傷だらけな多重人格の青年は泥臭くもVtuberとして呼吸をする   作:村上トオル

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最終章 答えの果てに
夢の一歩への大会


「それで明日、大会なのに電話してる余裕なんてあるんか?」

 

「うっさいなぁ紀帆は……。仕方ないじゃん、明日の大会正直かなりキツいんだからさぁ……」

 

「珍しく偉く弱気やな」

 

「そりゃあそうだよ……」

 

 電話している相手は紀帆だった。

 大会の前日、僕は夜に紀帆に電話をしていた。最初の方、風夏さんの声が聞こえていたから多分まだこっちにいる……。いつまで東京にいるんだこの人……。

 

「今回の大会はジャーヴィスっていう海外のストリーマーが参加しているんだよ」

 

「ジャーヴィス?ああ、確かわずか15歳で天才的までな腕前をしていると言われているガキのことやろ?それがどないしたんや?」

 

「は?いやいや、知ってるなら僕が何言いたいのか分かるでしょ?相手はあのジャーヴィスなんだよ?どういう奴なのか知ってるでしょ、あいつは圧倒的なプレイスタイルで今まで色んなゲーム大会を優勝してきた。今回僕が参加するゲームで例を挙げるなら、使用率最下位と呼ばれるキャラを使って見事大会に優勝して尚且つ使用率を上げるのに貢献したキャラなんだよ?おかげで強化入らなかったらしいけどね!」

 

 投げやり気味で最後にどうでもいい情報を補足すると、紀帆がそれに鼻で笑っていた。

 

「なんや?ウチに泣き寝入りしたくて電話してきたんか?頭撫でながらいい子いい子して欲しいなら、竜弥か亜都沙に電話すれば良かったやないか」

 

「なっ!?別にいい子いい子して欲しかった訳じゃないし……!というか紀帆にされたくないし……!!」

 

「なんや可愛げのないガキやな」

 

 紀帆にいい子いい子されるぐらいなら恵梨さ……いやいや、あの人割と厳しい人だしそういうのは絶対してくれないって……。大会優勝したご褒美ならしてくれるのかもしれない……けど。ってなに馬鹿な考えしてんだ僕……。

 

「で、少しは緊張解れたんか?」

 

「紀帆のくだらない冗談のおかげで多少は」

 

「ほーん?言うやないか、ガキ……。一応言っておくけどなぁ、明日の大会負けたりしたら許さんからな」

 

「負けるつもりはないけど、なんで?」

 

 負けるつもりなんて更々ないけど、嬉しかった。

 紀帆なりに僕のことを応援してくれているんだとなれたから……。まあ、紀帆は割と熱い性格だからこういうこと言ってくれるのを期待しているところはあったけど。

 

「そりゃあ、当たり前やろ?あんだけウチらと激しいぶつかり合いしたのにそれで大会では負けて帰って来ましたなんて結果伝えたら、腹パンしたるからな」

 

「暴力に出るって本気かよ……。まあ……でも言われるまでもないよ」

 

 

 

 

「僕はこの大会、絶対に優勝してくるから……」

 

 こういう台詞を吐くのは、くさいとか言われるのかもしれないけど僕は恥じらいなんてない。

 少なくとも、今目の前にある大会に対してこのぐらいの言葉を勇気、決意として示さなきゃ意味がないと判断していた。紀帆に電話する前から緊張なんてものはほんの僅かしかなかった。勝てる戦に出るなんて馬鹿らしいことを吐き捨てるつもりはないけど、負け戦にするつもりもなかったからこそあの二人に電話はしていなかった。

 

 

 

 

 亜都沙さんや竜弥さんには……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、大会本日がやって来ていた。

 此処まで来るともう俺には迷いなんてものは無くなっていた。前日までは本当に僅かだけ緊張している感はあったけど、此処まで来たら最早変な高揚感すらあったけど、上がり過ぎないように気を付けていた。こういうとき、高揚感を上げ過ぎるとハイになってしまってまともな指揮を出来なくなってしまう。俺はこのチームのリーダー……。このゲームでリーダーを任されることは何度もあったからもう慣れて来ていたけど、こういう大会で初めてリーダーになったときは指示をしたりするのがやっとで自分のプレイと全く噛み合わない歯痒いものになってしまった。今にしてみれば苦い思い出だけど、教訓でもある。今回一緒に組んでいるのは海外のプレイヤーの人達だから尚更気を引き締めないと、まあ英語は喋れなくはないしカスタムやった感じお互いに意志疎通は取れてる、大丈夫だ。

