知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第三九射

まだ学園艦に残された戦車があると言う事実が発覚した大洗戦車道部。

後方の補給係に任せても良かったのだが、『人数が多い方がいいでしょう?それに後方の子達は見つけた戦車の回収係にしたいから』という角谷の意見で戦車道履修者が戦車捜索の任に就く事となった。編成は、

 

A班に真澄・みほ・冷泉・バレー部。

B班は榎本・武部・一年生。

C班が大久保・秋山・歴女チーム。

 

と言った具合になった。

 

 

 

A班は初めに古くなって使われなくなった旧部活動棟を歩く。ここ、よく不良の溜まり場になるからとっとと解体して欲しいんだけどなあ……。

 

「戦車なんだから、直ぐに見つかりますよねっ!」

「だと思うんだけど……」

 

自信満々に言う磯部さんに、みほさんは自信無さげに返す。まあ確かに磯部の言う通り戦車は大きいからすぐに見つかると思うが、みほの言葉にも一理ある。もしあったらそんなもん最初の探索で見つかっとると……。

 

「手がかりはないのか?」

「あったらもっと楽よ。こうなったら全部総調べね。部品一個でもかき集めますか……」

「冷泉先輩に黒田先輩、刑事みたいです」

 

河西がそう言うと、それを聞き流しながら真澄は聞いた。

 

「戦車道の部室は?」

「それが、部室が移動しちゃったみたいでよく分からないんだって」

「二十年も前だものね……じゃあ、しらみ潰しで探しますか……」

 

そう言いながら私達は歩き始めた。するとそこでふとみほは思い出す。

 

「そう言えば、あの真澄さん達のいた倉庫にあったスクラップの山。あそこに戦車の部品とかってなかったの?」

 

そう言い彼女はあの廃倉庫に積み上げられて、洗浄されていたスクラップの山を思い出すと。それに真澄が答える。

 

「一応、戦車の部品はあったけど、全部劣化してて使い物にならないから屑鉄業者に売っちゃったわね」

「ああ、そっか……」

 

そこでみほは納得すると、河西達が『なんて勿体無い!』と言っていた。すると真澄が呆れた様子で答える。

 

「あのねえ、劣化した部品を戦車に使うと予期しないところで壊れるの。サンダース戦でフラッグ車と出くわした時にエンジントラブルで白旗上がりたい?」

「「「「……」」」」

 

真澄の追求を受けてすっかり河西達は黙り込んでしまった。相変わらず人を黙らせるのが得意な人だとみほは苦笑していた。

 

「やっぱり真澄さんは真澄さんだね」

「そうかい?」

「うん、変わっていないなーって」

「そりゃ有難い話かもね」

 

そう言うと二人は部屋を漁り始めていた。

 

 

 

 

 

その頃、学校屋上では秋山達C班がカエサルを見ていた。

 

「……はっ!」

 

そんな掛け声と共にカエサルが指で押さえていた棒を離し、八卦と太極盤の上に置かれていた棒が倒れて東の方向を指す。

 

「東が吉と出たぜよ」

「これで分かるんですか!?」

 

棒が東を指し秋山は不安の声をだす。

 

「大丈夫さ、カエサルの八卦占いは的確だ」

「ああ、この前も家の鍵を無くした時もカエサルの占いで見つけている」

「信用ならないわね……」

 

エルヴィンと左衛門左がそう言うが、大久保は呆れて心配になっていた。

 

「何を言うか、この前家の鍵をみつけられたのもこれのおかげだぞ」

「えぇ……」

 

大久保は思わず苦笑してしまっていた。信用していない顔だった。

 

 

 

 

 

一方で、武部達B班は学園艦艦内を歩いていた。

 

「へぇ、ますみんとは小学生以来なんだ〜」

「ええ、剣道大会で知り合ってね。色々と助けられたこともあったわ」

「だからあんなに慕っているんだ……」

「あの人、喧嘩事だと最強だからね」

「まあ、確かに……」

 

武部は榎本と真澄の出会いに驚いた様子を見せていると、そこで榎本は言う。

 

「本当は風紀委員になりたかったらしけど、おかっぱになりたく無いから不良狩りをする不良グループを作ったのよ」

「ああ、なるほど……」

 

武部はそこで大いに納得できる話しだと思っていた。

そんな中、一年生達は……

 

「何なの此処、何処なの~?」

「凄い、船の中っぽい」

「いや、此処って『中っぽい』とか言う以前に船の中だし」

 

宇津木、阪口、大野がそう言いあっていた。

 

「そう言えば先輩。なんで学校が船なんでしょう?」

 

そんな問いに榎本が答える。

 

「大きく世界に羽ばたく人材を育てる為と生徒の自主独立心を養う為、学園艦が造られたらしいよ」

「無策な教育政策の反動ってやつなんですかね?」

「こんな金食い虫をよく何隻も運用するよ……」

 

呆れた声で彼女はそう溢す。

 

「お疲れ様で〜す」

 

そこで船舶科の制服を着た生徒が挨拶を交わしてきた。

 

「あ、あの。戦車知りませんか?」

 

そこですれ違いかけた武部がその生徒に聞くと、彼女達は思い当たる節があったようだ。

 

「戦車かどうか分からないけど、何かそれっぽいものどかで見た事あったよね?どこだっけ?」

「もっと奥の方だったかな?」

 

そう言って船舶科の生徒が照明の付いていない通路の方を指をさしていた。

 

 

 

 

 

その頃生徒会室では、角谷、小山、河嶋の生徒会チームと五十鈴と伊藤が待機していた。

 

「戦車道って随分昔からやってるんですね」

「そうねぇ、一九二〇年代くらいから……」

 

