!」

 

試合開始と共にケイ率いるシャーマン軍団は平原地帯を爆走する。

元々M4シャーマンは故障率の低い戦車であり、量産性にも長けていた。

多くのバリエーションが存在し、正規軍においても二〇一八年まで運用されており、まさに傑作戦車と呼ぶに相応しい車両だと言えた。

 

それが今回は十両、対する大洗チームは六両。

シャーマンを撃破できる車両としてはⅢ突や試験的に徹甲榴弾の装備を許可された短十二糎などであった。

 

『説明した通り、相手のフラッグ車を戦闘不能にした方が勝ちです。

サンダースの戦車は攻守共に私たちより上ですが落ち着いて戦いましょう!機動性を活かして常に動き続け、敵を分散させてカバさんチームのⅢ突またはクマさんチームの短十二糎の前に引きずり込んでください』

『『『『『「はいっ!」』』』』』

 

元気よく彼女達は答えるとみほは指示を出す。

 

「ウサギさんチーム右方向の偵察をお願いします!アヒルさんチームは左方向を!」

『了解しました』

『此方も了解!』

 

はじめにみほは一年生とバレー部チームを左右するに偵察に向かう様に指示する。

 

「カバさんとクマさんと我々あんこうはカメさんを守りつつ、前進します!」

『了解』

「あのチーム名は、何とかならんかったか?」

「いいじゃん可愛くて」

 

そんな中、河嶋はチーム名に不満を漏らすが角谷がフォローする。

 

「それでは、パンツァー・フォー!」

 

みほの号令と共にM3と八九式が左右に分かれて偵察に向かう。

 

 

 

 

 

右方向に偵察に向かうウサギさんチームのM3は森の中を前進していた。

 

「ムシムシするぅ〜」

「暑い〜」

 

宇津木優季と阪口桂利奈とそう愚痴る。まぁ、愚痴るのも仕方がない。

試合会場は南方の島、気温湿度共に高く戦車の中はサウナの様に暑い。

だからこそ、真澄からの補給品には大量の水分と塩と砂糖を混ぜた特製の飴が入っていた。

 

「静かに!」

 

すると、M3の車長の澤梓がそう言ってM3を停車させるとキューポラから顔を出して双眼鏡で辺りを見回す。すると森の向こうの丘から三両のシャーマンが現れ、直接無線で連絡をする。

 

「此方、B085S地点シャーマン三両発見!これから誘き出します!」

 

そう言ってM3は、シャーマンを誘い出そうと動き出そうとしたその時、M3の側に砲弾が着弾した。澤は砲弾が飛んで来た方向を見ると、新たに三両のシャーマンが現れた。

 

「シャーマン六両に包囲されちゃいました!」

 

澤は直ぐにみほに無線で連絡をする。

 

『ウサギさんチーム、南西から援軍を送ります!アヒルさんチーム、クマさんチームはついて来て下さい!』

「はい、了解しました!桂里奈!」

「あいっ!!」

 

澤は直ぐにM3を発進させてその場から退却した。

 

 

 

 

 

『ウサギさんチーム、南西から援軍を送ります!アヒルさんチーム、クマさんチームはついて来て下さい!』

 

みほの無線を聞き、短十二糎の中で榎本達は首を傾げる。

 

「おかしい」

「ええ、試合開始地点から接敵地点まで時間で考えると真っ直ぐ直進してこないと届かない……」

「偶々の可能性もあります」

 

大隈がそう言うと、直ぐに榎本が否定する。

 

「いや、だとしても六両の半数以上を投入している時点で偵察じゃない」

「……何か裏がありますね」

「おや、元33部隊の血が騒ぐ?」

「ええ、そうかも知れません」

 

榎本が聞くと、伊藤は少し笑って頷いた。

 

「さあ、まずはM3の救援よ。取り敢えず突破してから考えよう」

「了解!」

 

そう言うと彼女達は戦車を走らせていた。

 

 

 

 

その頃、M3では六両のシャーマンに追っかけ回されていた。

 

「ちょっと!付いてこないでよー!」

「エッチ!」

「ストーカー!」

「これでも喰らえ!」

 

そう言い旋回させた三七ミリ砲を発射するも、当たる事はなく先頭を進むケイが手を振って笑う。

 

「アハハハハッ!全っ然当たらないよー!」

 

そう言うとお返しに三発の七五ミリ砲を叩き込んだ。

 

「「「「きゃああああああっ!!」」」」

 

そしてM3からは悲鳴が上がっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「さすがはサンダース、数にものを言わせた戦い方をしていますね」

 

観客席でペコが真剣な顔でそう言うと紅茶を飲んでいたダージリンが問いかける。

 

「ペコ。こんなジョークを知っていて?アメリカ大統領が自慢したそうよ『我が国には何でもある』って。そうしたら、外国の記者が質問したんですって」

「……なんて質問したのですか?」

「ええ、その記者はこう言ったのよ。……『地獄のホットラインもですか?』ってね」 

「はい……?」

 

