傷だらけな多重人格の青年は泥臭くもVtuberとして呼吸をする   作:村上トオル

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言葉が無かった世界

 瞼が重い。まるで何重にも縛られたような感覚だった。

 アタシ……どうなったんだっけ。確か竜弥が刺されてそれで……。そうだ、竜弥はどうなったんだろう。確かめないと、あのままじゃ竜弥は死んじゃうかもしれないんだ。だから確かめないと……。

 

 あれ?でもなんでさっきからアタシ声が出ないんだろう。

 必死に声を出そうと口を動かしているはずなのに動く気配がない。どうして……。

 

 

 

 

 ああ、そうか……。

 アタシはようやく分かった。アタシは竜弥が刺されたショックで声を失ってしまったんだ。

 

 

 そっか、じゃあもう……アタシはアタシの声で音を奏でることが出来ないんだ。

 声を出しながらも悲しく泣きたいのに声が全く出ないという状況にアタシはただ涙を流すことしか出来ないでいた。もうアタシの声で音を出すことが出来ないんだ。悲しくてしょうがないけど、今は竜弥のことが気になって仕方ない。

 

 竜弥が何処に居るかなんて分からないけどいても立っても居られずアタシは病室を抜け出して竜弥を探していた。声無き声を抱えながらもアタシは進み続けていた。アタシの声のことは今は置いておくとして今は刺された竜弥のことが気になって仕方ない。こういう場合、真っ先に緊急処置室に搬送されることが多い。だったら、向かうべきは緊急処置室に向かえばいい。アタシは病人だからそんなすぐに通してくれるかは分からない。そもそも会いに行けるかすら分からないけどそれでも竜弥がどうなったか知りたいんだ。

 

「そこの患者さん!!なにしているんですか!?」

 

 声を出せれば今此処で理由を説明できていただろう。

 でも今のアタシにはそれが出来ない。勿論、説明できたところでこのまま通してくれないだろうけど。それでも竜弥がどうなっているのかだけでも知りたかった。

 

 アタシは看護師さんに止められながらも引き返すかどうするか迷っているとアタシはこのまま通り抜けるという強硬手段に出るとそこに待っているのは琉藍達だった。

 

「千里……?」

 

 一番先に反応してくれたのは香織。

 香織がアタシに駆け寄って来て心配してくれているが、声が出せないこの状況で私は言葉を発することが出来なかった。香織に心配をかけているこの状況で私は「大丈夫」と言いたかったのに言うことができずに「大丈夫?」と聞かれても頷くことしか出来なかったのだ。

 

 誤魔化そうにも言葉が出ないのだからどうにも出来なかったのだ。

 

「チサ、ごめん……私達が付いていなかったから……」

 

 そっか、アタシが声を失ったということはもう琉藍たちは知っていたんだ。

 琉藍が悔しそうにしながらも声を震わせて頭を下げている姿を見てアタシは確信して、口元を動かして精一杯「大丈夫」と言うのを意識して見せていた。伝わっているかは分からない。それでもアタシは自分の感情を込めて言えばアタシは伝わるかもしれないと信じてみたのだ。

 

 すると、琉藍はアタシの口元を見て少しばかり笑みを浮かべて伝わっているような気がしていた。……そうだよね、例え言葉が発することが出来なくてもアタシ達は親友同士、言葉なんかなくても伝わるよね。

 

「千里、竜弥は!?竜弥はどうしたの!?」

 

 渡り廊下を走りながらもやって来ていたのは恵梨。

 呼吸を酷く乱しながらも、アタシの体を揺さぶる恵梨の姿にはいつものようにアタシ達のバンドを支えてくれる彼女の姿はなかった。

 

「恵梨止めなよ……千里は」

 

「千里がどうしたって言うの!?千里だけでしょ、知ってるの!?」

 

「……千里は喋れなくなってるの」

 

 恵梨は「え……?」と言いながら、先ほどまでアタシのことを揺さぶっていた手が震えている。恵梨はやってしまったと言いたそうな顔をしながらも抱きついて何度も謝り続けている。アタシはそんな恵梨に対して「気にしないで」と言って恵梨のことを宥めていた。

 

 

 

 

 恵梨が宥めた後、アタシは三人に手を振りながらも病室へと戻って行った。

 看護師さんには「ごめんなさい」と言って頭を下げて謝っておいた。竜弥がどうなっているのかを知りたかったけど、今はただ竜弥が無事だと信じることしか出来なかった。看護師さんにも聞いてみようとしたけど、忙しそうで中々聞き出すことが出来ないでいた。でもアタシは今竜弥に会うことなんて出来ないよね。どんな顔で竜弥に会えばいいのか分からない。言葉を発することも出来ないから謝ることなんて出来ないし……何か伝わるものないかな。

 

「紙……?」

 

