『青春にいちゃいけないやつがいる』   作:上条@そぉい!

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戦闘描写難しすぎる。世の物書きはどうやって書いてるんですか……
今回も独自設定しか生えてきません。


『少女よ神話になれ』

 喜べ、絶滅タイムだ。どうも、好きな必殺技は超究武神覇斬ver.5。クロウです。私が今どこにいるか分かるかな?当ててみな、ハワイに招待してやるぜ、なんてカッコよく言えたら良かったが生憎ここには相手がいない。

 ここは隠された都市、エリドゥ。ミレニアムガクエン……もといミレニアムサイエンススクール

 聳え立つビル群の一つ、その屋上から私は下界を見下ろしていた。視線の先では既に、セミナー会長の調月リオが開発した『無名の司祭』の技術を応用した兵器、アビ・エシェフが先生率いる生徒と戦闘していた。

 

『なるほど』

 

 手伝う気はない。あれを単独で相手にするとなれば消耗は避けられない。今は僅かな消耗も抑える必要があった。だが、こうして観察する事でアビ・エシェフの性能もわかってきた。あれは電力を神秘に変換し、その神秘を機械の演算と合わせて使う事で効率化している。外付けの神秘貯蔵庫といったものか。演算による予測はまるで未来予知の域だ。

 私がそんな事するならゼロ・システムでも作るんだけどなー。問題は作っても使いこなせる奴がこの世界にいるのかって所か。エレガントな閣下級の人いるのかこの世界?

 っと、話が逸れた。そろそろ決着が着きそうだ。私も所定の位置に移ろう。作戦……というには雑だけどね。


 

 C&Cメンバーやゲーム開発部にエンジニア部。生徒達の協力で遂にリオと直接対面することが出来た。

 リオの主張は依然として一択。例え『アリス』という個人を殺す事になったとしてもそれで世界を救うのだと。トロッコ問題で言えば1人を犠牲に5人を助ける選択肢を取る、と。

 だが、それに反論するのはゲーム開発部だ。アリスは世界を滅ぼす魔王にはならない、と。

 お互いの主張は平行線。やはり戦って主張を通すしかないのかと思われたその時。再び、『王女』が目覚めたのだ。

 目覚めたと同時に、エリドゥの全機能を掌握した。それが何を招くのか、火を見るよりも明らかだった。このままでは、『王女』は作られた目的通りに動き、全てを飲み込むだろう。ありえた世界線の何処かであったように。

 

『初めまして、とこういう時言えばいいのか』

 

 違う方向から声が聞こえて、その場にいる全員の視線が集中する。見えたのは深淵。その場に佇むだけで今己が立つ足場が底無しの沼に変わったかのような生温い感覚。

 誰もが疑問に思っただろう。いつからそこに居たのかだとか。しかし、それを口にするのも憚られる程に、場を支配していたのは1人の少女だった。ギターケース片手に無表情で立つ少女の視線は、沢山のコードに接続されたまま椅子に座る『王女』に向けられたまま。その他の有象無象に向けるものは一切ない。

 

 だが、その事実に怒るより先に、安堵してしまう自分がいる事に生徒達は驚いた。あの視線を向けられただけで、自分の内をのたうち回る何かが決定的に崩壊してしまうと直感していた。

 

「貴女は……旧時代の遺物?何故ここに?」

 

 機械という割に表情豊かな『王女』は、理解できないと言った様子でそう言った。それもその筈。お互いの経歴を辿れば敵対関係、それも仇敵と言っていい。そんな者が何故ノコノコとこの場に現れたのか。

 

『いやなに、こちらにも事情があってな。少々付き合ってもらいたい。どうせ試運転はしたいんだろう?』

 

 無表情の顔に、初めて感情が見える。嘲笑、かつて支配する者とされる者であった関係のままだと勘違いしている奴を嘲笑ったのだ。

 

「……」

 

 返答はない。しかし、椅子から立ち上がりこちらに向き直った。もうひと押し、だろう。

 

『重い腰はまだ上がらないらしい。なら一つ提案をしよう』

 

 ピン、と人差し指を立てて、わざとらしく言った。

 

『もし私を一度でも殺せたなら無名の司祭の所在を教えよう』

 

 その瞬間、空気が変わった。より濃密に、より苛烈に。互いの間を埋める空間は互いの圧で歪む。

 

「……いいでしょう」

 

 確かな了承。しかし、クロウはその返答に対し何も言うことができなかった。瞬き一つの時間で、部屋の壁を突き抜け、ビル群をいくつも貫通しながら、縦回転で遥か遠くまで吹き飛ばされたからだ。

 

「チッ」

 

 機械を通さない生身の声でクロウは舌打ちを漏らす。体勢を戻し、ビルの壁に足で張り付きながら視線は前へ。

 再び飛来する不可視の力場をビッ、と指差せば自分を避けていくかのように逸れて近くのビルを派手に破壊していく。

 

