転生したらアウトサイダーだった件   作:夢野飛羽真

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おはようございます。
とりあえず、シズさん編はここで一旦一区切りです。


第6話 旅立ち

「さあ、どんどん運んでいけ!」

 

イフリートとの戦いから数日、僕らはリムルさんの村の復興を手伝っていた。

黎斗さんはゲンム・ゴッドマキシマムゲーマーレベルビリオンに変身して建築系のゲームを創造。

その力で木々の伐採や運搬、建物の組み立てを手伝っていく。

 

「助かります!海斗さん!」

 

「いいよ、いいよ。気にしないで」

 

ゲームの力で浮かんだ木材が家の建設予定地に運ばれていく。

イフリートとサラマンダーによって大半の家が燃えてしまっており、折角彼らが作った家が無くなってしまったため、今は住む場所もない。なので彼らを手伝ってから一度砦の方に戻ることにした。

そのことに関してリグルがこちらにやってきて感謝の言葉を伝えてくれる。

 

「カイト様、シズ殿とリムル様がお呼びです。」

 

「ありがとう、リグルドさん。すぐに行きます。」

 

と言うことで、リグルドさんに呼ばれて僕はシズさんが寝ているテントに向かう。

 

「リムルさん、シズさん、今来ました。」

 

シズさんはあの後しばらく眠りについていたが、ちょっと前にシズさんが目を覚まして、僕も何度かお見舞いに来ていた。

 

「来てくれたか、カイト…」

 

「ありがとう…海斗君も来てくれて…最後に話したいことがあって…」

 

「最後…?」

 

シズさんの発した最後という言葉に、僕の動きは一瞬止まってしまう。

 

「うん、私という人がいたことを覚えていて欲しい…」

 

イフリートと分離したシズさんの身体はすっかり弱ってしまっていた。

朦朧とするシズさんは僕とリムルさんに過去を全て話してくれた。

シズさんはレオンという名の魔王にこの地に召喚されて、とある勇者にレオンから解放されて、その後は自身が人々を救う旅に出て、とある国で先生もしたそうだ。そして、最後にレオンを再び探すための旅に出てあの3人組と出会った様だ。

彼女がこの世界で歩んだ50年の歴史を話してくれた。

 

「復讐したいのか?」

 

「分からないわ…会って、確かめたいことがあるの…だから私は…」

 

リムルさんが、シズさんがレオンを探す旅に出た理由を問う。

 

「本当にいい子たち…少し危なっかしいけど…」

 

「そうですね…」

 

エレンさん達3人は、シズさんの最後の旅の中でも思い出に残る良き仲間であったらしい。

イフリートとの戦いでも逃げずに一緒に戦ってくれたいい人たちだ。

 

「楽しかった…でも、もう…ねえ、スライムさん、カイト君。名前は何て言うの?」

 

「え?俺はリムルって…」

 

「僕はカイトですけど…」

 

と、突然僕達の名前を問いかけてきた。

シズさんは既に名前は知っているはずだけど…

 

「本当の、名前」

 

「俺は悟、三上悟。」

 

「僕は…萩原海斗です。」

 

「私は…井沢静江…」

 

シズさんが聞きたかったのは僕らの転生前の名前であった。

 

「静江さん、もう眠った方が良い…」

 

「悟さん、お願いがあるんだけど聞いてくれる?」

 

「いいぞ、なんでも言ってくれ。」

 

弱々しい声で、シズさんがリムルさんに願いを言う。

恐らくこれが、最後のお願いだ…

 

「私を…食べて…」

 

「!?」

 

「私にかけられた呪いを食べてくれたみたいに…嬉しかった…」

 

その最後の願いは、自分のことをリムルさんに食べて欲しいと言うものであった。

彼がイフリートを捕食した時のように…

 

「この世界が…嫌い…でも、憎めない…まるで、あの男のよう…だから、この世界に取り込まれたくない…最後のお願い…私を、君の中で眠らせてくれないかな…?」

 

