『青春にいちゃいけないやつがいる』   作:上条@そぉい!

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新しいマウスとキーボード買いました。安物とはえらい違いで感動しました。


『初めての休日』

 天道、ここにあり!どうも、好きな武器は雷斬刀。クロウです。重い体を引き摺ってようやく離脱できた。いやー、笑えないくらい強かった。死にかけた。もう二度とやりたくない。でも後でこんな戦闘が何度かあるんじゃないか、と予想しているので今から憂鬱。

 気分を変えるためにも、私は今カイザーの本社へ足を運んでいる。まあ言い訳として考えた理由ではあるけど、こう派手にやればカイザーの耳にも入る。だから前もって先に報告しておこうと思ってねー。これからの動きも打ち合わせしておきたかったし?


 

「それで、使えるのか?」

 

 ソファに背中を預け、トントンと額を指で叩く。黒で統一された服装には威厳が宿り、見る者にその身分の高さを知らしめるだろう。

 

『はっきり言って無理だろう。自爆がしたいなら話は別だが』

 

 机に置かれたコーヒーに手をつけることなく2人の会話は進む。相対するのはカイザーコーポレーションのプレジデントその人だ。

 そこに親密さはなく、あくまでビジネスとしての会話があった。

 

「アビドス砂漠での発掘調査もまだ進展がない。ここらで外部顧問としての提案が聞きたいな」

 

 カイザーとて無能を雇う余裕などないのだから、と冷たく言い含めるもクロウの顔に変化はない。

 

『……一つ考えがある。エデン条約を知っているか?』

 

 その言葉に、ピタッと額を叩く指が止まる。

 

「ゲヘナとトリニティの条約か、我々には関係がないと思っていたが?」

 

『だが口を挟める余地がある。ゲヘナもトリニティも、このキヴォトスにおいては有数の大規模な学園だ。そこに影響力を持てるのは悪い手ではないだろう?』

 

「続けろ」

 

 本格的に興味を引いたようだ。続きを促す。こちらを見る視線には「フカシだったらどうなるか分かってんだろうな」みたいなものがあるが、その程度私にとってそよ風より軽い。

 

『少々内情から説明が必要になるが……ゲヘナとトリニティは犬猿の仲だ。正直なところ条約が成立する可能性は低い。しかし』

 

 ゲヘナもトリニティも、内ゲバが酷いという弱点が存在する。トリニティはアリウスという火種を抱えているし、ゲヘナは風紀委員会と万魔殿には軋轢がある。まあ独りよがりな敵視ではあるんだが。

 

『そこで私が目をつけたのはゲヘナだ』

 

 風紀委員会の力を削ぎたい万魔殿に擦り寄りにかかる。空崎ヒナを目の敵にしているあのリーダーなら、提案を飲むだろう。どうせアリウスと共謀してエデン条約をぶっ壊すつもりだしな。ダメ押し、とばかりにこちらと手を組む可能性は大いにある。

 

「……内情には少々興味があるが、そう上手くいくとは思えん」

 

『交渉は私に任せてもらおう、どうせ雇われの身だ。何かあればそちらは私を切ればノーダメージ。成功すれば悪くても影響力は持てる、完璧に上手くいくなら……連邦生徒会もおいそれと手を出せない区域を手にできる。そちらにとって悪い話ではないはずだが?』

 

 まあ私も本命はアリウス自治区だからな。混乱を起こせば必ずアリウスは動く。そうすれば自ずと自治区を特定し、侵入する事はできる。

 

「良いだろう」

 

 一言。確かに同意を引き出せた。その内ではすでに損得勘定が始まってるのだろう。

 

『私からの話は以上だ。交渉結果は追って連絡しよう』

 

 話は終わった。私はさっさとここから出ていこう。カイザーにいると視線が鬱陶しい。主に黒服からの。

 

「あぁ、言わなければならない事があった」

 

 部屋を出る扉にかけた手が止まる。まだ何かあるのか。

 

「良い加減有給を消化してくれ、外部顧問とはいえ上の立場であるお前が使わないと下に示しがつかんのでな」

 

 は?


 燦々と輝く太陽、建物に反射して肌を突き刺す日差しと熱さが既にしんどい。私は今、ミレニアムに来ています。

 カイザー、ブラック企業の癖に福利厚生しっかりしてんのどう言う事だよ!有給とかあったの初めて知ったよ!それを知った私はキヴォトスに生まれてから初めてと言って良いほど途方に暮れている。

 えぇ……どうしよ。私休みとか何すれば良いのか全くわからんよ?

 

 考えても仕方ないので、私は菓子折を持ってミレニアムのセミナーへ訪問している。

 ほら、一応理由はあったし、向こうもエリドゥの事は公表できないみたいであの事件は公になっていない。だから私もお咎めはない、だが敵対しませんよという意思は見せるに越した事はない。

 既に連絡は通した。後は向こうから迎えが来るらしいので待っていた訳だ。休み判定になるのかなこれ……

 

「お待たせしました」

 

 休みとは何か、という哲学的思考に嵌っていたら横から声を掛けられた。

 

『む、迎えが来たか』

 

 そこにいたのは、お淑やかさに溢れた少女。生塩ノアだった。てっきり重二脚の計算狂いが来ると思っていた。これは意外な人選。理由は……なんだろうか、思いつかない。

 

『まあ……こちらにも事情があったとは言え、口を挟んで事態をややこしくした経緯がある。これはその謝罪だ。受け取って欲しい』

 

 菓子折に入れたのはとある漁村で取れた貝だ。川や池とかあっても海は遠いからなキヴォトスは。海産物は喜ばれるはず。……別に深い意味はないよ?ほんとに。

 

「はぁ……受け取りますけど」

 

 あっちは拍子抜け、と言った様子だった。まだ何かやるつもりなのか、と身構えていたところに素直な謝罪が来て驚いたのか。

 ここはあれか、世間話でもしておくべきか。

 

『それと聞いてみたい事があった』

 

「聞いてみたい事……ですか?」

 

『休みとは一体どうすればいいのだ?』

 

「……はい?」




クロウ
マジで休みって何をすればいいのかわからない。

カイザー
いざとなれば切り捨てればいいか……って考えている。
クロウも同じこと考えているので仲間意識はない。

生塩ノア
あれだけの戦闘ができるやつがわざわざアポ取ってきた。怖い。まだC&Cは本調子じゃないし……
アリスは和解できたしこれ以上口出しさせない、と覚悟を決めてたら拍子抜けした。
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