透き通る世界には放射線が無いから寝る   作:キングサクシャ

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やっぱり初投稿です


『食らえビナーッ! 放射熱線パンチ!!』

 樹海から飛び出たゴジラは、いびつな動きで体液と肉片をまき散らしながら白蛇へと吶喊する。不自然な緩急の付いた動きはどうにも歪で、得体の知れない恐怖が漏れ出る。

 

 その恐怖を感じ取ってか、白蛇は自身に備え付けられたミサイルを全門斉射しゴジラを迎え撃つ。

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!』

 

 連続する爆発によりゴジラの姿が隠れる。ボトボトと飛び散った肉片が周囲に落下する。

 

「……死んで、ない」

 

 誰かの呟きがやけに響いた。その直後、黒煙を裂いて再び黒が現れる。

 

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!』

 

 異常に細長かったシルエットが、全体的にガッシリとしたモノに変わっている。何より違うのは瞳の無い真っ白な目だ。

 

 かつての姿に近づいたゴジラは口へとエネルギーを集める白蛇に向かって大きく腕を振りかぶり――

 

『GOGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッッ!!』

 

 青い光を伴うパンチが白蛇を大きく吹き飛ばす。

 

 2023年版のゴジラVSメガロにて登場した放射熱線や体内放射の省エネ応用技。自信と同格の敵ですらぶち飛ばしたそのパンチを、白蛇如きが耐えられる道理はない。

 

 せっかく収束していたエネルギーが霧散するのを見て、ゴジラはニヤリと笑ったかのように見えた。

 

”あれが、ゴジラ……怪獣の、王”

 

 映像資料でしか見たことのなかった存在の登場に、先生すらもすこし興奮してしまう。男なんて怪獣大好きだから仕方がないね。

 

「ちょ、ちょっと先生! あれって――」

 

 そこで合流してくる便利屋68。感動の再開に水を差さぬようにと空気を読んでいたがさすがにゴジラが来るとそれどころではないと飛んできた。

 

「さっきも言ったけど、あれはゴジラだよ社長」

「でもゴジラって確か1年以上前に駆除されたって――」

「いや、その子が言う通り。あれはゴジラで間違いないよ。あの時アビドスの1年生だった私が保証する」

 

 ゴジラと白蛇の戦いから目をそらさずに、ホシノは肯定する。

 

 あぁ、なんと荒ぶる神の化身の荒々しきことか。グロッキー状態の白蛇相手に容赦なく踏みつけとパンチ連打で追い打ちするその姿のなんと雄々しきことか。

 

「明らかに、動きも姿も前とは違うように見えるけど?」

「それでもあれは、あの時のゴジラ本人だよ」

 

『GURYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!』

 

 ビナーの装甲が一口で食い破られる。ひるむビナー、そして再びのパンチ。

 

「あんなに大きいのになんて機敏」

「恐ろしい、ですね……」

「うへ、それで先生。どうしよっか?」

”……ゴジラがあの白い蛇と戦ってるうちに離れよう”

 

 気のせいじゃなければ、ゴジラは生徒達を……特にアビドスの皆を守るような動きをしているように”先生は感じていた”。事実、大量のミサイルは全て自分の体で受け、口からのビームは発射より前にパンチでの妨害を行っている。

 

 常に背を彼女等へと向けるその姿は、どこかヒーローのようにも見える*1

 

「それじゃあ皆、さっさと逃げるよ~」

「ん、了解」

「戦略的撤退ですね」

「私達も逃げるわよ!」

「くふふ、了解だよアルちゃん♪」

 

 

 


 

 

 

 俺のこの手が(放射能で)光って唸るッ!! お前を倒せと(青く)輝き叫ぶッ!! 

 

『食らえ白蛇ッ! 放射熱線パンチ!!』

 

 俺の右腕が白蛇の顔面にジャストミート!! 白蛇が大きくぶっ飛ぶ。さっきよりだいぶ慣れたな、1.6倍くらいの飛距離だ。この技、作中でも言われてたけど省エネで済むから助かるね。

 

 さて、周囲の人間の気配を探ってみれば、どうやら先生達は撤退を選んだようだ。正直滅茶苦茶助かる。

 

 極論別に巻き込んで殺してしまってもどうにでも出来るんだけど、因果律の操作とか概念への干渉はちょっと頭痛くなるからあんまりやりたくないんだよな。

 

 ただでさえ自分の存在のせいで相当歪んでるっぽいのを、百合園経由だったりで必死こいて根回しして何とかしてるんだからこれ以上負担増やしたくないんだよマジで。

 

 体の表面でそよ風(ミサイルの爆風)を感じつつ、白蛇を蹴り飛ばす。これ多分だけど妙に楽勝なのは表に出してるGMKゴジラの成分のせいか?

 

 薄々復活してから感じてたけど、ゴジラウルティマとか言う概念系をぶっ壊すゴジラの存在知っちまったせいか概念系の能力を得てるっぽいな俺。

 

 やっぱり過ぎたる力だよなぁ……

 

『っと、十分距離も出来たかね』

 

 気が付けば、MONARCHかどっかの車両に乗ったようで先生達は大分遠くに到達していた。先生達と別行動してた生徒達も……まぁ、巻き込む範囲には居ないな。

 

『とはいえ、コイツの外殻はマイゴジとかBloodbathの威力でもダメだったからな……どうしたもんかね』

 

 ぶっちゃけ、熱線をあと1発でも撃てば俺は休眠状態になる。そりゃそうだ、こちとら体内から粉微塵に爆散してて、最近ようやく再生したんだ。むしろ計2発の熱線と十数発のパンチ分のエネルギーがあった事を褒めて欲しいくらいだ。