──なるほど。キヴォトス式ではなくこちらの土俵でやるつもりか。

 

 雨のように飛んでくる力場を指揮者の振るう棒の如く指差し、それらを逸らしていく。

 クトゥルフにおける魔術は多岐に渡るが、その中で知名度の高いものを挙げるなら『手足の萎縮』やらがあるが、その中でもメジャーかつよく聞く魔術がある。その名を『ヨグソトースの拳』と言う。見えない力場を相手にぶつけるシンプルさ故に強い魔術だ。

 初撃でそれに吹き飛ばされた。けして軽くはないダメージが肉体に刻まれたがこれは想定内。

 

 こちらを狙い撃つように遥か遠くから雨のように飛んでくるそれを、崩れていくビル群の間を飛び移りながら回避していく。此方の動きを予期して偏差で放たれるものに対しては此方も魔術を放ち逸らしていく。その名は『被害を逸らす』。読んで字の如く、指定した攻撃を逸らす魔術だ。相手の攻撃の威力に応じて失う魔力の量も増える為、多用できないものだが──

 

「ッ!?aシを──」

 

 再び跳躍しようとした所で、足を無機物であるビルのコンクリートに喰われた。

 ガラガラと、エリドゥの形が変わっていく。引力に引き寄せられ一箇所に集まっていくビルだった瓦礫。

 赤く光る目が見据える。宙に浮き、此方を逃さない。再び飛んでくるヨグ拳を逸ら──

 

「ぐぅ!?」

 

 此方の予想を上回る速度で飛来し、逸らす暇もなく直撃。地面へとイソギンチャクの如く垂直に足を空に突き出す形で刺さった。

 それを油断なく見つめる『王女』の目は相手の正体を看破していた。

 

 あれは1人ではない。今個人のように見えている少女の姿は仮のモノ。その本質は群体で成立する生命体である、と。

 

 捕捉しているだけであの少女の中で蠢く命の数は6兆5312万4710匹。その『総体』として少女の姿を形取る人格が作られている。果てしない数を殺し切るのは『無名の司祭』の最高傑作たる『王女』いや、その鍵となる『key』にとっても難しい。

 

 突き刺さった頭を引き抜き頭上に浮かぶ『王女』を仰ぎ見る。化け物もまた同じように相手の仕組みを看破している。

 

──アトラハシース、どんなものかと思えば……

 

 今このエリドゥを支配している『王女』のアトラハシースとは物質の掌握だけに留まらない。本編では物質の分解及び再構築といった事をしていたが、その本質は物質の変換だ。あらゆるものを神秘に変換し行使できる。この世の全ての物質を神秘及び魔力に出来るのだから、なるほど世界の破滅というのも頷ける。一度そうなればもはや阻止できるものはいない。今私が立つこの場所は彼女にとって掌の上に等しい。

 相手の消耗を期待することはできない。相手の魔力量は実質無限のようなもの。

 

 だがやりようはある。再び飛んでくる不可視の一撃を跳躍して避ける。そのままビルの窓ガラスに張り付く。

 

「食事ノジkaンだ!」

 

 ギターケースを足元に叩きつければガタガタと揺れ出す。早く出せと言うかの如く。

 何をするかわからないままに『王女』はそれを阻止しようと間髪入れず物質を再構成。巨大な柱となったものを雨のようにこちらを降らせてくる。ガラスが吹き飛びキラキラと反射する中を落下していく化け物を更に追撃。ギターケースはどこかへ行ってしまったが、それを気にする暇もない。

 

「蟇セ遲悶@縺ヲ縺阪◆縺ェ?」

 

 確かに私を殺すのは至難かもしれない。しかし方法は一つではない。例えば、巨大な質量で閉じ込められれば、そこから抜け出す手段を私もっていない。あの瓦礫を再構成し、私を閉じ込める棺にする気か。

 

「縺?縺檎ァ√↓讒九▲縺ヲ縺ヲ蟷ウ豌励°?滓雰縺ッ遘√□縺代§繧?↑縺?◇」

 

 王女の支配する旋律の中で、雑音が混じる。突如として飛び掛かってきた大きな顎がその小さな身体に喰らい付いてきたのだ。

 

「666!繝翫う繧ケ繧オ繝昴?繝医□縲∽ス懊▲縺ヲ繧医°縺」縺溘h!」

 

 王女がよく見れば、先ほど落としたギターケースからびっくり箱の如く何かが出てきているではないか。

 濃すぎる神秘によって、その牙が届くことはなかったが、じわじわと溶かされていく自らの神秘を見て、その顎を鷲掴みにして握り潰す。

 

「こっチだ」

 

