『青春にいちゃいけないやつがいる』   作:上条@そぉい!

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誤字報告ありがとうございます。自分でも見直してますがやはり抜けがあるので、いつも助かります。


『兵器開発?趣味です』

 ギャバン!どうも、ラーメン食べる時は汁をある程度しか飲まない派。クロウです。カイザーと提携を組もう、と提案してきて相手の承諾も得たので早速何か作ろうと考えていたのだが、何故かカイザー側は私を外部顧問という形で雇いたいと言ってきた。何故そうなったのか。私が逆の立場なら誰とも知れない馬の骨相手にここまでの待遇はしない。つまり、信用を得られたという事かな?だとしたらラッキーだ。

 そんなカイザー側からの要求があり、今私はあるものを作っている。要望は、砂漠地帯を牛耳る機械の怪物相手にできる兵器。との事。どのくらいを想定すればいいか、等の詳しい指定もないので私の趣味で作らせてもらう。

 砂漠の機械と言えばアイツしかいないだろう。デカクラマトンだかの使徒、ビナー。神の存在証明なんて今時流行りもしない議題に全力投球なポンコツAI達の1人だ。神を知るだけに、その行為は滑稽にしか映らない。何処ぞの惰眠を貪るぐーたら(白痴の神)とか知ったらどうなる事やら。

 

 しかし、兵器か。世間一般で兵器と言えば一発逆転、新機能盛り盛りで最高にロックな物を想像するかもしれない。しかし、企業として兵器に望むものは頑丈さ、なおかつ手間を必要としない整備のしやすさが求められる。複雑な部品ばかりで整備性が劣悪等と整備士に言われるようでは笑われてしまう。

 なおかつどこにでも使える汎用性も必要不可欠。専用機と言えば聞こえはいいが、いざ出してみたらピーキーすぎて運用できません、なんてのは愚の骨頂。

 あらゆる地形を突破する柔軟な足回りに、あの巨体を持つビナーと正面から戦える兵器。それが私が目指すべきと定めたものだ。できるだけ部品数を減らしシンプルを突き詰めよう。

 そこまで考えた私の頭にはある兵器が思いついた。なるほど、少しテコ入れは必要だろうが『あれ』の再現ならいい感じになるだろう。

 そこからは休む事なくカイザーが提供した工廠に閉じ籠り兵器を完成させた。やろうと思えば私1人で何人もの作業を同時にできる。だが怪しまれても困るので周りの開発担当の人員達にも手伝ってもらった。

 これから試運転などテストを重ねて正式採用となる為まだ完璧とは言い難いが、やはり力ある企業は違うと実感した。私1人では手に入らない素材や機材もある、お陰で作りたいものができた。

 

──あとは……この煩わしい視線の主だけ。

 

 完成した機体の前で佇む私をねっとりと体を包む様な視線をこの工厰に来てからずっと感じていた。だからワザと人払いをしてこうして待っている。そうすれば、わざとらしい足音が後ろから聞こえた。

 


 

 最初耳にした時は、興味をそそられるものではなかった。確かに見せられた装備の質はとても高く、今までよりも高い技術で作られたものではあった。しかし『無名の司祭』の遺産には見劣りしてしまう。

 だから、その話を聞いた時はとても驚いた。とても慌てた、というより怯えたカイザーPMCの理事長が訪れ、その身にあった事を身振り手振りで伝えてきたのだ。

 

「ククク……少し興味がありますね」

 

 小綺麗で仕立てのいいスーツを着こなし、優雅にオフィスティアに身を沈める男の名は『黒服』

 彼は隠しカメラを通じてその対象を観察し続けた。その興味は肥大化していき、とうとう接触したくなった。人のいない時を狙って、初めて対面を果たす。

 

『待っていた』

 

 少女は振り返る事なく背中越しにこちらに声を投げかけた。その声に眉をひそめた。というのも、少女の声は肉声ではなく、機械音声だったからだ

 

「気づいてましたか」

 

