力尽きたのでおやすみなさい。
お気に入り登録、評価、ここすきしてくださった皆様本当にありがとうございます。
今後も中身はありませんが、がんばります。
「…ありえないわ」
部室に入って来て一言目、その少女は呻くように呟いた。
「ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて、あり得ない…!」
彼女は、端的に言って太ももだった。
という少年の邪な感想はさておき、その少女は至って真剣な顔をしている。
モモイが先程言っていた資格審査とやらに来たのだろう。
「残念だけど事実だよ!」
「ユウカ……」
「落ち着きなさいユウカ。セミナーの会計ならいつでも余裕ある態度を心がけないとでしょう?」
「サボりが見つかったんだから会長はもっと慌ててください!怒ってるんですよこれでも!」
「甘いわね、ユウカ。お説教を受ける準備なんてもう出来てるのに、何を慌てると言うの?」
「……会長。ノアを呼び出しても良いんですよ?」
「ごめんなさい私が悪かったわ。だから一言一句記憶して言い逃れを許さない彼女を呼ぶのはやめてちょうだい」
どうやらこのユウカという少女は苦労人らしい。
そして、ノアという少女の説教は怖いらしい。
近寄らんとこ、と少年は思った。
“これなに?”
そして、ゲーム開発部の行く末にさほど興味のない少年は、流れをガン無視してユウカの背中に吊り下げられた銃を指さして尋ねる。
この世界で初めて見る銃という武器に興味津々な少年は、最近銃にも種類があるということを学んだ
ユウカのそれは、モモイやミドリ、当たり前だがアリスのものとは見た目が違う。
「ああえっと、これは「これはものすごいプラスになるやつよ」会長?私怒ってるって言いましたよね?」
初対面の不躾な質問に答えようとしたユウカを遮り、会長が答える。
それに笑顔で威嚇するユウカとそれにしょぼんとするリオは、それなりに仲が良いらしい。
「………?」
怒涛の展開に、変人耐性のある少年と違って無垢なアリスはついていけないのか、ただぽかんと口を開けている。
「あなたがアリスちゃんね。ゲーム開発部に入った4人目のメンバー」
「そして私が幻の6人目のメンバーよ」
「………」
会長はいったん後回しにして、本来の目的を達成しようとするユウカは、そんなアリスをつぶさに観察しながら言った。
「ふーん、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど……私がこんなにかわいい子のことを知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね」
だが、そんな真面目なユウカの前にいるのは無表情なくせに無駄にはしゃぐ会長とゲームのような世界から来た少年、そしてゲーム脳のロボットだ。
まともな返しが来るわけがない。
「無視は悲しいわ」
“どんまい”
「ま、また妖怪が現れました…!今度は太もも妖怪です!」
「ふっ、私はセミナー妖怪四天王の中でも最弱…」
“おさのくせに?”
「有能な部下がいるとサボれて楽なのよね」
“あたまいい〜”
「今この子私のこと妖怪って言ったわよね!?あと会長はいい加減にしてください!」
「か、勘違いだよ!「妖精」って言ったのを聞き間違えたんでしょ、もう、アリスは嘘がつけないんだからぁー!もー!困っちゃうなぁー!褒め過ぎだよー!」
「くっ…悪役に慣れてるとは言え、まさか初めて会う子に妖怪扱いされるなんて…。いい度胸してるじゃない…!怒りと悲しみのついでにこの部活も因数分解してやるわ!」
「お、落ち着いて!生徒会が個人的な感情を挟んじゃダメでしょ!」
「ま、まぁまぁユウカ落ち着いてーほら、どうどう」
煽られて一瞬で噴火する先生とモモイがなんとかなだめ、ようやく本題に入る。
「と、とにかく部の規定人数は満たしたよ!これでゲーム開発部は存続ってことでオーケーだよね?」
「確かにそうね…この子が本当に、自分の意志でここに来た部員だったらの話だけど」