思わずオレンジペコは首を傾げると、ダージリンは聞く。

 

「あなたはお分かりで?真澄さん」

「……ええ、私だったら助走を付けて殴っているかもしれないわね」

 

そう言いながら紅茶を飲む彼女は試合会場の方を見る。

 

「ええ確かに。貴方なら思い切り殴りつけていたでしょうね」

「武士道に反しますからね」

 

そう言うとダージリンもその姿が容易に想像できていた。

 

 

 

 

 

そしてその様子は黒森峰側でも確認出てきていた。

 

「エリカ」

「はい」

「サンダースの動き、どう思う?」

 

そう聞かれ、エリカはその違和感を口にする。

 

「はい…まるで大洗側の動きを知っているかのような動きで……」

 

その瞬間、彼女はハッとなる。

 

「まさか……」

「その可能性が高いだろう。その証拠に……」

 

そこでまほは試合会場の方角に浮かぶ小さな影を見る。

 

「あれは……っ!!」

「あれを見破らない限り、大洗に勝算はないだろう」

「……みほ」

 

エリカはその正体を知り、友人の事を案じていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、シャーマンから執拗に追われているウサギさんチームでは時々悲鳴が聞こえつつも猛攻から逃げていた。

 

「頑張って!」

「やれば出来る子だよ桂里奈ちゃん!」

「あぃー!」

 

操縦手の阪口を宇津木達が励まし、反撃しながら逃走する。

 

『三両、囲まれた!』

「北東から六両、南南西から三両。一〇両中九両か…フラッグ以外全投入……」

 

敵さんの物量に物言わせての包囲殲滅。さすがは金持ち。聞けばM3は停車することもままならないと言う。

 

『もうすぐうさぎさんチームと合流します!合流した後は南東に向かってください!』

「了解した。重葉、南東方向に」

「了解!」

「利子、お願い」

「わかった」

 

そう言い、進路を南東に向けて走った。そしてしばらくすると正面にうさぎさんチームのM3の姿が見える。向こうもそれに気づいた様だ。

 

「あ!居た先輩!」

「はい、落ち着いて!」

 

何とか逃げて来たウサギさんチームと合流し、南東に向かって走っていると前方から二両のシャーマンが現れた。

 

『回り込んで来た!!』

『どうする!?』

『撃っちゃう?』

 

八九式の磯部と一年生驚きながらそう言う。だがここで下手に攻撃しても砲弾が命中する確率は低くそれでは砲弾の無駄遣いだ。うちの戦車は元々弾数が少ないから無駄撃ちができないんだよ。

 

「冗談じゃない、このまま全速力で通過!!」

「了解!!」

「他のみんなも全速で走れ!!」

『嘘っ!?』

『了解です!リベロ並みのフットワークで……!!』

 

それを聞いたは阪口驚きの声をあげたが、アヒルさんチーム操縦手の河西は覚悟を決めたのか冷静にそう言う。

 

「機銃、出鱈目でいい。撃てるだけ撃って!」

「了解!」

 

そう言うと車体の九七式車載機関銃が発射される。そこで相手が怯んだところを一気に走り抜け、包囲網を突破した。

 

『なんとか抜け出せた……』

「ええ、でもおかしいわ」

「ええ、これほど早く部隊展開ができるのは明らかに異常」

「となると……」

 

榎本はそこでキューポラを開けると、空を眺める。すると森の木々の隅間に浮かぶ小型の気球を見つける。

 

「ほらやっぱり」

「ケイさん……」

「じゃないねこれ」

「だってこんな事したら助走つけて殴ってくるよ」

「だからケイさん達の指示役……おそらくフラッグ車がやっているわね」

 

少なくともフェアプレイの権化とも言えるあの人ならば絶対しないと断言できた。

 

「どうします?」

「そうね……ちょっと懲らしめてあげよう」

「何する気?」

 

伊藤が聞くと、榎本は懐から携帯を取り出す。

 

「確か携帯は使えたはず……」

 

そう呟きながら携帯で連絡を入れる。携帯の持ち込みは禁止されていないので、少し待つとみほが電話に出た。

 

「ああ、もしもしみほちゃん?」

『はい、武代さん』

「向こうがこっちの動きに詳しい理由。分かったよ」

『本当ですか?!』

 

みほはそこで驚いた様子を浮かべると、そこで榎本は言う。

 

「空見上げて見な。誰かが無線傍受機を打ち上げている」

『え?あっ……!』

 

みほはそこで気づいたのだろう、一瞬声が漏れた。

 

「そこで緊急で作戦会議をしたいんだけど……」

『わ、わかりました』

 

そう言うとみほ達は一旦合流した。

さて、この盗聴娘を調理してやろうか……。

 

 

 

 

 

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