 

「はーい、カナタ元気してるかい?」

 

「……え!?」

 

 自分の耳を疑っている。

 何故なら、聞こえて来たのはジャーヴィスの声だったからだ。

 

「大会が始まる前にキミに挨拶をしておきたいと思ってね」

 

「え?お、俺に……?」

 

 今、コメント欄が俺の視界にあればきっと盛り上がっていることだったろう。

 それもそのはず、あのジャーヴィスが俺に話しかけて来ているんだから。俺と同じチームの他の二人も動揺している……。

 

「あーえっと、俺に何の用ですかね?」

 

「おいおい、そんなに堅苦しくしなくていいさ。見たところ、カナタは俺と歳は近いみたいだからね」

 

 リアルの年齢は一応非公開なんだけどな……。

 いや、エゴサしたときに割とガチ16歳にしか見えないって言われてるの知ってるけどさ……。

 

「あーそうそう、用ってのはキミへの宣戦布告をしてきたってところだよ」

 

「!!?」

 

 宣戦布告という言葉に俺は更に気を引き締めようとする。

 

「カナタ、キミのカスタムでの成績は分析させて貰った。他国の仲間と共に、一緒に大会を行動するというのは言語の壁もあって中々にキツいものだが、キミは見事それをやり遂げている。はっきり言って、お見事としか言いようがないよ。だけど、それも此処までだ……」

 

「今日は本番。毎カスタムでは必ず一位を君臨していたようだけど、この本番ではそうは行かない。だから、キミにはっきり言おう」

 

 

 

 

「この大会でキミ達のチームには一度たりとも玉座に立たせることはない」

 

 堂々たる宣言は耳に入れていて最早心地いいものだった。

 実力が伴っているからこそ苛ついたりしないことのかもしれないなんて冷静になりながらも俺は胸の奥で込み上げて来る闘志のようなものが湧き上がり始めている。

 

「ジャーヴィス……」

 

「なんだいカナタ?」

 

「……日本語、上手じゃねえか。俺より全然使い方上手いよ。でもな……」

 

 

 

 

「ゲームの腕は俺の方が上だ、勝つのは俺達だ……!首洗って待ってろよ……!!」

 

 白昼堂々の宣戦布告に返すものなんてのはこれぐらいでちょうどいい。

 煽られたから煽り返す。なんてのは馬鹿の行為なのかもしれないけど此処まで清々しいものに反応を示さない方がおかしいに決まっている。

 

「ああ、楽しみにしているよカナタ……それじゃあ戦場で会おう」

 

 ジャーヴィスは通話から抜けていた。

 その後、俺は仲間からあのジャーヴィスに話しかけられたことについて色々と聞かれていたりしていた。意外にもジャーヴィスと大会が一緒になったことがこれが初めてだということを伝えると、驚愕されていた。正直これに関しては仕方ないと思う。俺自体が、そもそも海外の選手やプレイヤーが参加している多くのゲーム大会に出ることになったのがつい最近だったから。今までは国内の大会で順調に成績を伸ばしてようやく海外の大会に参加できるようになって地道に実力を延ばしていてようやくこの舞台に立って、ジャーヴィスに出会えたという苦難の日々があったのを知っているのは俺と俺の配信を見てくれている視聴者ぐらいだ。それにしても、本当日本語上手いなあいつ……。

 

Let's do it(やってやろうぜ)!」

 

 俺が慣れていない英会話をすると、他の二人が笑いながらもこう言ってくれていた。

 

Let's give that kid a shot(あの子供に一泡吹かせてやろうぜ)

 

That's funny(そいつは面白いな)

 

 と二人はやる気満々だった。

 これから始まるこの戦いに高鳴っているのは俺だけじゃなかったのは確かだった……。

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だろ……」

 

 そう言いたくなるのも無理はなかった。

 カスタムではいい成績を納めていたからと言って、油断をしていたつもりはなかったがそれでもこの大会。最下位になる可能性は低いと判断していた。しかし、現実は違った。実際のところはジャーヴィスは自分達の力を見せつける為に早々と俺達の前に現れて蟻を踏みつけるようにして去って行ったんだ……。あの光る電飾野郎……!!

