知波単学園最強の軍師   作:Aa_おにぎり

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第六五射

みほ達が廃村を出る時、真澄達の待機している場所では……

 

「行くわよ」

「「「「了解」」」」

 

そこで乗っている榎本達が答える。

 

既に車体には先ほど取り出したボイリング・ベッセルも取り付け終えていた。中身はすでに飲み切っており、少し軽くなっていた。

 

「ただ、それにしても狭いな」

「仕方ない。五人乗りだもの」

 

そう言い、チハ新砲塔に真澄、榎本、大久保の三人が乗っている状態で確かに窮屈ではあった。

エンジンを起動させ、大隈が操縦桿を握ると真澄はラジカセを取り出す。

 

「みほちゃんの本隊は向こうの防衛線を突破したらそのまま廃村に戻るわ。残りは全力でフラッグ車の護衛をするわ」

「向こうの護衛はM3とB1……」

「絶対、数足りないね」

 

作戦の概要を伝えると、そこで大隈がやや心配げに聞いてきた。

 

「ねえ、真澄。冷泉さんの偵察班がプラウダに見つかったって言ってたじゃない。相手が突然の陣形の変更とかしない?」

 

そんな彼女の不安に横の伊藤が答えた。

 

「いや、それはない。あの性格よ?自分の作戦に絶対の自信を持っている。だから、偵察されたとしても自分の作戦が失敗する筈がないとか言ってるに決まってる」

「あぁ、成る程。なんか納得」

 

伊藤に言われてあり過ぎる心当たりに大隈は安心していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、角谷達カメさんチームの38tを先頭に、Ⅳ号とⅢ突。その次にアヒルさんチームの八九式が配置され、その背後を守る様にM3とB1が配置された。

 

「小山、行くぞ」

「はいっ!」

 

角谷がそう言うと、小山はゆっくりと38tを前進させ、他の戦車も後に続き、ゆっくり前進する。そして出口が目の前に迫った時、

 

「突撃」

 

角谷の掛け声と共に小山はギアを入れて速度を上げて、教会から勢い良く飛び出す。

その途端、包囲していたプラウダの戦車隊からの集中攻撃が始まる。容赦ない攻撃に晒されながらも、大洗チームは防御の薄い地点へと向かう。

 

「フフフ予想通りね、流石私」

 

自分の作戦が成功したと思っているカチューシャは、得意気に自画自賛するが……

 

「……ん?」

 

なんと防御が緩くなっている場所へと向かっていた大洗チームは突然方針転換し、フラッグ車である八九式を隊列の真ん中に配置して守る様な陣形を組むと、自分達がいる場所……つまり、一番戦力が集中している場所に突っ込んで来た。

 

「こっち!?馬鹿じゃないの!?敢えて分厚いトコ来るなんて!?」

 

大洗チームが自分の考えた作戦に乗らず予想外の行動に驚き、そんな事を呟きながら、カチューシャはヘルメットを被る。

その瞬間、今までの仕返しと言わんばかりに大洗から砲撃が始まる。

 

「返り討ちよ!」

 

そう叫ぶと、カチューシャはすぐさま車内に引っ込んで撃ち返す。

 

「河嶋、代われ」

「はっ!」

 

そんな中、角谷は河嶋に砲手を代われと言い出して、河嶋は席を空けて装填手へと移る。

角谷は砲手の席に座り、スコープを覗く。

 

「やっぱ三七ミリじゃ、まともにやっても中々抜けないよねぇ〜。小山!ちょっと危ないけど、ギリまで近づいちゃって!」

「はい!」

 

角谷の指示を受けた小山は38tの速度を上げ、向かってくるプラウダ戦車に突っ込んで行った。そして、プラウダからの集中砲火が来る。

 

「ほぉ〜。怖えぇ〜……よ〜し」

 

すると、一両のT-34/85の砲塔が38tに向けられる。砲身がゆっくり下され38tへと狙いが定まった時……

 

「来るぞ!」

 

その言葉と共に小山は38tを左に流して砲弾を避け、相手が怯んでいる内に接近すると、角谷が相手の砲塔目掛けて発砲して行動不能にする。

その隙に、大洗の戦車が次々と向かって来るとプラウダの防衛ラインを突破する。

 

「やったな!後続!何が何でも阻止!」

 

頭に血が上り冷静さを失ったカチューシャはインカムに向かってそう叫ぶのであった。

 

「前衛突破!!」

「皆さん注意して!前方敵四両!」

 

武部が前衛の防衛を突破したと言い、Ⅳ号のキューポラから前方を見ていたみほがそう叫ぶ。

すると、最後尾の後ろを見ていたそど子から通信が入った。

 

『こちら最後尾、後方からも四台来ています!それ以上かも!』

「挟まれる前に隊形乱さない様、一〇時の方向に旋回して下さい!」

 

