『青春にいちゃいけないやつがいる』   作:上条@そぉい!

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『やる事が……やる事が多い……!』

 ウェイ! 好きな動物はDEX1のビーバー!どうもクロウ……もといリアルです。万魔殿との取引は無事に終わって一安心。ここからバリバリ動かなくてはならないので少し忙しい。その最中に先生に出会ってしまったのは焦ったけど、私の事はバレなかったのでセーフ。

 次に向かわなくてはならないのが──風紀委員会だね。ちょーっと仕込みが必要なので、顔合わせるついでに済ませようと思ったんだ。

 

 前もってトリニティから取り寄せたお菓子をもってきてるんだ。これお土産に少し話そうと思って。そろそろ私の本領発揮、するよ?戦闘で魔術しか使ってこなかった私だけど、その本懐は戦闘ではなくむしろこういった探索系……要は戦闘以外で発揮されるんだ。

 そうだね、例えば……今使おうとお菓子の中に仕込んだものとか。あまり有名じゃないと思うけど、『ファンの醸造酒』って知ってるかな?有名なところだと『黄金の蜂蜜酒』とかあるんだけど、これもその類だと思っていい。

 これの元は『私達』由来ではないけど、製法自体は割と知られてるんだよ?効果は……わかってからのお楽しみ、にしておいて。

 ただ、これには明確な弱点が一つあって、効果が出るのが個人差がある上、大体遅いってところなんだよねー。だからこうして早めに動く必要があるんだ。

 

「どうもー、万魔殿から連絡ありました?」

 

 風紀委員会の建物に到着したら、入口に立つ警備役の生徒に話しかける。うん、凄く警戒されてるね。

 

「何の事だ?何処の生徒だ」

 

 ゲヘナの制服じゃないからだろう、見るからに嫌な目を向けてくる。今はトリニティとのデリケートな時期だからかな?警戒心が強い様に見える。

 

「生徒……ではないんだけど、カイザーコーポレーションの使者だよ。既に万魔殿には話を通したんだけど、一応こちらにも顔合わせしておこうと思って」

 

「なに?カイザーだと?」

 

 怪訝な顔をしているが、もしも本当だった時どうなるか予想がつかず悩んだ末に。

 

「……少し待ってろ、確認してくる」

 

「はーい」

 

 もちろん待ちますとも。ニコニコと私は笑いながらその場で待った。数分経った頃、ようやく戻ってきた生徒は、理解できない、といった様子で仕方なさげに言った。

 

「中で行政官が待ってる、いけ」

 

「はーい」

 

 そのまま通させてくれたので、建物に入ってすぐの所にあった重厚な、木の香りが漂う扉を開ける。

 待っていたのは──

 

「初めまして、風紀委員会行政官。天雨アコと申します」

 

 勝ち気そうな瞳と、風紀を一番乱してるのキミじゃない?って言いたくなる服装の少女。天雨アコだった。

 

「初めましてー、カイザーの使者、リアルだよ」

 

 もしかしたら空崎ヒナが出てくるかと思ったけど……こっちの方が好都合かな?彼女は現場で忙しいんだろうね。最近物騒な事増えたらしいし?

 

「ええ、()()()()()()()()?こちらも随分とお世話になりましたから」

 

 にっこり、と口の端を上げながらアコがこちらをジロリと見る。うーん?歓迎されてないなぁ。何かしたっけ?アビドスの件かな?うーん、でもこのゴッサムシティ同然の都市で建前だけでもキッチリやるカイザーはまだ優良なんじゃないか、って気もするけどね。

 

「あはは、嬉しいね。企業として社会貢献出来てるって事かな?あ、これお土産です。トリニティの有名なお菓子、良かったら皆で食べて」

 

 お菓子の入った紙袋を渡す。その言葉を聞いてトゲトゲした気配が少し和らぐのを感じる。トリニティのお菓子は有名だからねー。ゲヘナ生徒は欲しくても多分買いに行くのは難しいだろうし。

 

「ご丁寧にどうも……コホン、お互い時間があるわけでもありませんし、本題から言ってもらえます?」

 

 喜色を僅かに覗かせるアコは誤魔化すように咳払いをして話を促す。

 

「それもそうだね……単刀直入に言うと、風紀委員会が請け負ってる治安維持活動、こちらも何割か請け負うことになったんだ」

 

「それはまた……どう言う風の吹き回しです?万魔殿がそんな事言い出すなんて」

 

 あ、全然信じてない顔だ。知ってた事だけどほんとに碌なことしてないんだな万魔殿。

 

「ほら、最近エデン条約で風紀委員会は忙しいでしょ?その分を他で補おうって話らしいよ。こっちもゲヘナに新たな販路を持てるならアリって事で割とノリノリ」

 

「それ裏事情なのでは?言っちゃってますけど……ですが悪くない話ですね」

 

「まあ万魔殿が言ってることだしもう確定事項だとは思うんだけど、これから連携とかしていくだろうから顔合わせはしておこうと思ってね」

 

「……まあ、あそこは一度言い出したら聞かないところはありますからね」

 

 そう言って眉間を片手で揉む仕草のアコの口から深いため息が。苦労してそう。

 

「分かりました、委員長に話は通しておきます」

 

「うん、ありがとね。急な話だったのに」

 

「ここで駄々捏ねても変わらないでしょう?それなら少しでも楽になる方向を探した方が健全と言うだけですよ」

 

 話は終わった。これでわたしもやれる事はやったかなー?後はエデン条約が結ばれる集まり後かな。先生が邪魔だから……一度寝てもらって、そこからはスピード勝負。これからのやる事の大変さを想像して苦い顔になった。




リアル
ここから忙しくなる。まるでRTAプレイヤーみたいなチャートの濃さに少し鬱。柔軟な思考を持って臨機応変に対応する事になる

天雨アコ
少し話がうますぎるかな、と思っているが実際楽になる事でヒナ委員長の負担が減るのは確かなので助かると考えている。どうせマコトが言い出したら止まらんしな!

ファンの醸造酒
まだ内緒。わかる人にはわかるかも。
ヒントは……別天神(他作品ネタ)
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