シズさんは震える手を伸ばし、リムルさんの頭の上に乗せる。

僕もそのシズさんの手の上に自分の手を重ねる。

 

「悟さん、静江さんの最後のお願い、聞いてあげてください…」

 

「いいよ…」

 

少し考えるリムルさんに、僕もシズさんの願いを叶えて欲しいと言葉をかける。

これだけ辛い思いをしてきたんだ。最後ぐらい、シズさんの希望が叶って欲しい。

そしてリムルさんも、その願いを受け入れてくれた。

 

「静江さんはレオンに何を確かめたかったんだ?」

 

「…私という人間がいたことを…認めさせたい…だけかも、しれない…」

 

シズさんの声が弱く、そして細くなっていく。もう彼女の体力が尽きようとしている時だった…

 

「それにもし、あの子たちが…救われてたなら…」

 

自由学園という場所で教えていた子供達のことも気がかりになっているらしい。

彼らのことも置いて旅に出てしまったらしいが、シズさんは声を出すのもおぼつかない状態になっていく。

 

「約束しよう!三上悟!いや、リムル·テンペストの名において!魔王レオン・クロムウェルにきっちりと思いをぶつけてやるよ!」

 

シズさんの手にリムルさんの身体から伸びてきた手の様なものが重なる。

 

「シズさんにお世話になった人たちの代わりに言わせてください。ありがとうございました…」

 

僕もその上に手を重ねて言葉を伝える。

シズさんの戦いによって救われた人々や、シズさんの話に出てきた学園の子供達…それにエレンさん、ギドさん、カバルさん、そして僕達の分の感謝の言葉を伝える。

 

「あり…がと…」

 

細々とした声で発されたその一言が、シズさんの最後の一言だった。

気付いた時にはシズさんの姿は老婆のものになっていた…

そんなシズさんの身体をリムルさんがゆっくりと包み込んでいくのであった…

 

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「リムル様!失礼します!」

 

と、僕等がいたテントにリグルドさんと冒険者3人組、そしてランガが入って来る。

 

「!?」

 

「「「ええ!?」」」

 

「我が主!」

 

だが、彼らは部屋には行っていくなり、驚きの声を上げる。

何故ならそこには青い髪の美少女(?)が全裸で立っているのだから。

というかそんな現場に僕が普通にいるの、ちょっと犯罪臭がする気が…

だが、ランガはその者の正体をすぐに見抜いていた。

 

「そう、この人がリムルさんだよ。」

 

「「「ええー!?」」」

 

「その子が!リムルの旦那!?」

 

そう、目の前にいる美少女こそシズさんを取り込んだリムルさんであり、そのことを告げるとカバルさんは腰を抜かしかなり驚いてしまっていた。しかしながら、リムルさん人間体の見た目は少しシズさんの面影を感じる。

その後は冒険者3人組やリグルドさん達に事情を説明し、エレンさんもリムルさんがシズさんの願いを受け入れて彼女の身体を捕食したことを了承してくれた。

そして、また新たな別れの時を迎える。

 

「本当に世話になったな。そろそろお暇するよ。」

 

「国に帰るのか?」

 

「ああ、ギルドマスターに調査結果とかシズさんのことを報告しないといけないからな。」

 

翌朝、カバルさん達3人も国に帰るためこの地を離れることになった。

 

「ここのことは悪いようには報告しないぜ。」

 

「リムルさんやカイトさんの事も伝えておくね。」

 

「何か困ったことがあれば頼ればいいでやんすよ。」

 

「おう!そうさせてもらうよ!」

 

3人が僕達のことを好意的に思ってくれているお陰で、今後彼らの通う自由組合があるブルムンド王国という国や他の国に出入りしやすくなるかもしれない。交流しやすくなる可能性が高まったのは彼らやリムルさんとの出会いのお陰だ。色々と感謝しないといけないね。

 

「こちらこそ、会えて嬉しかったです。またどこかでお会いしましょう。」

 