 

Kanata, are you okay(カナタ、大丈夫か)?」

 

 俺のことを心配してくれている味方の声が聞こえて来る。

 こうも次元を違い見せつけられると恐れる……。なんてことはなかった。

 

「|I'm going to think of it as being stepped on by an elephant.《ゾウに踏まれたと思うことにする》」

 

 若干自虐の意味を込めながら苦笑いしつつ次へと切り替えることにしていた……。

 

 

 

 

 第二戦目……。

 第二戦目は二回目の戦闘で漁夫の利に会ったことにより、俺達の舞台は一人のみとなっていた。なんとか逃げ延びて遮蔽に隠れたりして順位を伸ばす作戦に出ることにしていた。最終的には……三位という結果で終わった。三位で終わった理由としては、偶々通った部隊にそのまま撃ち殺されたという簡単な答えだったが、この順位を確定させたのはデカかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 三戦目の最終戦、これで全てが決まることになる。

 第一戦目が最下位。第二戦目が三位。第三戦目がこれから始まろうとしている。深呼吸で一旦落ち着こうとしているのと同時に、俺の視界にはズボンのポケットの中に入れていたスマホが気になって仕方なかった。竜弥さんに電話をしたいという欲が湧いていたんだ。だから、俺は自分でも気づかぬうちに膨らんでいるポケットを外側から触れようとしている。

 

 確かに電話をすれば竜弥さんなら助言を聴くことが出来る。

 もっと落ち着けるかもしれない。でも、それっていいんだろうか。俺は竜弥さんの助言や力を借りずにこの大会を優勝したいと最初から考えていた。なのに、竜弥さんの力を借りるということは……自分をブレさせることになるんじゃないだろうか。本当にそれで正しいんだろうか……。

 

『ありがとうございます!!絶対大事にします!!』

『僕は貴方に失望なんかしてませんよ』

『居なくなるのはもうやめてください!!!』

『あの二人を……絶対に越してみせてやる……!!』

 

 

 

 

「正しい訳ないだろ……!!」

 

 頭の中にあの人との記憶が蘇る度に、自分が情けなくなっていた。

 これほどまでに自分の記憶力が高かったことを良かったとなれたことは今ほどなかった。部屋に置いてあるサインを一度確認してから、俺は机の上を握り拳を作って強く叩いた。響く音と共にこう語り始める。

 

「あの人に頼るということは僕はあの人以上に強くなれない。憧れのあの人以上に……!!なのに、頼るなんてしたら意味ないだろうが……!!これ以上、四の五の言わない!!亜都沙さんにも頼らねえ!!」

 

 完全に言い切った後に……俺はあの言葉を思い出す。

 

『やっぱり、俺のことなんて完全に越してるよ恭平』

 

 あの人は俺にああ言ってくれていた。

 あれは謙遜なんかじゃない。間違いなく心からの本音……。あのとき俺は「いやいや!」となって、とりあえず保留みたいな形になったけど本当にあの人を越えるなら俺はあの人なんかに頼りたくない。頼るぐらいだったら……。

 

 

 

 

 

 

「死んだ方がマシだ……!!」

 

 自分が描きたかった夢の世界に尊敬している人の力を借りているようじゃ話にならない。

 この最終戦はこれまで以上に全身全霊を込めて骨身を削ってぶっ倒れるぐら……いやぶっ倒れる直前まで頭を全回転させてやる……。

 

 

 マイクのミュートを解除して、俺は始まろうとしてる最終戦に向けて意欲を固めていた。

 闘志を今まで以上に燃やせ、奮い立たせろ。自分の限界をこれまで以上に引き立たせろ。これから始まるこの最終戦は……。

 

 

 

 

 自分のチーム以外の全てのチームを蹂躙する覚悟で挑め……!!

