フロム主人公統合体、オラリオに行く   作:あいほん

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よろしくお願いいたします。


フロム主人公統合体、ダンジョンに出会いを求める

日本のとある部屋のとある机の上に佇む数々のゲーム機やPC。幾つものモニターに繋がれ同時プレイ可能の環境が整備されている。常人にとってそれは憧れの環境と思うかやり過ぎだとドン引くか、反応は様々だが主の寝静まるその部屋にてゲーム機達は一斉に起動した。指1本触れていないその画面は暗月のような色を映し出している。

そのブルースクリーンに照らされるのはそれらゲーム機にデータが保存されている数々のソフトパッケージ。

歴史的殿堂入り作品、ソニーG、任天堂、バンダイナムコHD、セガサミーHD等…ではなかった。

KING'S FIELDから始まり現代にしてARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON等の作品が照らされる。それらの共通項はたった一つ、そう、フロムソフトウェアである。

 

『データ統合、完了、送信率40…55……80…95…100…!』

 

画面の光はより一層の輝きを放ち、ほんの6条半の部屋はその外から見ても近所迷惑足り得た。

 

『送信完了…良き旅路を…』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

遠い昔、ボクたち神は君たち人間(子供達)の暮らすこの下界に刺激を求めて降りてきた。そしてボク達は決めた、この下界で永遠に君たちと共に暮らそう、と。神の力を封印して不自由さと不便さに囲まれて楽しく生きようってね。

ボク達がキミ達に与えられるのはたった1つ。

“恩恵”という名のモンスターと戦える力だけ。

与えられた子供達はその神の眷属(子供)、ファミリアになる。つまり君は僕の眷属、ヘスティアファミリアのたった1人のメンバーって訳だ。

 

「はっ!はっ!はっ!はっ!」

 

走る。走る。走る。

頭の中でかつて神様が言っていたことが無意識にループしているが今は意識を足に集中させなくては一環の終わりだ!

 

「ヴァアアアアアア!!!」

 

「ひ、ひ、ひぃッ!」

 

目の前に佇むミノタウロスは拳を振り上げている。必死にガードしようと腕を顔の前で組み目を瞑ろうとする刹那、僕、ベル・クラネルはその人を見た。

ミノタウロスの巨体の隙間から鈍い赤黒い光が発せられたその瞬間、ジャキン!!という鈍い音が鳴る。ミノタウロスはその異質な音に反応し振り向こうとするも出来なかった。鋭い一閃がミノタウロスの背中に刻まれ反応しきれなかった獣は膝をつく。

それによって隠されていたその、僕にとっての英雄は湾曲した柄に包帯の巻かれた酷く使い込まれたその刃を地面に突き刺し、空いた右腕をさっきまで恐ろしくて仕方がなかった怪物の背中中央に突き刺した。

 

「ヴゥオオオッ…!?」

 

「………」

 

そして何かを探り当てたようにその英雄はソレを引き抜いた。赤い飛沫が僕と彼に飛びかかる。きっと真っ赤になったであろう僕も瞬き一つせずに彼を見つめてしまっていた。

酷く寡黙な彼は僕に向かって手を差し出してくれる。

 

「…………あ」

 

『防具』と言うより『装束』と定義した方が適切な装いは返り血に染まりながらも元は黒一色である事が窺い知ることが出来、短いマント、手袋、ズボン、そして枯れた羽を刺した帽子を被り、その素顔はスカーフを付けているため知る事は叶わなかったが唯一見ることが出来るその目は深淵のように黒く、暗く、そしてその瞳の先に青い何かを感じた。

それは正に、『狩人』と呼ぶに相応しかった。

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?

結論ーそんな事は無かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

目の前に佇んでいた少年は『狩人』と心の中で称された男の目の前から走り去ってしまった。

ふむ、と考える仕草をした狩人は今現在自身に起きている状況がイマイチ飲み込めずにいたが刹那『別にいいだろう』と言わんばかりの切り替えでその少年の後を追うことにした。今現在自身を取り巻く環境は今まで何千時間と潜り続けていたどのダンジョンにも該当せず久しぶりに何かのイベントが起きたのか知りたくなったからだ。

 

「あ、あの…大丈夫ですか?」

 

声のした方を向けばそこには金髪の美少女と呼ぶに相応しい人物が立っていた。筋力を感じない華奢な身体の上に着けるとするなら他に守るべき場所があるのでは?と感じる防具。そして細く、切れ味の良さそうなレイピアを携えた彼女は外見以上に不思議と強さを肌で感じさせた。

