転生したらアウトサイダーだった件   作:夢野飛羽真

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行進遅くなって申し訳ございません!
今回から、時系列を書籍版に合わせました。なのでリムルの行動として
ユーラザニア使節団→ドワルゴン→ブルムンド王国→イングラシア王国(自由学園)という流れになります。


第20話 ユーラザニアの使節団

「ヨウムか、久しいな。」

 

「よっ、滅の旦那。元気だったか?」

 

「ああ、当然だ。」

 

カリュブディスを討伐し、海斗達が帰ってから数カ月。

俺は中央都市リムルに滞在を続け、ハクロウ師匠の下で剣術をラーニングしていた。

この間に魔王ミリムが仕事と言いここから去ったり、ヨウムやゴブタら他の弟子たちと手合わせをすることもあった。

今日は久しぶりにヨウムが街に戻ってきていた。

 

「活動は順調か?」

 

「カイトの旦那やリムルの旦那が色々と俺に分け与えてくれたからな。お陰様で元気にやってるよ。」

 

ヨウムの一行は俺と共にハクロウ師匠の下で修業を積んだだけでなく、リムルからはここのドワーフたちが作った大剣を、海斗からはレイドライザーとプログライズキーを貰っている。

彼の仲間達も武器やレイドライザーを貰っており、オークロードを倒した英雄の一行として各地で活躍しているそうだ。

 

「さて、久々に手合わせでもするか?」

 

「戻ってきて早々だがいいぜ。滅の旦那の頼みなら受けて立つ!」

 

戻ってきて早々だが、ヨウムの腕がなまっていないか少し試すとしよう。

 

『ポイズン!』

 

「おっと、早速本気で来るか…」

 

『ブロウ!』

 

とは言え、手合わせは実戦形式に限る。

お互い変身して、戦うのが最適と判断し、俺は腰にフォースライザーを巻きプログライズキーを起動する。

 

「変身!」「実装!」

 

『フォースライズ!』

 

『レイドライズ!』

 

『スティングスコーピオン!Break down…』

 

『クラッシングバッファロー!"This charge attack will send you flying."』

 

俺達はそれぞれ、仮面ライダー滅・スティングスコーピオンとクラッシングバッファローレイダーへと姿を変える。

 

『アタッシュアロー!』

 

俺はアタッシュアローを構え、ヨウムはドラゴンスレイヤーという名の両手大剣を構える。

両手大剣とは言うが、その剣を彼は片手で持っている。

元々筋肉もあり、健康的な印象の彼ではあったが、レイダーになることで元々の筋力は更に強化されている。それ故にあの大剣を片手で構えれてしまうのだろう。

 

「いくぜ!」

 

こうして俺達は、再会の喜びを分かち合う様に剣を交えていく。

 

「強くなったな。だが、まだまだパワーに頼りすぎだ。」

 

俺達が戦うとなると、基本力と技術の勝負になる。

ヨウムの持つ剣のパワーは圧倒的で、当たれば身体が両断されてもおかしくはない。

さらに言えば、片手のみでそれを振るうだけでなく、背中のブースターから生まれる推進力で加速してくる。パワーとスピードを加えた剣戟が今の彼のファイトスタイルではあるが、俺やハクロウ師匠からすればまだまだ見切ることができる。

 

「…ッ!」

 

「俺が1本だな。」

 

俺はヨウムの剣を上手く受け流し、腹部の装甲をアタッシュアローの刃で切り裂く。

 

「流石、滅の旦那だ。」

 

「当然だ。俺は日々学び続けているからな。」

 

俺がこの中央都市リムルに住み続けて半年程経っている。

その間毎日のようにハクロウ師匠と訓練し、他の者達とも手合わせをしている。

ヨウムは旅に出ている期間もあり、訓練時間にも差がある。

技術力において圧倒的な差があるのは当然のことだ。

だが恐ろしいのは、これほど鍛錬を積んでもハクロウ師匠にはまだまだ追いつけないことだ。

彼の持つ技量はまだまだラーニングし切れていない。俺がハクロウ師匠の持つ技術を全てラーニングし超えるには何年かかるだろうか…

 

「おっと、そろそろリムルの旦那にも顔出しておかねえと。じゃあ、またやろうぜ。」

 

「ああ、また手合わせ願おう。」

 

一先ず、ヨウムはリムルにも用事があるらしく、そちらに向かっていった。

さて、俺も鍛錬を続けていくとしようか。

 

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「今日は獣王国ユーラザニアの使節団が来るんだ。滅も良かったら見学に来てくれ。」

 