 体ごとこちらに向き直る少女と目が合う。その瞳は、油断すれば此方が呑み込まれてしまうような底無しの沼のようで、彼はククク、と笑いをこぼしながらも背筋に冷たいものを感じていた。

 

 (なるほど、理事長程度ではああなるのも納得ですね)

 

 こうして対面してようやく彼は理解できた。これは『神秘』ではない。こちらを呑み込まんとするこの圧力は『恐怖』だ。目の前の少女、いや怪物は神秘と恐怖。矛盾する二つが同時に存在する、これまでの事例とは一線を画する存在だった。誰が言ったか『理性外の怪物』とはよく言ったものだ。

 

『機械越しですまない』

 

 こちらの様子を見て察した少女は表情の変わらない顔でそう言った。

 

「いえ、突然来たのはこちらですので……もしや声が?」

 

 聞いた話では喋っていたようだったが、何らかの理由で喋られないのか?あぁ、楽しい。今自分は『崇高』に至る為の階段を登っているとハッキリ分かる。会話の節々に伝わる『恐怖』!これほど肌で感じるのは初めてだ。

 

『感情が揺れると声が崩れる。こっちの方が都合がいい』

 

 そう言って少女は首につけられたチョーカーを指差す。なるほど、あれを介して会話していると。

 

『そちらは何の用で?』

 

 ……あぁ、なるほど。最初から感じていた違和感の理由が今、ようやく理解できた。少女は整っている。10人中10人が美人だと言うであろう顔。黄金比のように完成された体つき。これは整っている。整いすぎている。まるで人形のようだ。

 

「いえ、既にこうして顔を合わせてこちらの目的は達しています」

 

 どの程度なのかを見極める為こうして足を運んだが、収穫はこれまでの『実験』を遥かに凌駕するものだった。これ以上を望むことはできない。数々の『神秘』に触れてきた彼の経験則は、今自分が踏んでいるのは深淵に続く縁だと告げている。これ以上踏み込めばどうなるか。……考えたくもない。

 

『そうか。実はこちらも貴方に用があった』

 

「ふむ」

 

『アリウス自治区への行き方を教えて欲しい』

 

 アリウス?確かベアトリーチェの領域だった筈。しかし。

 

「あの領域は特殊でしてね、我々もおいそれと行くことができない領域です。マエストロあたりならわかるかもしれませんが」

 

『そう』

 

 端的に返事する少女に落胆した様子はない。ある程度答えを想定していたのだろう。

 

「ククク……ですが貴女とマエストロは気が合うと思いますよ。この『作品』はマエストロと通じるものがありますから」

 

 少女の背後に佇む兵器に視線を向ける。機械でありながら何処か『神秘』を感じさせる兵器。ヘイローを破壊する爆弾にも似た雰囲気を感じる。

 

『少し興味はある。だけど今はいい』

 

「そうですか。これは私の連絡先です、何かあればいつでもどうぞ。貴女ならゲマトリアに入るのも歓迎しますよ」

 

 連絡先が書かれたメモを手渡し、踵を返す。少女は返事することなく、姿が見えなくなるまでこちらを見つめていた。




クロウ
与えられた環境をウキウキで満喫してロマン兵器を開発した化け物。ホントはコジマとかコーラルも組み込みたかったと残念そうに後に語った。

ゲマトリアの顔にして先生大好き勢の第一人者こと黒服
神話技能ロールは失敗したものの、目星アイデアは成功してる人。でもこいつなら理解しても発狂はしないんじゃないかな……

名前の挙がったマネキンことマエストロ
会ったこともないし相手はまだ認知すらしてない。ただクロウの作った『作品』を見たら何処ぞの海原雄山みたいになる。

カイザーPMC
下手に刺激したらどうなるかわかったものじゃないから、気分よくいてもらう為に特別待遇。とにかく大人しくしてもらいたくて、ビナー対策兵器を依頼したらトンデモ兵器ができた。目が飛び出た。
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