みほがそう言うと、今度は角谷から通信が入った。

 

『正面の四両引き受けたよ!上手く行ったら後で、合流するね!』

「分かりました。気を付けて!」

『そっちもね〜』

 

そう言いみほ達は、展開するが38tは前から来ている四両目掛けて突っ込んで行き、その様子をみほは心配そうに見ていた。

 

「T-34/76に85にスターリンかぁ……硬そうで参っちゃうなぁ〜……38tでも、ゼロ距離ならなんとか」

 

そう呟きながらも、角谷は自分の相方に指示を飛ばした。

 

「小山!ねちっこくへばりついて!」

「はいっ!」

「河嶋!装填早めにね!」

「はいっ!」

 

角谷の言葉に二人は返事をし、その言葉を合図に38tが四両のプラウダ戦車に襲い掛かった。

一両のT-34/76が砲撃を仕掛けてくるが、小回りの効く軽戦車ならではの特性を活かして難なく避けると、逆に至近距離からの砲撃を喰らわせて撃破する。

今度はIS-2を標的に定めて引き金を引くものの、自分も相手も動いていたためか、狙いが外れ、後部のフェンダーに弾かれてしまう。

 

「失敗、もういっちょ!」

「はい」

 

すると、今度は他のT-34/76を標的としたに角谷は河嶋が次の砲弾を装填し終えた直後に狙いを定めて引き金を引き、片方のマフラーを吹き飛ばす。

 

「もう一丁!」

「はいっ!」

 

河嶋が早く装填し終え、小山が巧みに操縦桿を動かし車体を回転させて相手からの砲撃を避け、そして角谷が次々と攻撃を仕掛けて行く。

あるT-34は履帯と転輪を吹き飛ばされ、悪足掻きとばかりに攻撃するものの、小山の操縦で避けられた後、至近距離からの砲撃を喰らって撃破される。

まさに阿吽の呼吸。三人の息が合ってないと出来ない芸当だった。そしてカメさんチームは敵戦車四両の内、T-34を二両撃破した。

 

「よーし、こんぐらいでいいだろ、撤収ぅ〜」

「お見事です!」

 

大洗チームの本体に合流しようとその場を離れようとした瞬間。

突如として横から砲撃を受け、38tは粉々に吹き飛ばされた履帯と転輪の破片を撒き散らしながら派手に吹っ飛ばされると、逆さになって動きを止める。

そして、底部から行動不能を示す白旗が飛び出した。

角谷の38tを撃破したのはノンナの乗るT-34/85だった。角谷は彼女の狙いにより撃破されたのだ。

 

「動ける車両は速やかに、合流しなさい」

『はい!』

 

ノンナの指示に生き残ったプラウダの戦車の車長は返事を返し、本隊に合流しようと動き出すのであった。

 

 

 

 

 

孤軍奮闘で戦ったカメさんチームだったが、最後の最後にノンナの砲撃でやられてしまった。

 

『いや〜、ごめ〜ん。二両しかやつけられなかったうえにやられちゃった。後はよろしくね』

 

その頃、反転する為の場所へと移動している大洗本隊。あんこうチームに角谷から通信が入っていた。

 

「分かりました。ありがとうございます」

『頼んだぞ、西住!』

『お願いね!』

 

みほがお礼を言うと、河嶋と小山からの激励も入った。

 

「この窪地を脱出します!全車、あんこうに着いて来てください!」

「「「「「はい!」」」」」

 

みほの指示に、その場にいる全チームからの返事が返され、速度も上がって行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「よいしょっと……」

 

その頃、短十二糎の砲塔で榎本が狭い砲塔の中で砲弾を抱える。

両腕にそれぞれ二発ずつ、股に一発。合計五発の砲弾を抱えていた。総重量は八五キロである。

 

「うわ出た。島田流に怒られる持ち方」

 

それを見て思わず大久保がそう言う。するとそう呟いた彼女に榎本が言う。

 

「良いのよ。私は島田流じゃないし」

 

そう言い、十七キロもある砲弾を軽々と担いでいた。これだけで装填手の榎本のゴリラ化が進んでいる事実に誰も突っ込む事は無かった。

 

「さて、行こうか」

「ええ」

 

そこでキューポラから顔を覗かせる真澄は砲塔にラジカセを掛けて、そこにCDを入れていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、観客席では形勢逆転に向けて動き出した大洗チームを応援する声が上がっていた。

 

「みんな、大洗を応援しています」

「判官贔屓と言うことかしら」

 

オレンジペコとダージリンも、そんな事を言い合っていた。

 

「(これから面白いことになりそうね)」

 

少なくとも、大洗があの包囲網を突破した段階でダージリンからして見れば大洗側の勝率が上がっていた。

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