勇者と王女のぶるーごーすと   作:ひつまぶし太郎

8 / 8

めざせお気に入り登録者数10人!どうせ息抜きだし誰の目にも止まらんやろ、なんて思っていたら評価バーに色がつき百人目前になっていました。
皆さん本当にありがとうございます。 

ただ、息抜きである関係上会話文多め妄想多め更新遅めなまま進行するので、どうか期待せずに暇つぶし程度にご利用ください。


ななわめ。

 

 

「……どうかした?」

 

“ん、なんでもない”

 

じぃーっ、と部屋の片隅の一点。

数あるモニターのうちの一つ、複数あるインカメのうちの一つを見つめる少年は、先生に声をかけられ目をそらす。

 

「なんかそうやって何もない空間見つめてたりするのを見ると、猫みたいだなって思うようになってきたよ」

 

“にゃー”

 

「ちょっと二人とも〜?話聞いてる?」

 

益体もない会話をする先生と少年の2人、そこにゲーム開発部を加えた6人組はとある部屋に集まっていた。

ここ最近、この6人での行動が多い。

少年たちはつい先日もちょっとした冒険をこなしていた。

といっても、廃墟にとんぼ返りして、データを持ち帰っただけなのだが。

 

───アイテムや装備を準備して。

 

“むふん”

 

『ちょ、なにそのでっかい武器!?』

 

『すごいすごーい!ちっちゃいクラウドみたい!』

 

“むん、そるじゃーくらすふぁーすと”

 

『?もしかしてアリスの光の剣をみて羨ましくなったんですか?』

 

“き、きょうみないね…”

 

『…あはは、ちなみにその武器なんて名前?』

 

“つめたいふみこみきりあげぐれそ・にせ”

 

『つめ…?ふみ…?なんて?』

 

『みんな、準備できたなら行こうか。指揮は任せて?』

 

“こっちのせりふだ”

 

『え、なにが?ていうかなにそのでかい剣。ガッツ?』

 

“じぇねぎゃ”

 

『今私のこと年寄り扱いした?』

 

“…べつに”

 

───連携して。

 

“おそい”

 

『うわぁ、相変わらずクロくんって素早いねぇ』

 

『う、うん…銃弾がかすりもしない…ね』

 

“やっぱとくだいもどきはきもちい。でもおもい”

 

『前より疲れてるね。当たり前だけど!』

 

『…クロ、バック!アリス、お願い!』

 

“くろばっと?”

 

『クロが著しくゲームに染まってる!』

 

『───光よ!』

 

───宝箱を見つけ。

 

『あのパソコンだけ付いてる?』

 

“ずっとつけっぱは…でんきだいのむだ”

 

『この身体が、反応しています』

 

『例えるならそう、チュートリアルがなくて進められるような…』

 

“しゅうかいぷれいやーみたいな?”

 

 

『あなたはAL-1Sですか?』

 

 

───宝を持ち帰った。

 

『緊急事態発生。電力限界に達しました。電源が落ちると同時に消失します。残り時間51秒』

 

“いがいとぽんこつ”

 

『…ぽんこつではありません』

 

『ええっ!?だ、ダメ!せめてG.Bibleのことを教えてからにして!』

 

『あなたが求めているのはG.Bibleですか?』

 

『G.Bibleが欲しいのであれば、提案します。データを転送するための保存媒体を接続してください』

 

『いきなり言われても急に保存媒体なんて…あ、ゲームガールズアドバンスSPのメモリーカードでも大丈夫?』

 

『…………………まぁ、可能、ではあります』

 

『な、なんだかすごく嫌がってる感じがするんだけど…気のせい?』

 

“ふまんなら、ごーすとのじーえすもある。にせだいまえの、けっさく”

 

『その古さは普通に無理です』

 

“なんだと?”

