第25話
雪華綺晶を一人で使いに出したはいいけど、あいつもあいつで心配だ
なんせ最近は俺の脳内で紫陽花に似てきたとうわさだ・・・・。友達が一人もいないとこうなるから子供の頃に「友達百人出来るかな?」なんて歌が出てくるんだ
あぁ、でも。ここ数日は結構な頻度で紫陽花たちを連れて外に遊びに行っているから、俺は結構リア充してるな。俺の中でリア充なんてもう死語だけど・・・・
それでなくとも近所の人から何やら怪しい子供の幽霊が出現するとか言われているからな、この家
それは雪華綺晶が勝手にこの家の中を冒険と称して荒らしまくった結果だから、その時は雪華綺晶を涙目になるまで叱ったものだ。SじゃないのにドSになりそうな表情だったな、雪華綺晶の表情は・・・・・
いまはそんなことに思考を割く暇はなかったな。昨日、冬薔薇が今日みたいに散歩と称した周辺警戒警邏をしていた時、恐ろしいほど純粋な悪意を持った力を感じたらしい
力の方角は元々俺たちが住んでいた愛人・・・・何号だったっけ? まぁその場所の方から感じたらしい。報告をもらった時は探って来るように言うつもりだったが、その心配は必要ないと分かった
あの家には今、水銀燈しかいなかったはず(多分)、あいつは最初に作られた本来の体では無いから強力な出力を出すことができないらしい。なにせ朽ちかけの身体だ。それでも力を出せるローザミスティカは意外と万能だったらしい
そんなこともあって安心していると、雪華綺晶がその考えは間違っていると訂正を求めてきた
「確かに黒薔薇のお姉さまは本来の力を使うことは得意ではありませんわ。契約者ではないものから力を吸い取ることが出来るお姉さまに、そんな懸念は必要かどうかわかりませんけれど」
という事らしい。そうだ、忘れていた。水銀燈はミーディアから力を吸い取れるって、少女の作り方にも書いてあったはずだ
最悪俺が囚われて力を吸い取られても紫陽花達は自立で稼働できる設計だ。その為にあんなに苦労して石を精製したのだし
しかし、冬薔薇が力を感じた時、雪華綺晶も力を感じていたみたいだ。彼女によると、その力は水銀燈のものではないそうだ
金糸雀
えーうん、じゃあ問題ないな
うん、読者諸君は気付いているかも知れないが彼女は俺の人形だからね
え、いつの間に?え~、説明するの~
じゃあ簡単に・・・・拾った
ん?それだけよ。なんか呻いている人形がいたから拾った、ネジはもう巻いてあった、多分前の主人の所から逃げたのかも、体が破損していたから逃げる時に何かあったのかも
だから適当?強引?まぁ、契約したわけだ。おーけー?
じゃあ今まで考えてた純粋な悪意の力とか、考えるだけ無駄じゃん。味方だもん
ふぅ・・・嘘だけど
俺は考えながら動かしていた腕を下した
俺の視線の先には、雪華綺晶の依代として利用されていた「雛苺」の身体が横たわっていた
地下にある部屋で蛍光灯は一つ、そんな薄暗い部屋で作業している俺はさぞ、変人に思われるだろう。・・・・・だめだ、考えないようにしよう
今まで俺は雛苺の身体を手入れと修復をしていたのだ!流石の俺も他人の作品を根本から変えることはしないので安心してほしい
机の上から視線を横にずらす
テーブルに置いてある「それ」を手に取り、観察する
青でも緑でもない、コバルトブルー、エメラルドグリーン、そんな色をした結晶だ
そう、これは蒼星石のローザミスティカだ
Side水銀燈
「ない!ないわ!蒼星石のローザミスティカが!!」
準備もなく取り入れると不味いとか考えないで取り込めばよかったわーー!!!
「もしかして、もしかするかもかしら」
「あぁもぉー!ジャンクがぁーーーー!!!!!」
絶対絶対絶対ぜーーーークソジャンクーー!!!
「取られたくらいでうるさいのかしら」
「なんで私ばっかりこんな目にぃーーーーーー!!!!!」
「キャラ崩壊なのかしら。それはカナもなのかしら」
「きぃーーーー!!!」
「ふぅ、なのかしら」
Sideジュン
今頃水銀燈が怒ってる頃か
蒼星石からローザミスティカを奪った水銀燈からローザミスティカを掠め取った俺を誰か褒めて欲しい
それはさておき、これを雛苺の中に入れます
雪華綺晶や冬薔薇が何か言っていますが文句は受け付けません。ちなみに他の人形のローザミスティカを別の人形に入れても然程影響が無いのは分ってるから
「ほいった」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
「あの・・・・」
ん?どうした雪華綺晶。今俺はこの興奮を何とか押し殺して、起きるのを今か今かと「ネジを巻かなければ起きませんわ、お父様」・・・・・なん・・だと。
失念していた、こいつら本来はネジを巻いてそれを動力にしてるんだった!!
なんてこったい
え、じゃあ雛苺のネジはどこ?
「雛お姉さまは此度の争いで最初に脱落なされたお姉さまです。おそらく過去の世界に・・・」
・・・・・・ぉぉ
「・・・・・・・・・ぃいく」
「え」
「こうなったら過去の世界にいってやらぁーーーーーーーーー!!!!!」
「きゃあ!もう!・・・驚いてしまったではありませんか。・・・ふふ」
いいよ、今までなんかよくわからないテンションで語ってきたけど、もうやだ!
行くったらいく!!今行く!すぐいく!
こっちの世界にいる過去の俺?
そんなの気にすんな!俺は気にしない!
ラプラスの魔に介入される?紫陽花!
「はいお父様♪」
nのフィールに入れないぞ!冬薔薇!
「・・・・・・・・うん」
これで文句ないだろう!もう一人の俺!
「ふぅふぅふぅ、俺たちの冒険はこれからじゃーーーーー・・・・・
完
はい、というわけで、過去の世界です
え、どこここ。うん?薔薇庭園がある、三菱だか四菱だか忘れたが爺さんが住んでたはず。うん興味ないからパスで
「あの、お父様。あれ・・・」
雪華綺晶が紫陽花と冬薔薇の視線の先を指さす
周りのなつかしさですっかり放置だったが、何を見てるんだ?
視線を合わせると、そこには小さい俺がいた。中学生くらいだ
「あぁ・・・・・うん」
こいつらが何を見てるのかわかった、俺が教師ぶん殴って、クラスメイトの男子を金属の机で鼻折ってるところだ。近くには当時の彼女がいた
ここ、巻いた俺の過去じゃなくて、巻かなかった俺の過去だ
え、ネジないじゃん
次話・・・・・・未定