 アタシの目に止まっていたのは紙切れだった。

 言葉で発することが出来なくても紙に文字を書いたりして会話をすることは出来る。もし誰かが此処に来ても会話が出来るというのは確かにいいことなのかもしれない。アタシは竜弥がいる緊急処置室に行こうとしていたその日のうちに売店に行くことをなんとか紙で看護師さんに伝えてノートを買って来てアタシは病室に戻って来ていつかは再開する竜弥との再会を待ち望みながらも、一日経った後だった。

 

 

 

 

 昨日の夜は音楽も聞こえない静かな夜を過ごしていたけど、アタシにとっては不安な一日だった。竜弥が今どんな状況なのかも分からないからこそアタシは不安でいっぱいだった。ただ祈ることしか出来ないでいると、外が騒がしくなっていた。何かあったのだろうかと外を見ようとしたときだった。アタシの病室の扉が開いた。

 

「千里……!!」

 

 中に入って来ていたのは竜弥だった。

 アタシは竜弥が来てすぐに手にノートを持ったものの竜弥から顔を逸らしてしまっていると、竜弥がアタシの前に立っているのがなんとなく分かっていた。

 

「ごめん……な……ごめんな、本当にごめんな……」

 

 椅子に座ってから竜弥はアタシの頭を撫でた後、頬を撫でながらも何度も謝り続けていた。

 竜弥は悪くないと言おうとしてアタシはノートを開こうとしていた手が震えていることにアタシは気づいた。罪悪感に囚われているのは竜弥だけじゃなく自分もだったんだ。竜弥を刺されたとき、アタシが庇って居れれば良かったんだ。そうすれば、竜弥だってこんなに悲しい思いをしなくて済んだんだ。

 

 いや、違う。

 竜弥はきっとアタシが刺されても今みたいに何度も謝って泣いてくれていたはずだ。だったらアタシがすべきことは決まっているはずなんだ。

 

 

 

 

 

『ありがとう……』

 

 口元の動きを見せながらもアタシは言った。

 アタシを庇ってくれてありがとう竜弥。だからもうこれ以上泣かないで竜弥……。竜弥は何も悪くないから……。

 

 

 

 

 

 その後、竜弥は「じゃあ帰るから……」と言って帰って行った。

 たった一人の空間に戻ったアタシは音もない沈黙の空間が続くことになっていたが、その日のうちにアタシの両親が来てお見舞いに来てくれていた。そのタイミングでお医者さんもやって来てその日のうちに現在の容態をアタシにもお父さん達にも話してくれていた。原因としてはやはり竜弥が刺されたことによりショックによるものであり、今後定期的にメンタルクリニックが必要になるということも言われた。アタシは正直自分の将来のことをそれでも必死に考えていた。

 

 音楽の道が完全に閉ざされた訳じゃない。

 アタシにはギターという道がある。それにベートヴェンだって耳がどんどん聞こえなくなっていってもそれでも音楽を続けていた人だっているんだ。アタシの場合は言葉だけどアタシの音楽をギターに託すことは出来る。本当は……言葉で音色を奏でたいけど……でも今のアタシにはそれが出来ないんだから仕方ないよね。これからのアタシがもしかしたら声を取り戻すことが出来たらまた言葉で音楽を綴ることにしよう。だから今はこのノートにアタシの感情を綴るとしよう。

 

 

 アタシの心はまだ死んだわけじゃなかった。

 寧ろこれからが重要とすら思えていた。

 

 

 

 

「綾川さん、この度は申し訳ありませんでした」

 

 お母さんたちが帰ってちょっとした後、入れ替わるようにして竜弥のお母さんがアタシの病室の中へと入って来て謝罪をしに来ている。竜弥やお母さんは何も悪くないと言う意志を伝える為に、アタシはノートにこう書き出していた。

 

『謝らないでください』

 

 アタシがこう書いたノートの一ページを見せると、竜弥のお母さんは凄く悔いているようで、体を震わせながらも「ありがとう」と何度も言いながらアタシの病室を離れて行った。

  

 

 

 

 何もない空間にただ一人の時間を過ごしていると、警察の人がやって来ていた。

 

 アタシは犯人が留置場で布で首を圧迫させて自殺をしたのを警察官から知った。

 警察の人が去った後、アタシの中で何とも言えない感覚が漂っていた。罪を償わず、逃げた犯人のことを恨みたいという感情はあったはずなのに、それよりも今は竜弥のことが心配でしょうがなかった。もし、竜弥がこのことを知ったら怒りに満ち溢れるかもしれないというのが怖かったのだ。

 

 竜弥が竜弥じゃなくなってしまう。

 竜弥……竜弥、大丈夫だよね?

