知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第四八射

二回戦の試合中、マカロニ作戦の経過を聞いたアンチョビは思わず変な声で驚いてしまった。

 

「はぁ!?十一枚だと数多いから即バレるだろうが!」

 

本来九枚を十字路に設置する予定だったのが、ペパロニのミスで呆気なくバレてしまった。なんとも間抜けなミスを犯してしまった。普通ならここで『しまった!?』と焦ってしまうはずだが……。

 

『そっか〜。流石姐さん賢いっすね〜』

 

しかし当のペパロニ本人は楽観的だった。ペパロニはそう言う意味ではアンツィオ校生の典型と言えよう。

 

「お前がアホなだけだ!!」

 

思わずそう怒鳴り散らすとアンチョビは無線を切る。

 

「おい!出動だ、敵はそこまで来ている!!」

「はい!」

 

アンチョビがそう言うと、両脇にいるセモベンテとカルロベローチェと共に大洗チームを探すため出撃して行く。

 

「二枚は予備だってあれ程言ったのに。なんで忘れちゃうかな〜?」

 

そう言ってアンチョビが愚痴っていると、偶然にも前方からみほ達大洗チームとすれ違う。

 

「全車停止!敵フラッグと隊長車発見!!」

 

アンチョビがそう声を張り上げると三両が急停車した。大洗チームも同じで、短十二糎も速度を落とし、スライドしながら車体の向きを一八〇度後ろに向ける。

 

「あのパーソナルマーク……タカちゃん」

 

そんな時、セモベンテのハッチから様子を伺っていたカルパッチョがゆっくりと旋回するⅢ突の側面に描かれているカバさんチームのパーソナルマークを見て何かを感じ取ったのか、Ⅲ突に狙いを定める。実はカバさんチームが使っているパーソナルマークはカエサルがネットでのプロフィール画像に使っているのと同じだったのでカルパッチョはそれに気付いたのだ。

 

「ドゥーチェ、七五ミリ長砲身のⅢ突は、私に任せてください!」

「任せた!」

 

セモベンテはⅢ突と向かい合い、残ったP40とカルロベローチェは坂を下って行った。

 

「機銃発射!」

「了解!」

 

そこで車載機関銃を撃って伊藤は前を進むP40の履帯を狙う。正直七.七ミリの豆鉄砲で倒せるかは微妙なところだが、履帯を切れればいいと思っていた。

 

「こう使うなら三七ミリ戦車砲でも欲しいですね」

 

思わず伊藤はそう溢してしまうと、そこで横の大隈が言う。

 

「あら、今度頼んで改造してみる?」

「予算通りますか?」

「さあ?そこは真澄に聞いてよ」

 

大隈はそう答えると、ちょうど頭上で十二センチの榴弾が発射されていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一方のカバさんチームのⅢ突は、副隊長のカルパッチョが乗るセモベンテは車体をぶつかり合いながら至近距離で砲撃し合って対決していた。

 

「向こうは側面は晒さない筈、正面なら防楯を狙って!」

「どこでもいいから当てろ!Ⅲ突の主砲なら何処でも抜ける!」

 

其々の装填手であるセモベンテのカルパッチョとⅢ突のカエサルは其々自車の砲手にそう言う。

二両の車体や主砲が互いにぶつかり合い、激しい金属音や火花を散らす。

お互いに撃ち合うが体当たりで照準がずれ、別方向へと放たれてしまい、お互い天板が掠れる程度だった。

転輪がいかれてしまいそうなほど何度も車体をぶつけ合い、激しい撃ち合っていた。

 

 

 

一方のアヒルさんチームこと八九式のバレー部は、数両のカルロべローチェと交戦状態になり。八九式は五七ミリ砲でカルロべローチェを一両、また一両と砲撃して行き、砲撃されたカルロべローチェは後ろに転がって行くが……。

 

「なんかどんどん出てくるんですけど!?」

「泣き言を言うな!」

 

半泣き状態の佐々木に、磯部が喝を入れ装填して行く。もう何両も撃破している筈なのに一向に数が減っている気配がない。

 

 

 

そしてウサギさんチームでは、

 

「形成逆転したいなぁ〜」

「今は無理!」

 

セモベンテに砲撃されながらも逃げるので精一杯だった。宇津木がそう言うと、阪口がツッコミを入れていた。

 

 

 

そしてついに、アヒルさんチームの八九式は悲鳴が上がる。

 

「うわっ!やっぱまた来た!?」

「西住隊長、キリがありません!」

「豆タンク不死身です!」

 