目が覚めたばかりで無知な美少女ロボットを誘拐した犯人の肩が思わず跳ねるのを、少年はシラけた目で見ていた。
「だからアリスちゃんには簡単な取り調べを行なうわ」
「せ、選択肢によってはバッドエンドになることもありますか…?」
「バッドエンド…まぁそういうこともあるかもね」
「安心しなさい、私たち生徒会はこの学園のすべての
ユウカの言葉に怯えたような様子を見せるアリスになのか、それとも固唾を飲んで見守る部員たちに向けてなのか、会長が微笑んだことで少し空気の柔らかさが戻る。
「ふぅ…それじゃあアリスちゃん。質問を始めるわ───」
◆
ユウカが誘拐を疑って小声で質問してモモイがツッコミを入れたり、部活に入ろうと思ったきっかけや、ゲーム開発で何を担当するかなど、本当に簡単な質問が重ねられた。
時折「気づいたらすでに部室に…」とか、「アリスの役目はタンク兼光属性アタッカー」とか、プログラマーは過労でぶっ倒れるが聖堂にお金を払えば蘇るとか、「ユウカはもしかして常識がないのですか…?もしかして英雄神話や聖槍伝説をご存じない?あの神ゲーを?」とか。
いろいろ危ない場面はあったが、アリスのゲームへの愛がユウカに伝わったことで部員としての資格審査は無事通過した。
とは言え成果を出さないといけなくなったので、一安心、とはいかなかったが。
「それで先生。電話でこの学園に入学させたい子がいるって言ってたのが、この子ですか?」
話としては一段落したので、当然のごとく話題は少年のことへと移った。
「うん、そうなんだ。この子わけありでね」
「わけあり…?」
“まいご。いえなし。おやもなし?あるのはぶきだけだぜいえー”
「…一大事じゃないですか!」
“べつに、むかしからだからもんだいない”
「…とまぁこんな感じでね。この子はたぶん、本気で保護者がなくても生きていけると思うよ。実力的にもね。でも、わかるだろう?この危うさ」
「それはまぁはい…というか普通に連邦生徒会案件では…?」
「まぁほら、今は彼女たちも大変だからね。学校に通ってもらいたいのもあるし、預けるのはちょっと。連絡だけはしてるよ」
本当のところは、少年がアリスのそばを離れたがらないからというものなのだが、先生的に詳しい事情をべらべら話してアリスやクロの進路を邪魔したくはなかった。
「私たちにも仕事はあるんですが…それに先生のお財布の管理とかもありますし…」
「あれからそんなに無駄使いはしてないからね!?」
「ほんとですか先生〜?」
“いちゃいちゃするならよそでやれや”
「イチャ…!?おほん、話はわかりました。でもなんでうちなんですか?」
少年の言葉に顔をわかりやすく赤らめるユウカに、少年は半眼になって先生を見やる。
こいつはどれだけ女生徒をたらしこんでいるのだろう。
「この子が見つかったのがこの学園近くの廃墟でね。できるならあまりこの土地から離したくないかなって」
考え込んでしまったユウカよりも先に、答えを出したのは会長だった。
「いいでしょう。この子は私が面倒を見ます」
「会長自らが!?」
「ええ。そのほうが合理的でしょう?私ははこの子の入学手続きと学生証の用意してくるわ。ユウカはこの子に、制服も見繕ってあげて」
テキパキと指示を出す姿はまさに生徒会長といった威厳がある。
先ほどまで無表情のままユウカを煽ったり、サボりを公言していた人物とは思えない。
「つまり、アリスはクロと一緒にいれるってことですか?」
“そういうことになった”
そういうことになった。
「とりあえず、私のことは母さんと呼びなさい。いいわね?」
“ふつうにいやだが…”
「あら、もう反抗期?楽しくなってきたわね」
こうしてごーすとは、名実ともに生徒になった。
この事実が、自分の生活にどう影響するのか。
あるいは特に関係ないのか。
全ては神のみぞ知るのかもしれなかった。
神がいるのなら、だが。
最後まで読んでくださってまことにありがとうございます。
永遠にくだらない会話だけは思いつくのであとから地の文を足すのが大変です。
誤字脱字、矛盾等ありましたらそれは仕事の疲れのせいです。
後日修正します。