 

 

 

 

「退院するんだね、チサ」

 

 それから大体二日ぐらい経った後、お見舞いに来てくれたのは琉藍だった。

 昨日は香織が来てくれていたけど……恵梨がお見舞いに来てくれることはなかった。

 

『恵梨はどうしてる?』

 

「……あーまあ、ずっと音楽に夢中になってるみたいだよ……」

 

 あの一件があって以来、恵梨は何処か自分のことを責めているのかもしれない。

 だからアタシのお見舞いにも来ないで音楽に夢中になることで自分の気分を晴らしているのかもしれない。もしかしたら自分のせいとか思っているのかもしれない。だとしたら、アタシが何かを言ってあげなくちゃダメだよね恵梨……。退院が決まっていたアタシは恵梨にスマホに連絡をしていた。

 

 

 

 病院の休憩室、アタシはお母さんたちに待っていてと言って休憩室で恵梨のことを待つことにしていた。

 

「チサ、正直今のエリーとは話すのはオススメしないよ」

 

 確かにいつもの恵梨とは少し違うような気はしていた。

 いつもの恵梨ならアタシの連絡にすぐに既読を付けて連絡を返してくれることが多いけど、今日はいつもよりかなり遅れて連絡を返していたのだ。それだけで恵梨がいつもと違うというのを思うのは良くないのかもしれないけど、それでも琉藍が言うようになんとなく恵梨と今は接しない方がいいというのは分かっていたような気がしていたのは分かっていた。

 

「千里、なに?」

 

 此処に恵梨が来たとき、すぐに気づいた。

 今の恵梨はいつもの恵梨じゃないということが……。今の恵梨は何処からどう見ても近寄らないでという瘴気が漂っていた。これじゃあ、琉藍が話しかけない方がいいというのも分からないでもない。

 

『話したいことがあって』

 

 アタシに対していつものように笑顔で話を聞こうとしてくれているけど、実際は違う。今の恵梨はアタシの言葉すらも耳を傾けないようにしている。完全に自分だけの世界に入ってしまっているんだ。アタシは自分がノートに書き出そうとしていることが怖くなってしまっていた。此処で『ごめん』なんて書いたりしたら恵梨を刺激することにならないだろうか。いや、きっと恵梨を刺激してしまうことに繋がってしまう。此処は病院の休憩室、出来れば騒ぎをおこしたくないという思いがあったがアタシの中では本音で話すが怖くなっていたのだ。

 

 怖くなってしまったアタシは恵梨に病院のことを話すことで一旦話を逸らすことにしていたが、恵梨は私の話を聞いている間はピリついている様子はあまりなかったようだ。本当は話している最中に話を遮ってでも謝るべきなのかもしれなかったけど、やっぱり言い出すのは無理だった。アタシにはその覚悟がなかったんだ。

 

 病院の前に着くと、少し前にお母さんたちに連絡してあったお母さんたちが迎えに来てくれていた。琉藍と恵梨はアタシに手を振りながらも別れを告げてアタシは二人から離れて行った。ただ、このときアタシは恵梨に対して謝らなかったことを死ぬほど後悔することになる。それは恵梨がアタシの居場所を守ろうと必死過ぎたあまりに琉藍や香織との間に亀裂が生じ始めていたのだ。アタシの前ではいつも笑顔で居てくれている恵梨だったが、その恵梨の表情はアタシからすれば『お前のせいだ』と言われているようにも見えていたのだ。『お前のせいでアタシはこんなにも苦しいんだ』とも言われているような気分になっていたのだ。だから、アタシは謝るのが更に出来なくなっていたのだ。なにより、謝ったら余計恵梨が激昂するのが目に見えて分かっていたのだ。

 

 それでもアタシは恵梨と何気ない会話を続けていた。

 会話を続けているなかで、アタシはある日恵梨に竜弥とデートするのに何処か良い場所はないのかと尋ねると、その日だけ珍しく既読が早くついて返信も早く返って来ていた。恵梨の連絡には水族館と書かれており、確かにカラオケ屋ばかりで過ごして来ていたアタシ達にとって悪くないのかもしれないとなって恵梨から送られていた水族館のことを調べてうちに楽しくなっていた。そういえば、渚も水族館好きって言ってたっけ……とファンのことを思い出しながらも彼女が今どうしているのか少し気になっていた。アタシのこと今でも好きで居てくれているのかな、スマホの真っ暗な画面を見つめながらもアタシは渚のことを思っていた。

 

 

 

 

「千里、どうしたんだよ?そんなに慌てて」

 

 恵梨に言われた通り、アタシは竜弥と一緒に水族館に来ていた。

 此処の水族館は調べた限りではシャチのショーが有名ということで竜弥の手を引っ張りながらもその会場へと向かい、雨具を従業員の方から買ってアタシは前に座ろうと竜弥に言う。

 

「前に行こうって……正気か?」

 

