一応公式的にはパラレル扱いだそうなのですが、なんとかうまく組み合わせられたらなぁ…と個人的に思っております。
第八七射
あの夏の奇跡の大会を終え、暫しの休息を取る事となった大洗戦車道部。
「…」
その間、真澄含めたクマさんチーム五名はある場所を訪れていた。
「まさかこんなレア戦車を仕入れるとはね…」
「恐れ入ったもんだよ」
後ろで榎本と大隈はそう言いながら後ろのトレーラーに積まれて布で覆われているそれを見ていた。
榎本・大隈・大久保の三人は草色のつなぎにヘルメットにゴーグル、足にはゲートルを巻いた革靴と。大洗戦車道部の時とは違う戦車兵のような格好をしていた。
そんな二人に真澄はソーダシガレットを咥えて答える。
「わざわざロシアに行って仕入れてきたんだ。今はウチの所有物だよ」
そう言い今までの利益で大金を叩いて購入した新車を見上げる。
「それって
「後者」
「なるほど〜」
真澄の横に立って聞いた大久保が聞いてくると、彼女の返事に理解した。
「とはいえ、これを探すのは苦労しましたよ…」
「でもおかげで助かったよ博子」
そう言い横でタブレットを持って言う。
「まぁ、私も雇われている側の人間ですから」
そう言い、少々誇るように胸を張った伊藤。この戦車の情報を仕入れた辺り、彼女の情報収集能力はさすがと言えるだろう。
乙未生運輸と言う危なっかしい事業をやっている会社について来た時点で腹は括っているのかも知れぬが…。
「でもよくこんな事業思いつきますね」
「いやぁ」
真澄は感心していた伊藤にそれほどでもない様子で答えると、
「非公認であっても法律違反じゃないんだ。だったらやらない手は無いだろう?」
真澄は笑みを見せながら言うと、聞いていた大久保と伊藤はやや顔を引き攣らせた。
「まぁ儲かっているんでその辺深くは言わないけどさ…」
「よくお父さんに見つかって怒られなかったわよね」
近付いて来た榎本がそう真澄に言うと、彼女は
「見逃されてたんだよ。親父、公安使って調べてやがった」
「えっ、それって職権濫用…」
「そこ突っ込んだら多分ダメだと思う」
榎本に大久保がそう言い、そこで改めて小さな砲声が遠くから微かに聞こえたのを耳にしていた。
今五人がいる場所は、日本戦車道連盟が保有している北富士戦車道演習場である。この前の夏の大会でも一部地域が使用されたあの場所だ。
そこでは複数の戦車が模擬演習を行なっており、今もどこかしらで砲声が聞こえていた。
「…んで、」
そしてそこで真澄は振り返ると、
「この馬鹿騒ぎはなんだね?」
そう言い眼下で行われている出店や観客達に冷たい目線を送っていた。
「さぁ…」
「なんか試合でもするんじゃない?」
そう言いそこで巨大なエンジン音を耳にすると、そこでは三機のB-50が後ろにハミルカー グライダーを牽引して飛んできていた。
「「「は?」」」
派手なデモンストレーションに困惑していると、切り離されたハミルカーはそのまま近くに着陸をするとその中から
「あっ、ありゃマジだ」
爆撃機とグライダーに書かれた校章を見て真澄が呟くと、榎本達は言う。
「顔に虎さん描かれとる…」
「あら可愛い」
そう言いながら降りてきたM22に描かれていたペイントを見て
「ふんと〜ど〜りょくの…」
「それ虎さんやない。寅さんや」
大久保のボケに伊藤が突っ込むと、降りて来たM22の前でアリサが反対に立つ金髪と茶髪の少女達を見た。
「あっ」
アリサを見て真澄が呟くと、
「あの人…」
「大会で盗聴やって反省部屋に言った人ね」
「確か名前は…」
「アリサ。確かアリサだったはずよ」
伊藤がタブレットを持って検索をかけると、あっていた様子で頷いていた。
「どうしてまたM22なんかを…」
そう呟いていると、大久保が気付く。
「あっ、もしかして模擬戦じゃない?」
「?」
彼女が指差した先を全員が見ると、そこでは
「え?」
「何あれ…」
「何で昔の武士みたいな陣作ってんの?」
そう言いそこで停車している九七式軽装甲車とその横で百足の塗装された陣幕を見た。
「…」
描かれている百足の塗装は戦車にもあり、ある種の休憩所のようなものなのだろう。
するとその陣の奥から一人の少女が出て来たのだが…
「おおう」
「すげっ」
「鎧だ…」
その少女はゴリゴリの鎧に片手に和弓を備えていた。
「マジのやつじゃん」
「しかも馬用の騎馬鎧よ」
そう言い五人は驚いていると、そこで反対にケイがいることに気がついた。
「あっケイさん」
「げっ」
「マジか」
その名前を聞き、途端に少々顔を青くする真澄以下四名。彼女に見つかってろくな経験をしなかったかつての知波単時代を思い出された。
「逃げる?」
「うーん…」
