星狩りは愚かな世界を楽しみたくて!   作:すかいスライム

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二人の狩人

 

 

 

 会議が行われてから数日が経過した。

七陰の各々が組織拡大や戦力増強、教団の特定などに動くなか、彼女だけは拠点でお留守番させられていた。

 

「うぅぅぅ……ヒマなのです!!!」

 

 戦闘力こそ七陰一、二を争うデルタだが、それ以外の能力ははっきりいって壊滅的。

そんな彼女にさっき並べたことなどできるはずなく、実験に没頭しているイータと共に拠点に押し込められている。

 

「ヒマなのです!!!

イータ!!! 何か面白いことするのです!!!」

 

「徹夜明けで……眠いから……寝る。

面白いことするの……寝る……ZZZ」

 

「お昼寝はもう飽きた!!

ヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマァァァァァァ!!!!!!!」

 

 陰の組織とは思えない騒音が響く中、唐突に扉が開かれる。

 

「よっ!

お前ら元気してたか?」

 

「スターク!

久しぶりなのです!!」

 

「相変わらず元気いいねェ〜、デルタ。

外まで声が聞こえてたぞ」

 

「それデルタのせいじゃない!!

イータが悪いのです!!

デルタヒマなのに1人ですやすや寝るイータが悪い!!!!」

 

 デルタに指刺されているというのに、深い眠りに就いているイータ、その姿を見てオレは安堵する。

 

 ――コイツの面倒臭さ……いや好奇心は評価に値するが標的にされると鬱陶しいことこの上ないからなァ、どうしたものか?

 

「スタークは何しに来たのです?」

 

「ン? オレか?

アルファのところに顔を出したら、アイツから「デルタが今頃退屈してると思うから、気分転換に付き合ってあげて欲しい」って言われてな。

遥々ここまで来たってことだ。

どうだ? 何かしたいことあるか?」

 

 その言葉を聞いたデルタの尾がピンと立つ。

 

「ならデルタ、スタークと狩りしたいのです!!」

 

「そういえば約束してたな……いいぞ」

 

「ワーイなのです〜!!」

 

「んぅぅ……デルタ……うるさ……ZZZ」

 

 デルタの大声に反応し、天災が襲来しかけた。

 

「シーーーー。

デルタ、イータが起きるからあんまり騒ぐな」

 

「なんでです?」

 

「コイツがオレがいるのを知ったら、オレのことを解剖しようとして狩りどころじゃなくなるぞ」

 

「そ、そうかもしれないのです!

じゃあデルタ、静かに行くのです」

 

 オレは忍者の如き歩みで外へ出た。

デルタもオレの歩き方を真似、足音ひとつ立てずに続いて外に出た。

 

 ――やっぱりバカだが飲み込みはいい。

 

 手に持っている忍者フルボトルを懐に戻し、伸びをしているデルタを見ながら思う。

 

(フルボトルありきのオレにはさすがに及ばんが十分な完成度。

獣人だったか?

元の身体能力が人間やエルフより高いようだが、その中でもこいつは別格だな)

 

「デルタ、狩りの前の景気づけだ。

パンチするみたいに手を前にだせ」

 

「こうです?」

 

 デルタから差し出された拳に、オレの拳を合わせる。

 

「よし!

デカい獲物捕まえて、アルファ達を驚かせてやろう」

 

「うん!

デルタがんばる!!!」

 

 そう宣言した後、森の中に突撃していくデルタ。

追う前にオレは今得た情報を整理する。

 

(現状のシャドウがハザードレベル5.4程度なのを踏まえると、こいつは2.7ぐらいか。

……となるとアルファが2.9、ゼータが2.6、あとは2.5で横並び…いやガンマは2.3だな)

 

 現状、七陰の中で最強はアルファだ。

他の奴らも時間さえあれば、着実に実力をつけていくことだろう。

だが、それではシャドウ(暇つぶし)には届かない。

 

(人間の感情を手に入れたオレにとって、効率よくハザードレベル上げる方法は感情を昂らせること。

現にシャドウと交戦したあと俺のハザードレベルは3.5まで上昇した。

ヤツとの戦いにオレの感情が昂ったからからだろうなァ?