 

 樹海とセルヴァム共、あと火山から結構な量集めてたと思ったけどまさかこんな秒で溶けてなくなるとは思わんかったなぁ。カイザーの連中また核攻撃してくれないかな。

 

 やっべ、話題が逸れたな。そんで、結局どうするか……うん、やっぱ口から体内にぶち込むのが一番良いや。しかし、2年前の様に無理矢理口をこじ開けて熱線を叩き込むのは芸が無い――

 

『ヨシ、良い事を思いついた』

 

 ちょうど良く、白蛇がビームのチャージを行っている。距離は500mちょっと……人間換算だと10mくらいだな。これならカッコイイ感じに行けるだろう。

 

『ラスト一発、ブチかましますか!』

 

 再び肩幅に足を開く。背鰭が青く光るのが自分でもよく分かる。映画見てた時はどうしてゴジラって放射熱線の直前に尻尾をうねらせるんだろうとか思ってたけど、自分がなってみて解った。なんか微妙に痒いんだよね。

 

 体内の温度が大きく上昇する。思わず笑みが零れる。喉元に感じるこの熱にはとうの昔に慣れてしまった。

 

 

 


 

 

 

「また、青い光が……」

 

 後輩の声を聞き、彼女は振り向く。

 

 後輩の言う通り数キロ先で白蛇と見合っているゴジラの背鰭が青く輝いている。彼女の知る光景と、今の光景が重なる。

 

「……あ」

 

 彼女は1年生だった頃にゴジラ駆除作戦に参加していた。故に、あの青い光が何かを知っている。あの青い光の直後に、何が起こるのかを知っている。

 

「あぁ、ああぁぁああああぁあ……!!」

 

 フラッシュバックするグチャグチャになった戦車や戦闘ヘリ。血を流し、倒れ伏す自身の先輩達に他学園の生徒達。そしてその直前に見たあの青い光。

 

「撃ちなさい!!」

「へ?」

「早く!! あの化け物を――ゴジラを撃ちなさい!!」

「は、はい!!」

 

 もはやその言葉に思考は介在して居なかった。ふとした時に意図せず熱いモノに触れてしまった人間が思わず「熱い!」と声を出してしまうのと同じで、一種の脊髄反射である。

 

 そんな彼女の事情なんて知るはずもない後輩達は、訓練によって洗練された動きで照準し、轟音と共に数発の砲弾を撃ち出してしまう。

 

 ゴジラの青い光が一層強く輝く。

 

 白蛇の口が大きく開かれる。

 

「う、撃っちゃった……」

 

 彼女の後輩の内1人がそう零した。その瞬間、白蛇の口から白の極光がゴジラへ向けて放たれる。

 

 極太の極光はあっという間にゴジラを飲み込み――

 

『GURYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!』

 

 ――否、ゴジラを飲み込んだかに見えた極光は放射状に分散されていく。分解されゆく極光の中心を、ゆっくりと放射熱線が突き進む。分散された極光がカイザーの基地であった廃墟を引き裂き、地面に深い亀裂を生みだす。

 

 白蛇の口から吐き出される極光の勢いが増す。それ以上に、ゴジラの口から吐き出される放射熱線の光が強くなる。拮抗する事すらなく、さらに速度を上げた放射熱線はあっという間に白蛇の口へと到達する。

 

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッッ!!!!』

 

 そしてさらに光を増した放射熱線が白蛇を貫通しその後頭部から突き抜け――

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!?!?』

 

 ゴジラへと飛来した砲弾が炸裂、それによって大きく上へと振り回され、空に浮かぶ巨大な雲ごと白蛇の頭を両断した。

 

 頭蓋をほぼ失った白蛇が地に倒れ伏せる。それに続くようにして、ゴジラも背中への衝撃が効いたのか地面へと倒れ伏す。巨大な物体である2体が勢い良く地面へと倒れたことにより、大量の砂が巻き上がる。対流する風によって蠢く巨大な2つの砂の塊は、まるで砂嵐の様だ。

 

「や、やったんですの……?」

「ちょッ、それフラグですわよ!!」

 

 しばらくして、彼女の後輩達が口を開く。

 

 いつぞやに見た気がするやり取り。しかし、あの時とは違い青い光も無ければ飛び上がるゴジラも居ない。

 

 見えるのは、ただ蠢く砂煙だけである。

 

「……ティーパーティーに報告を。ゴジラを再び駆除したと」

「へ? ……あ! わ、分かりました!」

 

 倒れ伏したゴジラを見て、彼女はようやく落ち着きを取り戻した。結果だけ見れば脅威的な巨大不明生物の駆除の再びの成功だ。間違いはなかったと彼女は考える。

 

「…………気のせい、でしょうか?」

「どうしたんですの?」

「あぁ、いえ……その、気のせいだとは思うのですが――」

 

 ――あの砂煙、なんだか赤くありませんこと?

 

 

 

『GRURURURURURURURURURUUUUUUUUUUUU……!!』

 

 

 

*1
巻き込まないようにはしているけど別に守ろうってわけじゃないぞ(本人談)




ゴジラ:復活して直ぐに1度”破局”をやらかしたバカ。表に出すゴジラの成分によって相性不利有利が出て来るようになった。

ビナー:本日の敗因。正面からゲロビを撃った。

彼女:優秀な砲兵。元は戦車兵だったが1年の時のトラウマで砲兵へと転科した。

後輩ズ:ゴジラに初弾命中させるくらい優秀な砲兵。

先生達:戦略的逃走。あまりにも正解。

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