 アタシは竜弥にその方が楽しいじゃんと伝えると、竜弥にもそれが伝わったのかアタシ達は前に座ると案の定水飛沫を浴びることになる。冷たい水がアタシ達の頭や体に容赦なく降り注いでいたが、楽しくなっていた。わーわーきゃーきゃー言えたらもっと楽しかったかもしれないけど、それでもアタシは今が楽しくてしょうがなかった。竜弥といるこの二人の空間が……。隣にいる竜弥も楽しくなってきたのか、凄く楽しいと言っていた。

 

 

 

 

「すげえ楽しかったな千里!あいつら全然容赦なくて俺に滅茶苦茶かけてきたけど……」

 

 まるでサービスだと言わんばかりに竜弥はかなりかけられていた。

 

「俺少し手洗い行ってくるから、ちょっと待っててくれ」

 

 頷いたのを見てから竜弥はお手洗いの方へと向かって行く……。

 少し暇になったアタシは近くの展示を見ていると、そこには鳥のような動物がいたがそれよりも気になっていたのはそこで動物を見つめている子が何処か見覚えのある子だったのだ。

 

 渚……?

 アタシは目の前の水槽に立っている人が渚のように見えていた。

 

「……Aya?」

 

 彼女が小さくそう呼んでいるのが聞こえていた。

 間違いない、目の前にいるあの子は……渚だ。アタシはノートを取り出す。

 

 

『渚だよね?』

 

 彼女は驚いている様子だった。

 まさか此処で渚と会うなんて思ってもいなかった。

 

「……喋れなくなったっていうのは本当だったんですね」

 

『ごめんね』

 

 渚、アタシが声を出なくなったことどう思っているのかな。

 アタシはバンドのボーカルを抜けるということになってからSNSのアカウントを更新もしていないし、SNSも見ていなかったから渚が今でもアタシのことを応援してくれているか分からないけど……。どう見てくれているのかな……アタシのこと。

 

「気にしないで、私は今でも貴方のことを応援してる。貴方が見せてくれた音を私は好きだからいつでも帰って来てくれるのを待っているから……。あっ、すいません!!いきなりタメ口で喋ってしまって……!!」

 

『大丈夫、タメ口でいいよ』

 

 渚は佇まいが清楚な女の子って感じがする子なんだけど好きなことの話をしていると盛り上がってしまう癖があるようだった。アタシが路上ライブで偶々声を掛けたとき、好きなことあるの?と聞いたら、動物や自然と言われて数分ぐらいボウリングの話をしていてよっぽど好きなんだなと感じていたのだ。

 

『一人で来たの?』

 

「う、うん……!!前にも千里に言ったかもしれないけど、私自然や動物が大好きなの。こうやって水槽を見ているだけで凄く楽しくて……。目の前にいるこのエトピリカってアイヌ語でくちばしが美しいって由来があるの。この国にも生息していたみたいなんだけど、今では数羽程度しか生息していないの。それでね、それで……」

 

 渚が楽しそうに話しているところを見て本当に自然が好きなんだということが伝わっていた。

 アタシのことを話すときもこんなふうにいつも楽しそうに笑ってくれているから渚の声援はいつも助かっていた。アタシは渚の話をそれから数分ぐらい聞いていたが、特に飽きることはなく話を聞いていると自分で数分ぐらい話していたことに気づいたのか渚がアタシに謝って来る。

 

「ご、ごめん千里!!凄い一人で話してて……。あっ、そうだ。千里は誰かと一緒に来たの?」

 

 アタシはなんて彼女に説明しようか、迷っていた。

 渚は竜弥のことは知っている。偶々渚と話しているときに竜弥ともばったり会ってしまって渚はなんとなく察してくれていたようだったから普通に彼氏と言っても良い気がするけど、アタシと竜弥は付き合っている関係なのかと言われたら……どうなんだろう。確かにあのとき、竜弥は告白しようとしてくれていたけど。

 

「もしかしてあの男の子と来てるの?」

 

 アタシはそのまま渚の言葉に頷いていた。

 渚は口は軽い方ではないからきっと他に人に言ったりしないはず。

 

「う~!!そっか、そうなんだ……!!あっ、ご、ごめんね千里」

 

 渚は喜んでいる様子で大声を出しそうになっていたのを自分の口元に手を当てながらも少し恥ずかしそうにしているのを見て「気にしないで」と言わんばかりにアタシは首を横に振っていた。

 

「あーえっと……これ以上話していたら彼氏さんに迷惑……だよね?」

 

 別に迷惑じゃないけど、そろそろ戻らないと竜弥も心配する頃かもしれない。

 渚も竜弥のことを心配してくれているようだし、此処はお言葉に甘えよう。アタシは渚に頷いてから『じゃあね、それと……ありがとう』と書いてあるノートを見せながらもその場を離れることにした。

 

