星狩りは愚かな世界を楽しみたくて!   作:すかいスライム

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会議室が古くて狭い

 

 

 

  あの激闘からしばらく。

 彼改めて、スタークとの協力関係が結ばれ、油断はできないが大きな戦力が確保できた。

 だからこそ、このタイミングで組織の今後しばらくの方針や個人の目標、課題点を認識しておくため、私は今回の会議を企画したのだが――

 

「何故、スターク。

あなたがいるのかしら?」

 

「アルファ、そりゃないぜ!

オレ達、協力関係だろ?」

 

「……言葉が足りなかったわね。

何故、前の拠点をわざわざ破壊して、完全に跡を消す努力した私達の当分の仮拠点にすでに先回りしているの?」

 

「ただの偶然だ。

お前達と別れた後、オレはここで体を休めてた、それだけだ」

 

 「……あなたとの関係はシャドウが決めたことだから異論はないのだけれど、私は七陰を率いる者として簡単に信用するわけにはいかないの。

でも、気分を害したのなら謝罪するけど」

 

「いーや、必要ない。

殊勝な心がけだと感心したぐらいだ。

信用はそのうち勝ち取るさ」

 

 室内にいる七陰全員を見る。

オレに向けられる視線はそれぞれだが、1人だけ明らかに違うヤツがいた。

顔を変えた時にやたら興味深そうに見ていた、陰気女だ。

 

「おい、お前。

穴開くぐらい見たところで、オレのことは何も分からないぞ」

 

「ん。

確かに……視覚から分かる……特徴は……普通の人。

……だから、興味ある!

ねぇ……スターク……解剖させて?」

 

  ――こいつ葛城と同じタイプの人種か。

 

ニヒルな笑みがオレを見つめる。

 

「悪いが名前も知らないヤツに解剖されるなんざ御免蒙るね」

 

「イータ。

これで……解剖していい?」

 

「………。

アルファ、どうにかしろ」

 

 突如、話を振られたアルファは少し動揺したように見えた。

 

「まだ、みんなの紹介が済んでないわ。

それを先に済ましてもいいかしら?」

 

「えぇー。

それ……解剖より……必要?」

 

「互いを知れば、より深くまで相手を理解できるはずよ」

 

「んー……そうかも?」

 

 半ば無理やり、説得を終え、ここから自己紹介が始まるようだ。

 

「まずは、この私……七陰第一席、アルファ。

シャドウガーデンの総指揮と統括を担当させてもらうわ。

人員が必要な作戦や計画には、随時参加する形となる。

要は、専門性の高い事柄を除いての『なんでも屋』ということ」

 

「言うだけなら簡単だが、その立場は責任重大だぞォ?」

 

「えぇ、粛々と務めさせてもらうわ。

次は……ベータ、お願い」

 

 オレの茶々を意に返さない冷静な女だ。

敵に回すと厄介だろうが、出会った時のように――崩れると弱い。

ある意味、オレとの相性は最高だな。

 

「七陰第二席、ベータです。

私は、情報の分析と記録、教団の調査および〈悪魔憑き〉の救助を担当します」

 

「デスクワークよりだな。

お前には世話になりそうだ、よろしく!」

 

「は、はい!

よろしくお願いします。」

 

 こうは言ったが特に言うことなしだな。

完全にアルファの劣化、代用品はいくらでもいそうだ。

 

「ここからの担当はまだみんなにも伝えていないから、本人の自己紹介の後に私とベータで補足するわ。

次はガンマね」

 

「七陰第三席、ガンマです。

これからよろしくお願いします」

 

「おォ〜、ガンマ‼︎

お前のことは憶えてるよォ!」

 

「えっ……私何かいたしましたか?」

 

 オレがはっきりと憶えていると言ったのが、ガンマの中で引っかかったようだ。

だがあんなモノを見せておいて、忘れろと言われる方が酷だ。

 

「何って、あんな見事な()()()()、忘れるわけないだろォ‼︎

ありゃ、傑作だった!」

 

「不意打ちって、私が転んだ――……っ⁉︎ 憶え方ぁあああ!?」

 

「そう! そのリアクション!

想像以上の破壊力で飽きないねェ〜。

お前とは楽しくやれそうだァ」

 

「勝手に決めないでください!?」

 

「あのー、そろそろ担当の方を発表したいのですが……」

 

 そう言うベータにオレが「悪い悪い」と謝罪すると、荒ぶるガンマ(おもちゃ)を落ち着かせながら、担当について話した。

ガーデンの運営と調整がこいつの役目らしい。

運動神経を犠牲にした代わりに、こいつに備わっていたのが知力。

 

 ――つまり万丈と正反対なタイプ。

 

 資金面に関しては潤ってもらわんとこっちが困る。

様子を見て、アドバイスはやる必要があるかもなァ。

 

「次は「はいはい! デルタなのです!」

そうね。

じゃあ、デルタお願い」

 

「お前も憶えてるぞ、犬耳」

 

「犬耳じゃない‼︎

デルタはデルタなのです‼︎」

 

「分かった分かった、デルタだな。

――で、お前は何が出来るんだ?」

 

「デルタは狩りが好きなのです!」

 

 真偽の確認のため、アルファに目線を向けると彼女は無言で頷き、教団との戦闘がこいつの担当だと話した。

 

 ――こっちはまんま万丈だな。

 

「それにしても()()が好きねェ。

オレと気が合いそうだ」

 

「スタークも狩りが好きです?」

 

「アァ〜‼︎ 最ッ高に好きだネ‼︎

あれほど愉快なことをオレはシラン」

 

「わぁぁ、ならデルタが狩りのやり方、教えてあげてもいいのです!!」

 

「ん? お前がオレにか?

