透き通る世界には放射線が無いから寝る   作:キングサクシャ

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海上封鎖破断

██/██/██/11:30

 

 オデュッセイア海洋高等学校艦船群停泊地付近で海底地震を確認。

 

 

██/██/██/11:37

 

 同学園艦船群が震源付近へと急行。その際に艦載ソナーに巨大な影を確認の報告多数。

 

 

██/██/██/11:52

 

 同学園艦船群が震源から20kmの海面に巨大不明生物を発見。速力35ノット、背鰭のみを海面から出し移動していることを確認。

 

 

██/██/██/12:13

 

 巨大不明生物を同学園艦船群が包囲、速力が40ノットに上昇。

 

 同時刻、巨大不明生物の移動先が同学園の海藻養殖地であると判明。

 

 

██/██/██/12:17

 

 武装艦艇27隻による海上封鎖作戦が同学園生徒会により承認、同時に作戦開始。

 

 巨大不明生物の速力が55ノットに上昇。高速艦艇以外の包囲網に参加していた艦艇が脱落。

 

 

 


 

 

 

『あ~~~~! ウッゼ~~~~!!』

 

 悠々と海上を泳いでいたらいつの間にやら船に包囲されてました。どうもゴジラです。

 

 いやぁ、本能の赴くままに寝床から穴を掘ってたらなんか繋がったこの大海原。テンション上がって泳いでた矢先に包囲されたんだからマジですげぇ気分が悪い。

 

 何が嫌かってさ、俺が変に大きく動くとクソデケェ波を起こして周りの船を転覆させかねないのよな。

 

 俺ってばゴジラだけど、人を殺す覚悟とか全く出来てないからそう言うのは絶対にNOだ。故にイライラするけどゆっくり泳ぐしかない。

 

 いやまぁ、帰れば良いじゃんとか言われたらその通りなんだけども。なんか知らんが本能君がこっちに行けとうるさいのよ。俺の自我的にもこっちのほうに何か美味しそうな物がある気がしているので、しばらくこうして泳いでいるってワケだ。

 

 ただまぁね、うん。

 

『腹減ってるんだよこっちは。ったく、マジでイラつくぜ……』

 

 この世界、俺のエネルギーになる放射線がマジで無い。というか放射能がある物体が全然無い。

 

 お陰様で俺は常にガス欠。地中で穴を掘る事にも苦労する始末だ。

 

 だからどんなに小さなものでも放射線を摂取できるってなら、こうしてイライラを我慢しながら泳ぐことだって出来るワケだ。

 

 俺ってば偉い! 最強!! 怪獣王!!!!

 

 とはいえやっぱりウザいもんはウザいので早く本能が指し示す場所へと到達したいところだ。このままだと俺はジンオウガになってしまう。

 

『――あ?』

 

 そんなくだらないことを考えながら、ふと顔を海面に出して周囲を見渡した時だった。

 

 俺の真正面の遠い空の彼方で、数多の光が明滅していることに気が付いた。

 

『ふざけ――』

 

 そんな俺の言葉は向かってきたミサイルの着弾音と包囲していた船からの砲撃の音で掻き消された。

 

 

 


 

 

 

 大量の火薬によって引き起こされた轟音と爆炎によって、悠々と海上を泳いでいた化け物の体が包まれる。

 

「やったか!?」

「先輩それフラグです!!」

 

 この量の火薬が同時に直撃したのだ、まさか耐えられる生物はいないだろうという希望的観測の元とある生徒がそう叫んだのは仕方が無い事だろう。

 

 当然、化け物(ゴジラ)がこの程度で死ぬ訳が無いのだが。

 

『GOGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!』

「嘘だろ!?」

「ほらもう先輩がフラグ立てるから!!」

 

 爆炎の中から水柱が上がり、そしてそれら全てを掻き分けてついに化け物が海中から飛び出した。その神秘的にすら思える全貌を見て、思わず足を止めた生徒達が居た。

 