 嬉しかったな。

 声を失っていてもアタシのことを思い続けてくれているこんなに嬉しいことがあるもんか……。暖かい気持ちになりながらもアタシはそれからも竜弥と一緒に自然というものを見つめていた。

 

 

 

『今日はありがとうね』

 

 体が芯の内から温まるような感覚がアタシの中でずっと続きながらも水族から出て、バスに乗りそのまま東京に着いたアタシ達は電車に乗ってアタシの家まで竜弥が送ってくれていた。

 

「ああ、気にするなよ千里……。そのなんだ……またこうやって二人で出かけねえか?」

 

 『いいの?』という表情を浮かべていると、竜弥は少し照れ臭そうにしながらも頭の裏を掻きながらも竜弥は言葉を続けていた。

 

「二人で出掛けるなんてあんまり出来ないかもしれねえから、だからどうだ?」

 

『嬉しい』

 

 と書くと、竜弥は顔を真っ赤にしながらもその場を去って行くのをアタシは見ながらも可愛いな竜弥となっていた。自分で言っておいてああいうことを言うのはかなり恥じらいというものがあったんだろう。だからああやってアタシに言った後に逃げるようにして去って行ったんだ。これから楽しみだな、竜弥と一緒に色んなところに出掛けるの……。今度は自分でちゃんと考えた場所で行きたいな……、なんて考えていたが結局竜弥がこれ以上何処かに誘ってくれることはなかった。

 

 

 

 竜弥がアタシのことを誘うと言ってくれてから大体、二ヶ月ぐらいが経っていた。あの後竜弥は「忙しくて中々行けねえんだ悪い」と言っていたが何処かアタシは不安になっていたが、それと同時に少し心が落ち着くような出来事もあった。

 

「千里、私さちょっとの間自分のことを見えなかったのかもしれない……。千里の為に居場所を守らないといけないなんてずっと意固地になってさ……。それで周りのことも振り切ってたりしていたら馬鹿みたいだよね。それじゃあ誰かに響くこともないのに……だから、私ね。千里の為にも頑張るけど……みんなに寄り添えるような歌で頑張ってみせるから!!」

 

 恵梨、私が声を失ってから……竜弥が刺されてからずっと苦労を抱えて来たんだと思う。

 でもこれ以上恵梨にも琉藍達にも迷惑を掛ける訳にはいかないのかもしれない。決断しなくちゃいけないときが迫って来ているのかもしれない。今後のことを考えて……。

 

 

 

 

 渚やみんなには悪いけど、アタシはこれ以上恵梨達にも迷惑をかけることが出来ない。恵梨は自分を見つけることが出来ていたみたいだけど、アタシの声がいつ戻るのかも分からない。だったら此処でちゃんと決断しなきゃ駄目だ……。その思いをアタシは卒業式まで胸に潜めさせたのはきっとアタシの悪いところが出ていた。

 

 

 

 

 卒業式の日、アタシは竜弥に話しかけることが出来なかった。

 いつもならノートに文字を書いて竜弥の肩を少し叩いて話しかけたりしていたのに今のアタシには竜弥が何処か遠くの存在のように見えてしまっていたような気がしていたんだ。話しかけさえすればきっとアタシはいつものようになれていたはずなのにアタシはこのとき、本当に話しかけることが出来なかった。怖かったんだ、後ろ姿から見える竜弥の姿が……。

 

 それでもアタシは卒業式を終えた後、竜弥のことが不安になって恵梨達に連絡したのだ。竜弥に連絡を取れないと……。

 

 

 

 

 その後、竜弥からの連絡はめっきり途絶えてしまった。

 全員が竜弥は何処に居なかったというなか、恵梨は身体を震わせながらも「知らない」と言うだけでそれ以上何も言わなかった。なにより恵梨の目つきが怖かった。なにかを憎んでいるようなあの目が……。

 

 

 

 

『ごめん……』

 

「いいよ、千里。気にしないで!」

 

 香織がアタシの背中を軽く叩きながらも笑顔で言ってくれていた。バンドの解散を切り出そうとした呼んだライブハウスに呼んだアタシだったが一番最初にその話題を切り出してきたのは意外にも香織だった。香織は病状を心配してくれてなによりもこれから先は恵梨の負担にも繋がりかねないという判断の下、バンドを解散しようということになったのだ。

 

 アタシはバンドのボーカルでリ―ダーでもあったのに自分の口から説明できなかったことを少し複雑な気分になりながらもアタシ達はバンドを解散することになってしまった。恵梨は終始何も言わずいて、琉藍は「まあ、だよねー」と言った感じの様子だった。アタシ達はバンドの解散を告げた後、一曲も演奏することなくアタシ達はライブハウスを出ることにしていた。まるでこのバンドは解散と言われた時点で終わってしまったかのようであり、奏でることはもうできないと言われてる気分だったのだ。

 

 

 

 

 

 

