透き通る世界には放射線が無いから寝る 作:キングサクシャ
新しいことを知る度に、自分の出来ることが広がっていく。学びと言って良いのかは解らないが、気分がいいのは間違いない。
『……退屈だよなぁ』
地中2kmからこんばんは。いつも人類に這い寄る災害、ゴジラさんです。いやぁ、一か八かの大爆発からはや1年か2年。最近ようやく体に人格が復活しましたよ。
いやぁ、人格が復活するまでにG細胞が何か悪さしてないか不安だったんだけど想定内で良かった。下手すれば惑星1個植物に至るまで俺になるところだったんだからな。
夢の劇場(ゴジラだけしか見れない映画館)に来る百合園って奴とそれ以外の迷い込んで来た生徒に色々聞いてたとはいえやっぱり復活しないと全部は把握出来ないからマジで心配だったんだよ。
復活してからは貰った遺伝子使って作った分体で色々やったりして下準備は万端。人生充実してますよ、怪獣だけどな俺。
『でもまぁ、退屈だよな』
俺の存在が及ぼしたであろう影響の把握は完了した。これ以上の仕込みは無い。そうなるとやってくるのが退屈である。
あまりの退屈に暇つぶしに地上に出てひと暴れでもしてやろうかとも考えたが……その考えが出てくる原因になった要素を弱めて対処した。劇場で色んなゴジラを見たせいか厄介なゴジラの成分も混ざっちまってるんだよな俺に。
今の寝床の壁に映る俺の姿だって、前はギャレゴジっぽかったのに今はどちらかというとシンゴジに近い。マイゴジとか昭和の原子力への恐怖マシマシなゴジラを知ったからだろうな、昔より着実に怖いゴジラの方が大きく出てる。
てなわけで、退屈である。最近の楽しみはと言えばアビドスの子達の近況を見ることくらい……セルヴァムは思ったよりどこにでも居るんだよ。
何なら一匹飼われてるしな。我が細胞ながらアイツ意味解らん。楽しそうに飼われやがってこっちが暇で死にそうになってるってのに。
あーあ。なんか怪獣でも出てくればストレス発散できるってのになぁ……
なーんて思いながらセルヴァムの視界を覗いていれば、白いデカいのが目に入る。
『……おっと? まさかの噂をすれば、か』
よっしゃ、ゴジラ行きまーす!
時間は少々巻き戻る。
どこかのビルの一室で、黒いスーツを着た異形の頭を持つ存在と先生が対峙していた。
話の内容はホシノの行方について――だが、その話に関してはすでに決着はついていた。先生と生徒という関係を利用した契約条件の未達という手札を切ったことによって。
すでに大事な生徒の居場所は聞いた。もうここにいる必要など微塵もない。
”帰る”
ならばいち早く生徒の元へ向かわなければならないと先生は踵を返し――
「――あぁ、しかし先生。話はまだ終わりではありません」
黒い異形の頭――黒服に呼び止められた。
”何”
「お急ぎのようですので手短に。先生、これは決してゲマトリアとしての私ではなく、個人としての警告です」
黒服の懐から数枚の写真が取り出される。
瞬間、光が消える。
光源が消え、写真は見えない。
光が飛び込んで来ていたはずの窓が黒い。
窓の中、黒の中に丸い白。その白の中にはまた黒。
目だ。
巨大な目が、黒服の背後から覗き込んでいる。
「……この写真は、どうやら先生は見ない方が良いようです」
黒服が震える手で懐へと写真を戻す。
巨大な目はまだ消えない。呼吸すら躊躇う。
「ですので、先生。口頭でお伝えします――ハカリと自称する存在、アレには最大限の警戒を。アレは私達と違い、先生、貴方の敵となり得ます」
”……帰る”
目はいつの間にか消えていた。呼吸すら躊躇ってしまう圧はすでに霧散している。
「微力ながら、幸運をお祈りしていますよ先生――ゲマトリアは、貴方をいつでも見ていますから……」
先生はビルの外に出てから周囲を見渡す。どこを見ても巨大な何かが居た痕跡すら存在していなかった。
”……行こうか”
「うへ、無茶苦茶だぁ~!!」
「言ってる場合じゃないでしょうがホシノ先輩!!」
カイザーグループへのカチコミ。小鳥遊ホシノの救出。そしてその後に現れた砂漠の白蛇。もう控えめに言ってカオスすぎる空間が、砂漠と樹海の境界線付近に広がっている。
あまりの事態に様々な建前で集まっていた各勢力はてんやわんやである。聞いてた内容と違いすぎるんだもんしょうがないよな。
そんな中でも職務に忠実なカイザーの残党が様々な兵器を白蛇へと食らわせるが、ただでさえズタボロにされていたせいであっと言う間に蹴散らされていく。ま、既存兵器じゃあ、厳しいでしょうよ。
「ん、本当に役に立たず。迷惑しかかけてない」
”とりあえず皆撤退! 便利屋の皆も!!”