 

 

 

 

Enemy in the building on the right(右の建物に敵だ)!!」

 

 最終戦……。

 本来であれば、下位チームが一位のチームに被せたりすることもあるが今回はジャーヴィスのチームが一位ということもあってなのか萎縮して被せるプレイヤーたちは居なかった。俺達も最初の内は被せることを作戦に組み込もうとしていたけど、俺の勝手な我が侭で被せることを取り消して貰った。ジャーヴィスとは本気の状態で戦いたかったからだ。これで負けたら俺の視聴者に戦犯って罵って貰うことも決めていた。

 

 そして、今は最初の拠点から移動した場所で戦闘が行われようとしていた。

 どうやらニパーティーによる戦闘が既に行われている状況。本来であれば、漁夫の利を狙って一チームを壊滅してから瀕死に近いもう一チームを倒すというのがお決まりだが、今回は違った。窓や扉から投擲武器を投げることによって、まず牽制を掛ける。ダメージが入ったことを確認してから……。

 

Don't scatter! Cover each other and defeat the enemy(散るな!カバーし合って敵を倒せ)!」

 

 散り張ることを注意しつつ、俺達は建物の中へと入って行く……。

 二チームには失礼だが、南無阿弥陀仏としか言いようがない。何故なら、この建物で戦闘を行い逃げ遅れた時点で勝敗なんてものはどうなるか決定していたからだ。

 

 戦況報告を見ると、まず味方の一人が敵を倒したことを確認出来ていた。

 それから俺の目の前に敵が現れることになる。当然、その敵は瀕死の状態で俺と打ち合いをすることになりその敵は俺の体力を僅かに削ってから最終戦を終えることになったのと同時に味方が敵を倒したことにより、一部隊が壊滅。戦況報告には此処に居たであろう他チームが他チーム同士で一人倒していたようだった。チッ、これじゃあ少しばかり自分の決意が木っ端恥かしくなるけどそのぐらいで気迫で行けばいいってだけだ。

 

「よしっ……」

 

 程無くして、建物から脱出を図ろうとしていた二名の敵も倒すことに成功する。

 これで一気に俺達のチームは5人を倒したことになったが、先ほどから報告にはジャーヴィスのキルログが何度も流れている。見た限りだと、敵を三人ほど倒しているだろうか……。本当、良くやるよとなりながらも俺達は倒した敵の物資を漁り終えて、次の場所へと移動することに決めていた。

 

 

 

 

 狩りを始めることになったこの最終戦……。

 第二の場所へと戦場は変わり果てようとしていた。今度の戦場は先ほどよりも修羅場だった。此処は最終収束地域付近というこもあって、押すな押すなの大盛況の大地獄になっていたのだ。そのチームの数はなんと5チーム……。ログを見た限りではまだ此処にはジャーヴィスは来ていないようだ。

 

 ……部隊はそれぞれ五つに分かれている。

 こういう場合、相手の動きに合わせて動くのが正しいけど……いや、どうやらそうこう言っているうちに機会が訪れたようだ。

 

「GO!!」

 

 合図と共に俺達も中央の場所へと集結していくことにする。

 そして、その場では戦闘が行われていたが、攻撃を仕掛けて中に入ろうとしていた部隊が逃げようとしている。そう、俺はこうなることを予測して襲撃を開始したのだ。このセブンティーンローズという場所はマップの中央に位置する場所であり、この大会のカスタムでも度々最終地点としてなることが多かった。そして、この場所は中に入れば入るほど有利に事が進むことが多く、その地点を得る為に日頃から争いが起きていた。だから、こうやって競い合いのようなことが起きるのも知っていた。日頃からこのゲームに粘着して分析してるからな……!!