何度も砲撃しているのに、次々と復活して襲い掛かってくる。磯部、河西、佐々木が何度も復活してくるカルロベローチェに悲鳴をあげる。するとみほが無線でバレー部に言った。

 

『大丈夫、CVは不死身な訳ではありません。白旗判定の出てない車両を立て直してくるんです!』

「成る程、車体の軽さで衝撃を緩和してるんですね?」

「回転レシーブ……?」

「要するに根性だ!」

 

みほがそう説明するとバレー部三人がそう答え、その時榎本から通信が入る。

 

『豆戦車の弱点は車体後部のエンジン冷却部よ。車体に当ててもまたさっきのように復活してくる。確実に撃破するなら落ち着いてそこを狙いなさい』

「「「「はい!」」」」

 

そう言って榎本は無線を切る。

 

「よっしゃー!佐々木!もう一度最初から!!」

「はい」

「バレー部、ファイトー!!」

「「「おーっ!」」」

 

磯部がそう叫ぶと三人がそう叫んだ。

 

「榎本さんのアドバイスを思い出せ!砲を支えれば戦車が揺れても照準は安定する!」

「はいっ」

「気合い入れていけ!」

 

佐々木は肩を当てて片手で引き金部分を抑えスコープ越しに前方を走るカルロベローチェのエンジン部分に照準を合わせる。

 

「弱点は、エンジン冷却部」

「撃て!」

 

そして磯部が指示を出した時、突然前方のカルロべローチェ二両が左右に分かれ、磯部が何事かとキューポラから顔を出すと前方からセモベンテに追われているウサギさんチームのM3が現れた。

 

「うわっ!」

 

磯部は突然目の前に味方の戦車が現れた事に驚いていると八九式が右に避けて衝突は免れた。すると磯部は急いで体制を立て直してカルロべローチェを追う。

 

「撃て!」

「はいっ」

 

その声と共に佐々木は引き金を引いた。そしてその砲撃はカルロべローチェのエンジン部分に見事命中した。砲撃を受けたカルロべローチェは横転して止まり、車体側面から撃破を示す白旗が上がった。

 

「次、フロートライト」

「はいっ」

 

磯部が砲弾を装填し、佐々木は次のカルロベローチェに向けて砲撃する。カルロベローチェは一瞬中を舞うと白旗が上がった。

 

「バックライト!」

「ここもウィークポイント!」 

 

薬莢が排出されるたびにカルロべローチェはどんどん撃破され、磯部は次々に砲弾を放り込んでいく。

砲弾が当たる度に、あるカルロべローチェはスリップして止まり、ある カルロべローチェは横向きにゴロゴロと転がって止まる。そして瞬く間に残ったカルロべローチェはリーダーのペパロニだけとなった。

 

「調子に乗りやがって!」

 

車内後部の窓から八九式を睨みながらペパロニはそう溢していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『カルロベローチェ四両、走行不能!』

「何だって!!」

 

そしてカルロベローチェが撃破されたと言うアナウンスにアンチョビが驚いて焦る。

 

「おーい!包囲戦は中止!」

 

するとその瞬間、横いたカルロベローチェが十二センチ砲の餌食になって吹っ飛んだ。

 

「とか言ってる内にCVがやられた!?丸裸だ!!」

 

これでフラッグ車であるP40単独となった。

 

「一同!フラッグの元に集まれ!戦力の立て直しを図るぞ!分度器作戦を発動する!」

『了解!』

 

アンチョビがマイクに向かって指示を出す。Ⅲ突と激しい一騎打ちをしているカルパッチョを除く、ペパロニのカルロベローチェとM3を追いかけるセモベンテ二両がアンチョビのもとへ向かった。

 

「分度器作戦って何でしたっけ?」

「さー、知らん」

 

アマレットが分度器作戦について聞くがペパロニは知らないと答える。彼女達はどうやら分度器作戦を理解していないようだった。

 

『P40が単独に成りました。援軍が来る前に決着を着けます』

「あいよ〜。で、どうやんの?」

 

みほの言葉に角谷が答えると、彼女は横を走る短十二糎を見た。

 

「武代さん、お願いします」

「了解っ!」

 

そう言うと榎本はみほに敬礼すると列を離れていった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一方、M3は先ほど追いかけていたセモベンテ二両を追いかけていた。目的はP40と合流させないためだ。

 

「向こうが合流する前に二両共やっつけるよ!」

「やっと撃てる!」

 