先のカイザーとの戦闘で物資弾薬を相当量消費していた。このまま白蛇との正面衝突は無謀だという判断だろう。
『いい判断だよな、実際』
パキパキゴリゴリボトボトグチャグチャゴキバキと体が組み変わっていくのを感じる。この感覚ってのは不思議もんだ。ボトボトと大量の内臓とかが地面に零れ落ちてるのに痛み無いの本当に不思議。自分が人間を辞めてるのを実感する。俺はゴジラだ(自己紹介)。
まぁ、そんなことより気分良く行くとしようじゃないですか。
白蛇と生徒達の距離は十分。カイザーは巻き込む事になるだろうが別に問題はないだろう。
『ありがとう先生、お陰様でやりやすくて助かる』
背鰭が一つせり上がる。連なる背鰭も、段階を分けて尻尾へとせり上がっていく。そういえばこの形式でやるのは初めてだったな。
『さぁって……』
肩幅に足を開く。狙いは白蛇。2年ぶりだなクソッタレ。恨むんなら金属植物の天然ジャミングを恨みやがれよ。
「これどうしよっか、先生」
”どうしようかな……アレが逃がしてくれるんならいいけど……”
轟音と共にカイザーの戦車が跳ね飛ばされるのが見える。アレが逃がしてくれるようには見えないよねぇ。
うへ、まさかあの白蛇が出てくるなんて……タイミングってものを考えてくれないかなぁ。まぁ、私が先走ったせいでもあるんだけど。
「はぁ、責任感じちゃう――」
――なに、この地響き。
「……まさ、か」
「ホシノ先輩、どうしたの?」
体が震える。あの白蛇じゃない何かによる地響き。何故かは分からないけど、それが感じ取れた。多分、私以外にも何人かは感じ取れたんじゃないだろうか、この地響きと圧を。
「あの時、死んだはずじゃ……」
「え、なにあの光……」
セリカちゃんの声に樹海へと目を向ける。樹海から、光が溢れている。
青い、青い綺麗な光が。
消えてしまった、消してしまったはずのあの光が。
「どうして――」
『GURAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
轟音と共に青が宙を裂く。
「ッ! 伏せて! 皆!!」
一直線に白蛇へと向かった青が、白蛇へと命中。
無音。
次の瞬間には、目を焼こうかというほどのまばゆい光と衝撃が私達を襲う。遮蔽に隠れた上で伏せて居なければ……私達は今しがた消し飛んだカイザーPMC達と瓦礫と一緒くたにミンチになってしまっていただろう。全くもってぞっとしない。
数秒して衝撃波が収まった。砂嵐をその数秒に凝縮したのかと思うほどの恐ろしい数秒間。それが終わったのかと恐る恐る体を起こせば、巨大なキノコのような雲が空を埋めている。
”今のは――”
唖然としている先生の声が聞こえた。
「……ゴジラだよ、先生」
「え、ゴジラって確か1年以上前に駆除された巨大生物のはずですよね!?」
アヤネちゃんの言うとおりだ。
「うん、あの時確かに、ゴジラは死んだ」
だけど、今の光は確かに数度見たあの光だった。間違いない。
視界の中に違和感。なるほど、キノコ雲の根元から白蛇が体を起した。体の一部が抉れているが、気持ちが悪い速度で再生している。
その白蛇が、顔を樹海へと向けている。
私は見なければいけない、その姿を。
「あぁ……また会ったね、ゴジラ」
この光景を見ているだろうトリニティやゲヘナの3年生は、きっと恐怖に震えているか唖然としていることだろう。
巨大な黒がいつかのように、そこに居た。シルエットは大きく変わっている、別個体の可能性だってあるだろう。
でも、確信があった。
「やっぱり、ゴジラだ」
『GURYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA』
溶解した金属の樹海から、蘇った荒神の化身が怒りをそのまま*1に飛び出した。
ゴジラ:ガリガリで腕が異常に長く頭がデカい。ヒロイックなゴジラ以外を知ったおかげで色々と幅が増えた。暇つぶしに喧嘩しに行くくらいには染まってる。
黒服:さすがに死ぬかと思った
先生:あれが、ゴジラ……?
ホシノ:どうして?
アビドス生:どういうこと?????
3年生勢:これ死ゾ。
BloodbathGodzilla:滅茶苦茶怖い海外二次創作のゴジラ
本編への関わり
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多め
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そこそこ
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少なめ
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最低限