 

「壊滅させたな……」

 

 逃げるという判断が遅れたチームがどうなるのか、見せしめにはいい機会になったのかもしれない。そう思いながらも、拠点内の真ん中を陣取ってる部隊を観察しながらも俺達は行動をしていた。先ほど、やって来ようとしていた部隊はあの5部隊に入っていない。つまりは、観測できる部隊は変わらずという地獄の状況。とはいえ、俺達は既に8キルという状況なのだが、どうにも安心できない自分がいる。それはきっとジャーヴィスのキル数が心残りだったからだろう。

 

「残り22人か……8部隊か」

 

 一人でそうボヤいていた……。

 

 

 

 

 

「やばいな……!」

 

 暫くこのセブンティーンローズでは激しい攻防が続いていた。

 少し失敗したところがあるとすれば、この拠点手に入れることが出来れば強大な武器になるのだが現状攻防を強いられていることもあってキル数を稼げないという本末転倒なことをしてしまったが策がない訳じゃなかった。

 

「warp!!」

 

 俺の指示の下、空間を作り出して貰う。

 そして、真ん中の拠点へと繋がる転移空間を作ってもらおうとしている。この時間が一番ハラハラドキドキするのは多分俺だけだ。

 

「OK!!」

 

 味方の言葉と同時にワープと共に誘拐されてきた敵の一人をまず確実に仕留めることに成功する。これによって、中央に居座る奴らをまず一人を減らすことに成功している。残り7人。4部隊……。まだ一人生存の奴が生き残ってるのか、自分達もさっきの試合で生存ムーブをしていたということもあってそれで順位を伸ばされると面倒なことになりそうだが、そろそろ収縮が始まる。最終地点は拠点の中央。残り二人の場所……。あそこを支配すれば、このゲームを大きく有利に進められる。

 

attack the center!(中央を攻める)!」

 

 その指示と共に俺達は空間の中へと入ると、敵と交戦することになるが……。

 

 

 

 

「What!!?」

 

 突如、味方がダウンさせられてしまう。

 このエリアの建物の中央には中と外があるのだが、外で交戦を仕掛けていたこともあって、狙撃銃によって攻撃されてしまっていた。冷静に分析している最中に交戦中の敵が確実に味方の一人を倒されるが激闘の末、敵を倒すことに成功する、即座に敵が倒されたことによって落としている物資から防具だけ一旦奪い取って、即戦闘態勢に入る。気づけば、残り部隊は2部隊となっていた。

 

 

 

 

「sorry……Take that son of a bitch down(あのクソ野郎を倒せ)!!」

 

 味方の一人が狙撃される。

 収束し始める地点と共にほぼ中距離から狙撃してきた相手が誰なのかはもう分かっていた。ああ、神様に感謝するよ。此処まで来たなら神様に祈りを捧げてやる。あの特色ある電飾が備わったスキンをしたキャラで誰なのか分かった。

 

 

 

 

 

 

 あいつは……ジャーヴィスだ。

 此処に来て一騎討ちが出来るということに感謝しかない。本当に感謝しかねえ。集中する、集中する。今まで以上に……。所詮は力の違いを見せられた。でも、今回は違う……。お互い、実力を見せてこの戦いが終わる。手に汗握るじゃねえか……!!

 

 

 

 

 

 

「来いジャーヴィス!!」

 

 銃を構えつつ、俺は射線を合わせる……。

 銃を撃ち続ける。ひたすらに撃ち続ける。俺が使っている武器は銃の弾速が早く、近距離で最も使いやすい武器だった。愛用の武器でもあり、この武器が運営に弱体化されたときは酷く落ち込んだときもあった。そんな日々を乗り越えて今もこうして握っている。画面に映り続けているジャーヴィスのキャラを一つ一つ狙い続けながらも、俺は撃ち続ける。当然、ジャーヴィスも俺に対して撃ち続けているが、一つだけ俺とは圧倒的に違う要因があった。

 

 

 

 

 

 

 それは俺には絶対に負けられない理由……。

 勝って、プロになって竜弥さん達に喜んでもらいたいという願望があったからだ……。だから、俺はこんなところで負けられなかった。そもそも此処は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢の一歩なんだよ!!!」

 

 手から、額から、汗が流れ落ちながらも俺はただこの勝負に全てを賭けようとしていた。そして、賭けた結果……。

 

 

 

 

 

 

 

 

『チャンピオンが決まりました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──最後の戦いを制したのは俺だった。そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 俺達の部隊はこの大会、優勝だった……。

 最終戦において、12キルという戦績に一位という成績が功を期したのだった……。

 

 

 

 

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