リムルに誘われたため、今日は彼らと共に町の南側まで訪れていた。

カリュブディスとの戦いを終えて、我々のジュラ・テンペスト連邦国は魔王カリオン率いる獣王国ユーラザニアと不可侵協定を結んだ。その後、交渉が行われてお互いの国から使節団が派遣されることになった。

既に1週間ほど前にこちらからベニマルらが使節団をしてユーラザニアに派遣されていた。

そして今日は、ユーラザニアから来た使節団を迎え入れることになっていた。

 

「来たか…」

 

我々が待つ場所に、何かが近づいてきている。

車輪の転がる音と地面を何かが蹴る音が轟く。

彼らは馬車に乗って来たのだろうかと思いそちらに目を向けるが、車を引いているのは馬ではなかった。

稲妻を纏う虎が地面を駆け、豪華な馬車の様な車を引いている。

2体の虎が1台の車を引いており、それが4組ほどこちらに向かっている。

 

「流石だな…」

 

「大したことありませんね。リムル様の意向を前にすれば、あの程度の獣たちを滑る程度ではハッタリにもなりません。」

 

と、シオンが言っているが彼女は少しリムルを神格化しすぎではあると海斗が言っていた。

俺もその海斗の意見には同意している。

更にシオンは戦闘面からあのような虎車?で来るというパフォーマンスは無意味だと言っているが、俺はそうは思わない。権威を示すには充分であるうえ、あの虎が戦力として使える可能性もある。

 

「お初にお目にかかります。ジュラの大森林の盟主殿。私はアルビス、"黄蛇角"のアルビスという、魔王カリオン様の三獣士の1人ですわ。」

 

戦闘の虎車から降りてきたのは、妖艶な美女という印象のアルビスという女だ。

黄蛇角という通り名が表すように、蛇のような瞳を持っている。

どうやら彼女は、ユーラザニアの中でも最上レベルの幹部らしい。

 

「フン!このような者共に挨拶する必要はないぞ!アルビス!ジュラの大森林の盟主とはどのような魔物かと思って来てみれば、弱小なるスライムではないか!馬鹿にするにもほどがある!」

 

「控えなさいスフィア。貴方の振る舞いはカリオン様の顔に泥を塗るのと同じ…「うるさいぞアルビス!俺に命令するな!」」

 

スフィアと呼ばれた、白虎を思わせるような耳や瞳が特徴的な女は、我々をかなり見下しているようでアルビスに注意を受けているがそれにすら反抗している。

 

「そもそもドワーフはまだしも人間などとッ!矮小で小賢しく卑怯な人間どもとつるむなど、魔物の風上にも置けぬわ!」

 

彼女はかなり人間のことを見下しているらしい…

海斗や飛電或人達、それにヨウムは皆良き人間であった。

だが、彼女はそう言った者達に会ったことが無いのだろうか…

人間は矮小な生き物などではない。

 

「おいおいお前、ちょっと人間を馬鹿にしすぎなんじゃないのか?いい加減にしろよ、なあ、ヨウム?お前も馬鹿にされたままじゃ悔しいだろ?俺が許すから、ちょっと実力を見せてやったらどうだ?」

 

「え、俺が!?」

 

ここでリムルは、人間代表のヨウムとユーラザニアのスフィアの手合わせを提案する。

確かに、ヨウムのこの町に来てからの成長を考えれば、魔王カリオンの配下にも勝つ可能性はあるだろう。

 

「おう。死ななければ回復してやるから、お前の強さを教えてやれ!」

 

「おいおい旦那…喧嘩を売らずに平和的に行くんじゃなかったのかよ…」

 

「馬鹿野郎!甘えたことを言ってるんじゃねえ!こっちから手を出すつもりはなかったが、向こうが仕掛けてくるなら応えてやるだけだ。」

 

リムルはかなり慎重な印象を持ち、特に外交面ではその性格がより際立つ。他国の者に喧嘩を売らぬよう、部下に注意する場面をよく見かける。

そんな彼がここで2人の手合わせを提案するということは、相当スフィアの言動に腹が立ったのだろう。見下されたままでは終われないと言ったところか。

 

「頭、やっちゃってください!」

 

「舐められたままじゃあ、格好付かないですぜ!」

 

「チッ、しょうがねえな。旦那、ちゃんと骨は拾ってくださいよ。」

 

彼の部下達も、その戦いに乗り気な様子で、ヨウムも致し方ないと言った様子で剣を構え前に出る。

とは言え、レイダー化したヨウムが上位魔人とどれだけ渡り合えるかは興味深い。レイダーと上位魔人の戦闘データがこれまでなかったから、戦闘の様子を海斗に伝えれば彼も喜ぶだろう。

 

「はーッ!はっはっはっは!いいぞ!人間、オレを満足させることができるかな?」

 

スフィアも戦うことを了承した様子で、楽しそうに叫ぶ。

これから始まるスフィアとヨウムの戦いを録画しておこうと、俺の眼にあるカメラ機能を起動しようとした時だった。

 

「待ちなさい。先程から黙って聞いていれば、リムル様への暴言の数々…リムル様が戦うなと仰せだったので我慢に我慢を重ねていましたが、どうやらその必要はなかったようです。貴方の相手は私です!」

 

そう言ってシオンがヨウムを遮って前に出て、大剣を地面に刺す。

俺は時々思うが、秘書とはこういう人物で勤まるのだろうか?

