知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第四射

なお、機動隊創設にあたり。隊員達を戦車道の後方要員として採用すると共にもう一つ条件があった。それは……。

 

「何、これ……」

「びっくり集団やないかい」

 

思わず真澄達も困惑してしまう。そこには一年生にバレー部……球技の方のやつ。それに歴史物の格好をしている奴。そう、歴女だ。

あとみほとその友達であると言う昨日見た二人。それとその後ろで癖毛の強い少女が一人。そしてウチら五人。そう、条件とは自分達の戦車道への参加だ。

そしてウチらの評判を聞いている面々はこちらを警戒している様子だった。その中でみほだけが驚いた目をしていたのが救いだよ。

 

「これより戦車道の授業を始める」

 

生徒会トリオがやって来てそう話すと、癖毛少女が手を挙げて聞く。

 

「あ、あの!戦車はティーガーですか?それとも………」

 

それがあったら良いな。人気車種だから、やめた時に多分売ってるぞ。

 

「さぁーなんだったけ~。まぁ、格納庫を見れば分かると思うよ」

 

角谷はそう言うと、後ろの格納庫を開けた。

 

「なにこれ…」

「ボロボロ…」

「ありえなーい…」

 

そう言いその中に佇む一台の朽ちた戦車が一両。

 

「Ⅳ号……」

「見る感じD型ね」

 

車種はⅣ号D型、地味だが使いやすくて良い車両だ。少なくともパンターなどより整備には困らない。

 

「これはわびさびがあってよろしいんじゃあ」

「いやこれただの錆だから…」

 

武部沙織と言ったか、ナイスツッコミ。

 

「どう?真澄さん」

「錆び取り、パーツ取り付けに掃除。あとは問題ないかしらね」

「そうだね。装甲も転輪も問題なさそうで……」

 

エンジン部分のハッチを開けながらみほと真澄はそう話す。

その様子を見て、後ろで生徒達がやや心配げに見ていた。なにせ、不良に囲まれている状態だ。心配にならないわけがなく……。

 

「なんか、随分話し方が丸くなったね」

「あらそう?じゃあ直そうかしら?」

「ううん、昔みたいで私はそっちの方がいいかな」

 

そう話していると、キャノピーを開けた大隈と大久保が思わず顔を顰めた。

 

「うわっ、中酷いわね」

「埃だらけじゃない」

 

そう言い、中を見た感想を呟くと角谷が聞いてくる。

 

「どう?動きそう?」

「これ、最後に動かしたのどのくらい前です?」

 

真澄が角谷にそう問いかける。

 

「え?たしか……二〇年ぐらい前かな?で、この戦車使えないの?」

「まあ、シフトレバーにクラッチがガチガチだけど。レストアすればなんとか……」

 

運転席を見た大隈が答えた。

 

「そっか、じゃあ。一両確保したとして、これだけの人数だとすると……河嶋、いくつ必要?」

「全部で六両必要です」

「っとなると、あと五両か……んじゃあ、みんなで戦車探そっか」

 

角谷はそう提案した。

 

「して、いったいどこに?」

 

歴女のマフラーを巻く少女が聞く。

 

「いやー、それがわかんないから探すの」

「なんにも手がかりないんですか?」

「ない!」

 

角谷は元気よく答える。

 

「胸張って言うことじゃないでしょう……」

 

その事に真澄も半分呆れてしまっていた。

こうして、みほ達は戦車を探すために学園中を歩き回ることとなった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「どうする?」

「どうするつったってね」

「まあ、心当たりは…」

「でも不味くない?」

「うん……」

 

()()()()を知っているが故に五人はあまり乗り気になれなかった。あまりにも性能がピーキー過ぎるから……。

 

「どうする?」

「隠そう。あんなの乗ってらんない」

「そうだね」

 

すると五人が後ろから声をかけられる。

 

「何を隠すって?」

「「「「「っ?!」」」」」

 

その方をを振り向くと、そこには角谷と睨みつける河嶋。そして小山が少し暗くしていた。

 