「おう!こっちこそ何かあれば頼りにさせてもらうかもな!」

 

しれっとクエストの手伝いなどを頼んできそうだが、気にしないでおこう。

 

「旦那、最後に1つだけお願いがあるんだけど。」

 

と、3人が目を合わすとカバルさんが何かをお願いしようとする。

 

「なんだ?」

 

「もう1度、人の姿になってくれないか?」

 

「ん?別に良いけど…」

 

願いを聞き入れて、リムルさんはスライムの姿から人間の姿へと変身する。

 

「一体なんだ?」

 

「「「シズさん!ありがとうございました!!」」」

 

彼らのしたかったこと、それはシズさんへの感謝であった。

きっと、リムルさんの中で眠る彼女にも届いているさ。

 

「俺!あなたに心配されないようなリーダーになります!」

 

「あなたと冒険できたこと!生涯の宝にしやす!」

 

「ありがとう!お姉ちゃんみたいって思ってました!」

 

3人はシズさんに似ているリムルさんを、彼女に見立てて言葉を投げかけ、エレンさんは泣きながら抱き着く。その頭をリムルさんが優しく撫でる。

シズさんの最後の旅仲間が彼らでよかった…

その後彼らはカイジンさんとドワーフ三兄弟お手製の装備や武具をリムルさんから貰い、上機嫌で村を旅立っていった。

 

「さて、僕達もそろそろ行こうか。」

 

「そうだね。拠点の方の様子も少し気がかりだ。」

 

そして僕達も旅立ちの時を迎える。

というより、1度家に帰る感じだ。

特に警備を用意せずあの砦を放置してしまっていたのは流石に良くないし、多次元プリンターが奪われていたり壊されていたらたまったものではない。

 

「お前らももう行くのか?」

 

「ええ、楽しかったですよ。リムルさん。けど、またすぐに来ます。リムルさんがどんな街を作るか楽しみですから!」

 

なんやかんや、リムルさんのこの村のことすごく気に入った。

一度離れるのが惜しいぐらいだ。

 

「また会おう。ゴブタ達の成長も楽しみだ。」

 

滅はホブゴブリン達と交流をしていたらしく、その中でもリグルやゴブタらと手合わせなどもしたらしい。

 

「次に会う時は、更なる神の恵みを授けよう!」

 

黎斗さんは戦いや復興作業でのMVPだ。

拠点に戻ったら、本格的な黎斗さん用のゲーム開発環境を整えよう。

とは言え、黎斗さん自身がコンピューターだからそこまで設備は必要じゃなさそうだが…

 

「あ、そうだリムルさん。これは餞別の品です。」

 

腰にアークドライバーゼロを出現させると、そこから赤いレーザーを放ってヒューマギアの素体を作り出す。

サラマンダーの分も魂にカウントされるらしく、新たに3体のヒューマギアを作れるようになった。そこで素体を1つプレゼントすることにした。

 

「これは…」

 

「それも食べちゃってください。僕らの推測では、そいつ経由でリムルさんに連絡できるかもしれないので。」

 

「おおー!じゃあ、ありがたくいただこう!」

 

と、リムルさんは新たに作ったヒューマギアを簡単に飲み込んでしまう。

 

「では!またお会いしましょう!」

 

「おう!またな~!」

 

通信することも出来るし、一度離れても問題はなくなった。

そして僕ら3人は各々のバイクに跨り、拠点に向けて去っていくのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステータス

名前:萩原海斗

種族:ヒューマギア

称号:なし

魔法:なし

技能:『仮面ライダーアウトサイダーズ』

『アーク』

『電気操作』

『収集者』

『不死身』

『自己修復』

耐性:『痛覚耐性』




結構感想ではシズさん救済ルートを望まれる方が多かったのですが、作品のプロット作る時には既に結末は決めてて、こういう結果になりました。
シズさんの運命を変えてしまわず、成仏するのも1つのキレイな結末かなと思います。
感想やお気に入り登録いただけたら嬉しいです。
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