イズであれば、もう少し主人の意向に従った行動をとるはずだが、シオンの行動や言動は時折、リムルの意向を無視してしまっているように考えられる。

 

「面白い!スライムの配下がどの程度のものか…この俺"白虎爪"スフィアが確かめてくれるわ!」

 

相手を横取りされ、スフィアとシオンが拳を交える。

2人は戦いながら森の方へと消えていく。

 

「まったく、しょうがありませんわね、スフィアは…グルーシス!貴方があの人間の相手をしなさい!」

 

「いくら俺が獣王国戦士団で末席だからって、人間の相手なんて…まあいい、遊んでやるよ人間!」

 

だが、相手を取られたヨウムの相手として、アルビスが虎車に乗る褐色肌の男を指名する。

灰色の髪に筋肉質と言った印象で、少しヨウムと特徴が似ている。

彼らカリオンの配下たちは獣人で構成されており、獣の姿に変身することもできるそうだ。

一先ず、興味深い一戦が我々の目の前で始まろうとしていた…

 

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シオンとスフィアの戦い、ヨウムとグルーシスの戦いはそれぞれ拮抗していた。

シオンは獲物の大剣を使うことなく、スフィアの土俵である拳と拳の戦いをしており、押されつつも決定打は与えられずに凌いでいた。

一方、ヨウムは両手大剣を、グルーシスは短剣2本を互いに振るい、その刃を交えていた。

 

「アンタ、中々やるなあ…」

 

「そっちこそ!」

 

2人は互いの刃を交えていくうちに、互いの心が通じ合い口角を上げた表情で言葉を交わしていた。

 

「だが、こっから本気でいくぜ!」

 

ヨウムもハクロウから鍛えられ、滅ほどではないが剣の技術は上がっている。

この森に訪れる冒険者の中では上位の実力者にはなっている。

だが、相手は魔人であり、その中でもユーラザニアの獣王戦士団の1人。魔王カリオンから鍛えられた精鋭の1人である。

フィジカルや戦闘技術と言った面で言えば、通常の冒険者たちを圧倒するような存在だ。

ヨウムの部下達や、彼らの暮らす国の1兵ぐらいであれば瞬殺されてもおかしくはない。

 

『ブロウ!』

 

そんな種族間の差を埋めるために選んだ手段はレイドライザーの使用であった。

 

「実装!」

 

『レイドライズ!』

 

ヨウムはクラッシングバッファロープログライズキーをレイドライザーに装填する。

 

『クラッシングバッファロー!"This charge attack will send you flying."』

 

そして、クラッシングバッファローレイダーへとその姿を変える。

 

「姿が変わった!?」

 

「ああ、俺のとっておきだ。ここの奴らに貰ったんだぜ!」

 

「お前の実力と言い、その鎧と言い、この国の奴らは侮れないな!」

 

グルーシスが2本の剣を構え、レイダーに刃を突き立てようとするが、それは彼が手に持つ両手剣ドラゴンスレイヤーによって阻まれる。

 

「そらッ!」

 

そして、その剣を上向きに振るえば、グルーシスの身体は弾き飛ばされ後退する。

 

「…」

 

「ハアッ…!」

 

軽い身のこなしで、地面に着地したグルーシス。だがそこを狙いレイダーが背中のブースターを噴かせて加速し、グルーシスに肉薄する。

 

「喰らえッ!」

 

レイダーはドラゴンスレイヤーを右手だけで持ち、上から下に振り下ろすが、グルーシスは2本の刃を交差させて上に翳して振るわれる大剣を受け止める。

 

「こっちがガラ空きだぜ!」

 

レイダーの狙いはがら空きになってしまったグルーシスの腹部であった。

その腹部目掛けて両腕に装備された牛の蹄型籠手であるバッファブロウによるパンチが放たれる。

 

「グ八ッ!」

 

かなりのパワーを持つバッファローレイダーの拳を受けてしまったグルーシスの身体は殴り飛ばされて宙を舞う。

 

「こっちは勝負アリだな。」

 

