知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第四九射

二回戦、アンツィオ戦の軍配は大洗女子学園となった。

 

「お疲れ〜」

「まさか一両も欠損しないとはね……」

「と言うより何回撃った?」

「数える程度」

 

車両を降りながら榎本達はそう話していた。

 

「いやー惜しかったな~。今年こそは勝てると思ったのに。でもいい勝負だった」

 

そこへアンチョビがやってきてみほと私の手を握り握手をする。そしてみほにハグをした。

 

「決勝まで行けよ? 我々も全力で応援するから! だよなぁ!」

「「「おおぉーーー!!」」」

 

アンチョビが仲間にそう呼びかけるとアンツィオの仲間たちは元気いっぱいに声を上げる。

 

「ほら笑って!もっと手を振って!」

「あ、あはは……ありがとうございます」

 

もはやどっちが勝者かわからない。みほは苦笑しながらアンツィオに人たちにお礼を言う。するとアンツィオの生徒たちがテーブルや椅子。そして大きな鍋を用意し始めた。

 

「なにが始まるんですか?」

 

みほがアンチョビにそう訊くとアンチョビはふっと笑う。

 

「諸君!試合だけが戦車道じゃないぞ!勝負を終えたら試合に関わった選手、スタッフを労う!これがアンツィオの流儀だぁーー!!」

 

そう言った瞬間。アンツィオの生徒たちが宴の準備や料理を作り始める。

 

「すごい物量と機動力……」

「これが本当のアンツィオ戦……」

 

榎本と大隈がそう呟くとアンチョビが言う。

 

「我が校は、食事のためならどんな労も惜しまない!……まぁ、この子達のやる気がもう少し試合に活かせるといんだけどなぁ……。まぁ、それはおいおいやるとして、せーのっ!」

「「「「いただきまーす!!」」」」

 

アンチョビの合図と共に皆手を合わせて合掌し、楽しいパーティーの始まりだ。

そこには大会の審査員もしれっと紛れ込んでいた。ナニシトンネン

 

「おつかれー……って、なにこれ?」

「あっ、真澄」

 

試合終了し、戦車の回収も済ませた真澄が訪れると、その光景に思わず唖然となっていた。

 

「アンツィオ高校の食事会。試合後は必ずこうするんだって」

「へぇー」

 

真澄はそう答えると大盛り上がりの会場を眺める。

そこには、敵も味方も存在しないみんな笑顔で楽しくテーブルを囲いイタリア料理を楽しんでいた。

この学校は将来、人気になる。(確信!)

 

そう思っていると、そこに一人の生徒が声をかけた。アンチョビだ。

 

「失礼、君は?」

 

見かけなかった顔に彼女は首を傾げていると、真澄が答えた。

 

「大洗戦車道部マネージャーの黒田真澄と言います。以後よろしくお願いします」

 

そう答えると、そこでアンチョビは一瞬唖然となった後に真澄に聞いた。

 

「黒田真澄…もしや、あの知波単の軍師の……?」

「……まぁ、昔はそう言われていました」

 

そう答えると、そこでアンチョビは大喜びした様子で真澄の手を握った。

 

「おお!お会いできて光栄です!」

「はい?」

 

するとアンチョビに思わず真澄は困惑してしまった。

 

「てっきり何処に行ったかと思っていたが……」

「は、はぁ……」

 

困惑する真澄にアンチョビは喜んでいるご様子。すると彼女はそこまで真澄を気に入った理由を言った。

 

「貴方の知波単学園の車両の改造技術に感動していたのだ!」

「ああ、そう言うね……」

 

そこで榎本は納得できた。

 

「試製一式砲戦車を見ていたのね……」

「そうだ!」

 

そう言い二年前の試合で数少ない予算の中で火力強化として真澄が執行した魔改造手術を思い出していた。

 

「戦車道における節約術に感動したものだ」

 

彼女はそう言うとそこで真澄が一言。

 

「それならあなたの豆戦車だってブレダ機関砲でも乗っければ良いじゃないですか」

「ああ、確かに。L3ccって車両ありますしね」

 

榎本がそこで納得するとアンチョビは納得した上でこう溢した。

 

「そっか、もしかしてその方が安上がりだったか?」

「え?今頃気づきました?」

「うーん、でもP40は使える戦車であることに違いないからなあ……」

 

真澄や榎本はそう言い反応に困っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一方、その頃激しい一騎打ちの末に引き分けとなった。Ⅲ突のカエサルとセモベンテのカルパッチョ、二人の装填手が賑やかな所から少し離れた静かな場所で試合の話をしていた。

 

「たかちゃんも、装填手だったんだ」

「あぁ」

「最後は、やっぱり装填スピードの勝負だったね」

 

カエサルはそう言うと、

 

「ふふっ」

「なんだよ」

 

カルパッチョがある方向を見て微笑んだ。

 

「お友達が心配しているみたい」

「え?」

 

カルパッチョの視線の先にカエサルがみるとそこにはエルヴィンやおりょう、左衛門左達が影から見ていた。

 

「「あっ、ははは」」

「っと、生徒会長がリーダーに招集を掛けている様な気がするんだが、取り込んでいるなら私が行くぞ」

 

左衛門左やおりょうは苦笑いで反応してエルヴィンは招集の事をカエサルに伝える。

 

「今行くよ!」

「来年もやろ。たかちゃん」

 

カルパッチョはそう言って手を差し出しカエサルと握手する。

 

「たかちゃんじゃないよ、私はカエサルだ」

 

そう言ってカエサルは首に巻いている赤いスカーフを翻して宴会場に戻って行った。

 

「そうね、じゃあ。私はカルパッチョで」

 

