傷だらけな多重人格の青年は泥臭くもVtuberとして呼吸をする 作:村上トオル
今日という日を迎えるにあたっての意気込みとかそういうものは特になかった。
ただあるとすればいつもは使わないチョコミントのアイスを配信前に食べたりして、意外と歯磨き粉も悪くないなーと感じながらも新しいものを口の中に入れるという行為をしていた。そういう行動をしてたこともあってか、私は自然とこの配信で新しい風が吹けばいいなんていう心構えでいた。
ゲームが上手いとかゲームが詳しいとかそういう配信者だとかVは星の数ほど入れど日の目を浴びることは中々少ない。今回参加する三人はまあVの中で言うなら割と知られている分類に入るけど、それでももっとこの三人は知られるべきだと思うし、サユの歌だってかなり凄いんだって言うことをもっともっと知られて欲しいんだよねぇ。そりゃあ、他の三人に比べたら歌唱力は低いかもしれないけどV初めてから滅茶苦茶努力して歌唱力を鍛えたところとか本当に涙腺無しでは語れないからさ。
「って、そろそろ時間じゃん……。準備しないと……」
スタジオの前に戻ると、既に解説役がスタジオの中へと戻って来ていた。
謝りながらも慌てて謝罪をしながらも私は配信の開始を合図をスタッフに送っていた。
この五本勝負にどれだけの闘志がぶつかり合うのか、本当に今から楽しみでしょうがない……。
両肩をそれぞれ左右じっくりと回した後に気合を入れる為に自分の頬を叩きながらも目を開いていた。
「さぁ、始まりました!!最強決定戦……!!!実況は私、城崎ハクです!!」
始まってしまった、今回の配信……。
視聴者数を見るとそれなりの人数の人達がこの配信を見に来てくれているらしい。ぶっちゃけ、それなりとは言え自分の予想の範囲内を大きく超える人達が集まってきていたから漫画で言う目を飛び出したような表情を今にもしそうになっていた。いや、実際にあんなのできないけど……。
「そして、本日は解説の方をお呼びしております。この方もまたゲームの
「こんマナー!!どうも初めましての方は初めまして、解説の神代マナです」
「という訳で、解説にはこの三人にも匹敵するレベルの神代マナさんに来てもらいました!!今日はありがとうね!!来てくれて!!」
「あーいえいえ、私なんて奏多君やロウガ君に比べたら全然ですよ。それにサユもなんだかんだ言って強いですから」
と謙遜しているけど彼女がゲームを強いのは滅茶苦茶強いのは把握している。
本当だったら、意地でもあの三人だけじゃなくて四人というか五人にしたかったけど、一人はVじゃないから場違い感出るし、神代マナはそもそも誘ったときに解説役なら出たいって言われたんだよね。本人曰く、サユからあの二人のことを聞いていたからあの三人での勝負に興味があるらしい。いいねいいね最高だね、
「やばいやばい、興奮し過ぎた……」
水を飲むことで自分の心を一旦落ち着かせる。多分私の視聴者には今私が興奮していたのがモロバレているだろうけど私の視聴者だけにバレているなら大丈夫。あーそうだ、結衣ちゃんとかも誘いたかったけどあの子はそもそも配信者でもVじゃないしそもそも盟友の許可取れなそうだから止めたんだよね。普通に嫌がられそうだし。
「いやいや、そんなことないって。マナも結構ゲーム上手いじゃん?ほら、今回の参加者にいるあの子とかよくボコしてるじゃんよ?」
「あーあの子ですか?確かに私とよく大会とかで当たるときはありますけど、結構接戦のときが多いですよ?」
否定していたけど、実際は違うのを知っている。
というかサユとかとも大会とかで別のチームになったりすることがあるけど、この二人は基本的にマナにフルボッコにされていることが多い。彼女の末恐ろしい部分は明るくて元気ではあるものの、対戦型ゲームにおいては味方にとっては心強いが敵にすると凶悪な存在になる。
彼女がどの程度凶悪な存在というと、一番の要因としては尋常じゃないほどの精神力の強さ、逆境への耐性。対戦型ゲームにおいては、劣勢時やミスをしたときにメンタルを崩れる奴が多かったりするけど、彼女は全く違う。逆境に強く、プレッシャーにも屈しない精神力を持っている。例えチームが不利な状況にあっても「まだやれる」と鼓舞し、自分の行動で局面をひっくり返す力を発揮できる為、味方にとっては頼もしく、敵にとっては厄介な存在でしかない。そのため、優勝できると思っていたチームがマナのチームに爪痕を残されるというのもザラでもない話なのだ。
「やっぱこの子この勝負出すべきだったんじゃないかなぁ!?」
いや、個人的に見たい勝負で言うならあの三人だったかもしれないけど此処に更にマナいた方がかなり面白くない!!?ってもう始まってしまったことをどうこう言ってても仕方ない。私達が出来るのはこの勝負を実況、解説して更に熱量を高めることなんだから。
「という訳で今回参加することになりました出場者三名のご紹介に移りますね」
「そ、そうだね」
マイクの音声を切って机にヘドバンを決めてから私は自分を落ち着かせてから再度マイクを入れていた。どうせこれも私の視聴者にはバレている。というかコメントでさっき見かけたし、私がヘドバンしてるとかっていうコメント……。私が参加者の名前を挙げながらもマナが出場者について軽く話をしていた。
「浜羽サユについてはどう思う?マナ」
「あーまあ、普段はちょっと雑絡みが……しつこいですけどゲームの実力は確かなので期待したいですね!」
『浜羽サユ:期待してくれや!!』
『本人いて草』
『マナサユはあります』
「マナサユはないですからねー、という訳で。参加者三名が勢揃いしましたけど実況のハクさんとしては一押しの選手とみたいのは居ますかね?」
「うーーーん、そうですね。個人的には青空奏多に期待したいですね」
『あれ後輩じゃないの?』
『ちょっと意外』
やっぱり、こういうコメントが流れて来るよね。
まあ、当然だと思うけど……。
「リスナーからも意外という声が届いておりますが、因みにいったいどう理由ですか?」
「あーそうだね、彼を押すのには少し理由があって……。此処最近彼の実力ってかなり上がって来ていて実は私個人としてもかなり注目していたんですよ。それでどうしてこんなにも実力が上がって来たのかというと、やっぱり切磋琢磨する仲間がいたからだと思うんですよ。そういうのって凄く大事で例えば、マナだとかサユも当然なんですけど。やっぱり、ロウガだとかメアとかそういう人達に出会えたのが大きいんじゃないかって個人的に思うんだよね」
危ない、昂り過ぎてこういう関係性って良いよね!!?とか言いそうになっていた。
こればっかりは私の私情と好みを入れ過ぎてダメになってしまうところだった。
「なるほど、確かに私から見ても奏多君はかなり成長してきた子だと思いますし注目していきたいですね!!」
「はい、そうですね!!では最初のゲームの準備を致しますので少々お待ちください!!」
最初のゲームの解説に入る前に準備をする為の少しばかりの休息タイムが設けられていた。
ペットボトルを手に取って勢いよく水を飲み終えていると、マナが私に声を掛けて来る。
「注目の参加者のとき、ロウガ君の名前出さなかったのは焚きつける為だったりする?」
「そうだね、盟友は……。竜弥の今の実力を考えれば勝てたとしても一勝ぐらいだと思う……。でも……」
「
「最強だよ……!!」