澤の命令に山郷達は嬉しそうに言い坂を上るセモベンテに三七ミリと七五ミリ砲を撃つが、砲弾は二両に当らずすぐそばに着弾してしまう。

 

「あーもう!」

「なんで当たらないのよ~?って、腕だよね……」

「やっぱり停車して撃とう。急がば回れだよ。桂里奈ちゃん」

「あい!停車!」

 

そう言いM3は停車する。

 

「せっかく砲が二門あるから、これで誤差を修正するの」

「どうやって?」

「綾、撃って」

「オーケ~!」

 

そういい大野は37ミリ砲を撃つが、砲弾は当たらずセモベンテのすぐそばに落ちた。

 

「やっぱりはずれた!?」

「えっと……右に一メートル、上に五〇センチ修正して」

「うん!」

 

澤の言葉に山郷は誤差を修正する。

 

「撃て!」

 

澤の言葉に山郷は引き金を引くと放たれた砲弾は見事セモベンテに命中して撃破した。

 

「当たった!」

「すごーい!」

 

命中したことに阪口と宇津木は喜ぶ

 

「次を狙うよ。綾、あゆみ」

「「わかった」」

 

そう言い二人は残ったセモベンテを狙おうとしたがセモベンテは丘の向こうへと行ってしまった。

 

「あ!逃げられた!」

「追うよ。落ち着いて冷静に!」

「梓。西住隊長みたい~」

 

そしてM3は急発進させ、取り逃がしたセモヴェンテを追い始めた。

 

 

 

 

 

その頃、アンチョビは、大洗フラッグ車である38tを追いながら待ち伏せがないか確認しながら進んで行く。

 

「待ち伏せらしきⅣ号と短十二糎の姿はありません」

「囮かと思ったが、考えすぎか?いいか、見せつけてやれ!アンツィオは弱くない。じゃなかった!強いと言うことを!目指せ悲願のベスト四。じゃなかった優勝だー!!」

 

そして38tに向けて砲撃するが外す。38tも砲撃するが見事に外れた。

 

「外れ〜」

「偶には当ててよ桃ちゃん」

「今は挑発行動中だからこれでいいんだ!」

 

河嶋の射撃の腕に柚子は落胆しながら言う、河嶋はイラつきながら反論する。

 

「西住ちゃん、そっちはどう?」

「はい。クマさんチームと合流してもうすぐ到着します。キルゾーンへの誘導、よろしくお願いします」

「あいよ~」

 

そう言い杏たちはP40をキルゾーンへと誘導する。誘導に乗っかってきたアンチョビのP40が目的地に到着した。

 

「よし、崖に追い詰めたぞ!!」

 

そう言い砲弾を撃つが躱される

 

「あぁ、クッソ!装填急げ!」

「はい!」

 

装填手にそう言うとアンチョビは不意に崖の上を見る。するとそこには砲をこちらに向けたⅣ号と短十二糎がいた。

 

「っ!?……これはまずい」

 

さすがにやばいと思ったアンチョビ。

 

『総師、遅れてすみませっ、痛ぁ!?』

 

するとその時、運良くウサギさんチームから逃げてきたセモヴェンテが崖の上から現れるが、其所からガラガラと音を立てながら派手に落下して地面に叩きつけられる。

 

「こら!無茶をするな怪我をしたらどうする!」

 

そう言いアンチョビの乗るP40は後退して墜ちたセモベンテの盾になろうとするがそこへ到着したM3の砲撃でセモベンテは撃破されてしまう

 

「アンチョビ姐さーん!姐さぁーーん!!」

 

その直後、ペパロニのCV33が到着したのだが。追ってきたアヒルさんチームの八九式中戦車の五七ミリ砲がCV33のエンジンに向けてはなたれ、砲弾はエンジンに命中し、CV33はそのまま吹き飛ばされ。車体のあちこちを派手に地面に打ち付けながら飛んでいき、最終的には撃破されたセモヴェンテにぶつかって止まる。P40はⅣ号に向かって砲撃するも砲弾は外れ、そしてお返しと言わんばかりにⅣ号と短十二糎の主砲がP40に向けられる。

 

「発砲!」「撃てっ!」

 

そう言うとⅣ号と短十二糎から砲弾が放たれ、P40は二つの砲撃を喰らって撃破された。

 

『フラッグ車、P40走行不能!大洗女子学園の勝利!!』

 

大洗の勝利を告げるアナウンスが流れる。こうして、二回戦は大洗女子学園の勝利で幕を閉じた。

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