「いや、うちらが前にやらかした不祥事をね」

「そうかいそうかい。でもその顔、戦車に心当たりがあるって顔だね」

「……」

 

この干し芋会長、観察眼だけはピカイチだからな。

 

「まぁ、適当に探してみますよ」

 

そう適当に答えて去ろうとした時、角谷は真澄を見ながら聞いてきた。

 

「ねぇ、もしよかったら聞きたいんだけど……」

「?」

 

 

 

「君、なんで戦車道を除名されたの?」

 

 

 

パンドラの箱を開けたような感覚に角谷は襲われる。なぜなら、目の前にいる真澄以外の四人の雰囲気が明らかに変わったからだ。

本気で人を殺してしまいそうな、そんな殺気。

咄嗟に角谷は続けて言う。

 

「ああ、ごめんごめん。余計なお世話だったね。取り敢えず戦車の件。頼んだよ」

 

見てはいけないものを見たような気分になりながら角谷は去っていった。

 

「大丈夫?」

「ええ、何か問題でも?」

 

榎本が聞くと、真澄はケロッとした様子で答えた。

 

「やっぱ戦車道辞めよう」

「その方が真澄もいいんじゃ……」

「そうね……」

 

大久保達とそう話すと、真澄が口を開く。

 

「馬鹿、うちは後ろから支えるって約束しただろう?」

「でも……」

 

しかし真澄は榎本達を説得する。

 

「私は後方の馬鹿たれどもをまとめ上げなきゃならないの。マネージャーとして働けば良いのよ」

 

そう言うと真澄は悲願達成と共に強制的に戦車道に協力することとなった部下達を思い返していた。

 

「今の私は戦車に乗れないの。だから我慢して」

 

彼女は自分の感情を押し殺した表情でそう答えていた。

 

 

 

 

 

その頃、戦車を探しに駐車場に訪れたみほ達はそこでみほの事を後ろから付けていた秋山優花里と打ち明けていた。

 

「えっ!?みぽりんと古い友人なの!?」

 

駐車場でそう驚くのはみほに気さくに話しかけた武部沙織。その話を聞き、同じくみほの友人である五十鈴華もやや驚いた様子を見せる。

 

「驚きました。まさかみほさんと御友人だったとは……」

「うん、昔からよくお互いの家に遊びに行ったりしてたの」

「凄いですね!大洗一の厄介者集団と渾名される黒田殿達の御友人が西住殿だなんて!」

 

秋山がそう呟くと、みほは何処か安堵した様子で真澄の顔を思い出していた。

 

「最後に会ってからかなり窶れていたけど…此処に居たんだ」

「窶れていた?」

「あっ、うん。昔、戦車道をやっていた時より元気が無いなって」

「えっ!?あの顔で?!」

 

少なくとも夜中に不良狩りしている時点で窶れている様には見えないと思ってしまった。

駐車場から森の中を歩き始めながらみほ達は登っているとそこでふと、五十鈴が匂いを嗅ぐ仕草をした。

 

「あら?」

「どうしたの、華?」

 

武部が聞くと五十鈴はその匂いの正体を口にする。

 

「なんか、花の匂いに混じって。ほんのりと鉄と油の匂いが…」

「えっ!?華道やってるとそんなに敏感になるの!?」

 

元々華道を嗜んでいた彼女は匂いに関してこうも敏感になるものなのかとやや首を傾げていた。

 

「いえ、私だけかもしれませんけど……」

 

そう答え、戦車を探しに秋山は腕を動かす。

 

「それではその場所に向かってパンツァー、フォー!」

「パンツのアホっ!?」

 

秋山の言葉に思わず聞き間違いをした武部が驚く。

 

「沙織さん。パンツのアホじゃなくて。『パンツァー・フォー』、ドイツ語で『戦車前進』って意味だよ」

 

みほは苦笑しながらそう話すと、武部も少しホッとした様子で胸を撫で下ろしていた。

まあ、初めて真澄と会った時も同じことを聞かれたと、もはやテンプレと化している話に少し懐かしさを覚えた。

 