だが、それも回数を重ねる毎に薄れていく。

アイツだけじゃ全く足りない――話にならない。

だから、こいつらには強くなってもらわないと困る)

 

 オレはコブラフルボトルとネビュラスチームガンを取り出す。

 

『コブラ』

 

「蒸血」

 

『ミスト マッチ』

 

 さァ――

 

『コ コブラ コブラ』

 

 ――狩りの始まりだァ!

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 デルタはスタークと一緒に狩りをしていたのです。

けどデルタが獲物を追いかけてる間にスタークがいなくなったのです。

それで、スタークの匂いを辿って戻ると()()()がいて、急に襲ってきたのです。

 見た目はゴツゴツのキラキラって感じ。

動きはデルタより遅いけど、けど!!!

 

「コイツ、硬い!!!

――ッ!!! うわぁぁぁ!!!」

 

 スマッシュからカウンターパンチを食らい、吹き飛ぶ。

そんなデルタの姿をオレは木陰から、覗いていた。

 

(ブラッドスタークになったことで匂いによる追跡を振り切れた。

捕まえておいた山賊も役に立ってる立ってる。

命名するなら…クリスタルスマッシュってとこか)

 

 デルタが何度も攻撃を仕掛けるが、クリスタルスマッシュは平気そうに受け止めるどころか、体内から鉱石を生成し、砲弾としてデルタに打ち込む。

 

「石をいっぱい投げてきてずるいのです」

 

 デルタの中に逃亡の選択肢はない。

砲弾を回避しながらも攻撃する手は止めない。

その甲斐あって、クリスタルスマッシュにもダメージとまでは言えないが、表面に引っかき跡が残るようになっていた。

しかし――

 

「あぁぁぁ!!

デルタの爪、壊れちゃったのです!!」

 

 強固な相手への連撃は武器の消耗を加速させた。

スライムスーツから作成できるとはいえ、無限では無い。

 

「―――」

 

「しまっ――」

 

 武器爪を生成するタイミングに合わせた砲撃。

デルタはクリスタルスマッシュの攻撃を正面から受けてしまった。

砲撃によって飛ばされた体は木を数本なぎ倒し、岩壁にぶち当たった。

 

(デルタ、あんなヤツに、負ける?

そんなこと、ない……でも――)

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 デルタの朦朧とする意識の中、呼び起こされたのはボスとのある会話だった。

 

「デルタ、この肉硬くない?」

 

「デルタはお肉ならなんでも好きなのです!!」

 

 口いっぱいに猪の生肉を頬張るデルタ。

 

「しょうがない叩いて柔らかくするか」

 

「ボス何してるです?

そいつもう死んでるですよ?」

 

「いや、死体蹴りしてる訳じゃないよ。

こうやってお肉を叩くと柔らかくなって、食べやすくなるんだよ」

 

「へぇ〜、面白そう!!

デルタもやる〜!!!」

 

 デルタは僕の叩いてる肉に連撃を、しかも1点集中で叩き込んだ。

結果発表もちろん、穴が空いた。

 

「あちゃー、これは食べられないね」

 

「……ボス、ごめんなのです。

お肉硬いって言ってたからいっぱい叩いた方がいいと思って」

 

「別にいいよ。

でも同じ場所を何度も叩くと壊れやすくなっちゃうから気をつけてね?」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

(そうです!

ボスが言ってた、同じ場所叩いたら穴空くって……アイツの真ん中、いっぱい傷付いてた)

 

「――ならそこを叩く!!!」

 

「―――」

 

 追いついてきたクリスタルスマッシュと相対する。

爪は既に生成済み――闘志も充分。

 

「がぁぁぁぁ!!!」

 

 攻撃はヤツの中心部のみ。

被弾するパンチや砲撃は気にもせず、攻撃を抉り込む。

ただ速く、多く、鋭く。

 

「デルタの方が…お前より強い!!!」

 

「―――!?」

 

 クリスタルスマッシュが重心が崩れ、背中から倒れる。

その好機を逃す天性の狩人(デルタ)では無い。

すぐマウンティングポジションをとり、魔力を腕に集中させる。

そして上から最後の一撃を――

 

「ガァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 クリスタルスマッシュは体を貫かれ、消滅した。

 

「勝った……?

やったー!! 勝ったので――――――――――――――……ぐぁ」

 

『デビルスチーム』

 

「よくやったな、デルタ。

ご褒美だ。

頑張って適応しろよ?」

 

「お前、だ、れ……」

 

 デルタが最後に目にとらえたのは赤いスーツと蛇のシンボルだった。

 

 

 

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