 

「………」スッ

 

左手を胸の前に出しながらどこか適当さを感じさせるその一礼を彼女に見舞い、実力が分からない以上下手に手を出してはイベントが進まなくなるだろう、と胸の中に抱きながら何度も使い古した左手武器と右手武器を手に取り少年の後を付けるべくその場を後にした。

 

ダンジョンと言うからには扉や不気味な装飾、そして傍から見れば末恐ろしい怪物が待ち受けているものとしていた狩人は混乱した。少年の体から滴ったであろう血を追いながら軽く走るも洞窟のような雰囲気のそこにトラップや意図的に角待ちしてくる敵は確認できず、いずれも可愛らしい見た目の小動物や少し大きめの虫程度だったりした。それらを軽く処理しながら突き進むと狩人はそこに辿り着いた。

大きな螺旋階段、そこを行き来する多数の人々、どこか処刑隊を思い出すような重武装の人々。

誰も彼もが健康的な目をしており、獣の病の罹患者は1人たりもいなかった。

それと同時に目を見張るのは階段の到着地点からは朝日が差し込んでいたのだ。夜を活動時間、いや、夜でしかなかったヤーナムを舞台に奔走していた狩人はどこか不思議な気持ちを抱きつつその階段を登って行った。

 

Now Loading

 

ーオラリオー

 

日が昇っている賑やかな街、狩人はそこで思考を止めた。どんな時でもそこは戦場であり、安息の地は無いと思った方が身が引き締まるからだ。油断こそが己の死を近付ける物であり、数多くの死を体験した狩人は血の先にいる少年を追う。

見つけた、真っ赤な風貌の少年が街路の中央を堂々と走っている。彼の姿を見た住民達は呆れ半分、嘲笑半分と言った雰囲気だったが真っ赤な少年を追う真っ赤で真っ黒な影を見て顔色を青ざめさせた。

 

「ヤベーよヤベーよ…」

 

「アイツ何やらかしたんだよ…」

 

「通報案件だろ…」

 

黒い衣装ではやはり目立ってしまうのと狩人にとって何かに囲まれた状態というのはやはり得意では無かった。

 

(狩人殿…ここは任せよ)

 

「………」コクッ!

 

突如狩人の体は徐々に闇夜色に染まったと思えば桜色に変わりそのベールが桜吹雪の如く散ったと思えばそこから現れたのは先程までとは打って変わり左手には人骨を彷彿とさせる義手と橙色の上着とマフラーにも似た布切れを巻いた極東の国の出を彷彿とさせる出で立ちの男だった。

 

「………」

 

姿を変えてからの元狩人はその人混みの間を針の穴に糸を通すように駆け巡っていく。

 

「隻腕の狼…」

 

誰かが呟いたそれを短縮し『隻狼』としよう。

隻狼は瞬く間に少年ベル・クラネルの後方20mに迫っていた。

 

「エイナさーーーーん!!!」

 

そんな事を露知らずベル・クラネルは声を張り上げて丁度建物から出てきた尖った長い耳が特徴のエイナ・チュールへと駆け寄った。

 

「ベル君!」

 

冒険に出かけた彼が無事に帰ってきたであろう元気な声に安堵しつつ彼の方へと視線を寄せる。

 

「ひゃあああああああぁぁぁ!!!」

 

インクを零してしまったかのように真っ赤な彼に悲鳴をあげる一方エイナ・チュールは見てしまった。彼の後方から凄まじい形相の男が駆けているのを…しかもその視線の先に居るのはどう見ても自信が気にかけるベル・クラネルなのだ。

 

「ぁぁぁぁああああああああ!!??」

 

段々と小さくなっていた悲鳴は隻狼の存在とその数秒後に迫るであろうベル・クラネルの死を予感した為更に大きくなってしまった。

気が気では無い悶々とした時間を過ごし、過度に緊張していた彼女の精神は目の前にて秒読みとなった繰り広げられる血の池地獄(予感)により更に緊張し、はち切れ、キャパシティをオーバーしてしまった。

 

バタン!!

 

初めて体感した情緒のジェットコースターにより彼女は当然、気絶してしまった。

 

「エイナさぁぁぁぁぁん!!!???」

 

運命的な出会いにより、絶好調だったベル・クラネルは目の前でアドバイザーが倒れた事により情緒が反転、歓喜の声は絶叫へと変わってしまったのであった。

 

そんな様子を見ていた隻狼はそんな地獄絵図に困惑していた。それはもう、困惑していたのであった。




ありがとうございました。
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