小山と五十鈴は資料を調べていた。

 

「まだか!……まだ見つからないのか!」

 

そんな中、戦車発見の報告が未だ来ず貧乏揺すりをしながら苛立った河嶋は大声を上げて携帯を見つめる。

 

「捨てられちゃったかな?処分したらその書類もあるはずなんだけど?」

「大丈夫でしょうか?この学校で戦車道をやっていたは二〇年も前ですから」

「果報は寝て待てだよ」

 

角谷は他人事のようにリクライニングチェアに座りながら言った。するとそこで伊藤が呟く。

 

「四式中戦車やT-34みたいに湖に沈んていたりしてね」

「湖はこの学園艦にはありませんよ。ぜいぜい池くらいしか……」

 

五十鈴とそんな風に話していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

旧部室棟ではA班が探索を行っていた。

 

「ここが最後か……」

 

私はそういい、最後の部室の中を捜索していた。

中はかなり埃や蜘蛛の巣だらけで、時折真新しい足跡があったので確実に不良が出入りしているのが確定していた。

中には鍵穴が錆び付いて生徒会から渡された鍵を差し込んでも回らなかった。そんな時は壊してもいいと聞いていたのでドアを蹴破っていた。

その度に忍がかっこいいと言うのは少々うるさかったが……。

 

しかし、それ以上にヤバかったのは部屋の中がGの住処になっていたことだ。

その正体を見たみほやバレー部のメンバー達は私や冷泉を除いて、悲鳴を上げてパニックになった。いや、正確には冷泉は立ったまま失神していた。

かく言う自分も一瞬は驚いてしまったが、ゴキがいなくなり一段落すると部屋の中を漁っていた。

しかしそこには当時の部活の資料があるだけで戦車の部品すらなかった。

 

「手掛かりになりそうな物はないですね」

「これはお手上げかな?」

 

困っていると麻子が換気のために窓を開けた。すると冷泉は窓の外を見てぼやく。

 

「ん?……何処の部だ?こんな所に洗濯物干したのは?」

 

それを聞いた私とみんなは窓の方へ行くと確かにどこかの部下は知らないがシャツとかタオルとかが干してあった。

 

「あれ?」

「ん?あっ……」

 

だが私たちが目に入ったのは洗濯ものではなく物干し竿の方であった。

それは物干し竿と言うにはあまりにも大きく、分厚く、重く、そして長すぎた。

 

「あれって……」

「戦車の砲身……?」

 

それは物干し竿ではなく戦車の砲身であった。

 

 

 

 

 

その頃、C班では大きな戦果をみつけていた。

 

「見つけました!ルノーB1bisです!」

 

沼地で秋山が叫ぶ。そこにはフランスの重戦車ルノーB1bisを発見する。

 

「さすがはモントゴメリーだ」

「えっと……それはちょっと」

「辻政信」

「ううん……」

 

カエサルと大久保がそう言うと秋山は複雑そうな顔をしてそう言う。

 

「では、グデーリアンでどうかな?」

「おおっ!!」

 

エルヴィンの言葉に秋山が嬉しそうに言うのであった。そして戦車発見はすぐに生徒会室に知らされた

 

「了解……ルノーB1bisだそうだ」

 

河嶋がそう言うと小山が資料を取ってスペックを見る。

 

「フランス戦車ですね」

「あら、ちょうど真澄さんの課題の……」

 

五十鈴がそう言うと、そこで小山がその諸元を言う。

 

「最大装甲六〇ミリ、七五ミリ砲と四七ミリ砲搭載ですね」

 

そう言うと、角谷は少し顔を曇らせつつも戦車があったことを喜んでいた。

パンターとかティーガーは望んでも出てこないと思うぞ。昔はあったらしいが、全て売却済みと書いてあるしな。

 

「まあ、八九式よりはましか~」

「新しいチームもできますしね」

 

そう言うと角谷は干し芋を頬張っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

陽が沈みかけ、戦車の捜索を終えた一行は倉庫前に集合していた。

連絡を受けて後方係がクレーン車を用いて引っ張り上げたB1bis戦車は沼地に使っていた為にとても汚れており、同時に臭かった。

そしてみほ達も長砲身の四八口径七五ミリ砲を発見していた。この主砲はカバさんチームと同じ主砲であり、火力は折り紙付きだ。おまけに弾薬も共通のものが使えるので補給面でも有り難かった。

 

資料が少ないにも関わらず、一日にしては大戦果だったと思う。ただ一つの問題を除いて……。

 

「B班遅いな〜」

「うん、もう帰ってきていい頃合いだけど……」

 

真澄とみほはそう思っていると冷泉のポケットから携帯の着信音が鳴り、冷泉はポケットから携帯を取り出す。

 

「……遭難…したそうだ」

 

すると携帯の画面を暫く眺め、画面を閉じた冷泉が言う。

 

「え?遭難?どこで?」

「学園艦の船底だそうだ」

「それじゃあ、すぐに探さないと」

 

冷泉の言葉にみほがそう言う。

 

「何か目印になるものがある筈だ。それを探して伝えろと言え」

「んっ……」

 

頭を掻きながらそう言う河嶋さんに、冷泉は頷きメールを打つ。

 

「西住ちゃん。はいこれ」

 

すると角谷がどこから取り出したのか筒状の紙をみほに渡す。

 

「これ、艦内の地図だから。捜索隊に行ってきて」

「わ、分かりました……」

「黒田ちゃん達もお願いね〜」

「え?!私もですか!?」

「数は多い方がいいでしょ?」

 

と言うことで捜索隊に加わって艦底部を探す事になりました。

 

 

 

 

 

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