「千里、今日学校終わったら外で食べに行かない?」

 

 音大に入ったアタシに待っていたのは案外楽しい大学生活だった。アタシに今話しかけているのは渚。まさか渚が同じ大学に入っていたと知ったときは本当に目が点になっていた。

 

「風夏も行くでしょ?」

 

 アタシが首を縦に振ると、隣にいる風夏にも声をかけていた。

 風夏はアタシと同じ大学で渚の紹介でアタシのライブに来ていた友達の子だった。最初はアタシだと気づいたときかなり畏っていたけど今ではちょっと過保護だけど気を遣ってくれている。

 

「ごめん、私どうしても外せない用事あるんだ!二人で楽しんで来て」

 

 風夏は両手を合わせながら「本当にごめん!!」と言っていた。

 

「うーん、分かった!それじゃあまた今度ね風夏!!」

 

 渚はアタシや風夏といるとき、いつも楽しそうに笑っている。あんなふうに無邪気に笑えるのなんて本当に凄いとすら思えてしまうほどだけど風夏もアタシもきっと渚の前では楽しかったのは一緒だろう。実際、音大に入って楽しかったのはこの2人がいてくれたからだ。声が出ないアタシはいつも周りの生徒から気を遣って貰えることが多すぎてなんとか大丈夫対応としても周りも善意でしてくれるから何も言うことができないでいた。

 

 ただ、渚は違った。

 渚はアタシがある程度は出来ると信じてくれているのかアタシにあまり気を遣わず、一人の人間として扱ってくれることが多い。アタシがノートに文字を書かなくても視線や表情、わずかな頷きだけで分かってくれることが多い。日常的にアタシのことを「人」として扱ってくれているのが分かる。前になんで分かるの?と聞いたら、「推しだから分かるのかな?」と言っていた。それを聞いて、アタシは嬉しくもありなんとなく分かるような気がしていた。好きな人のことだからこそ何が言いたいのか分かる。ただ、好きな場合多少曲解も混ざることもあるかもしれないが渚の場合は違った。的確に見抜いてくれていたのだ。

 

 勿論、風夏がそれが出来ないと言う訳ではないが風夏は率先してアタシの代わりに気持ちを伝えようとしてしまう。それが彼女の優しさだと分かっているがそれでも少しばかり自分でも気持ちを伝えたいという気分になってしまっていたのだが、最近はアタシの気持ちに気づき始めてたのか、何かを率先して手伝うということはしないようになってきていた。ただ、どうしてもアタシが困っているようだったら助けてはくれているのは本当に感謝している。

 

「此処の喫茶店!!ほら、千里も行こう!!」

 

 渚に背中を押されながらも喫茶店の前に行くと、アタシはこの喫茶店に何か違和感のようなものを感じていた。この喫茶店、何処かで見覚えがあるような……。アタシはある男性の店員さんが目に入り、ある人の面影を思い出していると、渚と風夏が喫茶店の中へと入ろうとしているのを見てアタシはもう一度男性の方を見てアタシは確信した。

 

 

 

 

「りゅう……や……?」

 

 長い沈黙の中にいたアタシが、唇をわずかに動かせながらもかすかに掠れるような音が出たような気がしていた。

 

「千里、声……」

 

 渚はアタシが声が出ていることに気づいている。渚が気づいてくれたおかげでアタシも自分の声が発せられていることにようやく気づいたのだ。久しぶりのものだったあまり、自分の声がこんなだったのだろうかと違和感を覚えながらもアタシは喫茶店のその場を離れるようにして走り出した。

 

「いま……いま……竜弥には……会えない……!!」

 

 自分が声を出せたことよりも今は目の前で再会しそうになっていた竜弥から逃げることの方が大事だった。アタシが今まで声を出そうとしても出なかった。勇気をどれだけ振り絞っても出る事はなかったのに今こうして声が出ているということは間違いなく竜弥と再会出来そうになったからお礼は言いたい。久しぶりって言いたい。

 

 

 でも……。

 

「こわ……い、竜弥に…‥会うの……怖い……」

 

 呼吸を荒くしながらもアタシは自分が一つずつ言葉を発していることを確認出来ていた。

 

「千里、大丈夫!?」

 

 何処かも分からない場所まで逃げて来ていたが、渚はアタシにちゃんとついて来てくれていた。駆け寄って来て「大丈夫?」と言ってくれていた。

 

「ごめん、急に……走って……」

 

 一言、一言はっきりと口に出すことはまだ困難だったが言葉は出ている。

 

「千里、あそこの喫茶店に居た男の人の男性……千里の彼氏だよね?」

 

「そう……だね」

 

 渚は気づいていたんだ。

 あそこの喫茶店で自動ドアの方で接客をしていた男性が竜弥だということを……。気づいていたから少し申し訳そうにしているんだ。自分があの喫茶店に連れてきてしまったことを……。そして、竜弥のことを聞きたそうにしているけど、どう見ても聞くべきじゃないと迷っているようにも見えている。