「ご、ゴジラザウルス……!?」

 

 昔なにかの図鑑か本で見た大昔に絶滅した生物の名前を呟く生徒がいた。

 

「取舵90! 艦首をあの化け物に向けろ!!」

 

 これから起こりうる事態に対しての抵抗として指示を出す生徒がいた。

 

「主砲斉射!! ヤツに何もさせるんじゃないわよ!!」

 

 火薬で押し切ろうと引き金を引く者がいた。

 

 誰もが良い判断をした。誰もが優秀であった。

 

 しかし、その程度を押し切るが故に化け物(怪獣王)なのだ。

 

 100mもの大きさと80000tを越える質量の着水により引き起こされた大波は、周囲の船を大きく揺らしそのほとんどを転覆させた。

 

「ッありったけをぶち込め!!」

「イエスマムッ!!」

 

 運よく転覆しなかった船や波に対して船体を立てていた船達が、着水した化け物への反撃を行う。それに合わせてかミサイル攻撃の第2波が発射されたことを知らせる通信が彼女達の耳に入った。

 

『GURURURURURURURURURURURURURURU……ッ!!』

 

 しかし2射目を許す程、王は寛大ではない。

 

 化け物が海の中へ消えたかと思えば、海面が青く光り輝き始める。

 

「なに、この光……」

 

 救助船に引き上げられた生徒達が。

 

「全員警戒しろ!!」

 

 無事だった船に乗っていた生徒達が。

 

「なんか青くて綺麗だな」

「絶対に言ってる場合じゃないわよ!?」

 

 周囲に居た全ての生徒達がその光を見て騒然とする。

 

 大海原が荒れる音と生徒達の声の中で、どこか機械的な音がゆっくりとボルテージを上げていく。それに呼応して海面から溢れる青い光も強さを増していく。

 

 音と光が最高潮に達した瞬間、海面から姿を現した化け物が大きく息を吸い込むような姿を見せた。その凶悪な背鰭は青く光り輝いている。

 

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!』

 

 咆哮するかのように開かれた口から青い光が一直線に放たれた。放たれた青い光は空を両断し迫り来るミサイル群を全て撃墜。ついでと言わんばかりに高空に浮かんでいた雲を両断した。

 

『GUUUUUUUUUUUUUUUUU……ッ!!!!』

 

 そうして自身への脅威を粗方排除した化け物は周囲の船が逃げ出したのを確認してから、悠々と海上をまた同じ方角へと泳ぎ始めた。

 

 

 


 

 

 

██/██/██/12:17

 

 海上封鎖艦船群によるミサイル攻撃第1波発射。

 

 

██/██/██/12:24

 

 包囲艦船群による攻撃を開始。

 

 同時刻、ミサイル第1波着弾。

 

 

██/██/██/12:26

 

 包囲艦船群が巨大不明生物の起こした大波により壊滅。

 

 

██/██/██/12:28

 

 海上封鎖艦船群によるミサイル攻撃第2波発射。

 

 

██/██/██/12:29

 

 巨大不明生物の攻撃によりミサイル第2波が全撃墜。

 

 これ以上の被害を恐れた生徒会により全艦船への撤退命令。

 

 

██/██/██/12:40

 

 巨大不明生物が海藻養殖地に到達。

 

 

██/██/██/13:13

 

 巨大不明生物が海藻養殖地から離脱。

 

 

██/██/██/13:34

 

 巨大不明生物が深海へと潜航。

 

 以降巨大不明生物は行方不明。




主人公:ゴジラボディの本能に勝てない雑魚自我。それでも遥か先でミサイルを撃っていた船を放射熱線で狙わない程度には制御できていた。今回の目的は昆布。

オデュッセイア海洋高等学校:マジでただの被害者。今回の一件を連邦生徒会へと報告した。ケガ人こそ出たが死者は居なかった。

本編への関わり

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