――――――了解(ok)

その提案、受けさせてもらおう」

 

「なら今から行くのです!!」

 

「それはダメ。

まだイプシロン達の紹介が終わってないでしょ?」

 

「会議は眠たいだけなのです!!

狩りの方が楽しいのです!!」

 

「――デルタ」

 

「ヒィ!!

分かったのです! だから怒らないで欲しいのです」

 

「今の一瞬でお前らの力関係が分かったな」

 

冷たくなった声色に一瞬で、縮むデルタ、純粋な戦闘力こそ並ぶものがあるのだろうが、もっと目に見えないもので上下関係が構成されているように見える。

 

「次は私ね!」

 

 胸を張り、声高らかに発言したのはツインテール。

 

「誰だ?」

 

「失礼ね!

私あんたと会話したんだけど!?」

 

 まっっったく見覚えがないツインテールはそんな戯言をほざく。

 

「いや、本当に誰だ?」

 

「えっ……ほんとに覚えてないの?

冗談じゃなくて?」

 

「あァ、そういう冗談は好みじゃない」

 

「……私、あんたと会話したんだけど!!」

 

「嘘だろォ!?

オイ、全く記憶ないぞォ!」

 

 ──こいつの話が事実なら、どれだけ存在感ないんだよ。

 

「「「「「「………」」」」」」

 

「イ、イプシロンには様々な局面でのバックアップをお願いする予定です」

 

「裏方!?

それって私の存在感薄いからじゃないわよね……?

――ベータ!! 何とか言いなさいよ!!」

 

「えぇぇぇ!?」

 

「そんな訳ないでしょう。

繊細なアナタだから任せられる重要な立場よ」

 

「アルファ様……!!

はい!

この『緻密』のイプシロンにお任せ下さい!」

 

 そろそろ飽きてきたが、あと二人……退屈しなさそうなヤツらだし問題ないか。

 

「第六席、ゼータ。

私はアンタとよろしくする気はないから」

 

「おォ〜、怖!

さすが暗殺者は違うねェ」

 

「……その観察眼は褒めてあげてもいいけど。

まあ? 主以下の眼だろうけど?」

 

「オレにあっさりやられておいて、その態度を取れるとは……余っ程、面の皮が厚いようだな?」

 

「――っ。

やっぱりあなたとはよろしく出来ないし、したくない」

 

「まァまァ、そう言うなよ?

オレは案外、お前のことをかってるんだ」

 

「あっそ」

 

 ――これは本心。

 

 調整したとはいえ、あの毒を食らってまだあんな目を出来るなら、実力差を直に見せつけられた後にもまだ喉元へ食らいつく、その精神があるなら……多量のネビュラガスにも適応出来るかもしれない。

 

 ――非常に楽しみだ。

 

「私は……さっきやったから……いいよね。

早く……解剖……しよ?」

 

「そう焦るなァ……別に解剖させる気もないが。

まだオレの紹介が済んでないだろォ?」

 

「確かに……スタークのことは……知りたいかも。

それも……隅から隅まで……!!!」

 

 目を輝か、こちらを見てくる天災をよそにオレは偽りの自己紹介を始める。

 

「スタークだ。

本名は別にあるが、そこまで教える必要も無いだろ。

見た通りハンサムなナイスガイ――今後ともよろしくゥ」

 

 トンチキな紹介に納得のいかないものが、声を上げる。

 

「それだけ?

私としては、なぜあなたが私たちに協力関係を申し出たのか……いえ、なぜあなたがディアボロス教団と戦うのか。

その理由が知りたかったのだけれど?」

 

「お前らがオレを信用していないように、勝手な話だがオレもお前らを完全には信用していない。

だから詳しくは語らん。

少し、オレが戦う理由を語るとするなら――オレをこの姿にした愚かな生命体を滅ぼすため。

これに尽きる」

 

「あなた一体何を経験して――」

 

「おっと、今日はここまでだ。

続きはまた今度。

――イータ、随分不満そうだなァ?」

 

 オレが語った(騙った)過去に対して、6人は表情を暗くしていた――1人を除いて。

 

「私が……知りたかった……の……そういうのじゃ……ない」

 

「だろうなァ?」

 

 ――科学者ってヤツは総じてこんな連中なのか?

 

 世界の壁すら超えたというのに、不変な面倒臭さに飽き飽きする。

 

 ――はァ、仕方ない。

 

 オレはジャケットの内ポケットから、ロケットフルボトルを取り出し、イータに差し出す。

 

「お近づきの印に、イータ、お前にプレゼントだ。

しばらく貸してやるから、好きにしろ」

 

「なんだろう……液体?

面白そう……!」

 

「それじゃあ、皆様方は会議を続けてくれ。

オレはここら辺で」

 

「待って、どこに行くの?」

 

「バイトだよ、バイバイ(ciao)

 

 煙と共に消えたスターク。

掴みどころのないあの男に、今日も遊ばれたような気がしている。

思うことはそれぞれあるが、今、七陰全員の頭によぎったことは同じだった。

 

(((((((……スターク、バイトしてるんだ)))))))

 

 

 

 

 

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