 

「ごめん、今日は……帰るね……」

 

 渚はアタシのことを追いかけることはなく「じゃあね」と言って帰ることにしていた。

 今日は一人にしてあげた方がいいと判断してくれたんだろう。その判断はアタシにとってとても嬉しかった。家に帰り扉を開けて、入ろうとしたときアタシは無意識に声を出していた。

 

 

 

 

「ただいま……」

 

「おかえ……り、貴方千里が声を取り戻しているわよ!?」

 

「なんだって!?」

 

 家に帰って来て昔のように「ただいま」と言うと、お母さんたちは驚きの声を出していた。その日はお母さんたちが喜びのあまり、いきなりご馳走を作り出したりと大変だった。ご馳走を食べた後、香織達にも声が出るようになったと連絡すると……。

 

 

 

 

「えぇ!?千里、声出るようになったの!?」

 

「う、うん……」

 

「そっかぁ!!良かったよぉぉぉ!!私、このまま声が出なかったら本当にどうしようかと思っていたんだよ……!!」

 

 香織が電話口から凄くワンワンと泣いている声が聞こえている。

 アタシは元気そうな香織の声を聞こえてほっこりとしていると、琉藍が溜め息を吐きながらも声を出す。

 

「五月蠅いよーヒメ……。良かったね、チサ」

 

 その後も二人とは会話を続けていた。最近大学での出来事や大学の友人である渚や風夏の話を話していた。高校時代の友達ということもあり、アタシは凄く話していて楽しくなってしまい長時間電話を掛けてしまっていたことを後になって気づいていたけど本当に言葉を口にするということが久しぶりだったあまり、アタシは延々と喋っていたのだ。恵梨も此処に居てくれたらどれだけ良かったかな……。アタシの声を聞いて欲しかったな、と少し寂しくなっていると電話を切った後ぐらいに恵梨から「良かったね」という連絡が来ていた。

 

「これからまた……アタシの音を……紡ぐこと……できるのかな。出来ると……いいな」

 

 今はまだ声を出す事は完全には出来ていない。

 それでもアタシは自分の口から音を奏でることがまた叶うかもしれないという夢が楽しみになっていた。

 

 

 

 

 

 

「まさかこんなに喋られるようになる日が来るなんて……」

 

 大学二年生になった頃、アタシは声が完全に出るようになっていた。

 時々声が出なくなることがあったものの今ではこうして声を出せるようになっている。お医者さん曰く此処まで早くに良くなることは奇跡的に近いことらしく、何かしらのキッカケのおかげだと言っていた。

 

「キッカケ……」

 

 それはきっと竜弥にまた会うことが出来たらに違いない。

 その後は時間の流れを進んだおかげなのか声が出るようになっていたけど……。

 

「はぁ~、このレッサーパンダのぬいぐるみ凄く可愛い!!」

 

 レッサーパンダのぬいぐるみに頬ずりをしている渚。

 

「渚、本当にレッサーパンダ好きだよね」

 

「だって、こんなに可愛いと、連れて帰らない訳にはいかないよ」

 

 テーブル席に座っているアタシ達。

 今は動物園に来ていてある程度動物を見終えており、渚はお土産屋さんで大好きなレッサーパンダのぬいぐるみを買って自分の頬に当てながらも幸せ時間を大変味わっているのを見てアタシと風夏は顔を合わせてお互いに笑い合っていた。

 

「渚、そんなに抱きしめてたらぬいぐるみが潰れちゃうよ?」

 

 と本気で心配そうにしている風夏を見てアタシは声を出して笑ってしまう。

 

「そ、そうだね……。でも、だって……ふわふわしてるし、つい……ふふっ」

 

 ぬいぐるみを抱きしめる彼女の仕草には、無邪気さと優しさが詰まっていて、周囲をほんのりと温かな空気で包んでいた。渚の顔は蕩けており、風夏はそんな渚のことを「ぬいぐるみ壊れちゃうよ?」とまた心配そうにしているのを見ながらも、アタシはこのまま竜弥と再会することなく今の人生を楽しむのも悪くない。

 

 だって、アタシのことを対等に接してくれていつも風夏やアタシと居るとき楽しそうに明るく話しくれている渚。彼女は普段はキーボードが得意で歌は人を安らげるような歌が得意で上手で清楚な女の子って感じだけどアタシや好きなことに関しては茶目っ気たっぷりで笑っていることが多い。そんな渚と居ることが楽しい。竜弥のことだって風夏に話してくれて居ないようだったみたいだし……。

 