そう言ってひなちゃんことカルパッチョはカエサルを真似て自身の金髪を翻した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

試合後、真澄達もアンチョビの宴会に参加させてもらい。一通り楽しんだ後、真澄はある場所を訪れていた。

 

「あっ、姉さん」

「まだ帰っていなかったのか」

 

試合場近くのヘリポートで後ろにFl 282を待機させている清靖に真澄はやや呆れた様子を見せると、彼は言う。

 

「どうせならみほさんの乗る戦車を見よう思ってね」

「なるほど、それでこんな時間まで残っていたと……」

「まあ、そうだね」

 

何処か歯切れ悪く答えると、清靖はゴーグルとヘルメットを被りながら言う。

 

「じゃあ姉さん。そろそろ行くよ」

「ああ、分かった」

 

そこで真澄は頷くと少し距離を取り、エンジンをかける清靖を見る。

そこでハンドサインを送ると、そこで真澄も返してそのまま清靖は帰って行った。

 

「あれ、真澄さん?」

「ん?」

 

そしてヘリを見送ると、そこでみほ達が声をかけた。

 

「誰か見送っていたの?」

 

そこで武部が聞くと、真澄は頷いた。

 

「ええ、清靖が来ていたから。その見送りでね」

「え!?清靖くん、来ていたの!?」

「ああ、今飛んで行ったヘリに乗っていたんだよ」

「ええ!!じゃあ私の所にもよればよかったのに!!」

 

武部がそういうと横で五十鈴が言う。

 

「試合を見に来ただけなのに?」

 

相変わらずな言い方をすると、そこで真澄はみほをを見て少しだけ笑っていた。

 

「どうかしたの?」

 

そんな真澄の反応にみほは首を傾げていると、彼女は答えた。

 

「いや、何でもない」

 

そういうと軽くみほの頭をポンポン叩いた後に言った。

 

「さあ、次の試合に向けて頑張りなさいよ」

 

 

 

その頃、東京に帰る途中の清靖はFl 282に乗りながら考え事をしていた。

 

「(あの角谷生徒会長からの話し…なんとかなると良いけど……)」

 

そう思いながら、今日の試合にわざわざ飛んできた理由を思い出していた。

 

 

 

事の発端は二日ほど前に遡る。

実家に一本の電話が届き、相手は真澄の通う学校の生徒会長からであり。その連絡してきた内容に思わず目が点になってしまった。

 

ーー黒田真澄の戦車道除名撤回が出来るかもしれない。

 

初めは何を言っているんだと思いたかった。

何せ二年も経っている上に、戦車道除名撤回など父が許すはずがなかった。

しかし話だけでも聞いてほしいと言う事で自分が試合会場に訪れていた。

 

そして試合後、清靖は生徒会室に呼ばれ。そこで学園の生徒会長である角谷杏と話をしていた。

 

「やあやあ、今日はわざわざきてくれて感謝だよ」

 

会長だというのに威厳へったくれもないようなその人物は訪れた清靖を招くと、そこで真澄の話題を切り出した。

 

「君のお姉さんの話で、実に興味深い話があってね」

 

彼女はそう言うと机に置いていたバインダーを自分に見せた。これはなんなのかと聞くと、彼女は答えた。

 

「君のお姉さんの戦車道除名処分に不満を覚えている人たちの名前」

 

そう言い、錚々たる面々の署名がされたそれを見て清靖は唖然となった。

 

「それだけの人達が君のお姉さんの処分に不満を覚えている。一部の人なんかはアリバイの証拠まで渡してくれた」

 

そう言い角谷は懐からメモリーを取り出した。

 

「当時の戦車道連盟の不可解なまでの動きを、私は不審に思っている。そこで思ったのだけど…」

 

そこで彼女は言いながら清靖に問いかけた。

 

 

 

 

 

「この事件、君のお父さんが関わっているんじゃないかってね?」

「……」

 

そう言うと思わず息が詰まりそうになってしまった。目の前いる角谷という少女はどれだけの能力を注ぎ込んだから分からなかった。ただ姉を欲しがっているのは理解できた。

 

「…父が?そんなわけ無いでしょう」

 

だからこそ警戒した方が良さそうだ。

 

「うん、普通ならそう思うよ。だって君たちのお父さんの立場からしてみたら普通は揉み消すだろうしね」

 

そう言いながら彼女は清靖に彼女は近づく。

 

「でも君達のお父さん…警察庁長官である黒田巌は戦車道を好まない人何だよね〜」

「……」

 

この一言で更に清靖の中で角谷に対する危険度は上がる。

 

「そこでなんだけどさ、君のお父さんにアポを取りたいんだ」

「父に?難しいでしょう。あの人は予定が盛りだくさんですよ?」

 

そう言うも角谷が引き下がる様子はなかった。

 

「うーん、時間はいつでも良いから、そのできれば一週間以内。準決勝が始まるまでの間にお願いしたいな」

「それ、今日が初対面の人に言う言葉ですか?」

 

思わず清靖はそう溢してしまうと、彼女は今度は非常に真面目な眼差しで彼に言った。

 

「だが今、我が校は黒田真澄の才能を必要としているんだ」

「……」

「君も思う部分があるはずだ。君のお姉さんは戦車道の才能を多く秘めていると…」

 

まるで彼女は心を覗き込むかの如く清靖に言うと、角谷は最後に言った。

 

「私の方からも言っておくけど、君の方からも説得を頼むよ」

 

そう言うと結局清靖はその任を受け持つこととなってしまった。

 

 

 

 

 

「食えない人間だ。角谷杏という人は…」

 

あの会長は、人をこき使う事がうまい根っからの官僚体質なのだろう。彼は彼女にその雰囲気を感じ取っていた。

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