正直、今は見つかってもそう苦労することはないのだが、大食い選手権への強制参加はやめていただきたいものであった。
「試合だけ観戦でもして行かない?なんか面白そうだし」
そう言い雰囲気的に
『ヘーイみんな!』
マイク片手に一人のサンダースの生徒が叫ぶ。
『調子はどうだい?なんでもありの
そう言い制限時間三時間のプラカードを掲げて三両の
『戦車道連盟にはナイショだぞ!』
そう言い彼女は対戦チームの名を叫ぶ。
『義勇戦車チーム”フライングタンカース”アリサッッッ!』
『サムライコスチュームガール、チーム”ムカデ”さん。鶴姫しずかぁ!』
そして紹介を終えると、両チームは戦車に乗り込んで走り出す。
「三体一のフラッグ戦!こいつはスパルタンだぁ!!」
解説係はそう叫んで試合が始まる。
借りた演習場にて行われる四両の試合を観客達は口々に言う。
「この勝負どーよ?」
「無理無理、勝負に何ねーよ」
「あのコスプレ嬢ちゃんの戦車が何分持つかじゃね?」
そんな好き勝手に言う観客達に首を左右に動かしている一人の少女、遠藤はるかにケイは少々不適な笑みで言う。
「ーーさてどうかしらね?」
「サンダースの…」
そこで遠藤はケイの話に耳を傾ける。
「単純に考えればアリサの勝ちだけど、それ以上の戦力差があってもひっくり返した例をーー」
「最近見た…そうだろう?」
そこで割り込むように話し込んできた声にケイ達は驚いた様子で振り返ると、そこでは狐の半面を被った私服姿の長身の少女が立っていた。
その後ろには同じ反面を付けた四人が立ち、三人は戦車兵のような服を着ていた。
「…あら、何方かしら?」
一瞬ケイは喜びそうになったが、それを堪えてその女性に聞く。
その後ろでナオミは手を軽く振った一人の少女に誰なのか直ぐに理解すると、目を閉じて短く返していた。
「そうね…クロベエとここでは名乗りましょうか」
そこでその女性は簡単に偽名を出すと、
「ふむ…ではクロベエ。あなたは知っているの?その人を」
そう言うと、クロベエは頷いた。
「えぇ、大洗女子学園の西住みほよ」
知らない訳がない様子で返した彼女に遠藤は目の前に五人が誰なのか困惑していた。
「…そうね」
そこでケイは頷くと、クロベエは聞く。
「あの戦車、どこから仕入れたの?あんなの学校にあった?」
「あぁ、あれはレンドリースしたものを戻してもらったのよ」
「ほーん、そゆことね〜」
そう言いケイと話すクロベエは軽く頷くと、その試合を見る。
「貴方なら、どっちが勝つと思う?」
「いきなり聞かれてもね…」
そもそもこうなった状況の説明を求めると、ケイはスラスラと情報を彼女に伝えており、遠藤の疑問はさらに深くなっていた。
「楯無高校…」
「知っている?」
「いや、流石に初めて聞く高校ね…」
すると彼女は後ろにいた一人に目線をやると、彼女は持っていたタブレットを操作すると直ぐに報告をした。
「十年前に戦車道部が廃止された学校ですね」
直ぐに情報が出てくるとクロベエは言う。
そして直ぐに詳しい情報が出てきた事に遠藤は驚いていた。
「って事は新米な訳だ。少なくとも
すると
「動きもちょっと拙いかしら?」
「えぇ、まだ運転に慣れていない雰囲気があるわね」
「おまけに二人乗りで三両だからね〜」
まるで経験者のように口々に言う彼女達に遠藤は聞く。
「貴方達は…誰なんです?」
そんな疑問にクロベエは答えた。
「さぁ?ただの戦車オタクとでも思ってくれれば良いさ」
そう答えると、今度はケイが聞く。
「随分詳しいのね」
「そりゃあね、この業界に関わってる一人ですし」
「あらやだ」
「…サラッと飛んでも無い事をしていないか?」
ナオミが聞くと、彼女は薄く悪い笑みを浮かべて言う。
「さぁ?これでも元罪人でしたからね」
「蛇の道は蛇ってね」
そこで彼女の横に立った戦車服を着た少女が立つと、ややお茶目に言った。
無論、彼女達の仮面の下を知っているケイ達はそんな
「どうして三人は服を着ているの?」
「ん?あぁ、とある理由でね。悪いがそれ以上言う事はなかろう」
「ええそうね」
戦車服のような格好をしていれば何をしようとしていたのかは一目瞭然だ。
「…また警戒した方がいいか?」
「いいえ、これは私達の持ち物よ」
そしてその後、フライングタンカースとムカデさんチームとの試合が、ムカデさんチームの車両が履帯故障による敗退で終わるまで試合を見届けていた。
「あぁそうそう」
試合が終わり、ムカデさんチームの勝利に湧いている最中、クロベエは片手に二枚の名刺をケイと遠藤に渡す。
「もしこれから
そう言い名刺を受け取ったケイ達はそこに書かれた会社と電話番号に首を傾げた後にあぁ、と納得していた。