 風夏は凄くお人好しで優しい子。いつも口の中にホットドッグを美味しそうに頬張っていている。そんな彼女はゲームが得意で歌も明るく元気でって感じで聞いていてこっちまでも笑顔になれる。なにより、いつでも明るいからアタシは風夏のそういう底抜けて明るいところに助けられている。本当に感謝しかない。

 

 このまま、竜弥のことなんて忘れて今の人生を楽しむ。

 それも悪くないとすら感じていたけど……アタシは……。

 

 

 

 

 

 

 

 諦めることが出来なかった、竜弥のことを……。

 およそ半年以上ぶりに来た喫茶店の前、今此処で喫茶店の中に入れば竜弥に会うことが出来る。それでアタシの時は進むことが出来るかもしれない。アタシは喫茶店の前で入るか、入らないかで迷いながらも時計の針がどんどん進んで行く……。時の流れというものを感じながらもいると、喫茶店の中からサングラスを付けてマスクを付けて帽子をかぶっている。どう見ても不審者にしか見えないその人が出てくるのを見てアタシは入口から退こうとしたとき、アタシは違和感を覚えた。

 

「……恵梨?」

 

 突如、アタシの腕は掴まれてそのまま喫茶店の方から少し離れた場所まで連れてかれる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 息を荒くしながらもマスクを外しサングラスも外すと、アタシが言葉にした通り目の前にいたのは恵梨だったのだ。

 

「恵梨、もしかして……」

 

「私、行ってないから竜弥のところなんて行ってないからね千里……!!あんな奴、私は大嫌いだから!!千里のことを裏切ったあいつなんて……!!私はただあいつに嫌いって目線を送ってただけだし!!私のことにも気づかないあいつなんて知らないから!!」

 

「恵梨、そっか……話せなかったんだね……」

 

 恵梨藍の複雑な表情を見てアタシはようやく目を覚まされた気がしていた。

 アタシは逃げていただけなんだ。何度か竜弥が働いている喫茶店の方へと歩き出そうとしていたが、その足取りを止めていた。勇気がなかったんだ、アタシには……。彼と話したい、近づきたいという気持ちが渦巻いているというのに彼に今のアタシの言葉が上手く伝わるのかという不安が押し寄せ、結局アタシは逃げてしまっていた。あの日窓越しに見える彼の目は優しく輝いていたけれど、その優しさが逆にアタシの臆病さを際立たせていた。

 

「アタシの代わりに今まであの喫茶店に行ってくれてありがとう……恵梨」

 

「わ、私は別に千里の為とかじゃなくて……。ただ小腹が空いたからあそこの喫茶店に何度か行っていただけで……それで偶々竜弥の馬鹿が居たから……」

 

「そっか、何回も行ってくれていたんだ」

 

「い、行ってない……!!行ってないからね千里!?」

 

 暫く恵梨とはあまり会話をすることはなかった。

 恵梨はきっと竜弥だけじゃなくアタシのことを恨んでいるんだろうな……と少し後悔していたからだ。でも、こうして恵梨と会話をして昔の友達と話すのも悪くなかった。今を生きようともしていたアタシにとってやっぱり竜弥と話そうと決心がついたのはそれもあるが、なによりもこれ以上恵梨が此処まで勇気を見せてくれたならアタシも頑張ってみたかったんだ。

 

「もう後はアタシに任せて、竜弥ともちゃんと話してみせるから」

 

 後一歩の勇気を踏み出せば竜弥と話せるのだから……。

 そして、次の日……アタシはあの日……。

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝、少し冷え込んできた空気の中で、アタシはふらりと近所の公園に足を向けていた。竜弥が働く喫茶店に行く前に少しの間だけ公園で走ろうとしていたのだ。公園に行くと、その周りには散歩をしているお爺ちゃん、お婆ちゃんの様子がありベンチの方に一瞬目を向けると、そこには見覚えのある髪色、顔つきの人がベンチに座っている。

 

「竜弥……」

 

 間違いない、アタシが竜弥のことを見間違える訳がない。

 

「そっか……やっぱ怖いんだアタシ……」

 

 どれだけ後もう少しの勇気を振り絞ればいいと言いながらもアタシの中で竜弥と会って話をするということはとんでもない大きな覚悟と勇気がいること。それを少しだけの勇気でなんとなくなるなんてアタシは見誤っていた。そんな愚かで意気地なしアタシを自嘲しながらもアタシは最後の勇気を振り絞って息を吸う。

 

 

 

 

「竜弥?樫川竜弥だよね……?」

 

 もう逃げるだけの人生とはおさらばだ……。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!!」

 

 竜弥、アタシの声届いていた……?

 一度はアタシの声は失われたけどアタシは竜弥のことをこれっぽちも恨んでなんかいないよ。寧ろ、こうやって竜弥と再会出来て良かったって思えていたんだから。伝わっていると嬉しいけど、いや……もう伝わってるよね竜弥。

 

 

 

 

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