 

『ロートルに用はありません』

 

“むむむむ”

 

『転送開始……保存領域が不足、既存データを削除します。残り時間9秒』

 

『だ、ダメ!お願いだからセーブデータは残して!そこまで装備鍛えるノすごく大変だっ──』

 

『残念、削除』

 

“…しょうわる”

 

『ちょとおおおぉぉぉぉおお!?』

 

若干性格に問題のありそうなおまけも付いてきたが、とにかく目的のものは手に入れることができた。

だが、残念ながらその入手できたのは宝箱そのもので、目的のものであるお宝は未だ箱の中だ。

その箱を開けるための(パスワード)を求めて、一行はヴェリタスの部室に来ていた。

 

「依頼されてたデータについて結果が出たよ」

 

少年と先生の目線が自分の方に向いたのを確認してから、白衣の白髪の少女がもったいぶるように口を開く。

 

「い、いよいよ…!」

 

「ドキドキ…」

 

「単刀直入に言うね───モモイ、あなたのゲームのセーブデータを復活させるのは無理」

 

「NOOOOOOOOOO!」

 

“よしよし”

 

「そっちじゃないでしょ!G.Bibleのパスワードの解除はどうしたのさ!?」

 

「あ、そっちは無理だったよ」

 

「あっさり!」

 

「でも本物ではあったよ~」

 

「うう…それは良かったけど…」

 

崩れるモモイと、その頭を無言で撫でる少年。

さらにそこにツッコミを入れるミドリという若干本筋からそれ始めた会話に、赤い髪のお団子少女が混じってきて、さらにはメガネでヘッドホンをした少女が解説してくれる。

 

「パスワード…というより、中身を見るにはOptimus Mirror System…通称鏡って呼ばれるツールが必要なんです。その鏡は、つい先日までは我々の手にありました」

 

「その言い方するってことは…」

 

「ユウカに色々持ってかれちゃったんだよもうっ!」

 

「鏡だけじゃなく、他にも色々持ってかれちゃいましたね…私の盗聴器とか」

 

“じごうじとくでは?”

 

悔しがる3人に向かって、少年の白けた視線が突き刺さる。

だが、彼女たちはそんなもの気にしない。

そもそも部長が、『ハッキングして周りを混乱に陥れるなんて冤罪です!名誉毀損です!』なんていいながら、ハッキングして弁明するような、倫理観が技術に追いついていない自称天才『ミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーであり、「全知」の学位を持つ眉目秀麗な乙女であり、そしてミレニアムに咲く一輪の高嶺の花である「特異現象捜査部」部長』なのだ。

そこに連なる彼女たちに、一人を除いて倫理観を求めてもしょうがない。

 

「私はただ、先生のスマホのメッセージを確認したかっただけです。そのために『鏡』が必要で………」

 

「ちょ、先生って人種にもプライバシーあるからね!?」

 

“やはりはんざいしゃ…”

 

「不純な意図はなかったのですが」

 

“ふじゅんじゃないほうがこわい”

 

乙女の暴走と、純粋な好奇心の暴走だと後者のほうがなんとなく怖い。

理性的な分よりマッドな感じがする。

少年と先生は、まったく同じ表情同じ動きで後ずさった。

 

閑話休題(それはさておき)

 

聞けばこの鏡とやら、ヴェリタスの部長が作ったらしい。

全知だのなんだのはよくわからなかったが、とにかくすげーやべー人だと言うことはわかった。

そしてそんなすげーやべー先輩の開発したものを奪われた状態だと怒られてしまうと恐れる彼女らは、こうして遠回しにゲーム開発部に協力を申し出ているらしい。

ちらり、と改めて少年は先程とは別のカメラを盗み見る。

 

“いやいやまさか…”

 

「私たちも鏡が欲しい。あなたたちも鏡が欲しい。わかりやすいと思わない?」

 

ハレの言葉に、モモイは深く頷く。

ちなみに少年はアホが真面目な顔してるとなんか調子狂うな…などという失礼すぎることを考えていたが、無表情さも相まってそれに気づく人物はいなかった。

 

もちろん、その明るさと周りを引っ張っていく精神的な強さは認めるところではあるが、以前格ゲー十本勝負で鬼の反射神経と極まった技量というステータスのゴリ押しで完封してから、少年はモモイを舐めてる節があった。

ちなみにユズには負けた。

技量99という理論上人類最高峰の器用さを持つ少年を完封する最強のゲーマー。

少年の中でユズは神様に等しかった。

今なら狭間の地では真摯な祈りがよくわからなくて上手く使えなかった戦技:祈りの一撃も使いこなせる気さへしていた。

 