 その時を待っていた。一瞬、それだけの時間を化け物は欲しがっていた。ハッと視線を戻せば回収されたギターケースをゼロ距離で構えるクロウの姿があった。

互いの視線が絡み合う。瞬間、耳をつんざく大音響の爆音が鳴り響く。それは一つではなく数十、数百とも思えるほどの爆音と爆風が荒れ狂った。

 空中で発生した爆炎の中で、2人は反発する磁石のように吹き飛び地面へと着地した。

 

 服が破れ、そこから液体を流す王女の姿を見てクロウはほくそ笑む。

 

 ──本来は『暁のホルス』やそれに類似する強者対策として使うつもりだったが、効果あったな。

 

 先ほどギターケースから飛び出した顎は私の脳波を感知して自立支援する『猟犬』だ。モデルは言わずと知れたティンダロスの猟犬。濃すぎる神秘の膜を食い破り吸収する機能を備えている。出来た穴に直接ロケットランチャーでありったけの弾を撃ち込んだ。

 致命傷とはならなかったが、決して無視できないダメージは入った。これで状況は変わる。こちらのダメージも決して軽くはないが──

 

 その時、互いに出す結論は同じだった。長期戦をする余裕がないのなら……

 

──最高火力でもって一瞬で決着をつけるしかない。

 

 王女はエリドゥの全てを分解、リソースとする。その膨大な神秘、もとい魔力だけで空間が悲鳴をあげる。対する化け物は、地面に触れる。

 現れたのは魔法陣。効果は神の招来。現れる神の指定はない、どの神が現れようとキヴォトスの破滅は避けられない。

 本来詠唱に掛かる長い時間は、身体中に口を生み出し並列詠唱する事で短縮。だが、それだけでは足りない。危険な賭けになるが、更に手を加えた。

 

 そうして迎えた衝突は、キヴォトス全域を揺らす。旧時代の神話は、今ここに再演されたのだ。

 


 

 

 その衝突から、どれくらい時間が経ったか。数秒か、数十秒か、或いは数分か。勝者は1人。倒れ伏す敗者の前に立っていた。

 

「わtaシの勝ち、だ」

 

 勝者、クロウ。しかし、五体満足ではなかった。半身は吹き飛び、残る体も、肉体を維持できず、ぼたぼたとみっともなく液体が地面を汚した。

 

「オmaえの敗因は二つ。私の土俵でタタかっtaコト」

 

 クトゥルフの魔術を古くから知る私の方が有利だったこと。しかし、最後にした賭けが無ければそれでも負けていたのはこっちだろう。

 

「詠唱を途中で破棄しテいたな」

 

 ヨグソトースの拳を『逸らす』結果を見て、より速度を優先したのだろう。詠唱を破棄し、形を失った曖昧なエネルギーの塊をぶつけると言った手法だ。結果何もできずクリーンヒットしたわけだ。言うのは簡単だが、少しでもズレたら魔術として成立しない。コンマ以下の精度を要求されるものだ。機械という強みを活かした発想だろう。

 なので、私も真似させてもらった。最後に神の招来を使ったのは、なにも神を召喚する為じゃない。その過程で生まれるエネルギーこそ私の目的。至難の業だったが、なに。手本は散々見た。

 

「ソシて、目覚めるのが遅かった。soれが敗因だ」

 

 目覚めるのが早く、現代の世界に適応していた分、王女が知らず私が知るものがあった。王女の中にあった『私達』のデータが古かった。それが1番の敗因だ。

 

「だGa、魔術そのモノの腕は天晴れだ。『王女』いや、『AL-1S』。その名は一生忘れるコトはないダロう」

 

 私でも魔術の途中破棄から生まれるエネルギーの再利用なんて発想はなかった。その点で言えばより高度な運用をしていたのは向こうだろう。これほど死を間近に感じたのは久しぶりだった。




クロウ
マジで死にかけた。いうほど余裕なんてない。僅差で勝てた。
残機が山ほどあるけど、弱点もある。分厚い隙間もないコンクリの箱とかに閉じ込められると詰み。

中ですべてを見ていたアリス
自分の体に隠された秘密、keyによる大量破壊、モモイの死(死んでない)
天童アリスの心はもう。

key
自分の設計目的通り、脅威を排除しようとしただけ。相手に言い訳させたくなかったので相手の土俵に乗ってしまった。正直言えば質量でごり押ししてたら勝てた。

解説
『666』強襲形態、猟犬。
機械に自らの細胞を合わせて作られた半機械生命体。脳波に反応して
動き出す怪物。対神秘兵器。
元ネタは作中で言われた通り時空移動するやつ絶対殺すマンこと、ティンダロスの猟犬。あと箱の中で暴れたりするのはハリーポッターが元ネタ。ブラッジャーってやつです。
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