そして森を進んでいると、遠くに黒い影を見た。近づいてみると、それは戦車だった。流石っす五十鈴さん。

 

「これは……」

 

その朽ちた戦車を見て思わず武部は不満げに口にする。

 

「なんかさっきのより小っちゃい……傷だらけでポツポツしてるし」

 

そう語る武部に秋山は火がついたのか、彼女に強めに反論する。

 

「そ、そんなことないです!小さい戦車ですがこれはすごい戦車なんですよ!38tはロンメル将軍が……」

 

そして簡単に彼女のブレーキは壊れ、この朽ちた戦車の詳しい話をし始める。

 

「あ!因みにですけど、38tの『t』というのは、『チェコスロバキア製』という意味であって、重さの意味ではないんですよ!…………はっ!」

 

そして暴走していたことに気づき、慌てて秋山は少し顔を赤くして話を切っていた。

 

「今、生き生きしてたよ」

「…すいません……」

 

秋山はそこでやや申し訳なく思っていると、みほはそこで助言をする。

 

「好きなものは好きにやれば良いと思うよ」

「西住殿……」

 

そこで少し救われたのか、秋山はみほに絶対的な信頼を寄せていた。

 

「取り敢えず一両見つけたね」

「そうだね。あと五両」

「それじゃあ私、生徒会に連絡するから」

 

そう言いみほは携帯を取り出して連絡を入れていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その後、バレー部の人が崖の洞窟にあった八九式中戦車甲型を。歴女が池の底で三号突撃砲F型を。そして一年生がウサギ小屋でM3中戦車リーを見つけた。

崖の洞窟ってどうやって運んだのか甚だ疑問ではあるが、これで残りは一両だった。

 

「遅いね。真澄さん達」

「うん……」

「きっと何処かでサボっているんですよ」

 

倉庫の前でそう話すみほ達を他所に河嶋は怒鳴る。

 

「どうなっているんだ!?」

「……河嶋」

「はい?」

「行こう」

 

嫌な予感を感じた角谷は座っていた明日から立ち上がるとそのまま校庭を後にする。

角谷の突然の行動に疑問に思いながら置いて行かれたみほ達は困惑しながらも付いていく選択をした。

 

 

 

そして着いたのはこの度機動隊の車庫となった学園端の廃倉庫だった。

外では洗剤をかけて清掃する機動隊員達が角谷を見ていた。

 

「ちょっと中入るね〜」

 

そう言い角谷達は見られながら車庫の中に入ると、そこには三両の海軍九三式装甲自動車がずらりと並んでいた。あとはレストアしたのだろう九四式六輪自動貨物が並んでいた。

 

「うわっ、すご」

「こんなに大量の装甲車が……」

「戦車道で使える?」

「装甲車は無理だよ」

「えぇ、そうなんだ……」

 

せっかく良いと思ったのだがと武部はやや残念そうにしていた。

 

「あっ!いたいた」

 

そしてその奥で何やら話し合っている真澄たちの姿が。そしてその向こうには白布で覆われた何かがあった。

 

「真澄さん」

「ん?ああ、みほちゃん。こんなとこまでどうしたの?」

「なかなか来ないからみんなで来たんです」

 

そう答えると真澄は納得した様子で戦車道に参加した他の生徒を見ていた。

 

「なるほど。彼方を呼びに来たわけね」

 

納得した真澄にみほが問いかける。

 

「どうしたの?」

「ん?いやぁ、こっちも戦車を見つけたからね」

「そうなんだ」

 

どんな戦車だと聞くと、彼女は珍しい戦車と答えて近くにいた大隈に目をやると後ろに被さっていた白い布を取り払った。

するとその下から草色に塗装された一台の戦車が現れた。それは今まで見てきた戦車よりも綺麗に整えられており、ずっと室内にあったからか保存状態はとてもよかった。

 

特徴的な短砲身のその戦車を見て秋山が一瞬でそれがなんなのかを判別して、驚いた様子を見せた。

 

「すごい!これは海軍短十二糎自走砲ですよ!!」

 

 

 

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