「なるほどね、呼び出された時点でなんかあるだろうと思ってたけど…」

 

「え、も、もしかして…」

 

“ん、せいとかいをおそう”

 

「ちょクロくんそんなわけな「そう!正解!」えええそうなの!?」

 

ミドリとは別の驚愕で先生は頭を抱え、少年とアリスはゲーム脳全開で目を輝かせる。

 

「うわぁ、クロがシロコの影響をモロに受けてる…」

 

「共にレイドバトルを始めるのであれば、私たちはパーティメンバーです。ワクワクします!」

 

“ぼすをたおせばあいてむにゅうしゅ。じょうしき”

 

「なるほど道理ですね!」

 

「そこ!ゲーム脳二人暴走しないで!」

 

「まぁまぁ、行き先は同じだし旅は道連れってね」

 

───犯罪計画が練られている一方その頃、ユウカはとある部活に依頼を出していた。

 

「ええ、よろしく頼むわ。しくじらないでね。これはあの方直々の命令よ」

 

正確には依頼を出すよう頼まれたので、呼び出した相手が来るまで暇潰しをしていた。

周りに誰もいないことを何度も確認し、意を決したようにきりりとした顔で影に向かって話しかけるユウカに、背後から声をかける存在があった。

 

「あの〜なにしてるんですか?」

 

「!?あ、こ、こっれは!べつに違うのよ!?リオ会長に代わりに依頼出すように頼まれたから練習してただけで…!エージェントに秘密の依頼をする私かっこいい〜とかそんな事考えて小芝居なんてしてないんだから!」

 

「……そうですかぁ〜。とりあえず、まずは依頼の内容を聞かせてもらえますか?」

 

「せめてツッコミなさいよ!」

 

ユウカが依頼しようとし、油断して黒歴史を生み出すその瞬間を目撃したその生徒が所属する部活とは。

 

「───メイド部」

 

「へ?それってC&Cのことだよね?ミレニアムの武力集団、メイド服で優雅に相手を清掃しちゃうことで有名なあの…」

 

「うん、そのC&Cが守ってる場所にいかないといけないのが、問題かな!ま、些細な問題だよね!」

 

「そっか〜そうだねー、うーんなるほど…」

 

笑顔のマキの言葉に曖昧な返事をしたモモイは、白目をむいて叫んだ。

 

「諦めよう!!!ゲーム開発部、回れ右!前進っ!」

 

“われわれのたたかいはこれからだ?”

 

「冗談抜きで打ち切りなっちゃうやつだよこれは!」

 

「アリス、生徒会を襲います!」

 

「危なすぎるから!二人を止めてよ先生〜!」

 

「まぁまぁ、ほら。ヴェリタスが頭の悪い作戦なんて立てるわけないでしょ?とりあえず一旦話聞いてみようよ。私としても廃部を回避できるなら協力するし…」

 

“いがいとのりき…けいけんしゃ?”

 

ジト目で見てくる少年からの追及をのらりくらりと躱す銀行強盗経験者は、餌付け(たくみなわじゅつ)でなんとか話を誤魔化し。

 

結局。

戦う必要はないとか、鏡を取ってくるだけとか、みんなやってるとか、先っちょだけだからとか。

なんだかんだ廃部を免れないといけないゲーム開発部の面々がヴェリタスに説得されるのは時間の問題で。

 

“こうりゃくかいし。まるたはもったか?”

 

生徒会襲撃作戦が始まった。

 

「光よ───!」

 

真正面から、食い破るようにして。

 

 

 

 

《グレートソード・偽》

巨大で武骨な鉄塊の剣を、とある鍛冶師が三日三晩かけて圧縮したもの

手を加えた以上それはすでに真作ではなく、だが、真作と変わらぬ重さは敵を一撃で薙ぎ払う

 

およそ人の扱える限界を超えた武器であり

それ故に、これは人外をも屠り得る

 

 

 




最後まで読んでくださってありがとうございます。

今回もゆるゆるな作品でした。
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