と地面に倒れ伏したグルーシスにリムルが回復薬をかけながらヨウムらの戦いの終幕を宣言する。

 

「流石はヨウム、それにレイドライザーの力も中々良い…」

 

彼らの戦いをしっかりとその目で記録した滅は満足気に頷く。

 

(アーク。)

 

『ああ、分かっている。君が記録した映像は既に海斗にも送信しておいた。よいデータを感謝する。』

 

そして滅はその映像記録をアークを通じて海斗に送信しておくのであった。

その一方で、もう1つの戦いも佳境を迎えていた。

 

「キジンの力はそんなものか!もっともっと俺を楽しませろ!」

 

「元よりそのつもりです!」

 

とシオンが両手の中で闘気を練り上げて、黒い魔力弾を生成する。

 

「覚悟せよ!」

 

その魔力弾はシオンの中でさらに大きさを増していく。

 

「極大魔力弾!?おい待て!シオン!この辺り一帯を吹き飛ばすつもりか!」

 

とリムルがシオンを止めようとするが、彼女の耳にリムルの言葉は届いていなかった。

練り上げられる魔力弾は大きさを増していく。

 

「フフフフフフフ…」

 

(あ、こりゃ聞いていないわ…)

 

「いいぞ来やがれ!」

 

魔力弾を撃とうとするシオン、それを受け止めようとするスフィアと言う2人の戦闘狂にリムルは内心呆れてしまっていた。

 

「喰らえ!」

 

「それまで!」

 

その時だった、獣身化し黄色い角が生えて下半身が蛇の尾に変化したアルビスが2人の間に入る。

尾の先はスフィアの首元に、錫杖はシオンの首元にそれぞれ突き立てて勝負を止める。

 

「もう充分です。」

 

「で、俺達は合格なのか?」

 

「ええ…」

 

始めからユーラザニアの使節団達は、ジュラ・テンペスト連邦国の者達の実力を試すために会えて喧嘩を撃ったのだった。

 

「そう言うことだったのかよ…」

 

と、先程戦いを終えたヨウムも少し安心した様子を見せる。

 

「ああ、俺達は試されていたらしい。」

 

「不満はない!大した強さだ!我らが対等に付き合うべき価値は十分にある!ジュラ・テンペスト連邦国の盟主、リムル・テンペストとその友人を軽んじることはカリオン様に対する不敬と思え!分かったな!」

 

「「「はは!!」」」

 

リムル達の実力を認めたスフィアは、部下たちに無礼なことをしないように命令を下す。

 

「スフィア様の言う通りだ。この俺を倒せる人間なんてめったにいない。」

 

「嬉しいねえ。」

 

グルーシスは自分に勝利したヨウムに賛辞の言葉を送り、その感謝の意を込めて笑顔を向け、グルーシスと固い握手を交わす。

 

「到着早々どうなるかと思ったが…」

 

「丸く収まって良かったですね。」

 

「シオン!お前も分かったな?シオン…?」

 

「あの…これ、どうしましょう…」

 

だが、問題はまだ1つ残っていた。

極大魔力弾がシオンの身をも超える程大きくなってしまい、シオン本人も対処ができなくなってしまっていた。

その魔力弾は最終的にリムルがグラトニーによって捕食し事なきを得て、彼らは無事にユーラザニアの使節団を迎え入れることとなった。

 

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その後は使節団を迎賓館と言うところでもてなしていたそうだ。

宴会と言うものが行われ、酒や食事を楽しんだそうだが、生憎俺はヒューマギアだ。

食事を楽しむことはできないが、海斗ならば喜んで食べていただろう。

翌日以降は技術交流や商業の話が行われていたらしい。

 

「そういえば、ヨウムが使ってたあれってアンタのとこのボスが作ってるんだろ?」

 

「ああ、レイドライザーのことか?」

 

「そうだ、アレの技術は…」

 

「悪いが企業秘密だ。」

 

俺もレイドライザーの技術に関してグルーシスから聞かれたが、そこに関しては教えることはできなかった。

そもそも俺もどうやって作っているかは知らないし、恐らく海斗…もといアークにしか作れないはずだ。

さて、使節団は数日後に自身の国へと帰っていき、更に技術を学びたい者とグルーシスはこの地に残っていた。

どうやら、彼の上司のフォビオというものからリムルの役に立つように言われており、街の警備隊と共に活動している。

このままヨウムらの一団にも入ってしまいそうな勢いだが、それはそれで良いことかもしれないな。

さて、ユーラザニアとの一件について海斗にメッセージを送っておくとしよう。




如何でしたでしょうか?
今回は海斗の出番なしで滅視点でお送りしました。
展開次第ではこういう演出も増えていくかもです。
次回もお楽しみに~
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