インフィニット・ストラトス ~LBXを操る転生者~ 作:てーとくん
くそぅ、来週にはモンハンが届くっていうのに……
『おかえり。セレディ』
「ああ、ただいま。ミゼル」
違法研究所から帰ってきて迎えてくれたのは画面に映っている『ミゼル』という俺が生み出したAIである。
ミゼルには俺たちの住処であるステルス司令機『エクリプス』の全管理を任せており、作った俺自身よりもこの艦のことを知っている。
『そういえばセレディーが仕事に行ってた間、篠ノ之束博士から伝言が届いているよ』
「束さんから?」
篠ノ之束。ISを作った張本人にしてこの世を混乱させた人物で自分の認めた人しか視界に移さず、その他の人間はどうでもいいと考えている。
ではなぜそんな人物が俺の連絡先を知っているのかというと、数年前に亡くなった俺の両親と深い交流があったのでそのまま俺とも交流してみたくなったと本人から聞かされた。以降それなりに連絡を取り合う仲なのである。
『今、再生するよ』
画面からミゼルが消えて、代わりにウサギ耳をつけてファンシーな服を着た女性が映し出される。
『はろはろはろ~! 久しぶりだね~セーくん。これを見てるって事はもうお仕事は終わったのかな? お疲れ様ー。そんなお疲れのところセーくんには悪いんだけど実は頼みごとがあるの。実はー、なんと男性であるいっくんがISを動かしちゃったの! それでいっくんはIS学園に強制入学させられちゃうんだ。 でねでね束さんはこう思うんだ! ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐それ絶対ハニートラップしかけられるだろ、って。いくら向こうにちーちゃんと箒ちゃんがいるといってもこの二人だけじゃちょっと不安なんだ。 だからセーくんにはいっくんの護衛をやってもらえたらうれしいなーて思って今回連絡したんだ。ちなみにもうIS学園の方とも話はついてるからもしこの話を受けてくれるのならこの日時にIS学園に行ってね! そこでちーちゃんが待ってるはずだから。じゃあそーいうことで、あでゅー』
そして束さんが画面から消えてIS学園に向かう日時のみが残された。
「………………」
『どうするセレディー?』
更にしばらくするとミゼルが画面上に映し出され俺にどうするかを聞いてくる。
そこで俺は考える。
いっくんこと織斑一夏の護衛をして俺になんのメリット、デメリットがあるのかを。
最初にメリットのほうを考えよう。織斑一夏の護衛をすれば必ずと言っていいほどちーちゃんこと織斑千冬と接触できるはずだ。そこでうまく話をまとめれば彼女と模擬戦ができるかもしれない。彼女との一回の戦闘において取れる戦闘データがどれだけのものなのか、まったく予想がつかない。上手くいけばこれからの研究にその取れた戦闘データが使えるかもしれない。
以上のことを踏まえて次はデメリットを考えてみよう。
まず俺がISを使えるということが完全にバレる。これが最大のデメリットだ。しかもミゼルのことやこのエクリプスのことまでもがバレるかもしれない。そんなことは万が一、いや億が一ありえないことだが世の中何が起こるかわからない。
閉じていた目を一度あけて周りを見渡す。そこである一つのものが目に止まった。
「……なあ、ミゼル」
『なんだい?』
「『例のアイツら』の開発状況はどうなってる?」
『片方はもうほぼ完成しているといっても過言ではないよ。残ってるのは試運転ぐらいだし。でももう片方は戦闘データがない以上完成はかなり遠くなるね』
ミゼルにそう言われ俺は「そうか……」と言ってもう一度目を閉じて考える。
IS学園。それは世界中のISの操縦者や整備士を目指すものたちが集うただ一つの場所。操縦者の中にはブリュンヒルデにかなわないとしても各国の代表候補生や代表生がいるはず。もしブリュンヒルデと戦えなければ彼女たちと戦えば十分な戦闘データはとれるはず。
「ミゼル」
目を開けてこの場にいる俺の相棒に話しかける。
『決まったかい?』
「あぁ。織斑一夏の護衛、受けるぞ」
俺の選んだこの選択が良かったのか、はたまた悪かったのか。それは神のみぞ知るってやつなのだろう。とりあえず約束の日までまだもう少し時間があるのでミゼルと一緒にエクリプスのステルス強化とミゼル自身のアップデート、更にはファイアウォールの強化、その他にもまだまだたくさんやることがある。
「(約束の日までに終わるかなぁ?)」
どこかの暗い研究室。そこでは女性と男性、二人の科学者がとある研究を行っていた。
「そっちのほうはどう?」
「90%完成した。あとはアイツらがデータを持って来さえすれば、完全に完成する」
彼らは部屋の中央に置いてある三つのISをみる。そのどれもが禍々しい雰囲気を放っている。
「ああ、もう少しなのね。もう少しすればこの世界を壊せる。こんな醜くて汚い世界を」
「そうだ。そうするためにすべてを万全にしなければならない。わかったらお前も早くアイツを完成させてやりなさい」
「あら、大丈夫よ。コイツの核となる部分はもう出来てるわ。ほら」
そう言って女性の科学者が懐から白いマイクロチップを男性の科学者にみせる。
「なら、ちゃんと試運転ぐらいはやっておきなさい。コレに乗るのはお前なんだから」
「相変わらず貴方は過保護ね」
「お前を愛しているからこそさ」
「……ありがとう、『兄さん』」
次からは後書きに用語説明集みたいなのを載せたいと思いますのでよろしくおねがいします。